町内会や自治会で会計担当になったとき、意外と悩みやすいのが予算書の作り方です。
前年の決算書はあっても、「今年は何をどこまで計上すればいいのか」「収入と支出はどう合わせるのか」「総会で説明しやすい書き方は何か」が分からず、手が止まりやすい部分です。
しかも町内会の予算書は、ただ数字を並べればよい書類ではありません。
1年間の活動予定をお金の面から示し、会員に納得してもらうための大事な資料です。
実際に自治体の手引きでも、予算書は1年間の活動予定をお金の面から表した書類であり、活動報告や決算報告書を参考にしながら過去1年を振り返って次年度につなげる意識が大切だとされています。
この記事では、町内会の予算書を初めて作る人でも迷いにくいように、基本構成、項目の決め方、金額の考え方、よくある失敗、総会で通りやすい見せ方まで、順番に整理して解説します。
自治体によって異なる場合がありますが、全国の自治会・町内会で共通して使いやすい考え方を中心にまとめています。
また、福岡市や美濃加茂市などでは自治会・町内会向けの会計様式やテンプレートも公開されているため、ゼロから作るより既存様式を土台にする方法も有効です。
Contents
町内会の予算書とは?まず役割と基本構成を整理

町内会の予算書は、次年度にどんな収入があり、どんな活動にいくら使う予定なのかを一覧で示す書類です。
会計の内部資料ではなく、総会や役員会で会員に説明するための正式な資料という位置づけで考えると分かりやすいです。
羽島市の手引きでも、予算書は「1年間の活動予定をお金の面から表した書類」とされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書類の目的 | 1年間の活動予定を金額で示す |
| 見る人 | 会員、役員、監事 |
| 作成時期 | 通常は総会前 |
| 基本構成 | 収入の部・支出の部 |
| 重要ポイント | 決算実績と活動計画の両方を反映 |
予算書に必ず入れたい基本要素は次のとおりです。
・年度名
・町内会名
・収入の部
・支出の部
・本年度予算額
・前年度決算額
・増減額
・摘要または説明欄
多摩市の手引きでは、自治会予算書のひな形として、収入の部に「会費・使用料・助成金・雑収入・繰越金」、支出の部に「会議費・事務費・防災費・福祉費・活動費・慶弔費・負担金・予備費・雑費・積立金」などを置く形が示されています。
つまり、予算書の基本は「今年の予定額だけを書く」のではなく、「前年実績と比べてどう変わるか」が見える形にするのが王道です。
この制度背景には、町内会費や補助金など、会員から預かったお金を透明に扱う必要があります。
羽島市の手引きでも、支出ルールを定め、それが自治会活動のために必要か、会員の理解を得られるかを確認する必要があるとされています。
つまり予算書は、単なる予定表ではなく、「この使い方は妥当です」と説明するための根拠でもあります。
知らないと起きる問題として多いのは、前年決算を見ずに感覚で数字を入れてしまうことです。
これをやると、総会で「なぜ今年だけ急に高いのか」「去年使っていないのに今年も同額なのはなぜか」と聞かれたときに説明しづらくなります。予算書は見栄えより、説明可能性が重要です。
町内会の予算書の作り方は?作成手順を5段階で解説
予算書は、いきなり表に数字を入れるより、順番を決めて作るほうが失敗しにくいです。
おすすめは「前年実績の確認 → 次年度活動の整理 → 収入見積もり → 支出見積もり → バランス調整」の流れ。
自治体の手引きでも、活動報告や決算報告書を参考にしながら作ることが大切とされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 手順1 | 前年度決算書を確認する |
| 手順2 | 次年度の事業計画を整理する |
| 手順3 | 収入を見積もる |
| 手順4 | 支出を見積もる |
| 手順5 | 収入合計と支出合計を合わせる |
具体的な流れは次のとおりです。
・前年度決算書、通帳、帳簿、領収書を確認する
・今年予定している行事や活動を洗い出す
・会費、補助金、繰越金など収入を見積もる
・活動ごとの必要経費を支出項目に落とし込む
・収入合計と支出合計をそろえる
・最後に摘要欄で根拠が分かるようにする
特に大事なのは、事業計画と予算書をセットで考えることです。
美濃加茂市では、自治会向けに事業計画書、事業報告書、予算書、決算書、差引簿のテンプレートをまとめて公開しています。
つまり実務では、予算書だけ単独で作るのではなく、「何をやる予定か」という事業計画と連動させる前提が一般的。
制度背景として、町内会の予算は「去年と同じでよい」ではなく、次年度の活動目的に沿っているかが重視されます。
羽島市の手引きでも、収入や支出が団体の目的に沿ったものかを見ることが大切とされています。
イベント縮小の年なのに活動費だけ前年踏襲、反対に防災強化の年なのに防災費が前年並み、という予算は不自然に見えやすいです。
町内会の予算書の項目はどう決める?収入と支出の考え方

予算書づくりで最も迷いやすいのが、項目の立て方です。
ここで大切なのは、細かくしすぎず、雑すぎず、会員が見て意味が分かる粒度にすることです。
多摩市のひな形では、収入は会費・使用料・助成金・雑収入・繰越金、支出は会議費・事務費・防災費・福祉費・活動費・慶弔費・負担金・予備費・雑費・積立金という形で整理されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 収入の主な項目 | 会費、補助金、助成金、雑収入、繰越金 |
| 支出の主な項目 | 会議費、事務費、活動費、防災費、慶弔費、予備費 |
| 分け方のコツ | 活動内容ごとに分かるようにする |
| 避けたい形 | 何でも雑費に入れる |
| 説明欄の役割 | 金額の根拠を補足する |
項目決めで意識したい条件は次のとおりです。
・毎年継続して使う項目は固定する
・金額の大きい支出は独立項目にする
・一時的な行事費は活動費の内訳で示す
・予備費をゼロにしない
・摘要欄に「会員○世帯×○円」など計算根拠を書く
たとえば収入の「会費」は、会員数の見込みと年会費を掛けて出します。
多摩市の例でも「会員○○世帯×○○円」と説明する形が使われています。
支出では、会議費は総会・役員会、事務費は印刷代や消耗品、防災費は防災訓練や備蓄、活動費は清掃や祭りなど、使い道ごとに整理すると分かりやすくなります。
周南市のガイドブックでも、事業費の内訳として「定斉清掃」「夏祭り」「避難・防災訓練」など具体的な活動名が挙げられており、町内会予算は抽象的な名目だけでなく、実際の活動に結びつけて説明する形が実務に合っています。
町内会の予算書で失敗しやすい点は?よくあるミスと対策
予算書は作れたように見えても、総会や監査で止まりやすいポイントがあります。
特に多いのは、前年実績とのズレ、説明不足、雑費の多さ、繰越金の扱いミスです。
| 状況 | 起きる問題 | 原因 |
|---|---|---|
| 前年と同額を機械的に入れる | 実態に合わない予算になる | 決算書や事業計画を見ていない |
| 雑費が多すぎる | 使い道が不透明に見える | 項目整理不足 |
| 収入合計と支出合計が合わない | 総会資料として成立しない | 最終確認不足 |
| 繰越金を入れ忘れる | 収入が不足して見える | 前年度決算との連動ミス |
| 説明欄が空欄 | 会員に根拠が伝わらない | 書き方の配慮不足 |
対策として意識したいのは次の点です。
・前年度決算額を横に置いて比較する
・摘要欄に計算根拠を書く
・雑費は本当に雑費しか入れない
・積立金と通常会計を混同しない
・総会前に会長や監事候補に見てもらう
羽島市では、高額支出については役員会や総会の了承が必要となる基準を定めておくことが重要だとしています。
つまり予算書の段階から、「この支出は会員が見て納得できるか」という視点を入れておくことが大切です。
また、周南市のガイドブックでは、監査時に収支予算書、収支決算書、現金出納簿、通帳、領収書などの書類を用意するとされています。
予算書は単独で終わる書類ではなく、後で決算や監査につながるため、最初から帳簿とつながる形で項目を立てておくと、年度末がかなり楽になります。
町内会の予算書を総会で通りやすくするコツ

予算書は数字が合っていれば終わりではありません。
総会で「分かりやすい」「妥当だ」と感じてもらえるかが大切です。
特に会員は会計の専門家ではないため、細かすぎる表より、前年との違いと理由が見える表のほうが理解されやすいです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 見やすさ | 項目を絞って整える |
| 説明のしやすさ | 増減の理由を一言入れる |
| 納得感 | 事業計画とのつながりを示す |
| 安心感 | 予備費や繰越金の扱いを明確にする |
| 信頼性 | 監査や帳簿につながる形にする |
総会向けに意識したいポイントは次のとおりです。
・前年決算額と本年度予算額を並べる
・増減が大きい項目には理由を書く
・活動内容と予算額を対応させる
・会費の計算根拠を示す
・予備費を置く理由も説明する
多摩市のひな形でも、本年度予算額、前年度決算額、差引額、説明欄を並べる形式が採られています。
これは単に見やすいだけでなく、「なぜこの金額なのか」を会員が判断しやすくするためです。
福岡市や美濃加茂市のように、自治会・町内会向けの様式やテンプレートを自治体が公開している場合は、それをたたき台にすると、総会資料として必要な体裁を整えやすくなります。
ゼロから自己流で作るより、自治体公開様式をベースに町内会の実情に合わせて調整する方が失敗しにくいです。
よくある質問
町内会の予算書は必ず前年決算と並べて書くべきですか?
必須とまでは言い切れませんが、実務では並べる形が分かりやすいです。
多摩市の自治会予算書のひな形でも、本年度予算額と前年度決算額、差引額、説明欄を並べる形式が示されています。
町内会の予算書で予備費は必要ですか?
入れておく方が一般的です。
突発的な支出に対応しやすくなり、補正の手間も減ります。
多摩市のひな形にも予備費の項目があります。
雑費が多い予算書はまずいですか?
あまり望ましくありません。
会員から見ると使い道が見えにくく、不透明に感じやすくなります。
できるだけ会議費、事務費、活動費など具体的な項目に分けた方が説明しやすいです。
繰越金はどこに入れますか?
通常は収入の部に入れます。
多摩市のひな形でも、収入項目として繰越金が置かれています。
予算書と事業計画書は別々に作る必要がありますか?
別書類として作るのが一般的ですが、内容は連動させる必要があります。
美濃加茂市では、事業計画書と予算書の両方のテンプレートが公開されています。
まとめ
町内会の予算書づくりで大切なのは、数字をきれいに並べることではなく、「今年どんな活動をして、そのためにいくら必要なのか」を会員に分かりやすく示すことです。
基本は、前年の決算を確認し、次年度の事業計画を整理し、それに合わせて収入と支出を見積もる流れです。
収入の部では会費、助成金、雑収入、繰越金、支出の部では会議費、事務費、防災費、活動費、慶弔費、予備費などを整理し、本年度予算額だけでなく前年度決算額や増減理由も見える形にすると、総会での説明がしやすくなります。
特に、雑費にまとめすぎないこと、繰越金を忘れないこと、摘要欄に根拠を書くことは重要です。
迷う場合は、自治体が公開している自治会・町内会向けのテンプレートを活用し、自分の町内会の規模や活動内容に合わせて調整すると作りやすくなります。
自治体によって異なる場合がありますが、予算書は「会員に信頼される会計運営」の土台になる書類として、丁寧に作ることが大切です。
参考リンク
福岡市 自治会・町内会各種様式集
https://www.city.fukuoka.lg.jp/shimin/community/life/jitikai-tyounaikai-kakusyu-yousikisyu.html
羽島市 自治会運営の手引き
https://www.city.hashima.lg.jp/secure/1632/20250513_zitikaiunnei.pdf
多摩市 自治会の手引き
https://www.city.tama.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/010/320/tebiki2023.pdf
美濃加茂市 自治会活動に活用できるテンプレート集
https://www.city.minokamo.lg.jp/soshiki/2/15314.html
周南市 自治会ガイドブック
https://www.city.shunan.lg.jp/uploaded/attachment/110626.pdf