ギャランGTOは、1970年代の三菱を代表するスペシャルティクーペであり、その中でも A53(初期型)と A55(改良型) は外観・装備・機関に細かな違いが存在するモデルです。
特に前期・後期の境界が分かりづらいことから、購入検討者やイベント参加者の間で「どこがどう違うのか?」という疑問がしばしば生じます。
見た目の変化は小さいものの、デザインディテール・エンジン構成・装備内容など、比較すると意外に多くの差があります。
本記事では、A53 と A55 の外装・内装・エンジン・装備の違いを正確に整理し、購入・レストアを検討する読者が迷わないよう丁寧に解説します。
また、年式差による部品互換性、識別ポイント、現代においてどちらが扱いやすいのかといった実用的な観点も紹介。
ギャランGTOは、直線的で精悍なデザインと軽快な走行性能から、今なお旧車ファンの支持が厚いモデルです。
A53/A55の違いを理解することは、車両選びだけでなくレストア計画、維持費検討にも大きく役立つ内容です。
Contents
- 1 A53 と A55 の概要(年式・位置付け)
- 2 外装デザインの違い
- 3 内装装備・メーターまわりの違い
- 4 エンジン・走行性能の違い
- 5 識別ポイント(見分け方)
- 6 どちらを選ぶべきか(維持・部品供給の観点)
- 7 よくある質問
- 7.1 Q1. A53 と A55 のどちらが中古市場で高値になりやすいですか?
- 7.2 Q2. 初めてGTOを所有するなら A53 と A55 のどちらが適していますか?
- 7.3 Q3. 部品がない場合、他車種の流用は可能ですか?
- 7.4 Q4. 現代の道路環境で走るならどちらが快適ですか?
- 7.5 Q5. A53 と A55 で燃費に差はありますか?
- 7.6 Q6. どちらの型式も今後価値が上がる可能性はありますか?
- 7.7 Q7. 部品取り車を買って維持するのは現実的ですか?
- 7.8 Q8. レストア費用はどの程度を見ておくべきですか?
- 7.9 Q9. 普段使いは現実的に可能でしょうか?
- 7.10 Q10. GTO購入前に必ず確認すべきポイントは?
- 8 まとめ
- 9 参考リンク
A53 と A55 の概要(年式・位置付け)

ギャランGTO A53 と A55 は、三菱が1970年代前半に展開したスペシャルティクーペ「ギャランGTO」シリーズの中で、前期型(A53)と改良型(A55) に相当するモデルです。
どちらも美しいファストバックスタイルを持ち、当時の三菱が掲げた“ヨーロピアンテイストのスポーティクーペ”という方向性を体現していましたが、細部には明確な相違点があります。
ここでは、年式や市場背景を踏まえながら、A53/A55 の基本的な位置付けを整理します。
A53(前期型)の概要
A53 はギャランGTOの初期型として登場し、その特徴はデザインの純度が高く、初期ならではのシャープな印象が強い点です。
主な特徴
- 登場時期:1970年
- 型式:A53
- 市場での位置付け:発売当初の“純粋なGTOデザイン”
- 搭載エンジン:1600cc 系、後に2000cc系も追加
- デザイン:シンプルかつ直線基調が強い前期ならではの造形
特にフロント・リアの細部造形は A55 とは異なり、「GTOらしさ」を最も強く感じるという声が多いモデルです。
A55(後期型/マイナーチェンジモデル)の概要
A55 は A53 をベースに、デザイン・安全装備・機能装備の改良が行われた後期型モデルです。
外観の変更は小規模ながら、エンジン系・装備内容の改善が施されている点が特徴です。
主な特徴
- 登場時期:1972年頃(A53の改良版)
- 型式:A55
- 市場での位置付け:装備の充実化・モデル成熟期
- 搭載エンジン:1600cc〜2000cc(ラインナップ整理・改良あり)
- デザイン:バンパー・ランプ類など細部がリファイン
A53 のシャープな印象を残しつつ、より量産車としての完成度や安全性を高めた構成といえます。
A53/A55 が登場した時代背景
1970年代初頭は、日本のスペシャルティカー市場が急成長した時代で、トヨタ・日産・マツダなど各メーカーが個性的なクーペモデルを競争的に投入していました。
当時の市場ニーズ
- 高性能エンジン+美しいスタイリング
- ヨーロッパクーペを意識した「走りの質感」
- 若者向けスポーティモデルの拡大
こうした背景のなかで、三菱は「上質で走りの良いクーペ」という独自路線を狙い、GTOシリーズを展開しました。
A53 と A55 の関係性の整理
| 項目 | A53(前期) | A55(後期) |
|---|---|---|
| 登場年式 | 1970年 | 1972年前後 |
| 位置付け | 初期型・純度の高いデザイン | 改良型・成熟した構成 |
| デザイン | シャープで軽快 | ディテール改善・装備の充実 |
| エンジン | 初期ラインナップ中心 | 改良仕様を含む広い選択肢 |
| 市場評価 | 初期型の希少性が高い | 実用性・完成度が高い |
どちらも GTO の魅力を十分に備えていますが、A53 はオリジナル性、A55 は実用性と完成度という個性があります。
要点まとめ
- A53 はギャランGTOの前期型で“初期GTOの純粋な造形”が特徴
- A55 は改良型で、装備・安全性・エンジン構成の成熟が進んだモデル
- 両者の違いは小さく見えて実は多く、年式・装備・デザインで明確な差がある
- 時代背景として、1970年代初頭のスペシャルティカーブームが強い追い風に
こうして整理すると、A53/A55 は似ているようでいて、それぞれに魅力の方向性が違うモデルだと感じますね。
外装デザインの違い

ギャランGTO A53 と A55 の外観は一見よく似ていますが、細部に明確な違いがあり、前期・後期を見分ける上で重要なポイントになります。
基本造形は共通で、ファストバックスタイルと直線を基調としたシャープなスタイリングが特徴ですが、年式改良によって安全装備やデザイン処理が変更され、印象やディテールが変わっています。
ここでは、前後バンパー、ランプ類、グリル、サイドビューなど外装の主要ポイントを整理し、両者の違いを明確にしていきます。
フロントまわりの違い(グリル・バンパー)
フロントグリル
- A53(前期)
初期型らしいシンプルなグリル構造で、縦・横のラインがシャープに走るデザインが特徴。装飾が少なく、軽快でスポーティな印象を強く持つ。 - A55(後期)
グリルのデザイン処理が変更され、厚みや奥行きが増した構成に。安全規制や視認性の向上を意識した調整が入り、前期より力強い表情に仕上げられている。
フロントバンパー
- A53:細身のバンパーで、装飾の少ない軽快なスポーツ感
- A55:大型化され、補強・意匠変更が行われる(衝突規制対応)
バンパーの厚みが変わることで、正面から見た雰囲気は意外に大きく異なります。
ヘッドライト・フロント周辺の変更点
ランプハウジング
- A53:小ぶりでシャープ、スポーティさ重視
- A55:レンズまわりの処理が厚くなり、視認性向上のための改良が入る
ライト外周のメッキ・枠部の仕様違いが見分けポイントです。
サイドビュー(ストライプ・ホイール・モール類)
ストライプデザイン
- A53:細くシャープなストライプが多い
- A55:より太いラインや視認性向上のデザインへ変更
※年式・グレードにより差があるため全車共通ではありません。
ホイール・キャップ類
- A53:初期デザインのホイールキャップ
- A55:装飾が追加され、視覚的安定感が上がる方向へ変更
リアまわりの違い(ランプ・バンパー)
テールランプ
- A53:初期型らしく薄いデザインで、直線基調のシンプルな構成
- A55:厚みのあるデザインへ変更され、点灯面積が拡大
後期のほうが視認性が高く、安全規制を意識した設計に近づいています。
リアバンパー
- A53:軽量でコンパクト
- A55:衝突対策として補強され、やや大型化
リアまわりの印象違いはこのバンパーの差が非常に大きいです。
ボディライン・細部造形の違い
サイドモール
- A53:装飾が控えめで軽さを重視した仕上げ
- A55:視覚的なボリュームを意識したモールへ変更
エンブレム位置
微妙に配置が異なる場合があり、識別のヒントになります。
A53/A55 外装比較(表)
| 部位 | A53(前期) | A55(後期) |
|---|---|---|
| フロントグリル | シンプルで軽快 | 奥行きが増し力強い |
| バンパー | 細身 | 大型化・補強あり |
| テールランプ | 薄型のシンプル形状 | 厚みが増し視認性向上 |
| サイドモール | 控えめで軽快 | 装飾が増え安定感重視 |
| 全体印象 | スポーティ・軽快 | 力強い・成熟した表情 |
要点まとめ
- A53 は初期型らしい軽快でシャープなデザイン、A55 は成熟したデザイン処理
- 前後バンパー・グリル・ランプ類の細かい形状が識別ポイント
- A55 は安全面・視認性を意識した改良により力強さが増す
- 全体造形は同じでも“印象は大きく違う”のが A53/A55 の特徴
こうして見ると、A53 の純度の高いシャープさと、A55 の力強い成熟感はどちらも魅力的で、比較すると時代の流れが反映されているのが面白いですね。
内装装備・メーターまわりの違い

ギャランGTO A53 と A55 の内装は、外観ほど大きな変化はありませんが、年式改良に伴い「操作性」「視認性」「質感」の向上が図られており、実は購入時・レストア時の重要な比較ポイントになります。
ここでは、ダッシュボード・スイッチ配置・メーター構成・シート形状・内張り素材など、当時のカタログから読み取れる違いを整理します。
ダッシュボードの基本デザインは共通だが質感が異なる
A53(前期)
- ダッシュボード形状は比較的シンプル
- メーターフードの造形がシャープで軽快
- スイッチ類が“初期設計そのまま”の配置
- 素材感はやや硬質で、純粋なスポーツカー的雰囲気が強い
A55(後期)
- ダッシュボードの素材感やフィッティングが改良
- 一部スイッチ配置の見直しにより操作性向上
- 細部の仕上げが滑らかになり、完成度が高い印象
- 全体に“成熟したインテリア”という印象になる
同じデザインコンセプトを持ちながらも、質感では A55 のほうが落ち着きがあります。
メーター構成の違い(視認性・デザイン処理の差)
A53/A55 ともにスポーティな丸型メーターを採用していますが、年式改良により視認性・表記などに違いがあります。
A53(前期)
- 初期型らしいシンプルなメーター表記
- デザインの軽快さが強い
- インジケーター類も簡潔にまとめられている
- 照明の明るさや視認性は“旧車らしい控えめ”な仕様
A55(後期)
- メーター表記の視認性向上(フォント・配置の調整)
- インジケーター類の整理で情報密度が向上
- 照明の明るさやムラ改善などの細部調整が入る
- 全体的に“読みやすく、落ち着いた表示”へ成熟
メーターの内部意匠は製造ロットによって差がありますが、一般に後期のほうが見やすい仕様です。
スイッチ・コントロール類の違い
A53(前期)
- 当時らしいトグルスイッチや回転式ダイヤルが中心
- “スポーツカーらしい武骨な操作感” が魅力
- スイッチの配置がやや遠い場合があり、初期設計の印象が強い
A55(後期)
- スイッチ配置の見直しで操作しやすくなった
- 感触やクリック感などの細部の質感向上
- 装備の追加(後期GTOの快適装備充実化に対応)
小さな変更ですが、日常的な使用ではこの違いが意外に大きく感じられます。
シート形状・内装素材の違い
A53(前期)
- クッション薄めでスポーティな座り味
- 横方向サポートは控えめ
- シート生地の模様や質感は初期型特有でレア
- 室内全体が“軽快スポーツ”という印象
A55(後期)
- 座り心地や形状が微調整され、長距離走行に向く
- 細部の縫製や表皮の質が改善
- ドア内張りや天張りもフィッティングが向上
- 全体に“しっとりと落ち着いた雰囲気”
実際に乗ると、A55 のほうが疲れにくいという声が多いです。
内装装備の比較(表)
| 項目 | A53(前期) | A55(後期) |
|---|---|---|
| ダッシュボード | シャープで軽快、初期仕様 | 細部の質感・フィッティング改善 |
| メーター | シンプル・軽快 | 視認性向上・成熟したデザイン |
| スイッチ類 | 初期設計で武骨 | 操作性と質感が改善 |
| シート | スポーティだが硬め | 形状改良で快適性向上 |
| 室内の雰囲気 | 若々しい・初期GTOの純度 | 落ち着いた完成度の高い印象 |
要点まとめ
- 内装は同じように見えるが、操作性・視認性・質感では A55 のほうが明確に改善
- A53 は純粋な初期GTOらしい軽快な雰囲気、A55 は成熟した“完成型”的な印象
- メーター・スイッチ・シートの改良が後期の特徴で、実用性の差につながる
- レストア時は内装素材の違いが識別ポイントとして重要
内装の比較を見ていると、A53 の若々しいスポーツ感と、A55 の落ち着いた完成度はどちらも魅力的で、選ぶ人の価値観によって好みが分かれそうですね。
エンジン・走行性能の違い

ギャランGTO A53 と A55 は、同じ GTO 系のスポーティクーペでありながら、搭載エンジンの構成・チューニング・走行フィール に年式改良による違いがあります。
外観の変化は控えめですが、走りに関わる要素はモデル成熟に合わせて確実に改良されており、購入・レストアを検討する上で非常に重要な比較ポイントです。
この章では、搭載エンジンのバリエーション、吸排気系・点火系の年次変更、シャシーまわりの調整などを整理し、A53/A55 の走行性能の差を丁寧に解説します。
エンジンラインナップの違い(1600cc・2000cc 含む構成差)
ギャランGTO には廃排気量やグレードにより複数のエンジンが設定されていましたが、A53/A55 の改良によってラインナップや仕様が異なる場合があります。
A53(前期型)
- 1600cc系エンジンが中心
- 後に 2000cc 系モデルも追加されたが、初期はラインナップが限られる
- 初期チューニングのため、扱いは鋭くスポーティだが荒々しさも残る
- キャブレターのセッティングは初期仕様で、年式によって細部差あり
特徴として“軽快だが鋭い”性格が強いのが A53 です。
A55(後期型)
- 1600〜2000cc のラインナップ整理・改良
- 吸排気の調整や点火系の細部改良が施され、扱いやすい特性へ
- A53 よりトルク感が増し、実用回転域の使いやすさが向上
- キャブのセットや細部調整の最適化によりレスポンスが安定
全体に“扱いやすく円熟した”フィーリングが後期型の特徴です。
走行フィールの違い(トルク・レスポンス・高回転特性)
A53(前期)
- 回転の伸びが鋭く、初期型ならではの軽快な吹け上がり
- 低速トルクは控えめだが、中~高回転は活発
- 車体の軽さも加わり、スポーティさが際立つ
- 振動や音が野性的で“旧車スポーツ”らしさが強い
「荒削りだが楽しい」という評価が多いタイプ。
A55(後期)
- 低~中速トルクの厚みが増し、街乗りで扱いやすい
- A53 よりスムーズで、回転上昇も安定
- キャブレター調整や吸排気改善によりレスポンス向上
- 高速巡航や長距離運転での疲労が少ない
「落ち着きがあり、総合性能で優れる」印象が強いです。
シャシー・サスペンションの改良点
A53(前期)
- 初期設計で軽快な反応だが、路面の入力を拾いやすい
- スポーティ感は強いが、直進安定性は後期に劣る場合がある
- 足回りのブッシュ類は初期仕様
A55(後期)
- サスペンションセッティングの見直しで乗り心地と安定性が向上
- 直進性・高速安定性が改善
- 足回りの仕様変更により、長距離でも安定した挙動を示す
後期型は総じて「扱いやすさ」を強く意識した調整が入っています。
制動性能の違い(安全性を左右するポイント)
A53(前期)
- 初期ブレーキ構成で、効きには個体差が出やすい
- ブレーキフィールもやや旧式の仕上がり
A55(後期)
- 年式改良でブレーキ性能の安定性向上
- フィーリングが改善し、扱いやすさが増す
旧車としての“制動力の差”は所有者にとって大きく、A55 の改良は実用面で重要なポイントです。
エンジン・走行性能の比較(表)
| 項目 | A53(前期) | A55(後期) |
|---|---|---|
| エンジン特性 | 鋭く軽快・初期型らしい荒々しさ | トルク増加・扱いやすく円熟 |
| レスポンス | 高回転型で鋭い | 中速域の扱いやすさが大きく向上 |
| サスペンション | 初期設計で軽快 | 安定性重視で調整 |
| 制動性能 | 初期構成で個体差大 | 後期仕様で安定性向上 |
| 走行フィール | 軽快でスポーティ | 落ち着きつつ力強い |
要点まとめ
- A53 は初期型らしい鋭いレスポンスと軽快さが魅力
- A55 はエンジン・足回り・ブレーキの改善で扱いやすさが大幅に向上
- 高回転の楽しさは A53、総合性能は A55 と言える構図
- レストア・維持の観点でも A55 は有利だが、A53 の純粋なスポーツ性も捨て難い
こうして比較すると、A53 の初期スポーツらしい躍動感と、A55 の成熟した総合性能はどちらも魅力があり、選ぶ楽しさがありますね。
識別ポイント(見分け方)

ギャランGTO A53 と A55 は、外観・内装の基本デザインが非常に近いため、旧車イベントや中古車市場では「どちらの型式なのか判断しづらい」という声が少なくありません。
しかし、実際には 年式・外観ディテール・エンブレム位置・メーター仕様 など、複数の確実な識別ポイントが存在します。
ここでは、資料ベースで確認できる“誤判定しないためのチェック項目”を体系的に整理し、購入・現車確認時に役立つ情報として解説します。
1. 型式プレート(最も確実な識別ポイント)
■ 確認場所
- エンジンルーム内のプレート
- 型式表記:A53 または A55
これは最も確実な識別方法であり、車両の書類(車検証)とも一致している必要があります。
■ 注意点
- 古い旧車はエンジン載せ替え・外装交換が行われている場合があるため、型式プレートが判断の基準になります。
2. フロントグリルの意匠(外観で最も判断しやすい)
A53(前期)
- 薄く軽快なデザイン
- 装飾が少なく、直線的なライン構成
- スポーティでシャープな雰囲気
A55(後期)
- 奥行きが増し、やや厚みのある構成
- ラインの強調があり、前期より“力強い”印象
- 年式改良で視認性や耐久性が調整されている
3. バンパー形状(安全規制対応で差が出る)
A53(前期)
- 細身で軽量
- 初期スポーツらしいミニマルな構成
A55(後期)
- 大型化され、補強が追加
- 正面衝突対策を意識したデザインに
外装を交換している個体もありますが、純正部品の場合は見分けやすい部分です。
4. テールランプの厚みとデザイン処理
A53(前期)
- 薄めでシンプル
- 直線基調でスポーティ
A55(後期)
- やや厚みがあり、点灯面積が拡大
- 年次改良で視認性の向上が図られている
5. 内装メーターの仕様(現車確認で有効)
A53(前期)
- 軽快でシンプルなメーター表記
- 初期型特有のフォント・インジケーター配置
A55(後期)
- 視認性重視の表記改善
- メーター照明や表記の成熟度が上がる
※メーター交換車もあるため、他のポイントと合わせて判断する必要があります。
6. シートと内張りの質感
A53(前期)
- クッションが薄くスポーティな印象
- 初期型の生地パターンや縫製が特徴的
A55(後期)
- クッション性・質感が改善
- 内張り全体のフィッティングが向上
7. 外装ストライプの種類(グレード・年式差)
ストライプは完全な識別材料ではないものの、以下の傾向があります。
- A53:細くシャープなストライプが多い
- A55:視認性向上やデザイン変更のためのラインが追加される場合がある
A53/A55 識別ポイント一覧(表)
| 項目 | A53(前期) | A55(後期) |
|---|---|---|
| 型式プレート | A53 | A55 |
| フロントグリル | 薄くシャープ | 厚み・奥行きが増す |
| バンパー | 細身 | 大型化・補強追加 |
| テールランプ | 薄い・直線基調 | 厚みがあり視認性向上 |
| メーター | シンプル初期仕様 | 視認性重視の後期仕様 |
| シート | スポーティ・軽快 | 改良で快適性向上 |
| ストライプ | 細いラインが中心 | 設定変更で種類増加 |
要点まとめ
- 最も確実なのは型式プレート(A53/A55)
- 外観ではグリル・バンパー・テールランプが重要な見分けポイント
- 内装ではメーター表記やシート形状が目安になる
- レストア個体は部品が混在することがあるため、複数ポイントの総合判断が必須
資料を見ると、A53 の軽快さと A55 の成熟度は識別ポイントとしても非常に分かりやすくて、比べながら確認すると違いがとても興味深いですね。
どちらを選ぶべきか(維持・部品供給の観点)
ギャランGTO A53 と A55 のどちらを選ぶかは、「旧車としてどう楽しみたいか」「維持にどこまで手間を許容できるか」 によって大きく変わります。
外観や走りの好みはもちろんのこと、今後のレストア計画、部品供給、修理しやすさなど、旧車維持に直結する要素を整理しながら2つのモデルの向き・不向きを深掘りしていきます。
A53(前期)を選ぶメリット・注意点
メリット
- 初期型ならではの純度の高いデザイン
- 外観・内装の初期仕様が「希少価値」として評価されやすい
- 軽快で鋭いスポーツフィールが楽しめる
- コレクション的価値が高く、長く保持するほど評価が安定しやすい
注意点
- 初期部品の生産数が少なく、内装パーツや外装細部が欠品していることが多い
- グリル・メーター・内張りなどの“初期型専用品”の入手は難易度が高い
- キャブ調整や制動系の個体差が出やすく、維持の手間は大きい
- 走行性能は荒々しい部分があり、扱いやすさは後期に劣る
向いている人
- オリジナル性を重視する
- イベント展示や長期保存を視野に入れている
- 部品探しも含めて旧車趣味として楽しみたい
A55(後期)を選ぶメリット・注意点
メリット
- 改良版のため、扱いやすさと走行安定性が向上
- ブレーキ・サスなどの成熟度が高く、日常使用や長距離でも安心
- 部品互換性がA53より広く、修理しやすい
- 実用優先のユーザーから高い支持を受けやすい
注意点
- 初期型A53ほどの希少価値や“初期デザインならではの魅力”は弱い
- 中古車市場では条件が良い個体ほど価格が上がりやすい
- 細部デザインの違いを重視するコレクターからは評価が分かれることがある
向いている人
- 走りやすさ・安心感を重視する
- 長距離ツーリングや普段使いも視野に入れている
- メンテナンス性の高さを優先したい
部品供給の現状と難易度
ギャランGTO全体として部品供給は限られていますが、年式によって難易度が異なります。
| パーツ種別 | A53(前期) | A55(後期) |
|---|---|---|
| 外装パーツ | 初期専用部品が多く難易度高 | 互換性があり比較的確保しやすい |
| 内装パーツ | 初期仕様のため希少 | 後期型のほうが現存数多め |
| 機関系パーツ | 共通部品が多く入手可能 | 同じく確保しやすい |
| 装飾パーツ | ロット差が大きく入手困難 | 部品流通量がやや多い |
入手ルート
ヤフオク(中古パーツ)
https://auctions.yahoo.co.jp/
メルカリ(中古パーツ)
https://www.mercari.com/jp/
※A53 の「初期専用デザイン」系は中古市場が中心。
維持費・レストア費用の観点(差が出るポイント)
A53
- 初期パーツの希少性 → レストア費用は高くなりがち
- 純正再現を目指す場合、予算は多めに必要
- メンテ回数が増える傾向があり、ランニングコストの見積もりは必須
A55
- 互換部品が多く、純正以外の選択肢も比較的多い
- メンテの難易度が低めで、維持費が安定しやすい
- 走行性能が成熟しているため、普段使いにも向く
総合的な結論:どちらを選ぶべきか?
- A53(前期)
→ “初期GTOの純度”を楽しめる。所有満足度は高いが、維持の難易度も高い。 - A55(後期)
→ 日常的な使用、長距離走行、維持費の安定性ではこちらが圧倒的に有利。
レストア計画、予算、使用目的を明確にすると選びやすくなります。
要点まとめ
- A53 は希少性・初期デザイン重視のコレクター向け
- A55 は扱いやすさ・部品供給の安定性で優れ、実用ユーザー向け
- 部品供給の現状では A55 が有利だが、A53 の価値は“初期型という一点”で揺るがない
- 使用目的が「普段乗り or 実用」なら A55、「コレクション・オリジナル性」なら A53
資料を見ていると、A53 と A55 は“どちらが優れている”というよりも“楽しみ方の方向性が違う”という印象が強くて、選ぶ過程そのものが旧車らしい魅力のひとつだと感じますね。
よくある質問

Q1. A53 と A55 のどちらが中古市場で高値になりやすいですか?
一般的には A53(前期型) のほうが希少性が高く、良質な個体は価格が上がりやすい傾向があります。
ただし、状態・レストア度合い・オリジナル度による差が大きく、A55でも上物は十分に高値になります。
Q2. 初めてGTOを所有するなら A53 と A55 のどちらが適していますか?
維持のしやすさ・扱いやすさを重視するなら A55 が向いています。
A53 は初期専用部品が多く維持が難しいため、経験者向けと言える部分もあります。
Q3. 部品がない場合、他車種の流用は可能ですか?
足回りや機関系では流用可能なケースがありますが、外装・内装は専用部品が多く流用不可の部分が多いです。
特にA53は初期専用部品の比率が高いため注意が必要です。
Q4. 現代の道路環境で走るならどちらが快適ですか?
総合的な走行安定性や扱いやすさを考慮すると、A55(後期) が適しています。
サスペンション・ブレーキの成熟度が高く、街乗り・高速ともに安定します。
Q5. A53 と A55 で燃費に差はありますか?
大きな差はありませんが、A55 のほうが吸排気・点火系の調整が最適化されているため、個体によっては燃費が安定しやすい傾向があります。
Q6. どちらの型式も今後価値が上がる可能性はありますか?
生産台数が少ないこと、三菱の名車として再評価が進んでいることから、どちらも長期的には価値上昇の可能性があります。特にオリジナル度の高い A53 は伸び幅が大きいと見られることもあります。
Q7. 部品取り車を買って維持するのは現実的ですか?
可能ではありますが、GTOシリーズの個体数が減っているため、部品取りとしての確保も難しくなりつつあるのが現状です。
長期維持を考えるなら早めの検討が必要です。
Q8. レストア費用はどの程度を見ておくべきですか?
外装・内装・機関系をすべて含めた フルレストアは数百万円規模 になるケースもあります。
A53 の初期専用部品を揃えるならさらにコストがかかる可能性があります。
Q9. 普段使いは現実的に可能でしょうか?
可能ではありますが、熱対策・制動力・現代交通への適応 を考慮すると、A55 のほうが現実的です。
A53 は所有スタイルを限定したほうが安心です。
Q10. GTO購入前に必ず確認すべきポイントは?
- 錆(フロア・サイドシル・ストラット付近)
- エンジン・キャブ調整
- 足回りのブッシュ類
- 電装の状態
- 書類と型式プレートの一致
旧車として重要な要素が多く、現車確認と専門店での点検が必須です。
まとめ
ギャランGTO A53 と A55 は、同じGTOシリーズに属しながらも「初期型の純度」と「後期型の成熟度」という異なる魅力を備えたモデルです。
A53はデザイン・内装・走行特性のすべてに初期型ならではの軽快さが残り、希少性の高さからコレクション価値も大きく、一台一台の個性を深く味わえるモデル。
一方でA55は、走行安定性や制動力の改善、視認性の向上といった実用的な改良が盛り込まれ、現代の交通環境でも扱いやすい完成度を持っています。
どちらを選ぶかは、求める価値が「初期の純粋さ」か「成熟した使いやすさ」かによって変わります。
維持においては、A53の専用部品の希少性がレストア費用や難易度に直結し、状態の良いオリジナル車は特に高い評価を受けます。
対してA55は部品互換性が広く、長く乗ることを前提としたユーザーにとって安心感があります。
購入時は、年式差だけではなく、錆・書類の一致・内装の欠品の有無・機関状態など、車両本体のコンディションを最優先で確認することが重要。
A53とA55の違いを理解することで、単なる“前期/後期”では語れない価値や魅力が見えてきます。
旧車としての存在感、デザインの奥深さ、そしてレストアの楽しさは、どちらの型式にも確かに備わっています。
長く愛し続けるためにも、自身がどんなスタイルで旧車と向き合いたいのかを明確にし、それに合ったモデルを選ぶことが最良の選択につながります。
参考リンク
三菱自動車 1970年 ギャランGTO カタログ
https://www.mitsubishi-motors.com/jp/
三菱自動車 1973年 ギャランGTO カタログ
https://www.mitsubishi-motors.com/jp/
国立国会図書館デジタルコレクション:ギャランGTO(1970年代カタログ)
https://dl.ndl.go.jp/
