初代シビックSB1は、1970年代のホンダが誇るコンパクトカーとして誕生し、その軽快な走りと独自技術で世界に大きなインパクトを残しました。
その中心にあるのが、モデルごとに異なる「EB・EC・CVCC」エンジンです。
これら三種類のエンジンは、それぞれ特徴と目的が異なり、今日のホンダエンジンにも通じる思想が詰まっています。
排気量、燃焼方式、吸排気の設計などが異なるため、SB1を買う・維持する・レストアするうえで、どのエンジンが搭載されているかは非常に重要なチェックポイントです。
今どうすべきか。まずはEB・EC・CVCC、それぞれの構造・性能・整備性を理解し、部品入手性や弱点の違いを把握すること。
そして、車両の装備と組み合わせを正確に知ることで、購入時の注意点・維持費の違い・レストア計画の方向性が明確になります。
この記事では、三種類のエンジンがどのように異なり、どこが強く、どこが弱いのかを徹底的に深掘りし、初代シビックを長く楽しむための基礎知識を整理します。
Contents
SB1に搭載されたエンジンの概要(EB・EC・CVCC)
初代シビックSB1には、販売地域・グレード・年式によって複数種類のエンジンが搭載されました。
大きく分けると EB型(1.2L)/EC型(1.3L)/CVCC系エンジン の3種類で、それぞれ構造・燃焼方式・燃費・整備性が異なります。
このセクションでは、三つのエンジンの立ち位置と特徴を俯瞰しながら、SB1全体のエンジン体系を整理します。
EB型エンジン(1.2L・SOHC)
初代シビックの基礎となったエンジンで、扱いやすさと軽快さが特徴です。
主な仕様
- 排気量:約1,200cc
- SOHC・直列4気筒
- キャブレター仕様
- 小型・軽量でコンパクトな設計
性格
- 街乗り向きのスムーズな回転
- メンテナンス性に優れる
- 部品点数が少なく扱いやすい
SB1のスタンダードモデルに多く搭載されました。
EC型エンジン(1.3L・SOHC)
1.2LのEBをベースに排気量アップしたモデルで、トルクアップが目的です。
主な仕様
- 排気量:約1,300cc
- EBと同じSOHC構造
- キャブレター仕様
- トルクの厚みが向上
性格
- 上り坂・高速巡航で余裕が出る
- 実用回転域で扱いやすい
- EBよりわずかに燃費は落ちる傾向
年式・販売地域により搭載例が異なります。
CVCCエンジン(複室燃焼方式)
初代シビックの象徴的存在であるCVCC(Compound Vortex Controlled Combustion)エンジンは、1970年代の排ガス規制をクリアするために開発された革新的技術です。
主な仕様
- 副燃焼室を持つ複室燃焼方式
- 希薄燃焼を実現
- キャブレター/副室点火プラグ装備
- 1.5L級に匹敵する燃焼効率(当時の評価)
性格
- 高い環境性能
- 一定速度巡航時の燃費が良い
- ただし調整が繊細で整備負荷は高め
SB1の中でも上位仕様に搭載され、当時「世界で最初に規制をクリアした市販車」として注目されました。
三種類の立ち位置(SB1全体での役割)
| エンジン型 | 性格 | 適した用途 | 部品入手性 |
|---|---|---|---|
| EB(1.2L) | 軽快・扱いやすい | 街乗り・普段使い | 比較的良い |
| EC(1.3L) | 余裕ある実用性 | 日常+軽い高速 | 良い |
| CVCC | 環境性能・高効率 | 長距離巡航・特別仕様 | 一部不明や要専門知識 |
EB/ECは整備性が高く、CVCCは技術的に特徴的で、現代でもマニアから高い人気があります。
要点まとめ
- SB1にはEB(1.2L)・EC(1.3L)・CVCCの3種類が搭載
- EBは軽快、ECは実用的、CVCCは革新的な燃焼方式が特徴
- グレード・年式・地域で搭載エンジンが異なる
- CVCCは整備が繊細で、知識があるショップ選びが重要
初代シビックのエンジンは小排気量ながら独特の個性があり、同じSB1でもエンジン型によって乗り味が変わるのが魅力だと聞きます。
この“選ぶ楽しさ”がSB1の面白さのひとつですね。
EBエンジンの特徴(1.2L)と整備性

EBエンジンは、初代シビック(SB1)における最もベーシックなユニットであり、軽快さと扱いやすさを両立した1.2L・SOHCの直列4気筒です。
ホンダが“コンパクトカーとしての基準”を世界に示した原点ともいえる存在で、シンプルな構成ゆえに維持しやすく、旧車入門としても人気を持つ理由がここにあります。
このセクションでは、EB型の設計思想、走行特性、整備性を深掘りし、SB1オーナーにとって押さえておきたい要点を整理します。
① EBエンジンの基本仕様
EBは小型・軽量・低フリクションを徹底した設計が特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 排気量 | 約1,200cc |
| 形式 | SOHC・直列4気筒 |
| 方式 | キャブレター仕様 |
| 燃焼方式 | 一般燃焼(単室) |
| 冷却 | 水冷 |
| 点火方式 | 当時一般的なポイント式(年式により異なる) |
現代の車と比べれば簡素ですが、構造がわかりやすく、整備の幅が広いのが特徴です。
② 走行特性(軽快でよく回る)
EBエンジンの最大の魅力は、「軽く、気持ちよく回る」ことです。
特徴
- 低回転域からスムーズ
- 車重が軽いため1.2Lでも十分な加速
- 高回転の伸びはホンダらしい性格
- 街乗りで扱いやすいトルク特性
坂道や高速巡航ではECに劣るものの、街中では必要十分な力を持ち、軽快さが際立ちます。
③ EBエンジンの弱点(年式によるもの)
50年以上が経過しているため、EB固有というより“旧車としての劣化”が主な弱点です。
代表例
- オイルシール硬化による滲み
- キャブレターの経年劣化(アイドル不安定)
- 点火系(コイル・ポイント)弱り
- ウォーターポンプやホース類の寿命
構造が単純なため、部品があれば確実に復元できるのが利点です。
④ 整備性の高さ(旧車の中では優秀)
EBは整備性に優れ、初代シビックの中でも“手を入れやすいエンジン”として評価されています。
理由
- エンジンルームが広く作業スペースが確保しやすい
- 部品点数が少ない
- 構造が単純
- 社外品の供給が比較的多い
ホンダ車の中では「最も触りやすい旧車エンジンのひとつ」ともいわれます。
⑤ 部品入手性
EBは三種類の中では最も入手性が良い部類です。
| 部品区分 | 入手性 | 備考 |
|---|---|---|
| 点火系(プラグ・コード) | 良い | 社外互換多数 |
| キャブ部品 | 一部あり | ジェット類は中古頼り |
| ガスケット類 | 良い | 社外品で対応可能 |
| オイルシール | 良い | 互換品使用例多数 |
| ウォーターポンプ | 一部確保可能 | 状態差あり |
| ハーネス | 不明 | 部分補修が現実的 |
※細かい部品は状態にばらつきがあり、ショップ経由で探すケースが多いです。
⑥ レストア時のポイント
- キャブ調整は現代燃料に合わせた再調整が必要
- 点火系は弱りやすいため予防交換が効果的
- オイル滲みはシール交換で改善
- 冷却系のリフレッシュで耐久性が大きく向上
“手を入れるほど素直に変化が出るエンジン”という点がEBの魅力です。
要点まとめ
- EBは1.2LのSOHCで軽快な回転フィールが魅力
- 構造が単純で整備性が高く、旧車入門として扱いやすい
- 弱点は経年劣化が中心で、対策は容易
- 部品は三種類の中で最も入手しやすい傾向
小排気量ながら素直で軽快な回転が魅力だそうで、街中を軽く走らせるとそのキャラクターがよく伝わると言われます。
当時のホンダらしい“楽しいエンジン”という印象ですね。
ECエンジンの特徴(1.3L)と走行性能

ECエンジンは、初代シビックSB1の中で「実用トルクを重視した上級ユニット」として位置づけられた1.3Lエンジンです。
基本構造はEBと同じSOHCですが、排気量アップにより力強さを獲得しており、実用域の走りが明確に向上しています。
特に日常使用や長距離走行を意識するオーナーから高く評価され、SB1の“余裕ある走り”を支える存在です。
このセクションでは、EC型の仕様、走行性能、整備性、部品の入手事情を詳しく掘り下げます。
① ECエンジンの基本仕様(EBからの進化点)
ECはEBをベースに排気量を拡大し、低中速トルクの増加を狙った設計が特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 排気量 | 約1,300cc |
| 形式 | SOHC・直列4気筒 |
| 方式 | キャブレター仕様 |
| 燃焼方式 | 一般燃焼(単室) |
| 冷却 | 水冷 |
| 特徴 | EBよりトルクが厚い・実用回転域が強化 |
基本構造はEBと似ていますが、排気量アップにより乗り味が大きく変わります。
② 走行性能(力強さと扱いやすさの両立)
ECエンジンの最大の魅力は、“日常シーンでの余裕”です。
特徴
- 発進時の力がEBより明確に強い
- 坂道や2名以上の乗車でも余裕がある
- 中速域(40〜70km/h)の伸びが自然
- 高速での巡航が楽になる
当時のコンパクトカーとしては優秀なトルクを持ち、「実用的に最もバランスが良い」と評価されることが多いです。
③ ECエンジンの弱点(構造的な欠点は少ない)
EC固有の大きな欠点は少なく、弱点は主に年式による劣化です。
代表例
- 点火系(コイル・ポイント)の弱り
- キャブレター内部の摩耗・汚れ
- オイルシールの硬化と滲み
- 冷却系ホースの老朽化
- ゴムマウント類のへたり
排気量が大きい分、EBより多少の発熱がありますが、致命的な弱点ではありません。
④ 整備性(EB同様に良好)
ECも構造がシンプルで整備性は高く、旧車として扱いやすい部類に入ります。
整備しやすい理由
- エンジンルーム内のスペースが確保されている
- SOHCで構造が単純
- 点火系・冷却系の交換作業が容易
- キャブ調整も標準的な範囲で対応可能
排気量アップによる作業の難度上昇はほとんどありません。
⑤ 部品入手性(ECはEBに次いで確保しやすい)
ECも比較的部品流通が安定しています。
| 部品区分 | 入手性 | 備考 |
|---|---|---|
| 点火系 | 良い | コイル・コードは互換品多数 |
| キャブ部品 | 一部あり | ジェット類は要中古 |
| ガスケット類 | 良い | 社外品で対応しやすい |
| オイルシール | 良い | EBと共通部品も多い |
| ウォーターポンプ | 一部確保可能 | 状態確認が重要 |
| ハーネス | 不明 | 補修対応が現実的 |
EBと比べ大きく不足している部品は少なく、維持しやすいエンジンといえます。
⑥ レストア時のポイント
- キャブレターは“実用域最適化”が重要
- 点火時期調整は性能に直結
- 冷却系リフレッシュで発熱対策が万全になる
- マウント類は経年でヘタるため要点検
ECは手を入れると走りの質がしっかり改善し、巡航性能が大きく向上すると言われます。
要点まとめ
- ECは1.3Lで余裕あるトルクが最大の特徴
- 日常走行〜高速巡航まで扱いやすい万能型
- 弱点は年式相応の劣化中心で、構造的欠点は少ない
- 部品入手性はEB同様に比較的良好
聞いた話では、ECエンジンは街乗りから高速まで“ちょうど良い力感”があるそうで、当時のコンパクトカーとしては驚くほどバランスが取れた印象を受けるといいます。
軽快さと実用性のバランスが魅力のようですね。
CVCCエンジンの仕組みと環境性能

CVCC(Compound Vortex Controlled Combustion)は、初代シビックSB1を語るうえで欠かせない革新的エンジンです。
1970年代の厳しい排ガス規制を“触媒なし”でクリアした世界的技術であり、ホンダの存在を一気に国際的ブランドへ押し上げた象徴的ユニットです。
このセクションでは、CVCCの構造・燃焼の仕組み・走行特性・整備の難易度まで、旧車オーナーが理解すべきポイントを徹底解説します。
① CVCCの基本構造(最大の特徴は副燃焼室)
CVCCの核心は、「副燃焼室を持つ複室燃焼方式」です。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 方式 | 副燃焼室+本燃焼室の2段階燃焼 |
| 点火 | 副室側に点火プラグを配置 |
| 燃料供給 | キャブレター(主室・副室の混合気濃度を制御) |
| 特徴 | 希薄燃焼が可能、CO/HC/NOxを大幅低減 |
一般的な単室燃焼と違い、副室で濃い混合気を確実に着火 → 本室の薄い混合気を引火 → 全体をクリーンに燃やす仕組みです。
② 当時の排ガス規制をクリアした歴史的技術
1970年代の米国・日本は急速に排ガス規制が強化され、多くのメーカーが失速する中、ホンダはCVCCで“低公害と燃費改善”を同時に達成しました。
評価ポイント
- 触媒を使わず排ガス基準をクリア
- 小排気量で優れた燃費性能
- エンジンのコンパクト化に成功
世界的に注目され、ホンダ技術力の象徴となりました。
③ CVCCエンジンの走行特性
CVCCは“環境性能が注目されがち”ですが、実際の走りには次の特徴があります。
特徴
- 一定速度の巡航に強い(燃焼効率が高い)
- 1.2L・1.3Lよりも高い燃費性能
- 低中速でのトルク感は標準的
- 荷物が多い・坂が続くと若干パワー不足
高効率ゆえに軽快な伸びがあり、当時としては非常に洗練された特性です。
④ CVCC固有の弱点(整備の難度は高め)
革新的な構造である一方、整備面では注意すべきポイントが多いのも事実です。
代表的な弱点
- 副燃焼室のカーボン蓄積
- 副室用プラグのトラブル
- キャブの調整が複雑(副室側と連動)
- 希薄燃焼ゆえに燃焼室が高温になりやすい
- 部品が他エンジンより入手しづらい傾向
特にキャブ調整は“知識のあるショップ”でないと性能が出せません。
⑤ 整備性(専門知識が必要)
構造自体は複雑ではないものの、「調整が繊細」という点で難易度が上がります。
必要な整備知識
- 副室・本室の混合比設定
- 副室点火の確認
- カーボン除去のタイミング
- 希薄燃焼の特性に応じた点火時期管理
旧車の中でも特に“経験の差”が出やすいユニットです。
⑥ 部品入手性(他エンジンより厳しめ)
CVCCは特殊構造のため、部品確保はやや難しい部類です。
| 部品区分 | 入手性 | 備考 |
|---|---|---|
| 点火系(副室プラグ含む) | 一部あり | 入手難のケースも多い |
| キャブ部品 | 不明~中古 | CVCC専用構造 |
| ガスケット類 | 一部あり | 社外で代替可能 |
| 副燃焼室部品 | 不明 | 専門店に相談必須 |
| ハーネス | 不明 | 補修で対応 |
CVCCは“部品が揃えば確実に復元できる”ものの、その部品確保が課題となる場合があります。
⑦ レストアのポイント(重要)
- 副室のカーボン清掃が性能維持のカギ
- 副室プラグの状態は優先的に点検
- キャブ調整は熟練者必須
- 冷却系のリフレッシュで過熱対策
- 点火時期を適切に設定することで燃焼効率が安定
“調整が乗り味を大きく左右するエンジン”といえます。
要点まとめ
- CVCCは副燃焼室を用いた複室燃焼方式が最大の特徴
- 当時の排ガス規制を触媒なしでクリアした革命的エンジン
- 高い燃費性能と独特の燃焼フィールを持つ
- 調整が繊細で、整備には専門知識が必要
- 部品入手性はEB・ECより厳しく、専用部品は要確認
聞いた話では、調子の良いCVCCは非常に軽やかで、独特の燃焼感が心地よいそうです。
環境性能と走行性能のバランスが時代を感じさせつつも魅力的で、旧車ファンの間でも特別視される理由がよくわかりますね。
3種エンジンの比較(表で整理)

初代シビックSB1に搭載された「EB・EC・CVCC」の3種エンジンは、構造・特性・整備性・部品入手性まで、すべての観点で違いがあります。
このセクションでは、各エンジンの特徴を体系的に比較し、オーナーが“自分の用途に合ったエンジン”を判断しやすいように整理します。
まずは主要スペックと性格を一覧表でまとめ、その後に用途別の適性とレストア難易度を深掘りしていきます。
① 基本スペック比較(排気量・構造・燃焼方式)
| 項目 | EBエンジン | ECエンジン | CVCCエンジン |
|---|---|---|---|
| 排気量 | 約1,200cc | 約1,300cc | 約1,500cc級相当の効率(排気量は1.5L未満、形式により差) |
| 燃焼方式 | 単室燃焼 | 単室燃焼 | 複室燃焼(副室+本室) |
| 気筒数 | 直4 | 直4 | 直4 |
| 供給方式 | キャブ | キャブ | キャブ(副室混合調整含む) |
| 点火系 | 一般点火(ポイント式) | 一般点火 | 副室+本室の2系統(構造が複雑) |
※CVCCは実際の排気量自体は1.5L以下ですが、燃焼効率の高さから“当時の1.5L級に匹敵する”と評価された背景があります。
② 走行性能・燃費の比較(用途別適性)
| 観点 | EB | EC | CVCC |
|---|---|---|---|
| 発進時の力 | 普通 | 良い | 普通 |
| 街乗りの扱いやすさ | 非常に良い | 良い | 良い |
| 中速域の加速 | 軽快 | 力強い | 標準的 |
| 坂道の余裕 | 少し弱い | ある | 微弱〜標準 |
| 高速巡航 | 標準 | とても良い | 良い |
| 燃費 | 良い | 標準 | 非常に良い |
| 全体バランス | 軽快 | 実用的 | 省エネ・特殊構造 |
ECは力強さ、CVCCは燃費と環境性能、EBは軽快さがそれぞれの強みです。
③ 整備性・レストア難易度(重要)
| 観点 | EB | EC | CVCC |
|---|---|---|---|
| 整備のしやすさ | 非常に高い | 高い | 低い(調整が繊細) |
| 構造の複雑さ | 単純 | 単純 | やや複雑 |
| キャブ調整 | 標準 | 標準 | 難しい(副室調整必須) |
| 点火系調整 | 容易 | 容易 | 難しい(副室点火管理) |
| 故障リスク | 年式相応 | 年式相応 | 調整不良のリスクあり |
| レストア工数 | 少ない | 標準 | 多い |
特にCVCCのキャブ調整と点火管理は、経験者でないと性能が出にくい点が特徴です。
④ 部品入手性の比較(現代での維持に関わる)
| 部品区分 | EB | EC | CVCC |
|---|---|---|---|
| 点火系 | 良い | 良い | やや難 |
| キャブ部品 | 一部中古 | 一部中古 | 入手しづらい |
| ガスケット | 良い | 良い | 良い |
| 副燃焼室部品 | ― | ― | 不明(専門店頼り) |
| エンジン本体部品 | 中古+社外 | 中古+社外 | 一部不明 |
| ハーネス | 部分補修 | 部分補修 | 部分補修 |
CVCCは「専用部品」が多いため、EB・ECに比べると調達ハードルは高めです。
⑤ 用途別のおすすめエンジンは?
用途によって“適したエンジン”は変わります。
- 街乗り・軽快さ重視 → EB
→ 軽やかで扱いやすく、燃費も良い。 - 日常+高速走行のバランス → EC
→ トルクがあり、最も万能といわれる。 - 当時の技術・希少性・燃費重視 → CVCC
→ 調整次第で魅力が大きく化ける特殊ユニット。
要点まとめ
- EB・EC・CVCCの3種は構造・特性が大きく異なる
- EBは軽快、ECは実用的、CVCCは環境性能と希少性が魅力
- 整備性はEB>EC>CVCC
- 部品入手性もEB・ECが有利、CVCCは専門店のサポート必須
- 用途によって最適エンジンが変わるため、購入前の確認は重要
EB・EC・CVCCは同じ年代のエンジンでも性格がはっきり違い、それぞれに“らしさ”があると聞きます。
選ぶ楽しさがあるのも、初代シビックの魅力の一つですね。
整備性・部品入手性の違い

EB・EC・CVCCの3種エンジンは、構造や燃焼方式の違いがそのまま整備性や部品入手性に反映されます。
特に旧車として維持する場合、「どこが弱点となりやすいか」「どの部品が入手しやすいか」は、購入前の判断材料として非常に重要です。
このセクションでは、3種それぞれの整備しやすさと、現代における部品入手事情を深掘りします。
① 整備性の違い(EB → EC → CVCCの順で難度が上がる)
| 項目 | EBエンジン | ECエンジン | CVCCエンジン |
|---|---|---|---|
| 整備性 | 非常に高い | 高い | 低い(専門知識必要) |
| 構造 | シンプル | シンプル | 副室込みで複雑 |
| キャブ調整 | 容易 | 容易 | 難しい(副室調整必須) |
| 点火系 | 単純 | 単純 | 副室点火の管理が必要 |
| 冷却系整備 | 容易 | 容易 | 過熱対策が必須 |
| レストア工数 | 少ない | 標準 | 多い |
■ EB
- 全体的に“旧車らしい単純構造”が最大の魅力
- 作業スペースも広く、DIYユーザーにも優しい
- キャブ同調や点火時期調整も標準的で難度は低い
■ EC
- EBとほぼ同じ整備性
- 排気量アップに伴う発熱増加も大問題にはならない
- 実用性に優れるため、走行しながら調整効果が実感しやすい
■ CVCC
- キャブ調整は別物レベルで難易度が高い
- 副室の点火確認・カーボン対策など“工数が多い工程”が多い
- 経験者に依頼した方が確実なセクションが多い
② 部品入手性の違い(CVCCが最も不利)
| 部品区分 | EB | EC | CVCC |
|---|---|---|---|
| 点火系 | 良い | 良い | やや難(副室プラグなど) |
| キャブ部品 | 一部あり | 一部あり | 専用構造で入手難 |
| ガスケット類 | 良い | 良い | 一部あり |
| オイルシール類 | 良い | 良い | 良い |
| 副燃焼室部品 | ― | ― | 不明(専門店依存) |
| ウォーターポンプ | 一部入手可 | 一部入手可 | 一部入手可 |
| ハーネス | 補修が現実的 | 補修が現実的 | 補修が現実的 |
| エンジン本体(中古) | 比較的多い | 比較的多い | 少なめ |
■ EB・EC
- 汎用部品も多く比較的楽
- キャブは中古が中心だが再生可能
- ガスケット・シール類は社外で代替しやすい
■ CVCC
- 専用部品が必要な場面が多い
- 副室プラグの選定・調達が難しい
- キャブは部品が出にくく、状態の良い中古が貴重
「CVCCは部品さえ揃えば性能を取り戻せるが、その部品がなかなか手に入らない」
という評価がよく聞かれます。
③ レストア時の費用感の違い(整備性と部品難度に比例)
費用は“工数”“部品入手性”“調整の難易度”で決まるため、次のような傾向になります。
| エンジン | レストア費用感 | 備考 |
|---|---|---|
| EB | 低〜中 | もっとも扱いやすい |
| EC | 中 | 汎用性が高い |
| CVCC | 高 | 調整と部品確保が課題 |
CVCCは手間も費用もかかりますが、調子が出たときの走りは独特の魅力があると言われます。
④ エンジン選びの実用的判断ポイント
- 維持費と整備性を重視 → EB
- 長距離や高速道路もよく使う → EC
- 希少性・技術的魅力を重視 → CVCC
- 部品調達の不安を減らしたい → EBまたはEC
特に購入前は「搭載エンジン型式」と「現状の調子」を必ず確認し、CVCCの場合は“誰が整備したか”が重要要素となります。
要点まとめ
- 整備性はEBが最良、CVCCが最も繊細で工数が多い
- 部品入手性はEB・ECが有利、CVCCは専門店サポート必須
- レストア費用はCVCCが最も高くなる傾向
- 購入前は搭載エンジンの状態と整備履歴が判断材料として重要
それぞれのエンジンには独自の味わいがあるそうで、特に調子の良いCVCCは当時の技術力を感じられる特別な存在と聞きます。
選ぶ段階から“自分に合う個体を探す楽しさ”があるのがSB1の魅力ですね。
購入前に確認したいポイント
初代シビックSB1を購入する際、どのエンジン(EB・EC・CVCC)が搭載されているかは当然重要ですが、それ以上に「そのエンジンがどれだけ健全に維持されてきたか」が決め手になります。
ここでは、購入前に必ずチェックすべき実用的なポイントを、3種のエンジン共通項目と、各エンジン固有の確認項目に分けてまとめます。
① 3種エンジン共通で確認すべきポイント
■ 圧縮圧力(エンジンの健康を大きく左右)
- 圧縮のバラつき
- 規定値との差
- 4気筒の均一性
圧縮が揃っている個体は、その後のレストア費用が大きく下がります。
■ オイル漏れ・滲みの有無
- カム周り
- クランクシール
- オイルパン
- ディストリビューター根元
年式的に“滲みゼロ”は稀ですが、滴下レベルだと要整備です。
■ 冷却系の状態
- ラジエーターの腐食・詰まり
- ホース類の硬化
- ウォーターポンプの異音
- サーモスタットの作動
冷却不良は旧車トラブルの代表例です。
■ キャブレターの状態
- アイドリングの安定
- 冷間始動の良し悪し
- 加速時の息つき有無
- フロートバルブの状態
キャブの調子が良い個体は、その後の調整もスムーズです。
■ 点火系一式の状態
- コイル
- プラグコード
- ディストリビューター
- ポイント接点
点火が弱るとすべての走行性能が落ちます。
② EBエンジン購入時のチェックポイント
- オイル滲みは軽度で済んでいるか
- キャブのスロットル軸周りのガタ
- 点火時期が適切か
- 冷却系の更新履歴があるか
EBは比較的タフですが、キャブ周りの摩耗はチェックしておくと安心です。
③ ECエンジン購入時のチェックポイント
- 発進時の力が自然か(トルク抜けがないか)
- 冷却系はEBより余裕が求められる
- 高速巡航の安定性(試乗できる場合)
- マウント類のへたり(振動増加の原因)
ECは実用トルクが魅力なため、体感で“力の出方”を見極めるのが重要です。
④ CVCCエンジン購入時のチェックポイント(最重要)
CVCCは特に状態に差が出やすく、購入判断の難易度が最も高いエンジンです。
確認ポイント
- 副室点火が正常に作動しているか
- アイドリングが安定しているか
- カーボン蓄積の度合い
- キャブ調整が取れているか
- 過熱の形跡がないか
- 整備履歴(誰が、いつ、どこを整備したか)
CVCCは“調整されているかどうか”で別物のような走りになります。
⑤ 試乗できる場合のチェック
- 始動性(冷間・暖気後)
- アイドリングの振動
- 加速のスムーズさ
- 失火の有無
- 異音(タペット・ノッキング・排気漏れ)
短時間でもエンジンの健康状態はかなり判断できます。
⑥ 購入前に聞いておきたい質問リスト(実用的)
- 直近の整備内容は?
- キャブ調整はどこで行われた?
- 点火系はいつ交換した?
- 冷却系の更新歴は?
- CVCCの場合、副室周りは点検済み?
- 部品はどこから調達している?
回答が曖昧な個体は後で費用がかさむケースが多いです。
要点まとめ
- 購入時は3種共通で“圧縮・冷却・点火・キャブ”をチェック
- EBはキャブ摩耗、ECはトルク感、CVCCは副室と調整状態が重要
- 整備履歴が明確な個体は信頼性が高い
- 購入前の質問で回答がはっきりしている個体ほど安心
良い状態のSB1はエンジンの鼓動がとても軽やかで、回転の伸びも気持ち良いと聞きます。
エンジン型式ごとの魅力を知ったうえで選ぶと、“自分に合ったSB1”に出会える楽しさがありますね。
よくある質問(FAQ)

Q1. EB・EC・CVCCの中で一番維持が簡単なのは?
EBです。
構造が最も単純で部品入手性も比較的良く、旧車入門として扱いやすいと言われます。
Q2. CVCCは本当に維持が難しい?
“難しい”というより「調整が繊細」です。
副室の点火・キャブ調整・カーボン管理など、専門店の知識が必要になる場面が多いです。
Q3. ECエンジンは高速巡航でも大丈夫?
1.3Lのトルクがあり、SB1の中では最も高速巡航が楽なエンジンとされています。
Q4. キャブレターの部品はまだ手に入る?
ジェット類や細かい部品は中古・ストック品が中心ですが、ガスケット類は社外で対応可能なものが多いです。
Q5. CVCCの副室プラグは入手可能?
一部流通はありますが入手難度は高めです。
CVCCを扱う経験豊富なショップに相談するのが確実です。
Q6. EB・EC・CVCCのエンジン本体は中古で手に入る?
比較的あるのはEBとEC。
CVCCは流通量が少なく、状態の良い個体は希少です。
Q7. エンジンが温まるとアイドリングが不安定になるのは?
キャブの調整不足・点火系弱り・二次エア吸い込みなどが主原因です。
どのエンジンでも起こりえます。
Q8. 圧縮が低いエンジンは直せる?
オーバーホールで改善しますが費用は大きく、購入前に圧縮を確認するのが理想です。
Q9. 冷却系は交換すべき?
全モデルで「最優先のレストア項目」です。
ラジエーター・ホース・サーモ・ウォーターポンプは状態が命です。
Q10. 3種のうちどれが一番価値が上がりやすい?
希少性でいえばCVCCですが、状態の良し悪しが価値に大きく影響します。
まとめ
初代シビックSB1の魅力は、EB・EC・CVCCという三種類のエンジンがそれぞれ独自の個性を持ち、同じ車なのに乗り味が大きく変わる点にあります。
EBは軽快さと扱いやすさが魅力で、構造がシンプルなため整備性も高く、旧車入門として理想的な存在。
ECは1.3Lの余裕あるトルクで街中から高速までそつなくこなし、“SB1で最も万能”といわれる実用性の高さを持っています。
そしてCVCCは、ホンダの歴史を象徴する革新的エンジンで、複室燃焼によって当時の排ガス規制を触媒なしで突破した技術的背景と、独特の燃焼フィールが今も愛好家を惹きつけています。
維持していくうえでは、圧縮・点火・キャブ・冷却の4点が最重要で、どのエンジンもここを整えることで性能が大きく向上します。
部品入手性はEB・ECが優位ですが、CVCCも専門店と付き合うことで十分レストア可能。
購入時には、搭載エンジンだけでなく「調整状態」「整備履歴」「冷却系の更新」「キャブの状態」を細かく確認することで、後々の維持費やレストア計画が大きく変わります。
聞いた話では、調子の良いSB1は小排気量とは思えない軽快さを感じさせ、エンジン型式ごとの“時代の個性”がしっかり伝わるそうです。
どのエンジンを選ぶかで車の表情が変わる——
そんな深い魅力があるからこそ、今でも初代シビックは多くのファンに愛され続けているのだと思います。
参考リンク
ホンダ コレクションホール(歴代シビック展示情報)
https://www.honda.co.jp/collection-hall/
国立国会図書館デジタルコレクション(自動車関連資料)
https://dl.ndl.go.jp/
日本自動車殿堂(日本車の歴史資料)
https://www.jahfa.jp/
日本自動車技術会(エンジン技術関連の公開資料)
https://www.jsae.or.jp/
国土交通省:自動車技術基準・保安基準
https://www.mlit.go.jp/jidosha/
