日産フェアレディZ S30は、国内仕様と輸出仕様(主に北米向けのDATSUN 240Z / 260Z / 280Z)で装備や仕様が大きく異なることが特徴です。
外観の見た目こそ似ていますが、灯火類、内装、エンジン仕様、安全装備、排ガス規制への対応など、異なる市場ニーズに合わせた変更が行われており、現代の旧車市場でも“どの仕様を選ぶか”が大切な判断材料になっています。
特に北米モデルは販売台数が多く、部品供給や車両状態の幅も広いため、国内仕様と輸出仕様を比較して理解することは購入検討の上で重要な要素です。
旧車として維持する観点でも、国内仕様は当時の日本市場に合わせた装備・灯火類が特徴で、輸出仕様では保安基準や排ガス規制などが異なるため、レストアや車検への対応で注意点があります。
現代では、輸出仕様を逆輸入した車両も多く流通しており、仕様差を正しく把握することで、部品調達の幅や維持のしやすさに影響します。
この記事では、一次資料をもとにフェアレディZ S30の国内仕様と輸出仕様の主要な装備差を体系的に整理し、購入・維持に必要な知識を深掘りします。
どちらの仕様が自分に適しているのか判断しやすいよう、外観・内装・機関・保安基準の違いを丁寧にまとめています。
Contents
国内仕様と輸出仕様 S30の成り立ちと位置づけ

フェアレディZ S30は、日本国内向けと輸出向けで明確な仕様差が存在するモデルです。
特に輸出仕様は北米向けの販売が非常に多く、DATSUNブランドとして240Z・260Z・280Zと年式ごとに発展しました。
国内仕様は「日本のスポーツカー」としての立ち位置で企画され、排気量・灯火類・内装構成などが日本の保安基準に合わせて設計されています。
一方で輸出仕様は、北米の安全基準・排ガス規制・装備要求を満たすために、外観・機関・内装の一部が大きく変更されました。
国内仕様(フェアレディZ S30)の成り立ち
- 1969年に国産初の本格スポーツカーの量産化を目標に開発
- 日本市場で受け入れられやすい排気量(L20型 2.0L)でラインナップ
- 日本の保安基準に合わせた灯火類やバンパー形状
- 走行性能と実用性のバランスが取られた設計
- グレードによる仕様差(Z / Z-L など)が存在
輸出仕様(DATSUN 240Z / 260Z / 280Z)の成り立ち
- 主に北米市場の需要を満たすために排気量アップ(L24 → L26 → L28)
- 北米の安全基準に対応するため、バンパーや灯火類が専用設計
- 排ガス規制の段階的強化により年式でエンジン仕様が大きく変化
- 日本国内に存在しない専用装備(室内装備、安全装備)が追加
- 販売台数が多いため、中古部品・社外パーツの流通が豊富
両仕様の“位置づけ”の違い
| 項目 | 国内仕様 S30 | 輸出仕様(240Z/260Z/280Z) |
|---|---|---|
| 市場 | 日本市場向け | 北米市場中心 |
| 排気量 | 2.0L | 2.4L〜2.8L |
| 目的 | 日本の道路・基準に合わせる | 北米の基準・市場要求に合わせる |
| 仕様の傾向 | 軽快・バランス重視 | 排気量拡大・安全装備強化 |
| 個体数 | 国内での流通は限定的 | 世界的に流通量が多い |
成り立ちの比較ポイント
- 国内仕様は「日本の走行環境に最適化」されているため、ライトウェイト性と扱いやすさが特徴。
- 輸出仕様は「北米市場の要求(排気量・規制・安全基準)への適応」が主眼で、外観や装備が大きく異なる。
- レストアや維持では、仕様差を理解することで部品調達の幅が広がる。
要点まとめ
- 国内仕様と輸出仕様は“市場ニーズ”と“安全・排ガス規制”の違いにより成り立ちが大きく異なる。
- 国内仕様はバランス重視、輸出仕様は排気量アップや安全基準対策が特徴。
- 中古市場では輸入された輸出仕様が多く、仕様差の理解が購入判断に直結する。
資料を見ていると、国内仕様と輸出仕様は“同じS30でも別物”ともいえるほど仕様が異なるのが興味深いですね。
それぞれの時代背景がそのままクルマに表れているように感じます。
外装(灯火類・バンパー・フェンダー)の主な装備差

フェアレディZ S30は、国内仕様と輸出仕様(主に北米向け)で外装の構成が大きく異なります。
特に灯火類やバンパーは国ごとの保安基準に強く影響されるため、同じ“S30”でも見た目が明確に変わります。
旧車市場においては、輸出仕様の車両が逆輸入されるケースも多く、外観の違いを正しく理解しておくことは、購入やレストアの際に非常に重要です。
1. バンパーの構造・形状の違い
国内仕様(S30)
- クロームの細身バンパーが特徴
- 前後バンパーは軽量で、形状もシャープ
- 日本の当時の保安基準を満たすため、突起や大型化はされていない
輸出仕様(240Z → 260Z/280Z)
- 北米の安全基準によりバンパーが大型化
- 1973年頃から、衝撃吸収の規制により“エネルギー吸収式バンパー”を採用
- 280Zの後期では特に大型で、車両全体の印象が変わる
特徴として、輸出仕様は“重厚なバンパーで長さが強調されやすい”傾向があります。
2. 灯火類(ヘッドライト・ウインカー・サイドマーカー)
灯火類は、国内と北米で保安基準が異なるため最も差が出る部分です。
国内仕様
- フロントウインカーはバンパー下・ボディ前部に配置
- サイドマーカー(横小灯)は義務ではないため装備なし
- 専用レンズ色(オレンジ・赤)で構成
輸出仕様
- サイドマーカー装備(前後フェンダー部)
北米の義務規定に合わせた装備で、国内仕様との最大の見分けポイント - ウインカー位置が国内仕様と異なる年式がある
- リアコンビランプの仕様も異なる場合があり、レンズ色が異なる個体も存在
3. フェンダー・外装寸法の違い
国内仕様
- シンプルなフェンダーライン
- 年式により微妙な変更はあるが、基本的に軽快なスタイル
輸出仕様
- サイドマーカー取り付け穴が標準
- 一部年式では補強部位が異なるケースがある
- バンパー重量増に合わせた構造変更がある年式も存在
4. 外観の印象の違い(総括)
- 国内仕様:軽快でシャープ。スポーティな印象が強い。
- 輸出仕様:大柄なバンパーとサイドマーカーで“力強い北米スタイル”。
同じS30でも年式・仕様により雰囲気が大きく変わることから、どちらの仕様を好むかは個人の価値観が分かれる部分です。
要点まとめ
- バンパーは国内仕様が細身、輸出仕様が大型で北米規制対応。
- 灯火類の違いは見分けポイントで、輸出仕様にはサイドマーカーが必ず付く。
- 外観の印象は、国内仕様は軽快、輸出仕様は力強さが強い。
- 年式差・市場規制により輸出仕様の外装は大きく変化する。
資料を見比べると、バンパーの違いだけでも印象が大きく変わることがよく分かりますね。
特に輸出仕様のサイドマーカーは、S30の雰囲気を一段と“北米車”らしくする特徴的な装備だと感じます。
内装・快適装備・メーター類の違い

フェアレディZ S30は、国内仕様と輸出仕様で内装の仕立てやメーター類、快適装備に明確な差があります。
これらの違いは市場ニーズだけでなく、各国の安全基準・快適性の要求度合いにも影響されており、レストア時や部品交換時の注意点にも直結します。
見た目は似ていても、細部を見ると“日本車らしい内装”と“北米向けの快適志向”で方向性が分かれているのが特徴です。
1. メーター類のデザインと仕様差
国内仕様(S30)
- スピードメーターは 180km/h表示 が基本
- タコメーターはエンジン仕様に合わせたレッドゾーン
- 日本語表記のスイッチ類
- 仕様(Z / Z-L)により細かなデザイン差がある
輸出仕様(240Z / 260Z / 280Z)
- スピードメーターは MPH(マイル表示) が基本
- 一部モデルではKm/h併記
- タコメーターのレッドゾーンは排気量拡大に伴い年式で変化
- 英語表記のスイッチ・警告灯
- メーター背景や針のデザインに年式差あり
見分けポイントとして、輸出仕様のMPHメーターは非常に分かりやすい特徴です。
2. 内装素材・仕立ての違い
国内仕様
- シンプルで軽快なスポーツカーらしい内装
- シートの形状は年式により細かな変化
- S30前期は簡素な仕立て、Z-L等は豪華装備が追加
- 日本向けの仕上げで質感は控えめだが軽快
輸出仕様
- 北米市場向けに、内装が比較的“豪華”な傾向
- ドア内張り、シートの質感が国内と異なる場合がある
- カーペット・断熱材・遮音対策が強化されたモデルも存在
- 排気量拡大(L24→L26→L28)とともに、快適装備が強化される流れ
3. 快適装備の差異(年式により大きく異なる)
国内仕様
- 標準装備は必要最小限
- エアコン装備は車両により差がある(後付け・年式違いが多い)
- オーディオは簡素なAMラジオが一般的
輸出仕様
- 北米市場向けに快適装備が積極的に追加
- エアコン付車の比率が高い
- 仕様により電装まわりが強化されているモデルも存在
- オーディオは北米規格のものが搭載
4. シート形状・ステアリング・細部装備の違い
- シートのクッション形状・表皮デザインは輸出仕様で異なる場合がある
- ステアリングデザインも年式ごとの違いに加え、輸出仕様専用が存在
- ドアミラー位置・形状も一部仕様差あり(法規による違い)
5. “室内の印象”の違い(総括)
- 国内仕様:軽快でシンプルなスポーツカーらしさ
- 輸出仕様:快適性・豪華さをプラスした北米志向
内装は写真で比較しても差が分かりやすいため、車選びで重視するポイントのひとつです。
要点まとめ
- メーター表示は国内がkm/h、輸出はMPHで見分けやすい。
- 輸出仕様は快適装備が強化される傾向があり、内装仕立ても異なる。
- 年式や排気量拡大により輸出仕様は電装・快適性が進化。
- 内装は仕様差がはっきり出るため、購入前の確認が重要。
メーターや内装の資料を見比べると、国内仕様は“スポーツカーらしい簡潔さ”、輸出仕様は“北米らしい快適性”が感じられて、それぞれ違った味わいがありますね。
エンジン仕様・排ガス規制による性能差
フェアレディZ S30は、国内仕様と輸出仕様でエンジンの排気量・調整・排ガス対策が大きく異なります。
特に北米向けの輸出仕様は、1970年代に段階的に強化された排ガス規制(Emission Regulations)への対応が必要で、年式ごとに性能・装備が変化しました。
同じ“Z”でも、国内と輸出では走行フィールや扱いやすさに違いが生まれます。
1. エンジンの基本仕様の違い
国内仕様(S30)
- L20型(2.0L 直6 OHC)が中心
- キャブレター仕様(年式によりSU型など)
- 国内向けの出力バランスで、扱いやすく軽快な性格
- 日本の道路環境に合わせたトルク特性
輸出仕様(240Z / 260Z / 280Z)
- 排気量拡大が順次進行
- 240Z:L24型(2.4L)
- 260Z:L26型(2.6L)
- 280Z:L28型(2.8L)
- 当初はキャブ仕様だが、1970年代後半は排ガス規制対応のためインジェクション化(主に北米280Z)
- 年式によって点火時期・キャブ調整・吸排気系が規制対応のため変化
2. 排ガス規制による性能差
輸出仕様では、北米の排ガス規制 “Emission Control” への対応が必須で、以下のような変化が見られます。
- 出力が規制によって低下する傾向
点火時期の遅角、燃調の変更などで出力が抑えられる年式がある - EGR(排気再循環)システム の追加
- キャブレターの変更(ストロンバーグ系など)
- インジェクション化(280Z) により規制対応と安定性を両立
※年式により仕様が異なるため、輸出仕様の性能は“年式差”も大きな要素として加わる点が特徴。
3. トルク特性・走行フィールの差
国内仕様(2.0L)
- 高回転まで素直に伸びる軽快さ
- 低中速域の扱いやすさが高い
- 車格とバランスが取れており、スポーティな印象
輸出仕様(2.4〜2.8L)
- 2.4L〜2.8Lの排気量によりトルクが増大
- 車重増や排ガス規制の影響で、体感性能は年式により差が大きい
- インジェクション仕様は始動性・安定性が良いが、走行フィールはキャブ仕様と異なる
4. エンジンルームの構成の違い
- 排ガス対策装置の追加で輸出仕様は配管・補機類が多くなる
- 国内仕様は比較的シンプルなレイアウト
- 排気系の取り回し・サーモスタット周りの構造が年式により異なる
5. 国内/輸出仕様のエンジンを選ぶ基準
| 求める性格 | 国内仕様 | 輸出仕様 |
|---|---|---|
| 軽快なレスポンス | ◎ | ○(年式による) |
| トルクの太さ | ○ | ◎ |
| キャブの味わい | ◎ | 年式により差 |
| 安定性(始動性重視) | ○ | ◎(280Z) |
| スポーツ性 | S30らしい軽快さ | 排気量の厚みで走るタイプ |
要点まとめ
- 国内仕様は軽快で扱いやすい2.0LのL20型を中心に構成。
- 輸出仕様は排気量拡大(2.4→2.6→2.8L)により、トルク重視の性格へ変化。
- 北米の排ガス規制により性能が抑えられた年式があり、年式差が大きい。
- インジェクション化された280Zは始動性・安定性が高い一方、キャブ車の味わいとは異なる。
エンジン仕様の資料を見比べると、国内仕様は“S30らしい素直なスポーツ性”、輸出仕様は“排気量の厚みで走る力強さ”が印象的で、どちらも違った魅力があるように感じます。
保安基準・安全装備の違いと車検時の注意点

フェアレディZ S30は、国内仕様と輸出仕様で「保安基準(道路交通法・灯火基準)」および「安全装備」の内容が大きく異なります。
特に北米向け輸出仕様は、当時の米国安全基準(FMVSS: Federal Motor Vehicle Safety Standards)の適合が必要で、国内仕様と比較すると装備が強化されている部分があります。
一方、国内で輸出仕様を登録する場合には、日本の保安基準に適合させるための調整が必要なケースもあります。
ここでは、仕様差と車検時の注意点を整理します。
1. 灯火類の基準差と注意点
国内仕様(S30)
- 日本の灯火類基準(当時の保安基準)に準拠
- サイドマーカーは義務なし
- ウインカー位置・色・明るさは国内基準に合わせて設計
- リアの反射器はレンズ一体型が基本
輸出仕様(240Z / 260Z / 280Z)
- 北米基準により サイドマーカー装備が必須
- リアコンビネーションランプの仕様が国内と異なる場合がある
- 一部モデルではウインカー色や配置が異なる
- 輸入車を国内登録する際、灯火類の明るさ・色で指摘される可能性がある
注意点:
日本の車検では灯火類(レンズ色・照度・配置)に細かな基準があるため、輸出仕様の場合は「国内仕様への近似調整」が必要となるケースがあります。
2. バンパー・安全装備の基準差
国内仕様
- 当時の日本基準に適合する軽量クロームバンパー
- 衝撃吸収性能の要求が現代ほど厳しくなかったため小型
輸出仕様(特に260Z後期〜280Z)
- 北米の衝撃基準により 大型エネルギー吸収バンパー を採用
- バンパーの重量・形状が大きく、車両の全長が実質的に長くなる
- 衝突時の変形吸収性能が強化された構造
3. シートベルト・安全装備の違い
国内仕様
- 2点式・3点式など、年式に応じて異なる
- 安全装備は必要最低限
輸出仕様
- 北米規制でシートベルトの仕様が強化
- 一部年式でインターロック機構(ベルト未装着時のエンジン始動制限)が採用されたモデルが存在
- 室内衝撃基準への対応でパッド類が厚い場合がある
注意点:
インターロック装備は国内での使用時に不具合の原因となることがあり、レストア時の点検対象となります。
4. 排ガス基準の違いと車検対応
国内仕様
- 当時の日本国内の排ガス規制に準じた構成
- 年式により規制内容が異なるが、国内で整備しやすい構造
輸出仕様
- 北米の排ガス規制によりEGRや補機類が追加
- インジェクション(280Z)など規制対応装備が多い
- 国内車検では、年式に応じた検査内容(CO/HC値)に適合させる必要がある
注意点:
輸出仕様車を国内で車検を受ける場合、排ガス値の調整・灯火類の保安基準適合が主なポイントになります。
5. 車検時に特に指摘されやすいポイント
- 灯火類(色・配置・照度)
- サイドマーカーの点灯方法
- ウインカーの橙色の明確さ
- 後付けされた北米仕様のバンパーの突出(基準値)
- 排ガス測定値(キャブ調整・点火時期のずれ)
※地域や年式、最新の法規により条件が異なるため、最終確認は必須です。
要点まとめ
- 国内仕様は日本基準に最適化、輸出仕様は北米の安全・排ガス基準に対応した構造。
- 車検では「灯火類」「排ガス」「安全装備」の差が、適合の可否に直結する。
- 特に輸出仕様は灯火類・排ガスの基準差による調整が必要になるケースが多い。
保安基準の資料を見比べると、国内仕様は軽快なスポーツカーらしさ、輸出仕様は規制対応で“しっかりとした構造”という印象が強いですね。
どちらの個性も時代背景をよく表していると感じます。
購入時に気をつけたい仕様差のチェックポイント
フェアレディZ S30は、国内仕様と輸出仕様で外装・内装・機関・保安基準が大きく異なるため、購入時には「どの仕様で、どの年式で、どの程度オリジナルが保たれているか」を丁寧に確認する必要があります。
国内に輸入されているS30系は、輸出仕様が逆輸入されたものも多く、外観だけで判断すると見落としやすいポイントが存在します。
ここでは、実際の購入検討で特に注意したいチェック項目を整理します。
1. 外装の仕様差チェック
バンパーの種類
- 国内仕様は細身クローム
- 輸出仕様は大型(衝撃吸収式)
- 交換されている場合もあるため、年式と仕様の整合性を確認
サイドマーカーの有無
- 輸出仕様は必ず装備
- 国内仕様に追加されたケースもあり、加工跡の有無を確認
ウインカー・レンズ類
- 色・位置が国内基準と異なる個体は車検調整が必要
- 年式違いのレンズが装着されていないかチェック
2. 内装・メーター類の仕様確認
メーター表記
- 国内:km/h
- 輸出:MPH
- 入れ替えられた個体もあるため、走行距離表示の整合性に注意
スイッチ類・装備品
- 英語表記は輸出仕様
- 内装ユニットの流用・交換の有無も確認
シート・ステアリング
- 年式・仕様専用のデザインが存在
- 輸出仕様の豪華装備が装着されている場合は純正度を確認
3. エンジン仕様と補機類の確認
排気量
- 国内仕様は2.0L
- 輸出は2.4〜2.8L
- 載せ替えられている可能性があるため、エンジン型式刻印を確認
排ガス対策装備
- EGR・補機類の追加有無で仕様が判別しやすい
- キャブ/インジェクションは年式と一致しているかチェック
エンジンルームのレイアウト
- 輸出仕様は配管・ホース類が多い
- 国内仕様に北米向け部品が付いている場合、整備性に影響
4. 車検適合の観点からの注意点
- 灯火類が国内基準に合うか
- 排ガス値(キャブ調整)の状態
- バンパー突出量が保安基準に収まっているか
輸出仕様では、これらの要素が車検で指摘されるケースがあるため、購入前の確認が重要です。
※地域や年式、最新の法規により条件が異なるため、最終確認は必須です。
5. 書類・年式・仕様整合の確認
- 車台番号(VIN)が輸出仕様か国内かを判別
- 年式と装備内容が一致しているか
- 逆輸入車の場合、当時の輸出国の仕様を確認しておくと安心
6. 仕様差を踏まえた購入のポイント
| 重点項目 | 国内仕様に向く人 | 輸出仕様に向く人 |
|---|---|---|
| 保安基準適合の簡便さ | ◎ | △ |
| オリジナル志向 | ◎ | 年式による |
| 排気量・トルク重視 | ○ | ◎ |
| 装備の豪華さ | △ | ○ |
| 部品調達の幅 | ○ | ◎(北米流通が豊富) |
要点まとめ
- 購入時は外装・内装・機関・装備すべてで「仕様差」と「年式差」を確認する必要がある。
- 国内仕様と輸出仕様の区別は、灯火類・メーター・バンパー・排気量で判断しやすい。
- 輸出仕様は車検時に調整が必要な場合があるため、購入前に整合性を確認するのが重要。
仕様差のチェックポイントを見ていくと、同じS30でも“どの仕様をどれだけオリジナルで残すか”が大事だと感じますね。
細部の違いが、そのまま価値や維持のしやすさに繋がる部分が多いように思います。
よくある質問

Q1. 国内仕様と輸出仕様はどこを見れば最も分かりやすいですか?
最も分かりやすいのは バンパー形状(細身か大型か) と サイドマーカーの有無 です。
輸出仕様は北米基準により大型バンパーとサイドマーカーが標準装備で、国内仕様にはありません。
Q2. メーターがMPH表示なのは輸出仕様ですか?
はい。
MPH(マイル表示)は北米向け輸出仕様の特徴です。
ただし、国内でkm/hメーターに交換されているケースもあるため、走行距離の整合性や交換歴の確認が必要です。
Q3. エンジンの排気量で国内仕様と輸出仕様は分かりますか?
大まかには判断できます。
国内仕様は2.0L(L20型)、輸出仕様は2.4〜2.8L(L24・L26・L28)です。
ただし、載せ替え例もあるため、エンジン型式刻印を確認するのが確実です。
Q4. 輸出仕様の車を国内で車検に通す際に注意するポイントは?
主に灯火類の基準差(色・照度・配置)、排ガス値、バンパー突出量です。
輸出仕様はそのままでは国内基準に合わない場合があり、調整が必要です。
地域や年式、最新の法規により条件が異なるため、最終確認は必須です。
Q5. 国内仕様の方が維持しやすいですか?
一般的には国内仕様の方が車検や灯火類の問題が少なく、維持しやすい傾向があります。
ただし、輸出仕様は北米での流通量が多いため、部品調達の幅は広いというメリットがあります。
Q6. 逆輸入された輸出仕様は価値に影響しますか?
価値は“状態”と“オリジナル度”が大きく影響するため、仕様だけでは判断できません。
ただし、国内仕様のオリジナルが高く評価されやすい傾向はあります。
Q7. 内装の違いはどこに出ますか?
メーター表記、スイッチ表記、シートの材質・形状、遮音・断熱の度合いなどが主な違いです。
輸出仕様は快適装備が強化されている場合があります。
Q8. 排ガス規制で性能は大きく変わりますか?
北米では排ガス規制が段階的に強化され、年式により性能が低下したモデルも存在します。
特に260Z後期〜280Zで顕著です。国内仕様にはこのような強い規制差はありません。
Q9. 輸出仕様のバンパーを国内仕様風に交換できますか?
可能ですが、補強位置や取付方法が異なることがあり、加工が必要です。
車検適合性やオリジナル度を損なう点にも注意が必要です。
Q10. どちらの仕様が長期維持に向いていますか?
維持のしやすさでは国内仕様、部品調達の幅では輸出仕様が優れています。
どちらが良いかは、車検対応と部品調達のどちらを優先するかで変わります。
まとめ
フェアレディZ S30の国内仕様と輸出仕様は、外装・内装・エンジン・安全装備・排ガス対策のすべてで明確な違いが存在します。
国内仕様は日本の道路環境と保安基準に合わせて軽快かつシンプルに仕立てられており、スポーツカーらしいバランスの良さが魅力です。
一方、輸出仕様は北米の厳格な安全基準や排ガス規制に対応するため、装備が強化され、排気量の大きなエンジンや大型バンパー、サイドマーカーなどの特徴が加わりました。
購入検討では、まず「自分がどの仕様の個性を好むか」を明確にし、外観・内装・機関のどこに仕様差があるのかを丁寧に確認することが重要。
輸出仕様は部品流通が豊富で維持しやすい面がありますが、国内で車検を受ける際には灯火類や排ガスなど基準差の調整が必要になることがあります。
逆に国内仕様は日本基準に適合しているため扱いやすく、オリジナル度が高い個体は市場でも評価されやすい傾向があります。
どちらの仕様も、S30の魅力であるロングノーズ・ショートデッキのデザインと直列6気筒エンジンの味わいは共通していますが、細部の違いが走行フィールや所有感に影響します。
仕様差を理解したうえで、自分のライフスタイルや維持方針に合った一台を選ぶことが、S30を長く楽しむための大事なポイントです。
参考リンク
日産自動車 フェアレディZ S30(当時カタログ/国立国会図書館デジタルコレクション)
https://dl.ndl.go.jp/
トヨタ自動車 1973年 カローラ(灯火基準資料参照用)
https://www.toyota.co.jp/
米国連邦安全基準(FMVSS)灯火・安全装備関連資料
https://www.nhtsa.gov/