ギャラン A70

【ギャラン A70】Σ(シグマ)との違いを年代・仕様・位置づけから徹底解説

1970年代後半から1980年代にかけて、三菱の中核モデルとして展開された「ギャラン A70」。

一方で、同時期に「ギャランΣ(シグマ)」という名称も存在し、現在では両者の違いが分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

中古車市場や資料を見比べると、年式・ボディ形状・グレード構成・販売戦略の違いが複雑に絡み合っており、曖昧な理解のまま検討を進めるのは不安が残ります。

本記事では、ギャラン A70とΣ(シグマ)の違いを、当時の公式な車名の使われ方、ボディバリエーション、シリーズ内での位置づけから整理します。

さらに、購入や保管を考える上で重要となる部品の共通性、維持費の傾向、書類上の表記など、現実的な注意点にも触れていきます。

まずは「自分が探しているのはどのギャランなのか」を正確に把握することが、後悔しない旧車選びの第一歩になります。

Contents

ギャラン A70とΣ(シグマ)は何が違うのか【基本整理】

まず結論から整理すると、「ギャラン A70」と「ギャランΣ(シグマ)」は完全に別車種ではなく、同一系列の中での呼称・位置づけの違いです。

ただし、時期によって車名の扱いが変化しており、結果として現在では別モデルのように認識されがちです。

A70とは何を指すのか

A70は、1976年に登場した6代目ギャランの型式系列を指します。

この世代のギャランは、以下のような特徴を持っていました。

項目内容
世代6代目ギャラン
型式系列A70系
登場時期1976年
主なボディ4ドアセダン / 2ドアハードトップ
役割三菱の基幹ミドルクラス

A70という呼び方は、メーカー公式の車名というより、型式・世代を指す便宜的な呼称として使われています。

Σ(シグマ)とは何か

一方の「Σ(シグマ)」は、1977年以降に追加・強調された車名です。

三菱はこの時期、車格やキャラクターを明確化するため、従来の「ギャラン」にサブネームを与える形で展開しました。

表記意味合い
ギャランシリーズ全体の基幹名称
ギャランΣ上級・重厚路線を強調した呼称

つまり、A70系ギャランの中に「Σ」と名付けられた仕様・系統が存在したという関係になります。

混乱が生まれる理由

現在混乱が生じる最大の理由は、以下の点にあります。

  • カタログや年式により「ギャラン」「ギャランΣ」の表記が混在
  • 中古車情報や個人資料で呼び方が統一されていない
  • 書類上の車名が「ギャラン」表記のみの場合がある

このため、「A70=Σ」「Σ=別車種」と誤解されやすいのが実情です。


要点まとめ

  • A70は6代目ギャランの型式系列を指す呼称
  • Σ(シグマ)はA70世代で用いられたサブネーム
  • 両者は別車種ではなく、同一世代内での位置づけの違い
  • 年式・資料により呼称が変わるため混乱しやすい

資料を眺めていると、この時代の三菱は車名の使い分けにかなり力を入れていたように感じます。

Σという名称からは、当時の「上質さ」や「格」を強調したい意図が伝わってくる気がしますね。

車名「Σ(シグマ)」が使われた背景と三菱の販売戦略

ギャラン A70世代で「Σ(シグマ)」という名称が使われるようになった背景には、1970年代後半の国内自動車市場と、三菱自動車の車格整理・ブランド戦略が強く関係しています。

単なる愛称やグレード名ではなく、当時としては明確な意味を持ったネーミングでした。

1970年代後半の市場環境

1970年代後半、日本の自動車市場は大きな転換期にありました。

  • オイルショック後の実用性・経済性重視
  • それでも失われなかった**「上質さ」「所有感」への需要**
  • トヨタ・日産による車格の細分化が進行

この時期、各メーカーは「同じ車格の中で、どう差別化するか」を強く意識するようになります。

三菱における「Σ」の意味

三菱が「Σ(シグマ)」というギリシャ文字を採用した理由について、公式に明文化された説明は確認できません。

ただし、当時のカタログ表現や使われ方から、以下の意図が読み取れます。

観点Σに込められた意味合い
記号性数学記号としての「総和」「集大成」のイメージ
車格標準ギャランより上質・上級であることの強調
対抗軸マークII・ローレルなどへの対抗意識

つまりΣは、**新型車ではなく「格上の位置づけを明確化するための名称」**だったと考えられます。

「ギャラン」と「ギャランΣ」の併売構造

A70世代では、時期によって以下のような構成が取られていました。

時期販売上の扱い
初期ギャラン中心の展開
中期以降ギャランΣを前面に押し出す
後期Σ表記が主流化

このため、同じA70系であっても、

  • 初期資料:ギャラン
  • 中〜後期資料:ギャランΣ

という表記差が生まれています。

なぜ現在まで混乱が残ったのか

販売当時は「区別できていた」はずの名称が、現在では逆に混乱の原因になっています。

その理由は以下の通りです。

  • 車検証上の車名は**「ギャラン」表記のみ**の場合が多い
  • Σは型式名ではなく、商品名的な扱い
  • 後年に「ギャランΣ」を独立モデルと誤認した情報が拡散

結果として、「A70とΣは違う車なのか?」という疑問が生まれやすくなりました。


要点まとめ

  • Σ(シグマ)は車格・上質感を強調するための名称
  • 新型や別系統ではなく、A70世代内での戦略的ネーミング
  • 市場環境と競合車を意識した販売施策の一環
  • 書類表記とのズレが、現在の混乱につながっている

この時代のネーミングを見ると、三菱が「どう見られたいか」をかなり意識していたのが伝わってきます。

Σという少し硬派な記号も、当時の空気感にはよく合っていたように思えますね。

ボディ形状・グレード構成の違いと見分け方

ギャラン A70とΣ(シグマ)を混同しやすい理由のひとつが、ボディ形状とグレード構成が時期によって整理・再編されている点です。

外観だけを見て判断しようとすると誤解しやすく、ここは深く理解しておく必要があります。

A70世代に存在したボディバリエーション

A70系ギャランは、登場当初から複数のボディ形状を持っていました。

ボディ形式特徴
4ドアセダン基本となる量販型
2ドアハードトップスポーティ志向・若年層向け
ワゴン / バン商用・実用用途(地域・時期限定)

この時点では、ボディ形状=Σという区分は存在していません

あくまでシリーズ全体が「ギャラン」でした。

Σが強調されたのは主にセダン系

Σ(シグマ)の名称が前面に出てくるのは、主に4ドアセダン系です。

特に中期以降、以下のような傾向が見られます。

  • Σ=上級志向の4ドアセダン
  • 内装・装備の充実を前提としたグレード構成
  • 法人・役員車需要も意識した設定

一方で、2ドアハードトップについては、Σ表記が強く出ない資料も存在します。

この点がさらに混乱を招いています。

グレード構成の違い

当時のグレード名称は非常に多く、年式による変更も頻繁でした。

ここでは整理のため、傾向としてまとめます。

区分傾向
標準ギャラン系実用装備中心、廉価グレードあり
ギャランΣ系上位エンジン・上質内装を中心に構成

ただし、Σ専用グレードが常に存在したかどうかは年式により異なり、不明な点も残ります

明確に「このグレードはΣ専用」と断定できないケースも多く、注意が必要です。

外観から見分ける際の注意点

現在、実車や写真から見分けようとする場合、以下の点が参考になります。

チェックポイント備考
エンブレムトランク部にΣ表記がある場合あり
内装シート地・ウッド調パネルの有無
ホイール上位グレード専用品の可能性
バンパーメッキ処理の差

ただし、後年の交換・補修で判別不能になっている個体も多いため、外観のみでの断定は避けるべきです。

「Σ=ハードトップ」は誤解

一部では「Σ=ハードトップ」という認識も見られますが、これは正確ではありません。

  • Σはボディ形状ではなく商品戦略上の名称
  • ハードトップにもΣ表記がある/ない資料が混在
  • 年式差・販路差による表記揺れが原因

このため、「ハードトップだからΣ」「セダンだからΣではない」といった判断は危険です。


要点まとめ

  • A70系は複数ボディ形状を持つシリーズ
  • Σは主に上級セダン路線で強調された名称
  • ボディ形状とΣは直接イコールではない
  • 外観判別は可能だが、後年変更車両には注意が必要

写真や資料を見比べていると、同じA70でも雰囲気がかなり違って見えるのが印象的です。

装備や仕立ての差が、そのまま当時の「格の意識」を表しているようで、なかなか興味深いですね。

年式・型式・書類表記で混乱しやすいポイント

ギャラン A70とΣ(シグマ)を検討する際、実務的に最も注意が必要なのが年式・型式・書類上の表記です。

ここを曖昧に理解したまま進めると、購入後に「思っていた仕様と違う」という事態になりかねません。

年式による呼称のズレ

A70系ギャランは、販売期間が比較的長く、その間に呼称の主軸が変化しています。

時期一般的な呼称の傾向
初期ギャラン
中期ギャラン / ギャランΣが併存
後期ギャランΣが前面に出る

このため、同じ年式・同じ型式であっても、資料によって呼び方が異なるという現象が起こります。

型式はA70系で共通

重要なポイントとして、Σであっても型式はA70系のままです。

  • Σ専用の別型式が与えられているわけではない
  • 車検証・登録情報では「A70系ギャラン」として扱われる
  • 型式からΣかどうかを断定することはできない

つまり、型式だけを見て「これはΣだ」「これは違う」と判断することはできません。

車検証の「車名」表記

中古車購入時に必ず確認すべきなのが、車検証の車名欄です。

項目実情
車名「ギャラン」とのみ記載される例が多い
Σ表記原則として記載されない
備考販売名称と登録名称が一致しない

Σはあくまで販売上の呼称であり、法的な車名ではないため、このズレは当時から存在していました。

カタログ・資料と書類の不一致

旧車ではよくある話ですが、A70系ギャランの場合は特に注意が必要です。

  • カタログでは「ギャランΣ」と明記
  • 車検証では「ギャラン」
  • 現車にはΣエンブレムが存在

この3点が揃って初めて「Σ仕様」と判断できる場合もありますが、どれか一つ欠けている個体も多いのが現実です。

購入時に確認すべき現実的なポイント

実際に購入や個体確認を行う際は、以下をセットで確認するのが現実的です。

確認項目見るべき点
年式初期・中期・後期のどこか
型式A70系であること
内外装上級装備の有無
書類車名表記と整合性

いずれか一つだけで判断するのではなく、総合的に見る姿勢が重要になります。


要点まとめ

  • 年式によって呼称の主流が変わっている
  • Σでも型式はA70系で共通
  • 車検証ではΣ表記されないのが一般的
  • 資料・現車・書類を総合的に確認する必要がある

書類と実車の呼び名が一致しないというのは、今の感覚だと少し不思議に感じますが、この時代の車らしい部分でもありますね。

資料を丁寧に追っていくと、当時の販売の柔軟さが見えてくる気がします。

部品の共通性と入手性の違い

ギャラン A70とΣ(シグマ)を維持・レストアするうえで、現実的に最も気になるのが部品の共通性と現在の入手性です。

ここを正しく理解しておかないと、想定以上に手間やコストがかかる可能性があります。

基本構造・機械部品の共通性

まず大前提として、A70系ギャランとΣは同一系列車であり、主要な機械構造は共通しています。

部位共通性
エンジン系世代・排気量が同じであれば共通
駆動系トランスミッション・デフは共通例が多い
足回りサスペンション形式・基本寸法は共通
ブレーキ年式差はあるが基本構成は同じ

このため、「Σだから機械部品が特殊」ということは原則ありません

維持という点では、A70系として一括りに考えることができます。

差が出やすいのは内外装部品

一方で、Σと非Σで差が出やすいのが、内装・外装の意匠部品です。

部品区分注意点
エンブレムΣ専用品は現存数が少ない
内装トリム上級グレード専用色・柄あり
メッキ部品グレード差で形状・仕上げ違い
ホイールΣ上位グレード専用品の可能性

これらは後年の流用・交換が多く、完全なオリジナル状態の判別が難しい部位でもあります。

現在の部品入手ルートの現実

A70系ギャランの部品入手は、以下のルートが中心になります。

ルート現状
新品純正ほぼ供給終了
中古部品個体数は少なめ
流用他三菱車との共通部品あり
汎用品消耗品中心で対応可能

特にΣ専用とされる意匠部品は、中古市場に出る頻度が低く、価格も安定していません

「Σだから部品が厳しい」は半分正解

よく言われる「Σは部品が厳しい」という話については、以下のように整理できます。

  • 機械部品:A70として考えれば大差ない
  • 意匠部品:Σ特有のものは確かに入手難
  • 完全オリジナル志向:難易度が上がる

つまり、どこまで純正にこだわるかで難易度が変わるというのが実情です。

購入前に確認しておきたいポイント

将来的な維持を見据えるなら、購入前に次の点を確認しておくと安心です。

チェック項目理由
内装の状態後年補修が難しい
エンブレム有無再入手困難
消耗品流用可否維持コストに直結
書類整合性部品取り寄せ時に有利

要点まとめ

  • 機械部品はA70系として高い共通性がある
  • Σ専用とされる意匠部品は入手難易度が高い
  • 維持の難易度は「どこまで純正にこだわるか」で変わる
  • 購入前の状態確認が将来の負担を左右する

資料や写真を見ていると、内装やエンブレムの雰囲気がそのまま車の印象を決めているように感じます。

Σらしさを大切にしたい気持ちと、現実的な維持とのバランスが悩ましいところですね。

維持費・実用面から見たA70とΣの現実

ギャラン A70とΣ(シグマ)を「所有する」段階で現実的に差が出るのが、維持費と実用面です。

カタログ上の違いよりも、むしろここが購入後の満足度を左右します。

税金・保険など法定費用の考え方

まず、A70とΣで法定費用に本質的な差はありません

項目備考
自動車税排気量で決まる
重量税車重・登録年式依存
自賠責共通
任意保険年式・使用状況で変動

Σだから税金が高くなる、ということはなく、エンジン排気量と車両重量がすべてです。

燃費と日常使用の現実

実用面で差を感じやすいのは、グレード構成の違いに起因する部分です。

観点傾向
燃費上位エンジン搭載車は不利
車重Σ系は装備増でやや重い
取り回しボディ寸法は基本共通

数値的な燃費については、当時の公表値と実燃費の乖離が大きく、断定的な数値は不明とするのが妥当です。

ただし、現代基準での省燃費性は期待すべきではありません。

整備・修理コストの考え方

維持費を押し上げる最大の要因は、故障頻度ではなく整備の手間です。

  • 定期整備そのものは特別高額ではない
  • 部品調達に時間がかかるケースがある
  • Σ特有の内装補修は費用が読みにくい

とくに内装関係は、直せるかどうかより「同じものが手に入るか」が問題になります。

錆とボディコンディション

A70世代全般に言えることですが、維持費に直結するのが錆の問題です。

部位注意点
フロア進行すると修復費が高額
フェンダー見た目以上に内部腐食あり
トランク周辺雨水侵入に注意

Σかどうかで錆びやすさが変わるわけではありませんが、上級仕様ゆえに補修費が高くなる可能性はあります。

「実用旧車」としての現実的な立ち位置

日常使用を前提に考える場合、以下の整理が現実的です。

観点評価
通勤使用条件付きで可能
長距離快適性は年代相応
夏冬空調性能に限界あり
部品待ち代替車確保が安心

A70・Σともに、現代車の代替として考えるのは現実的ではありません

あくまで「趣味性を理解した上での使用」が前提になります。


要点まとめ

  • 法定費用は排気量・車重次第でΣ差はない
  • 実用燃費・快適性は現代基準では控えめ
  • 維持費を左右するのは錆と内装の状態
  • 日常使用は可能だが、覚悟と余裕が必要

数字だけを見ると大きな差はないように感じますが、実際には「気を使う場面」が多い車だと思います。

それも含めて楽しめるかどうかが、A70やΣと長く付き合えるかの分かれ目になりそうですね。

現在の中古車市場での扱われ方の違い

ギャラン A70とΣ(シグマ)は、同一系列でありながら現在の中古車市場では微妙に異なる扱われ方をされています。

購入検討時には、この「市場での見られ方」を理解しておくことが重要です。

市場での呼称と掲載傾向

中古車情報や個人売買では、以下のような傾向が見られます。

表記実情
ギャラン A70型式・世代重視の表記
ギャランΣ上級感・希少性を強調
混在表記A70 Σ 両方を併記

とくに近年は、「Σ」という名称の分かりやすさ・響きの良さから、販売側が積極的に使うケースもあります。

価格帯の考え方

価格については、Σだから必ず高い、という単純な図式は成り立ちません

価格に影響する要素備考
個体状態錆・内装の影響が大きい
オリジナル度Σ意匠の残存率
グレード上位エンジン搭載車
書類登録状況・来歴

同条件で比較した場合、Σ表記のある個体のほうが若干高めに設定される傾向はありますが、決定的な差ではありません。

希少性の評価は「仕様」次第

希少性という観点では、以下のように整理できます。

  • Σ=希少、ではない
  • 生産数が少ないのは特定グレード・特定仕様
  • 完全オリジナル車はA70全体で希少

つまり、Σかどうかよりも「どの仕様がどれだけ残っているか」が重要です。

情報の信頼性に注意

旧車市場では、情報の精度に差があります。

  • 「Σだから特別仕様」という説明
  • 年式と合わない装備の記載
  • エンブレムのみでΣと判断

こうしたケースも見られるため、呼称だけで価値判断をしない姿勢が求められます。

検討時の現実的な見方

購入を考える際は、次のような視点が現実的です。

視点考え方
名称参考程度に捉える
状態最優先
維持部品・補修を想定
目的コレクションか実用か

要点まとめ

  • 市場ではΣ表記が強調されやすい
  • 価格差は状態・仕様による影響が大きい
  • 希少性は名称より仕様で判断すべき
  • 情報の裏取りと冷静な比較が重要

資料や市場情報を眺めていると、名前の印象が評価に影響している場面も多いように感じます。

ただ、最終的に満足度を左右するのは、やはり個体そのものの雰囲気や状態なのでしょうね。

どちらを選ぶべきか?用途別の考え方

ここまで整理してきた内容を踏まえると、ギャラン A70とΣ(シグマ)の選択は「優劣」ではなく、用途と価値観の違いで考えるのが最も現実的です。

同一系列だからこそ、選び方の軸を誤らないことが重要になります。

コレクション志向で考える場合

資料性や時代性を重視する場合、Σ(シグマ)は一つの魅力になります。

観点考え方
名称当時の販売戦略を象徴
意匠上級仕様らしい内外装
希少性条件次第で評価対象

ただし、完全なオリジナル状態を求めるほど難易度は上がるため、妥協点をどこに置くかが重要です。

実用寄りで楽しみたい場合

走らせることを重視するなら、A70全体として捉える方が現実的です。

観点考え方
部品共通部品を活用しやすい
補修実用的な対応が可能
心理Σ表記に縛られない

この場合、状態の良い個体を優先し、Σかどうかは二次的な判断材料になります。

レストア前提で考える場合

ベース車として考えるなら、以下の整理が役立ちます。

観点注意点
内装Σ専用品は再現困難
外装意匠部品の欠品リスク
費用仕様により大きく変動

「Σに仕上げたい」という明確な目的がない限り、無理にΣ仕様を狙う必要はないとも言えます。

後悔しにくい選び方の整理

最終的には、次のように整理すると判断しやすくなります。

  • 雰囲気・格を重視 → Σ寄り
  • 走行・維持を重視 → A70全体で選ぶ
  • 資料性を楽しみたい → Σの背景を理解した上で選ぶ

名称に引っ張られず、**「その個体とどう付き合いたいか」**を軸にすることが、結果的に満足度の高い選択につながります。


要点まとめ

  • A70とΣは優劣ではなく用途で選ぶ
  • コレクション志向ならΣの意味合いを重視
  • 実用・維持重視なら状態最優先
  • 名称より個体との付き合い方が重要

資料を追っていくほど、当時の三菱が描いていた「車との距離感」が見えてくる気がします。

どちらを選んでも、この世代ならではの落ち着いた佇まいは共通して楽しめそうですね。

よくある質問

Q1. ギャラン A70とギャランΣは別車種として登録されているのですか?

いいえ、登録上は別車種ではありません。

多くの個体で車検証の車名は「ギャラン」となっており、Σ(シグマ)は販売上の呼称として使われていた名称です。

そのため、書類上でΣ表記が確認できないケースは珍しくありません。

Q2. A70とΣで生産台数に大きな差はありますか?

正確な生産台数の内訳について、A70とΣを明確に分けた公式資料は確認できません。

シリーズ全体としての生産数は把握されていても、Σ仕様のみを切り分けた数字は不明です。

Q3. Σ専用エンジンは存在しますか?

Σ専用と断定できるエンジンの存在は確認されていません。

搭載エンジンは年式やグレードによる違いが中心で、A70系として共通のエンジンラインナップが用意されていました。

Q4. 外装にΣエンブレムがないとΣではないのでしょうか?

必ずしもそうとは限りません。

後年の補修や仕様変更でエンブレムが失われている個体も多く、エンブレムの有無だけで判断するのは危険です。

内装や装備内容も含めた総合判断が必要です。

Q5. ハードトップはすべてΣという認識で合っていますか?

正確ではありません。

Σはボディ形状を示す名称ではなく、販売戦略上の呼称です。

ハードトップでもΣ表記が強調されていない資料や個体は存在します。

Q6. Σのほうが維持費は高くなりますか?

法定費用に差はありません。

ただし、内装や意匠部品をオリジナルに近い状態で維持しようとすると、結果的にΣ仕様のほうが費用がかかる可能性はあります。

Q7. 書類上はギャランなのに、売り手が「Σ」と説明しているのは問題ありませんか?

当時の販売名称としてΣが使われていた事実があるため、必ずしも誤りとは言えません。

ただし、仕様や年式の説明が曖昧な場合は注意が必要です。

Q8. レストアベースとして向いているのはどちらですか?

ベース車としては、Σかどうかよりも「錆の少なさ」「欠品の少なさ」が重要です。

Σ仕様に強くこだわらないのであれば、状態の良いA70系個体のほうが現実的な場合もあります。

Q9. 将来的な価値上昇を期待するならΣのほうが有利ですか?

名称だけで価値が決まるとは言えません。

保存状態、来歴、オリジナル度といった要素のほうが評価に直結します。

Σはあくまで付加的な要素と考えるのが無難です。

Q10. 初心者が選ぶならA70とΣ、どちらが無難ですか?

初めて旧車として選ぶ場合は、Σかどうかにこだわらず、整備履歴が明確で状態の良い個体を優先するほうが安心です。


まとめ

ギャラン A70とΣ(シグマ)の違いは、車としての基本構造ではなく、当時の三菱がどのように車格や価値を伝えようとしたか、という「位置づけ」の違いにあります。

Σは別車種でも特別な型式でもなく、A70世代の中で上質さや格を強調するために用いられた名称でした。

そのため、現在の市場や書類上では混乱が生じやすく、名称だけで判断すると誤解につながりやすいのが実情。

購入や維持を考えるうえでは、Σかどうかよりも、年式・仕様・個体状態・部品の残存状況を丁寧に確認することが重要になります。

雰囲気や資料性を重視するならΣの背景を楽しむ価値がありますし、走らせて楽しみたいのであればA70全体として柔軟に考えるほうが現実的でしょう。

どちらを選んでも、この時代ならではの落ち着いた佇まいや設計思想を味わえる点は共通しています。

名称に振り回されず、自分がどう付き合っていきたいかを基準に選ぶことが、後悔の少ない旧車選びにつながるはずです。

-ギャラン A70