トヨタ「クラウン MS50」と日産「セドリック 130型」。
どちらも1960年代後半〜1970年前後、日本の“高級セダン”という言葉を現実のものにした代表格です。
いま旧車として探している人にとっては、この2台はほぼ必ず比較対象になる存在です。
この記事では、当時の設計思想・エンジン・装備・維持性まで、一次情報ベースでできる限り整理しながら「自分に合うのはどっちか」を判断できるようにまとめていきます。
まずは両車の立ち位置とキャラクターの違いから入ります。
Contents
概要・位置付け（クラウンMS50とセドリック130はどんな車か）
基本プロフィール（年式レンジ／狙ったユーザー層）
クラウン MS50型は1967年ごろに登場したクラウン第3世代で、公用車・役員車・ハイヤー用途など「信頼性・威厳」を求められる場面で使われたモデルです。
トヨタ側としては“日本の上級セダン＝クラウン”というイメージを固めにいっていた時期で、いわば国産高級セダンの基準そのものを名乗っていた存在でした。
一方、日産セドリック130型（いわゆる130系セドリック）は1965年ごろに登場したモデルで、日産が「輸入車的な上質感」「都会的なスタイル」で勝負した高級サルーンです。
官公庁・ハイヤー需要も狙いつつ、個人の富裕層や高感度ユーザーにもしっかり届くデザイン・装備を意識していたのが特徴でした。
ざっくりといえば、クラウンMS50は「格式・安心・耐久力」、セドリック130は「欧州テイスト／都会のスマートさ」というイメージで語られることが多い時期です。
当時のマーケットでのポジション
1960年代後半の日本では、高度経済成長とともに「自家用で乗れる高級セダン」という需要が生まれ始めていました。
クラウンはその“王道ポジション”。
対してセドリック130は、当時のプリンス系技術（日産合併後の上級路線）も背景にあり、「乗り味や内装の質感で国産でもここまでできる」という方向でクラウンに真正面から挑んでいったモデルと言えます。
この“トヨタのクラウン vs 日産のセドリック”という構図は、その後も長く続く日本セダン競争の原型になりました。
つまりこの2台は、いまでいう「役員車クラスの双璧」の始まりに近い存在です。
簡易スペック比較（主要諸元の目安）
下の表は当時の代表的な仕様グレードをもとに整理したイメージです。
細かな年次やグレード違いで数字は前後するため、目安として見てください。
| 項目 | トヨタ クラウン MS50系 | 日産 セドリック 130系 |
|---|---|---|
| 登場時期（主な生産時期） | 約1967年〜1971年ごろ | 約1965年〜1971年ごろ |
| 駆動方式 | FR（後輪駆動） | FR（後輪駆動） |
| エンジン主力 | 直列6気筒 SOHC「M型」約2.0Lクラス | 直列4気筒「H20」約2.0L／直列6気筒「L20」約2.0L |
| 最高出力（当時の公称・グロス） | 約105PS前後（M型2.0L） | 約92〜115PS前後（仕様により異なる） |
| ミッション | 4速MT／トヨグライド3速AT | 4速MT／3速AT（名称は日産側独自） |
| 全長 | 約4,690mm前後 | 約4,650mm前後（グレードにより前後） |
| 全幅 | 約1,695mm前後 | 約1,690mm前後 |
| 全高 | 約1,420mm前後 | 約1,420mm前後 |
| 主要ターゲット | 官公庁・ハイヤー・中堅企業の社用車 | 都市型ハイヤー・高所得な個人オーナー |
ここで大事なのは「クラウン＝6気筒が当たり前」というイメージと、「セドリック＝4気筒と6気筒を並べて用意し、価格の幅を持たせた」という戦略の違いです。
クラウンは“最初から格上”として生まれているのに対し、セドリックは“幅広いユーザーに上級セダンを届ける”という攻め方をしていました。
2台の個性を一言でいうなら
- クラウンMS50：しっかり重厚、信頼性高め、フォーマルな印象。
- セドリック130：都会的・スマート、欧州やアメリカ車の雰囲気を取り入れた洒落感。
旧車として今眺めると、クラウンは「いかにも公用車・役員車の威厳」という存在感、セドリックは「洒落たオーナーズサルーン」という雰囲気が強いです。
どっちも全然キャラが違いますね。
要点まとめ
- 両車とも1960年代後半〜1970年前後、日本の高級セダン市場を作った主役級。
- クラウンMS50は“国産高級車の基準”としての安定感、セドリック130は“都会的な上質感”で勝負した。
- エンジン戦略も違い、クラウンは直6主体、セドリックは直4と直6をラインナップして間口を広げていた。
この頃のトヨタと日産って、ただのライバルじゃなくて「日本の高級車とは何か」をそれぞれの哲学で提示してた感じなんですよね。
どっちの世界観に惹かれるかで、もう答えは決まってくると思います。
デザインとキャラクターの違い
エクステリアの印象
クラウンMS50は、まさに「直線の王道」。
水平ラインと四角いフェンダー、格子状のフロントグリルが特徴で、全体的に“品格と公的感”を意識した造形です。
フロントからリアまでのラインが硬く、堂々とした佇まい。
走る姿そのものが“昭和の重役車”という印象です。
対してセドリック130は、丸みを帯びたボンネットと流れるようなサイドラインが印象的。
クラウンよりも“軽やかさ”と“欧州テイスト”が感じられ、クロームメッキの使い方も繊細です。
特にフロントグリルの縦桟デザインとリアフェンダーの曲線は、当時のアメリカ車の影響も受けています。
デザインの方向性で言えば、クラウンはフォーマル、セドリックはエレガント。
同じ時代でも、「高級」の定義がそれぞれ違うのが面白いところです。
ボディカラーと雰囲気の違い
MS50では、白・グレー・ブラック系の落ち着いた色味が主流で、まさに官公庁や企業用を想定したカラー展開。
セドリック130では、ライトブルーやクリームなど柔らかいトーンも人気で、個人ユーザー向けに“おしゃれに乗る”意識が感じられます。
クラウンが「威厳」を演出する車だとすれば、セドリックは「上品さで魅せる車」だったのです。
デザインから伝わるブランド哲学
クラウンMS50の造形には「信頼・耐久・誠実」といったトヨタらしい設計思想が色濃く出ています。
一方セドリック130は、「洗練・都会・余裕」といった日産らしいセンスが前面に出ており、どちらもブランドイメージを強烈に表現していました。
| 項目 | クラウン MS50 | セドリック 130 |
|---|---|---|
| デザイン傾向 | 直線的・硬派・重厚 | 曲線的・優雅・都会的 |
| フロントグリル | 横長・格子状 | 縦桟・クロームメッキ強調 |
| ボディライン | 直線的で端正 | 滑らかで流麗 |
| 雰囲気 | 公用・格式 | 個人・スタイリッシュ |
| 愛称 | “白いクラウン” | “初代ハイソカー”の源流 |
クラウンは“日本のフォーマルセダン”、セドリックは“国産のアーバンラグジュアリー”。
この両者の美学の違いが、そのままトヨタと日産の企業文化の違いでもあります。
要点まとめ
- クラウンMS50は直線的で威厳あるデザイン、セドリック130は曲線的でエレガント。
- カラー展開にも差があり、クラウンは公的・落ち着き、セドリックは個性と柔らかさを重視。
- デザイン思想そのものが、トヨタ＝堅実、日産＝洗練というブランド性を象徴している。
同じ時代でも、ここまで「空気感」が違うんですよね。
クラウンは“信頼される車”、セドリックは“見られて嬉しい車”。
どちらも当時の憧れの象徴です！
パワートレイン・走行フィール比較
エンジン構成の違い
クラウンMS50の主力は、トヨタ伝統のM型直列6気筒SOHC・1,988cc。
当時としては非常にスムーズな回転フィールで知られ、
「高回転でも振動が少ない」「静粛性が優れている」
と評判でした。
M型は燃焼効率と信頼性のバランスが取れたエンジンで、トヨタが長く採用し続けた理由もうなずけます。
一方、セドリック130はベースグレードに**H20型 直列4気筒 1,982cc（約92PS）を搭載し、上級モデルにはL20型 直列6気筒 1,998cc（約115PS）**を設定。
つまり、4気筒と6気筒を明確に分けて顧客層を広げたのがセドリックの特徴でした。
L20型はのちの“ブルーバードU”や“ローレル”にもつながる日産直6系の源流で、クラウンM型と並ぶ当時の名機です。
| エンジン比較 | クラウン MS50 | セドリック 130 |
|---|---|---|
| 形式 | M型 直6 SOHC | H20 直4／L20 直6 |
| 排気量 | 1,988cc | 1,982cc（直4）〜1,998cc（直6） |
| 出力 | 約105PS | 約92〜115PS |
| トルク特性 | 低速トルク重視 | 直6は高回転の伸び重視 |
| 燃料供給 | キャブレター式 | キャブレター式 |
| 静粛性 | 高い | 直6は静か・直4は軽快 |
| 評判 | 滑らかで上品なフィール | パワーとレスポンスに優れる |
エンジン特性だけを見れば、クラウンは“静粛・上質志向”、セドリックは“軽快・走り志向”。
どちらを重視するかで評価が分かれます。
トランスミッションと駆動フィール
クラウンMS50では、トヨグライド3速ATと4速MTが主力。
トヨグライドは当時としては非常に滑らかな変速を実現しており、ハイヤーや公用車に最適でした。
セドリック130のATは日産独自の**3速フルオートマチック（JATCO製）**で、こちらはよりダイレクト感が強く、スポーティな印象。
MTも4速を基本とし、ギア比はややロー寄りで市街地走行に適していました。
走り出しの印象も対照的です。
- クラウンMS50：重量感があり、しっとりと発進。静粛性が高く、まさに“重役車”の乗り味。
- セドリック130：軽快で、アクセルレスポンスが鋭い。ステアフィールにもややスポーティな要素あり。
乗り心地・ハンドリング
クラウンは前輪ダブルウィッシュボーン＋後輪リーフリジッドの組み合わせで、フラットで安定感のある乗り心地。
直進安定性が高く、高速域でも“揺れない”印象。
一方セドリックは同様のサスペンション形式ながら、セッティングが柔らかく、街乗りでの快適性を重視。
特に直6モデルでは静粛性も高く、「柔らかくしなやか」という評価を受けています。
走行フィールを一言でまとめるなら、
- クラウンMS50：静かで直進安定性抜群。重厚な操舵感。
- セドリック130：軽快で柔らかい。走りが楽しい車。
要点まとめ
- クラウンは6気筒専用設計、セドリックは4気筒・6気筒を選べる柔軟構成。
- クラウンのM型は滑らかで重厚、セドリックのL20型は伸びのある高回転型。
- 走りの方向性：クラウン＝フォーマル／セドリック＝ドライバブル。
MS50のM型はまさに“王道の静けさ”。
でもセドリックのL20も負けてません。
あのスムーズな吹け上がりは、いま聴くと本当に贅沢です。
どちらも当時の職人が魂を込めたエンジンですよ。
内装・装備の考え方の違い
インテリアデザインの方向性
クラウンMS50は「格式重視」。
ダッシュボードは金属調の水平デザインで、シンプルかつ視認性を優先した配置が特徴です。
インパネのメーターパネルはスクエア型、シートはビニールレザーかモケットで、官公庁・社用車らしい質実剛健な雰囲気を漂わせます。
ドア内張りやトリムも無駄のない直線構成で、“品格を崩さずに長く使えること”を目的に作られていました。
一方、セドリック130はまるで輸入車のような“サロン感”を重視。
ウッドパネルをあしらったダッシュボード、丸型メーター、ベロア調シートなど、クラウンよりも明らかにデザイン性と乗員の快適性に比重を置いていました。
操作系の質感も高く、ステアリングは細身で握りやすく、金属調モールの仕上げに上品さがありました。
クラウンが“格式ある車内”、セドリックは“居心地のいいリビング”といった印象です。
快適装備の差
クラウンMS50は、装備の多くが“公用仕様”に合わせて設計されており、AMラジオ・ヒーター・灰皿などが標準。
パワーステアリングやエアコンは上級グレードのみの設定でした。
セドリック130はもう少し攻めており、AM/FMラジオ、リモートミラー、クーラー（オプション）、リアアームレストなどを早くから採用。
特に130後期型では、電動アンテナやトリップメーター付きメーターなどもあり、当時としては非常に贅沢な仕様でした。
| 装備比較 | クラウン MS50 | セドリック 130 |
|---|---|---|
| メーターデザイン | 直線・水平配置 | 丸型独立メーター |
| パネル素材 | メタル調 | ウッド調 |
| シート素材 | ビニール／モケット | モケット／ベロア（上位） |
| エアコン | 上級グレードのみ | 中〜上級グレードで選択可 |
| オーディオ | AMラジオ中心 | AM/FM＋アンテナ装備 |
| ステアフィール | 太め・重厚 | 細身で軽快 |
トヨタは“公用・信頼・長寿命”を前提に設計していたのに対し、日産は“ドライバーと同乗者の快適性”を追求していたのがよくわかります。
室内空間と静粛性
クラウンMS50は遮音材を要所に配置し、ドアの閉まる音も重厚。
静粛性では当時トップクラスでした。
セドリック130も静かでしたが、どちらかといえば“軽やかで柔らかい”印象。
静けさの質が異なり、クラウンは“重厚な静けさ”、セドリックは“軽やかな穏やかさ”です。
室内サイズはほぼ同等ながら、セドリックの方がリアシートの傾斜が深く、ややリラックスした姿勢で座れるよう設計されています。
要点まとめ
- クラウンMS50：公用車的で堅実。内装は耐久性重視。
- セドリック130：木目・ベロアなど、意匠と快適性を両立。
- 両者の違い＝「信頼性を見せる車」vs「居心地を感じる車」。
クラウンの直線的なインパネも惚れ惚れしますが、セドリックのウッドパネルには心を奪われますね。
あの温かみある内装、いま見てもグッときます。
維持・パーツ入手性・レストア難易度
部品供給と互換性
クラウンMS50とセドリック130、どちらも50年以上前の車だけに、純正新品部品は基本的に入手困難です。
しかし、トヨタと日産の旧車サポート体制の差がここで少し現れます。
クラウンMS50は、トヨタ系ディーラーやクラシックパーツ専門ショップで、再生品・互換品・在庫品の流通量が比較的多い傾向にあります。
特にブレーキシリンダー、クラッチ系、ゴムブッシュ類、エンジンマウントなどの消耗部品は、クラウン共通パーツとして代替が効く場合もあります。
一方、セドリック130は、当時のプリンス系設計要素を持つため、日産共通部品との互換性が限定的。
L20系のエンジンパーツは他車（ローレル・スカイラインC10など）と共通部があるものの、内装や外装モール、灯火類などは希少で、オーナー同士のネットワークやオークションに頼るケースが多いです。
| パーツカテゴリ | クラウン MS50 | セドリック 130 |
|---|---|---|
| エンジン系 | M型系共通部品が多く流通 | L型共通あり、H20系は希少 |
| 電装系 | 一部互換あり（MS60流用可） | 独自設計が多く流用難 |
| 外装・モール | 再生品や社外レプリカあり | 純正NOSか中古頼み |
| 内装トリム | 入手困難（要補修） | 入手困難（再現素材使用例あり） |
クラウンの方が「補修できる確率が高い」、セドリックは「探す楽しみが大きい」モデルと言えます。
レストア難易度
MS50は整備性の良さが際立ちます。
M型エンジンはメンテナンスしやすく、国内に整備ノウハウが多いのが強み。
構造もシンプルで、DIYで軽整備ができる旧車の代表格といえます。
セドリック130はエンジンルームがやや狭く、配線レイアウトも複雑。
特にエアコン付き車は整備性が低く、本格レストアには専門知識が必須。
外装部品も手作りレベルで再生することが珍しくありません。
レストア全体の費用感としては以下の通りです。
| レストア内容 | クラウン MS50 | セドリック 130 |
|---|---|---|
| エンジンO/H | 約25〜40万円 | 約30〜50万円 |
| ボディ補修・再塗装 | 約50〜100万円 | 約60〜120万円 |
| 内装リメイク | 約30〜60万円 | 約40〜80万円 |
| 総額目安（フルレストア） | 約120〜200万円 | 約150〜250万円 |
※パーツ調達・職人技術・塗装品質によって変動。
維持費・保険・税金面
両車とも1ナンバーまたは3ナンバー区分の旧車税制対象外車両。
排気量2.0Lクラスであるため、自動車税は年間約39,500円（現行基準）ほど。
旧車特約を扱う保険会社に加入すれば保険料は年間5〜10万円台で抑えられるケースもあります。
維持費としては、MS50の方が消耗品代が安く済む傾向。
セドリックは部品の入手経路が限られるため、送料・輸入代行費・再生加工費でコストが上振れしやすいです。
要点まとめ
- 部品流通：クラウンMS50がやや有利。日産系は個人流通頼み。
- レストア：クラウンは整備性高く、セドリックは希少パーツゆえに難易度高。
- 維持費：両車とも年間20〜30万円前後が目安だが、セドリックはコスト高傾向。
クラウンは“修理して乗れる旧車”、セドリックは“愛でながら維持する旧車”。
どちらを選ぶかは、手間を楽しめるかどうかですね。
今、旧車として買うならどっちが現実的？
現在の市場相場と玉数
2025年現在、クラウンMS50とセドリック130はいずれも現存数が少なく、特に状態の良い個体は希少です。
ただし、両者の流通傾向には明確な違いがあります。
| 車種 | 流通状況 | 価格帯（2025年時点） | 特徴 |
|---|---|---|---|
| クラウン MS50 | 出物あり（安定） | 約100〜250万円 | 程度の良い個体が全国で一定数あり。整備しながら乗れる。 |
| セドリック 130 | 極めて希少 | 約150〜300万円 | フルレストア済み・イベント向け個体が多く、現存台数少。 |
クラウンMS50はクラシックイベントや専門店でも比較的見かける機会があり、「現実的に所有できる旧車」として根強い人気があります。
一方セドリック130は、もはやコレクターズアイテム化しており、部品・維持コストを含めると趣味度の高い所有体験になります。
走行・使用の現実性
クラウンMS50はM型エンジンの信頼性が高く、日常走行でも十分対応可能。街乗り〜高速走行まで安定しており、クラシックイベントでの移動も安心です。
セドリック130は、L20型が調子よければ快適ですが、キャブ調整や点火系の癖を理解していないと扱いが難しい面もあります。
定期的な整備を楽しめる人向けといえます。
また、クラウンは部品の入手や整備を行えるショップが多いのに対し、セドリックは修理対応店が限られるため、地方在住のオーナーにはハードルが高い場合もあります。
将来的な価値と所有満足度
近年のクラシックカー市場では、「セドリック130＝クジラクラウンの対抗馬」として再評価の兆しがあり、オリジナル度の高い個体は値上がり傾向にあります。
ただし、維持難度の高さから市場流通は限定的。
クラウンMS50は流通量がある分、価格が安定しており、今後も大きな暴騰はしにくいものの、**安定して人気を保つ“安心銘柄”**です。
どちらを選ぶべき？（目的別おすすめ）
| 目的・スタイル | 向いている車種 | 理由 |
|---|---|---|
| 旧車初心者・整備しながら乗りたい | クラウン MS50 | 部品・整備環境が充実しており、維持しやすい。 |
| イベント展示・希少性重視 | セドリック 130 | 数が少なく、デザイン面での存在感が強い。 |
| 走行安定・信頼性 | クラウン MS50 | トヨタM型の耐久性と整備実績が豊富。 |
| スタイリング・個性重視 | セドリック 130 | 欧米テイストの曲線デザインで注目度高。 |
どちらも「日本の高級車の原点」を象徴する存在ですが、実用的な観点ではクラウンMS50が現実的。
逆に、“手間をかけてでも味わいたい”人にはセドリック130がぴったりです。
要点まとめ
- 維持のしやすさ：クラウンMS50有利（部品・整備環境が豊富）。
- 希少価値・デザイン性：セドリック130有利（個性と存在感が強い）。
- 所有満足度：目的次第で拮抗。初心者はクラウン、愛好家はセドリック。
どっちも“時代の正解”なんですよ。
クラウンの信頼感も、セドリックの粋な雰囲気も、今の車にはない余裕があります。
ガレージで並べられたら最高ですね！
まとめ
クラウンMS50とセドリック130――
この2台は単なる「同年代の国産セダン」ではなく、日本の高級車文化を形づくった“二つの思想”の象徴です。
クラウンMS50は、堅牢で信頼性が高く、「官公庁車・社用車」という実務的なニーズに完璧に応えた一台。M型直6エンジンの滑らかさとボディの重厚感は、“フォーマルの象徴”としての完成度を誇ります。
一方、セドリック130はその真逆の方向で進化しました。
曲線を生かしたボディ造形、上品なウッドインテリア、柔らかな乗り心地──“上質で余裕ある個人ユーザー”をターゲットにした、日本初のアーバン・ラグジュアリーセダンとも言える存在です。
結論として、
- 「安心して旧車を楽しみたい」ならクラウンMS50。
- 「希少で個性的な車を愛でたい」ならセドリック130。
どちらも“正解”。両者の違いは「車に求める哲学」が違うだけなのです。
整備性・部品調達・信頼性ではクラウンが優れますが、セドリックの存在感とデザインの美しさは、所有満足度で引けを取りません。
そして、2台に共通するのは「昭和の日本車が最も美しかった時代の設計思想」。
効率よりも質感、スピードよりも誇り──。
今となっては、それ自体が“贅沢”と呼べる価値です。
どちらもガレージに入った瞬間、時代が変わります。
エンジンをかけるだけで、1960年代の日本が息づくんですよ。
これが旧車の魅力。
MS50と130は、その入り口として最高のペアです。
よくある質問（FAQ）
Q1. どちらの車がメンテナンスしやすい？
クラウンMS50の方が整備情報・部品流通ともに豊富で、メカニックも対応経験があります。
セドリック130は修理対応できる工場が限られ、特に内装部品の再生には専門知識が必要です。
Q2. 燃費はどのくらいですか？
どちらもキャブ車で、燃費はおおよそ6〜8km/L前後。
セドリックの直4（H20型）はやや軽く7〜9km/Lに届く場合もありますが、整備状態により大きく変わります。
Q3. 現在でも車検は通る？
はい。
排ガス規制前の車両ですが、年式に応じた保安基準での検査を受けられます。
ライト・排気音・ブレーキ性能などの整備を確実に行えば問題ありません。
地域や検査官の判断に差があるため、旧車に慣れた整備工場に依頼するのが安全です。
Q4. オートマチックの信頼性はどう？
クラウンのトヨグライドATは非常に頑丈で、今でもオーバーホール対応が可能。
セドリックの3速ATも当時のJATCO製で信頼性はありますが、部品確保が課題です。
AT付き個体を買うなら整備履歴を必ず確認してください。
Q5. 錆対策はどうすればいい？
両車とも錆びやすい構造です。
特にフェンダー内・ドア下・フロア下は重点チェックポイント。
ガレージ保管＋定期的な防錆コートが必須。雨天走行後は必ず下回りを洗浄しましょう。
Q6. クラウンMS50の純正色を再現したい。カラーコードは？
代表的な純正色は「ホワイト（T-031）」「ミディアムグレー（T-091）」「ダークブルー（T-142）」など。
トヨタ博物館やクラシックカー専門業者に相談すれば、当時の塗料コードに基づいた再塗装が可能です。
Q7. セドリック130はパーツ共通車種ある？
一部、スカイラインC10（ハコスカ）やローレルC30とL型エンジン部品を共有しています。
ただし、外装・電装系は専用設計が多く、流用には加工が必要な場合もあります。
Q8. 実際に普段使いできる？
可能ですが、週末ドライブやイベント用途が現実的。
現代の交通流に十分対応できますが、渋滞や夏場はオーバーヒート・燃料系トラブルに注意。
月1〜2回の走行＋定期整備が理想です。
Q9. 維持費の年間目安は？
走行3,000〜5,000km程度であれば、税金・保険・整備込みで年間25〜35万円が目安。
ボディ補修やエンジン修理が入ると一気にコストが上がるため、予備費を持っておくと安心です。
Q10. どちらの車が今後値上がりしそう？
希少性で見るならセドリック130。
オリジナル状態を保った個体はすでにコレクター間で注目されています。
ただし、クラウンMS50も「整備済み・実走可能個体」が減ってきており、実用派クラシックとして安定上昇中です。
旧車の世界に“正解”はありません。
どれだけ手がかかっても、エンジンがかかった瞬間の感動が報われるんです。
MS50と130、そのどちらを選んでも後悔しないと思います！