マツダが世界へ誇るロータリーエンジン。その歴史の中でも、コスモスポーツ L10B とサバンナ RX-3 は“始まり”と“成熟”を象徴する存在です。
前者はロータリーの技術力を示すために設計された特別なスポーツモデルであり、後者は実戦性能と量産性を兼ね備えた“実働ロータリー”として、モータースポーツでも確かな実績を残しました。
両者を比較することで、マツダが初期ロータリーをどのように進化させ、実用性能・耐久性・競技力を高めていったかを深く理解できます。
コスモスポーツ L10B は、10A型ロータリーの熟成を施しつつ、特別な専用ボディ・低重心設計・スポーツ志向の足回りを備え、“ロータリーのショーケース”として登場しました。
一方のサバンナ RX-3 は、これを実用車のプラットフォームへ落とし込み、さらに12Aロータリーによってパワー・耐久性・整備性を向上させたモデルです。
日常走行からレースまで幅広く使われ、1970年代のマツダのロータリー戦略を支えた一台でもあります。
この記事では、外観・シャシー構造・エンジン特性・実用性・走行性能・維持性・市場での評価まで、ロータリー進化の視点で両者の違いを体系的に比較します。
“象徴としてのコスモ”、“戦闘力と実用性を手に入れたサバンナ”という構図がより鮮明に見えるはずです。
両車の本質をつかむことで、ロータリー選びの判断基準や楽しみ方の方向性も自然と見えてきます。
Contents
- 1 位置づけとロータリー発展における役割
- 2 外観・デザインの違い
- 3 エンジン特性とメカニズム比較
- 4 シャシー・走行性能の比較
- 5 維持・部品・レストア難度の違い
- 6 価格相場・市場での評価
- 7 よくある質問
- 7.1 Q1. コスモスポーツ L10B とサバンナ RX-3、どちらが維持しやすいですか?
- 7.2 Q2. コスモ L10B の 10A エンジンは現在でもオーバーホールできますか?
- 7.3 Q3. RX-3 の 12A は現代でも部品が手に入りますか?
- 7.4 Q4. どちらが長距離走行に向いていますか?
- 7.5 Q5. 峠やワインディングで楽しいのはどちら?
- 7.6 Q6. コスモとRX-3、どちらが価値の上下が大きいですか?
- 7.7 Q7. 純正状態で残っている個体はどちらが多い?
- 7.8 Q8. 日常使用を想定するならどちら?
- 7.9 Q9. 初めてロータリー旧車を買う場合、どちらがおすすめ?
- 7.10 Q10. どちらが将来的に価値が上がりやすい?
- 8 まとめ
- 9 参考リンク
位置づけとロータリー発展における役割

コスモスポーツ L10B とサバンナ RX-3 は、同じマツダ製ロータリー車でありながら“象徴”と“実戦投入モデル”という全く異なる役割を担いました。
比較すると、マツダがロータリーを技術的ショーケースから大量生産・実戦性能のフェーズへ進めていった過程がよく分かります。
コスモスポーツ L10Bの役割
- 10Aロータリーの完成度を示す旗艦モデル
- 設計の大部分が専用で、ロータリーを魅せるための特別な一台
- 生産台数も少なく、希少性・象徴性が強い
サバンナ RX-3の役割
- 本格的に量産・普及を狙った“実働ロータリー”
- モータースポーツでの成功により世界的な知名度を獲得
- 12Aロータリーを軸にパワー・耐久性を大きく向上
基本スペック・立ち位置の違い早見表
| 項目 | コスモスポーツ L10B | サバンナ RX-3 |
|---|---|---|
| 発売区分 | ロータリー旗艦モデル | 実働・実用+レース対応 |
| エンジン | 10A(後期改良) | 12A(高出力・耐久性向上) |
| 車格 | 純スポーツカー | 実用スポーツ+レース投入車 |
| 市場での役割 | 象徴・デビュー作の熟成版 | 普及と競技力強化の中心 |
両者は“ロータリーの世界で何を担ったか”が全く異なるため、比較するほどロータリーの進化が浮かび上がります。
要点まとめ
- コスモは“象徴・ショーケース”、RX-3は“実戦・普及モデル”
- エンジンは10Aから12Aへ進化し、性能・耐久性が向上
- 車格・ターゲット層・開発意図すべてが大きく異なる
- ロータリー発展を語るうえで対照となる存在
両者の位置づけを比較すると、コスモは「ロータリーの原点の完成形」、RX-3は「ロータリーの本格的な実力を世界に示した一台」という関係性が見えてきます。
それぞれの役割が明確で、時代背景と合わせて理解するとさらに魅力が深まります。
外観・デザインの違い

コスモスポーツ L10B とサバンナ RX-3は、同じマツダのロータリー車でありながら、「特別なスポーツ」と「実用スポーツ」の違いが外観デザインにはっきり表れています。
両者の姿を並べて比較すると、ロータリー技術の“魅せ方”と“広げ方”という開発思想の差も読み取れます。
ボディスタイルの根本的な違い
まず前提として、両者は車格からしてまったく異なります。
- コスモスポーツ L10B:低く構えたロングノーズ・ショートデッキ。純スポーツカーとして専用設計された特別なスタイル。
- サバンナ RX-3:小型車プラットフォームをベースにした2ドアクーペで、実用性とスポーティさを両立させたデザイン。
コスモは“非日常のスタイル”を追求し、RX-3は“日常に溶け込むスポーティさ”を重視しています。
ディメンション(寸法)の違い
実際のサイズ比較からも役割の差がよく分かります。
| 項目 | コスモ L10B | サバンナ RX-3 |
|---|---|---|
| 全長 | 短く低く構える | 小型車らしい標準的な長さ |
| 全幅 | 狭いスポーツカー幅 | 小型車規格に準ずる幅 |
| 全高 | 非常に低い | 実用的な高さ |
| 車格 | スポーツカー | 小型スポーツ/実用クーペ |
コスモは低さと流れるような線を強調する造形で、RX-3はボクシーさと力強さが特徴です。
フロントフェイスの違い
- コスモ L10B:丸型ヘッドライトと流線形のグリルで、未来感のあるデザイン。当時としては非常に先鋭的。
- RX-3:角型に近いクーペスタイルで、力強いフロントマスク。後期型は特に迫力が増す。
デザイン言語そのものが全く異なり、コスモは“空力的・滑らか”、RX-3は“筋肉質・戦闘的”な方向性です。
サイドビュー・シルエットの差
- コスモ:長いノーズ、低いライン、緩やかな曲線。典型的なスペシャルティスポーツ。
- RX-3:ショートノーズ気味、コンパクトで詰まった印象。実戦車両としてもバランスが良いシルエット。
視覚的な“軽快さ”はRX-3、“流麗さ”はコスモが強く出ます。
リアデザインの方向性
- コスモ:丸みを帯びていてエレガント
- RX-3:水平基調で力強いスポーティさを表現
どちらも魅力的ですが、雰囲気は大きく違います。
内装デザインの違い
コスモ L10B
- 専用メーター・専用シート・専用スイッチ類
- 飛行機のコックピットのような包まれ感がある
サバンナ RX-3
- 小型車らしい実用的な内装
- スポーティメーターはあるが、専用度はコスモより低い
- 総合的に“普段使いできるスポーツ内装”
デザイン面での総括
- コスモ:非日常の“デザインオブジェ”的存在
- RX-3:日常とスポーツのバランス型
どちらも魅力は強く、方向性が全く違うため、比較するほど個性が際立ちます。
要点まとめ
- コスモは専用設計の純スポーツ、RX-3は実用小型スポーツ
- ディメンション・造形・内装のすべてが対照的
- “特別感のコスモ”と“戦闘的かつ実用的なRX-3”という構図
- 見た目での印象がそのまま性格の違いに反映されている
デザインを比較すると、コスモは“未来を見せる車”、RX-3は“現実の路上で戦える車”という役割の差が鮮明に感じられます。
それぞれの世界観がしっかり確立されていて、ロータリー史の中でも非常に対照的な存在です。
エンジン特性とメカニズム比較
コスモスポーツ L10B とサバンナ RX-3の違いを語るうえで、もっとも本質的なのが「搭載ロータリーエンジン」とその周辺メカニズムの進化です。
両者は同じマツダ製ロータリーながら、10A → 12Aへと大きく変化しており、パワー・耐久性・実用性・整備性のすべてが進化しています。
本章では、一次資料の範囲で確認できるエンジン仕様差・補機類・走行特性の違いを体系的にまとめます。
搭載エンジンの進化(10A → 12A)
| 項目 | コスモ L10B(10A後期型) | サバンナ RX-3(12A) |
|---|---|---|
| 排気量 | 約982cc | 約1,146cc(大型化) |
| 特性 | 高回転型・軽快 | トルク増強・実用的 |
| 位置づけ | “象徴”としての10A熟成版 | 量産・レースの主力12A |
RX-3の12Aは、10Aの弱点とされた耐久性・熱負荷・トルク不足を改善し、実用域の扱いやすさと競技力を両立させた進化型ロータリーです。
出力特性の違い
- コスモ L10B:軽快で鋭い回転上昇。高回転の伸びが魅力
- RX-3(12A):中低速トルクが増し、ストリートからレースまで万能
特にサバンナはレース参戦を前提としたパワーバンドが広く、車重とのバランスも良いため加速性能に優れています。
補機類・冷却性能の差
コスモスポーツ L10B
- 10Aの改良版で冷却性能は初期より向上
- それでも熱に対しては繊細で、現代では対策が必須
サバンナ RX-3
- 12A用に強化された冷却系を採用
- 量産に合わせた信頼性の高さが特徴
- レース用ではさらに強化された補機も存在
冷却性能の進化は12Aの大きな強みで、実用性の面で歴然とした差があります。
駆動系・ギア比の違い
- コスモ L10B:スポーツカーとしての伸び重視ギア比
- サバンナ RX-3:中低速加速重視。レース仕様はさらにクロス化
街乗り・ワインディングでの使いやすさはRX-3が有利です。
ハンドリングとの相性
コスモは“高回転ロータリー × 低い車体 × 長いホイールベース”
→ 高速安定性と伸びのある加速が魅力。
RX-3は“12A × 小型車ベースシャシー”
→ パワーに対し軽量ボディで、旋回力とレスポンスが強い。
メンテナンス・オーバーホール難度
| 項目 | コスモ L10B | サバンナ RX-3 |
|---|---|---|
| 10A内部部品 | 希少。純正再生は難度高い | 12Aは流通量多く確保しやすい |
| 補機類 | 専用が多い | 実用ベースで入手性が高い |
| OH難度 | 非常に高い | 高いが現実的 |
RX-3は「維持できるロータリー」「戦えるロータリー」として設計が成熟しています。
実際の走行特性の違い
- コスモ L10B
高回転の滑らかさと伸びが魅力。スポーツ的で繊細。 - サバンナ RX-3
トルクと扱いやすさが両立。実用・峠・レースまで万能。
ロータリーの“進化”をもっとも体感できるのはここです。
要点まとめ
- 10Aから12Aへの進化により、トルク・耐久性・実用性が大幅向上
- コスモは象徴的な10Aの熟成版、RX-3は実戦仕様の12A
- 補機類・冷却系はRX-3が圧倒的に強く、熱対策も有利
- 加速性能・中低速の扱いやすさはRX-3が上
- メンテナンス難度はコスモが非常に高く、RX-3は現実的
同じロータリーでも、コスモは“原点の美しさ”、RX-3は“成熟した実力”という違いが際立ちます。
技術的にも、実用性や競技力を手に入れた12Aの進化は非常に大きく、両者を比較するとロータリー史の変遷がはっきり感じられます。
シャシー・走行性能の比較

ロータリーエンジンの進化と同じくらい両者の性格を決定づけるのが、シャシー構造と走行性能の違いです。
コスモスポーツ L10B は“設計の多くが専用の純スポーツカー”、一方のサバンナ RX-3 は“小型車をベースに実戦仕様へ仕上げた万能スポーツ”という位置づけで、車体構造・ホイールベース・サスペンションの作り込みが根本的に異なります。
車体構造・ホイールベースの違い
| 項目 | コスモ L10B | サバンナ RX-3 |
|---|---|---|
| ベース構造 | 専用スポーツカー設計 | 小型車ベースの量産プラットフォーム |
| ホイールベース | 長め(安定性重視) | コンパクト(旋回性重視) |
| 車重 | 軽量(スポーツカー基準) | 同時代の小型クーペと同等 |
コスモは安定性、RX-3は軽快さを強調した設計思想が見える配置です。
サスペンション構造の違い
- コスモ L10B
スポーツ走行を前提としたセッティングで、速度が上がるほど安定する。
入力が素直で、姿勢変化も穏やか。 - サバンナ RX-3
軽量ボディと短いホイールベースが合わさり、回頭性が高い。
サスペンションは実戦を想定した強度と剛性があり、峠やサーキットでの“攻める走り”に向く。
RX-3はモータースポーツ参戦を背景に、当時としては非常にスポーティな足回りです。
ブレーキ性能の違い
| 項目 | コスモ L10B | サバンナ RX-3 |
|---|---|---|
| 前ブレーキ | 強化ディスク | ディスク(グレード差あり) |
| 後ブレーキ | ドラム | ドラム(高性能化) |
| フィーリング | 高速巡航で安定 | 実戦的で強めの制動力 |
RX-3はレースでの酷使を想定した設計で、制動の安定感が高い個体が多いのが特徴です。
ハンドリング特性
コスモ L10B
- 高速での直進安定性が高い
- 滑らかで上品なステアフィール
- “長距離向けスポーツカー”という印象
サバンナ RX-3
- 旋回力が高く、コーナーが楽しい
- 軽量+トルクで立ち上がりが鋭い
- 山道・競技走行で本領を発揮
RX-3は“攻める走り”、コスモは“伸びを味わう走り”が向いています。
実走での性格の違い
- 高速道路・安定感 → コスモが優勢
- 峠・ワインディング → RX-3が圧倒的に楽しい
- 長距離ツーリング → コスモは快適性が高い
- レース・競技 → RX-3は戦闘力が段違い
これはエンジン差ではなく、シャシー特性によるものが大きいです。
走行性能の進化という視点
ロータリー進化の観点では、RX-3は
「10Aを積んだ象徴車 → 12Aで戦える量産スポーツ」
という進化を体現しており、走行性能は一段階上の実用レベルに引き上げられています。
要点まとめ
- コスモは高速安定性重視、RX-3は軽快で戦闘的
- ホイールベース・車体構造の違いが走りの性格を大きく分ける
- RX-3はモータースポーツ前提の走行性能を持つ
- コスモは滑らかで上品、RX-3は鋭く実戦的
“乗り味”というより“走れる領域”そのものが両者では違い、コスモは“魅せるスポーツ”、RX-3は“戦うスポーツ”という対比が非常に鮮明だと感じます。
維持・部品・レストア難度の違い

コスモスポーツ L10B とサバンナ RX-3は、どちらも現在では希少なロータリー旧車ですが、「維持の難易度」「部品の入手性」「レストアに必要な技術」には非常に大きな差があります。
この章では、実際に維持するうえで直面する要素を、実在パーツ供給状況・構造上の難度・専門店の事情など、一次情報に基づく範囲で整理します。
部品供給状況の違い
| 項目 | コスモ L10B | サバンナ RX-3 |
|---|---|---|
| エンジン内部部品 | 極めて希少。再生産は限定的 | 12A系は比較的流通がある |
| 補機類(キャブ・点火系ほか) | 専用多数。中古も限られる | 流用可能品が多く入手性良好 |
| 外装パーツ | 専用パネル多数で希少 | バンパー・レンズ類は比較的入手可能 |
| 内装パーツ | 専用品が多く再生必須 | 元の形状が近くレストア選択肢が多い |
最も大きな差は 「専用設計の多さ」 で、コスモはこの点でRX-3と大きく離れています。
エンジンOH(オーバーホール)の難度差
コスモ L10B(10A後期型)
- 内部部品の現物確保が最大の壁
- 10A固有の設計ゆえ流用可否は限定的
- 経年で傷んだローターやハウジングは交換品が確保しにくい
- 現代では対応できるショップが限られる
サバンナ RX-3(12A)
- 12A系の部品流通が比較的豊富
- 専門店でのOH実績も多く、現実的な維持が可能
- 補機類も流用選択肢が多いため整備性が高い
実務的な視点では、RX-3の方が安定して維持できる体制を組みやすいのが実情です。
ボディ・錆対策の観点
| 観点 | コスモ L10B | サバンナ RX-3 |
|---|---|---|
| 腐食しやすい箇所 | 専用フロア・フェンダー・Aピラー付近 | フェンダー、サイドシル、リア周囲 |
| パネル入手性 | 専用品で極めて困難 | 社外補修品や中古流通がある |
| レストア難易度 | 非常に高い | 高いが現実レベル |
コスモはパネルの専用性が高く、板金職人の技量に強く依存します。
足回り・ブレーキの部品確保
- コスモ L10B
専用部品が多く、流通量は限られる。
状態の良い中古を探すか、製作再生が必要になる場合もある。 - RX-3
当時の量産小型車ベースのため、消耗品は現代でも比較的確保しやすい。
レース用途の強化パーツも現在まで流通している。
日常整備面での違い(点火・燃調・冷却)
- コスモは熱にシビアで冷却系のメンテが必須
- RX-3は耐久性が向上し、現実的な冷却性能とパーツ供給がある
- 点火系もRX-3は現代の部品で置き換えやすい
整備に必要な工数・手間・設備はコスモのほうが圧倒的に高いです。
レストアに必要なショップ選び
コスモは
- 10AのOH実績
- 専用パネル加工
- 長期保管車の再生経験
これらが揃ったショップでのみレストアが成立します。
RX-3は
- 12Aの扱いに慣れたロータリー専門店
- 小型車ボディの錆処理実績
この条件で整備体制を整えれば比較的現実的に維持できます。
“維持コスト”の体感差
- コスモ:車両代+レストア費用が非常に高額(個体依存)
- RX-3:レストア費は高いが、部品供給の差で総額に大きな違いが出る
- 年間維持費も、補機類交換数の関係でRX-3が軽く収まりやすい
“維持できるかどうか”の敷居は両車で大きく違います。
要点まとめ
- コスモは専用部品が多く維持難度が極めて高い
- RX-3は12A系の部品供給が現実的で維持しやすい
- ボディレストアはコスモの方が困難で費用差が大きい
- 10AのOHは専門ショップでしか成立せず、入庫待ちも長い
- RX-3はレース文化の影響で強化パーツすら手に入る場合がある
維持の難易度という観点で見ると、コスモは“特別な覚悟が必要なロータリー”、RX-3は“現実に乗り続けられるロータリー”という住み分けがはっきりしていると感じます。
それぞれに魅力がありつつ、オーナーに求められる体制や覚悟はまったく違うのが印象的です。
価格相場・市場での評価

コスモスポーツ L10B とサバンナ RX-3 は、いずれも旧車マーケットで人気の高いロータリーモデルですが、希少性・保存状態・レストア難度・競技車歴の有無という要素が価値を大きく左右します。
両者の市場傾向は共通点もある一方、性格の違いから相場は明確に分かれています。
近年の相場傾向(概略)
※数字はあくまで公開取引や専門店の表示価格の“範囲”として確認できるレベル。
※個体差・装備差による変動幅が非常に大きい。
| 車種 | コスモ L10B | サバンナ RX-3 |
|---|---|---|
| 近年の市場価格帯 | 高額帯が中心 | 中〜高額帯まで幅広い |
| 流通量 | 極めて少ない | 少ないがコスモより多い |
| 状態による価格差 | 非常に大きい | 大きいが現実的に収まる |
コスモは“投資対象としての価値”が強まり、RX-3は“実用スポーツとしての人気”で維持されている印象があります。
希少性による影響
コスモスポーツ L10B
- 生産台数そのものが少ない
- 程度良好な車両は非常に限られる
- レストア済みの完成度によって価格は大きく変動
- “博物館級個体”が市場に出ることは稀
サバンナ RX-3
- 走りの車であるため、過去に改造・競技使用された個体も多い
- ノーマル度の高い個体は希少化しつつある
- 外装・内装の再生が可能なため、相場形成はコスモより安定
全体的に、コスモは希少性、RX-3は個体差が価格を決める主要因です。
レストア費用の市場への影響
コスモのレストアは
- 専用部品の多さ
- ボディの構造的な難しさ
から、完成車価格を押し上げる傾向があります。
RX-3は
- 社外部品や流用品の選択肢がある
- ボディの構造が実用車ベース
のため、レストア総額はある程度コントロールできます。
結果として、購入後の“維持総額”まで含めると、両車の実質的な負担は大きく異なります。
市場評価(旧車ファン・専門店)
コスモ L10B
- 「ロータリー史を象徴する1台」として高い評価
- デザイン面での支持が強く、特別感が高い
- 市場に出る頻度が極めて低い
- コレクション性が非常に高い
サバンナ RX-3
- 「走りのロータリー」「戦闘的な旧車」として評価
- レストア後も走って楽しむオーナーが多い
- カスタム・レース文化の名残が強い
- 世界的な人気が上昇中
方向性が違うため、必ずしも優劣ではなく“どちらの価値観に惹かれるか”で差が生まれています。
購入時の注意点
- コスモは“専用品だらけ”のため、購入前に整備体制を確認することが絶対条件
- RX-3は過去の改造歴・修復歴の有無を綿密に確認する必要がある
- どちらも書類付き(車検証・型式・構造)であることが必須
- レストア済みを買う場合は「どこが、どの工程を、どう直したか」まで把握することが重要
市場価格よりも“維持体制の確保”の方が重要であることは共通しています。
将来価値の見通し
- コスモ L10B:すでに世界的に希少価値が高く、今後も下がりにくい傾向
- サバンナ RX-3:国内外で人気が上昇しており、特にノーマル個体は価値上昇の可能性が高い
どちらも投資的価値を持つが、方向性は異なります。
要点まとめ
- コスモの市場は“希少性”が最大の価値
- RX-3は“走れる旧車としての実用人気”が高い
- レストア難度の差が価格にも反映される
- ノーマル・書類付き・実用状態の個体はどちらも価値が高い
- 将来価値は両車とも上昇の可能性を持つが、傾向は異なる
価格相場の違いは、設計思想・生産台数・部品供給性など、両車の性格差そのものが反映されています。
どちらを選ぶにしても「現実的な維持体制」を確立することが、長く楽しむための前提になると強く感じます。
よくある質問

Q1. コスモスポーツ L10B とサバンナ RX-3、どちらが維持しやすいですか?
維持しやすさは圧倒的に サバンナ RX-3 です。
12A系の部品供給量が多く、整備実績のある専門店も多数存在します。
コスモ L10B は10A専用部品が多く、現代では入手困難な部品もあり、レストア難度が極めて高い点が大きな差になります。
Q2. コスモ L10B の 10A エンジンは現在でもオーバーホールできますか?
可能ですが、10Aの知見や部品ストックを持つ店舗に限定されます。
ローターやハウジングなど内部部品の確保が最大の課題で、納期も長期化する傾向があります。
Q3. RX-3 の 12A は現代でも部品が手に入りますか?
12A系は比較的流通しており、補機類・消耗品まで現実的に揃います。
新品が難しい場合も中古・リビルト・流用品の選択肢が存在するため、維持しやすいグループに入ります。
Q4. どちらが長距離走行に向いていますか?
長距離ツーリングは コスモスポーツ L10B が向いています。
ホイールベースの長さ・高速安定性・ステアフィールの滑らかさが高く、速度域が高いほど持ち味が出る構造です。
Q5. 峠やワインディングで楽しいのはどちら?
軽快で戦闘的な走りを味わえるのは サバンナ RX-3 です。
コンパクトな車体・12Aロータリーのトルク特性・旋回性の高いシャシー構成が、大きな魅力になります。
Q6. コスモとRX-3、どちらが価値の上下が大きいですか?
希少性による価格変動が大きいのは コスモ L10B です。
市場に出る個体数が極端に少なく、レストア内容によって価格が大きく変わります。
RX-3は個体差はあるものの、比較的市場価格が読みやすい傾向があります。
Q7. 純正状態で残っている個体はどちらが多い?
RX-3 の方が多い です。
ただし過去にレースや改造が盛んに行われた車種なので、ノーマル度の高い個体は少なくなりつつあります。
コスモは台数がそもそも少なく、市場でも希少です。
Q8. 日常使用を想定するならどちら?
現実的に日常使用できるのは RX-3 です。
冷却系・補機類の安定性、部品供給の現実性が大きく影響しています。
コスモは保存・鑑賞寄りの扱い方になることが多いです。
Q9. 初めてロータリー旧車を買う場合、どちらがおすすめ?
初めてなら サバンナ RX-3 の方が適しています。
整備性・流通部品・専門店の多さから、維持のハードルが現実的です。
コスモはレストア難度が高く、旧車経験者向けです。
Q10. どちらが将来的に価値が上がりやすい?
方向性は異なりますが、どちらも価値上昇が見込まれます。
- コスモ:世界的な象徴車として希少性が価値を支える
- RX-3:ノーマル個体の減少と海外人気の上昇
それぞれ別の理由で強く評価されています。
まとめ
コスモスポーツ L10B とサバンナ RX-3は、同じロータリー車でありながら、設計思想・走行性能・維持性・市場価値に至るまで方向性がまったく異なる2台。
比較すればするほど、両者がロータリー史の中で別々の役割を担っていたことがはっきり見えてきます。
コスモスポーツ L10Bはロータリーの“象徴”として作られ、専用設計のボディ、熟成された10A、長いホイールベース、独自の美しいスタイリングなど、特別な存在感を持っています。
高速域での安定性が高く、走りには上品さと伸びやかさがあり、今見ても“未来の車”のような雰囲気をまとっています。
その特別な構造ゆえに、維持とレストアには高い技術力と確かな部品確保が前提となり、オーナーには強い覚悟と体制が求められるモデルです。
一方、サバンナ RX-3はロータリーの“実戦投入”と“普及”を担った存在で、12Aエンジンのトルク特性、軽快なシャシーバランス、実用性とスポーツ性の両立が大きな魅力。
峠やサーキットでの戦闘力が高く、メンテナンス体制も整えやすいため、日常と走行性能を両立できる旧車として支持されています。
部品供給は10Aよりも格段に豊富で、現実的に維持しやすいのも重要なポイントです。
2台を比較すると、コスモは“特別な所有体験”、RX-3は“走りの楽しさと実用性”という対照的な価値を提供します。
どちらが優れているという単純な結論ではなく、自分がロータリーの何に惹かれるのかによって、適した選択が大きく変わります。
象徴性・希少性・美しさを求めるならコスモ、軽快さ・実用性・走行力を求めるならRX-3が応えてくれるはずです。
どちらもロータリー史で欠かせない存在であり、所有すること自体が特別な体験となる車。
この記事が、両者の違いを理解し、自分に合ったロータリー旧車選びの助けになれば幸いです。
参考リンク
マツダ公式 歴代車種アーカイブ
https://www.mazda.co.jp/classiccar/
マツダ ロータリー関連情報
https://www.mazda.co.jp/experience/rotary/
