1972年に登場した「ホンダ ライフステップバン」は、軽商用車というカテゴリーに革命をもたらした伝説的なモデルです。
現在では希少価値が高まり、レトロカーイベントでも注目を集める存在となっています。
この記事では、単なる燃費の話にとどまらず、車両構造・エンジン特性・ギア比・キャブレター・満タン航続距離・整備性・維持費など、マニアの視点からも納得できるディープな内容を徹底解説します!
【基礎情報】ライフステップバンとは?
項目 | 詳細 |
---|---|
車名 | ホンダ ライフ ステップバン(Life Step Van) |
年式 | 1972年〜1974年(販売期間わずか2年弱) |
型式 | VA型 |
駆動方式 | FF(前輪駆動) |
エンジン型式 | EA型:空冷→水冷直列2気筒SOHC |
排気量 | 356cc |
最高出力 | 30馬力(8000rpm) |
トランスミッション | 4速MT(ギア比 1速:3.181 / 4速:0.889) |
重量 | 約550kg(非常に軽量) |
燃料タンク容量 | 約27L |
全長/全幅/全高 | 2995mm / 1295mm / 1650mm |
日本初の“キャブオーバーではない”フルフラット床の軽商用バンで、現代のN-VANの原型ともいえる存在です。
【燃費性能】ライフステップバンの実燃費を細かく分析!

ライフステップバンの燃費性能
カタログ燃費(当時)
当時の計測方法において、17〜20km/L程度が理論燃費とされていました。
実燃費(オーナー報告+再計測ベース)
- 街乗り(信号の多い市街地) → 11〜13km/L
- 郊外走行(定速巡航80km/h前後) → 14〜16km/L
- 高速道路巡航(登坂多め・風圧あり) → 10〜12km/L
なぜ実燃費に差が出るのか?
- キャブレター調整状態(混合比が濃すぎると悪化)
- 点火タイミングのズレ
- エアクリーナーやマフラー詰まり
- プラグの劣化や電装系トラブル
スピード域別の燃費傾向(回転数と燃費の関係)
EA型エンジンは高回転型ユニットのため、60km/h以上の巡航では燃費が落ちやすいです。
スピード | ギア | 回転数(概算) | 備考 |
---|---|---|---|
40km/h | 3速 | 約4000rpm | 巡航向けだが煽られやすい |
60km/h | 4速 | 約4500rpm | 燃費のバランスゾーン |
80km/h | 4速 | 約6000rpm | 燃費悪化、エンジンノイズ大 |
ステップバンにおける“癖”
- アイドル不安定時にガスが濃くなりやすい
- スターターやチョークの引きっぱなしによる燃費悪化も多い
【航続距離と満タン走行目安】
燃料タンクは約27Lと小型。
実燃費15km/Lと仮定すると:
→ 満タン航続距離:約405km(理論値) → 実用走行距離:約350km前後(エアコンや荷物・乗員あり)
※残量3L以下になると燃料ポンプの吸い上げ不良が起きやすいので早めの給油が◎
【維持費・部品事情】燃費以外で気をつけたい要素

ランニングコスト
- 自動車税(軽自動車):年額10,800円
- 車検(2年ごと):8〜12万円(ショップ依存)
- オイル交換:1500km〜2000kmごと推奨(鉱物油でOK)
- プラグ交換:毎年点検・交換が理想(NGK B6HSなど)
燃費悪化の原因になりやすい部位
- キャブのジェット詰まり
- スロットルバルブの戻り不良
- 点火コイルやコンデンサーの劣化
パーツ入手性
- ホンダ純正部品は基本的に廃番
- 一部リプロパーツが流通(キャブキット、ブーツ類)
- モトコンポやN360用パーツが流用可能な場合もあり
【エコか?非エコか?】燃費面から見たステップバンの価値
- 13〜16km/Lという数値だけ見れば、現代軽に比べると劣る
- しかし、車重550kg+非電子制御という構造は「壊れにくく、自分で直せる=トータルでエコ」
- 社外キャブ交換(京浜PE24など)+イリジウムプラグ装着などで燃費改善実例あり
燃費だけで見ると不利に見えるステップバンですが、走るたびに“エンジンと会話している”感覚が味わえるという意味で、他車とは違う価値を持ちます。
まとめ:ホンダ ライフステップバンの燃費は“走る楽しさとセット”で考えるべき
✅ カタログ値は17〜20km/Lだが、実燃費は13〜16km/Lが現実的な目安
✅ エンジン調子・キャブ調整・走行環境によって燃費は激しく上下する点に注意
✅ 燃費以外にも、部品の入手難易度や整備性を含めた「総合的コスパ」で見るべき
✅ ステップバンは「燃費計をにらむ車」ではなく、「機械と一緒に生きる車」
✅ ガレージライフ・イベント出展・DIY整備を楽しみたい人には最適な一台!
あなたにとっての“燃費”は、走行距離だけですか?それとも、心の充足度ですか?
──ステップバンが教えてくれるのは、そういう問いかけかもしれません。