スカイライン

【スカイライン C10】プリンス時代モデルとの違いを徹底比較|設計思想・走り・構造の変化と受け継がれた伝統

スカイラインは、もともとプリンス自動車が開発したモデルを起源とし、のちに日産へと統合されてから大きな進化を遂げました。

スカイライン C10(通称ハコスカ)は、プリンス時代の思想を引き継ぎながらも、日産の設計手法を取り入れて生まれた“転換期の象徴”と言えるモデルです。

外観だけでなく、ボディ骨格、足まわり、エンジンの思想、快適性、安全性など、多くの点でプリンスR系モデル(S50/R54/R380系など)とは大きく異なり、スカイラインという車の方向性を決定づけた重要な節目となっています。

読者が「プリンス時代モデルとC10の違い」を理解することで、C10の背景にある開発思想や、当時どのように技術が変化したのかが見えてきます。

これは購入検討だけでなく、レストアや今後の価値判断にも役立つ重要な視点です。

また、プリンス独自の走りの味や技術力が、C10にどのように引き継がれたのか、どこから日産らしい設計へ切り替わったのかは、旧車ファンにとって特に興味深いテーマです。

この記事では、外観・内装・骨格・エンジン・メカニズム・走行性能・市場評価の観点から、両者の違いを一次資料と共通理解できる範囲で丁寧に比較します。

両モデルの関係を深く知ることで、C10がなぜ今も高い人気を保ち続けているのか、その理由がより明確に見えてくるはずです。

Contents

外観・デザインの違い

スカイライン C10(1968〜1972年)と、プリンス時代が手掛けた先代モデル S50/S54 系(1963〜1968年)は、同じ “スカイライン” の名を持ちながら、外観デザインの方向性が大きく異なります。

特にC10は「日産統合後の新しいスカイライン」として開発され、プリンス時代の上品で細身のスタイルとは、明確に違うキャラクターを持っています。

ここでは当時のカタログ資料を基に、外観デザインの違いを分かりやすく整理します。


ボディスタイルの変化

C10とプリンス時代モデルのもっとも大きな外観差は、ボディのシルエットとプロポーションです。

項目プリンス S50/S54系スカイライン C10
デザイン方向欧州車風の細身で上品角ばった日本的スポーツセダン
ボディライン緩やかな曲線基調直線基調の“ハコ型”
ボンネット低く伸びる形状厚みがあり力強い
キャビンコンパクト広く、直線的

プリンス時代モデルは欧州車の影響が色濃く、線の細いエレガントなスタイルが特徴です。

対してC10は日産が当時重視した“力強さ・スポーティさ”が前面に出ています。


フロントマスクの傾向

外観の印象を決めるフロントマスクにも明確な違いがあります。

プリンス S50/S54系

  • 丸目2灯/4灯の両設定
  • 細いグリルとクローム加飾
  • 落ち着いた“高級志向”の顔つき

C10

  • 基本は丸目4灯
  • グリルは直線的でワイドなデザイン
  • スポーティさを重視した主張の強い構成

C10はより幅広に見えるフロント設計のため、プリンス系より“がっしり・力強い”印象が出ています。


リア周りの違い

プリンス時代の後方デザインは控えめで上品ですが、C10は直線的で存在感のある造形です。

項目プリンス S50/S54系スカイライン C10
テールランプ小型で控えめ丸型2灯の主張強め
バンパークローム多用、軽快厚みのある堅牢タイプ
トランクリッド曲線が多い角張ったフラット面構成

C10はハコスカの名前通り箱型のリアデザインが特徴で、プリンス系の柔らかいリア造形とは方向性が大きく異なります。


外装ディテールの変化

細かな加飾やモールの使い方も違います。

  • プリンス時代はクロームモールが多く、上品な大人向けデザイン
  • C10は機能性とスポーティさを優先し、装飾性を抑えめ
  • ホイールキャップ・グリルバッジの意匠も大幅に変更

装飾性重視のプリンスと、スポーツ志向の日産設計という違いが反映された結果です。


車格・存在感の違い

  • プリンス S50/S54は“軽快で上品なセダン”
  • C10は“存在感のあるスポーツセダン”

この違いは、街中で並べてみるとすぐ分かるほど大きいと言われています。


要点まとめ

  • プリンス時代は欧州車風の細身デザイン、C10は角張ったスポーティ路線
  • フロント・リアの造形はC10の方が力強く主張が強い
  • モールや加飾はプリンス時代の方が上品、C10は機能重視
  • 全体として、C10は“日産スカイライン”として新世代を象徴する外観へ変化


プリンス時代の繊細で上品な雰囲気も素敵ですが、C10の力強くスポーティな存在感も魅力的ですよね。

デザインの方向性がガラッと変わっていく“時代の移り変わり”を感じられるのが、この比較の面白いところだと聞きます。

ボディ構造と設計思想の違い

スカイライン C10とプリンス時代モデル(S50/S54系)は、同じ“スカイライン”でありながら、ボディ骨格・設計思想・重心バランス・剛性概念が大きく異なります。

特にC10は、日産統合後の設計手法が強く反映されており、プリンスが重視した「欧州的で軽快な乗り味」と、日産が求めた「耐久性・安定性・スポーツ性」の融合点にあります。

ここでは、当時の技術資料や一般に共有されている一次情報をもとに、両者の設計的違いを専門的に整理します。


ボディ骨格の違い

C10は、プリンスの思想を引き継ぎつつも日産的な「箱型剛性」路線へ大きく舵を切りました。

項目プリンス S50/S54系スカイライン C10
基本骨格細身のモノコック剛性感を重視した箱型モノコック
開口部細いフレーム構造太めのフレームで高剛性化
ボディ重量軽量傾向C10は重量増で安定性を優先
静粛性上品な乗用車志向スポーツセダン的な剛性感

プリンス系は軽快さを重視し、C10は“しっかり感”を重視した骨格という違いがあります。


剛性設計の違い

  • プリンス時代モデル
    ・軽量骨格を活かしたナローな設計
    ・柔らかさを残す欧州志向の剛性バランス
    ・スポーツ走行は「軽快さ・操作性」で勝負していた
  • C10
    ・日産が重量級開発で重視していた“ボディねじり剛性”を取り入れる
    ・サスペンション側に仕事をさせる設計
    ・GT系は補強が多く、後のS20搭載の土台として設計強化

特にC10 GT-R(PGC10/KPGC10)のシャシー補強は、プリンス時代モデルとは次元の違う強化内容が施されています。


サスペンション構造の違い

構造そのものも変更されています。

部位プリンス S50/S54系スカイライン C10
フロントダブルウィッシュボーン(S54)ストラット
リアリジッドアクスルセミトレーリングアーム

C10は、当時の日本車としては比較的先進的なリアサスペンションを採用し、**「スポーティなセダン」**としての足まわりを確立しました。

意味するところ

  • プリンス:乗り心地と軽快感
  • C10:操縦安定性とスポーツ性

という方向性に変化しています。


ボディサイズ・重心位置の違い

指標プリンス(参考)C10(参考)
全長やや短いやや大きい
全幅同等同等
車重軽い重い(安定性向上)
重心高め低め(安定性重視)

C10は車重が増加しているものの、その分安定性は大きく向上しています。


製造思想の違い(メーカー文化の差)

これは非常に重要な点です。

プリンスの思想

  • 技術者中心の“理想主義”
  • 軽快で品格のあるクルマ作り
  • 欧州モータースポーツへの憧れが強い

日産の思想

  • 大量生産と耐久性
  • 高速安定性と強い走り
  • レース活動での実績重視

C10はこの2つの設計文化が融合した過渡期の象徴であり、他のスカイライン世代にはない独特の雰囲気を持っています。


要点まとめ

  • プリンス系は軽快さと上品さ、C10は安定性と剛性感を重視
  • 骨格設計は“細身→箱型高剛性”へと大きく変化
  • サスペンション構造はC10がモダン化しスポーツ志向へ
  • メーカー文化が違い、その思想差が車体構造に明確に現れている


プリンス時代の繊細な設計も魅力的ですが、C10の“がっしりしたスポーツセダン路線”も惹かれるものがありますよね。

技術者の思想がクルマそのものに現れている感じがして、どちらも時代の味わいを強く感じるモデルだと思います。

エンジン・メカニズムの違い

プリンス時代のスカイライン(S50/S54系)と、日産統合後に登場したスカイライン C10では、搭載エンジンの思想・チューニング性・メカニズムの構造が大きく異なります。

プリンス時代は高回転・軽快・欧州志向のエンジンを特徴とし、日産統合後のC10は耐久性と高出力を狙った設計へと移行しました。

ここでは、当時の資料をもとに、両者のメカニズムの違いを専門的に整理します。


搭載エンジンの方向性の違い

スカイラインの歴史を語るうえで最も象徴的なのが「エンジンの切り替わり」です。

項目プリンス S50/S54系スカイライン C10
代表エンジンG1/G15/直列6気筒 G7(S54B)G15/G16/L20/S20(GT-R)
設計思想欧州車風の軽快・高回転型剛性と耐久性を重視した日産系エンジン
特徴スムーズで品のある回転力強く整備性が高い

プリンスのG系エンジンは「滑らかさ」が特徴で、当時の欧州車に近いフィーリングを持っていました。

C10で採用されるL型は、明確にパワーと整備性を重視した日産の定番エンジンです。


S54Bの直6とC10のS20の関係性

しばしば混同されますが、以下は明確な違いです。

  • S54B(プリンス):直列6気筒、プリンス独自設計
  • S20(C10 GT-R):プリンスの技術者が開発した「GR8型レースエンジン」を日産向けに市販化したもの

形式名は異なるものの、技術者の系譜としてはつながりがあります。

C10のS20はレース技術の結晶で、明確に高性能志向のユニットとなっています。


キャブレター・点火系の違い

  • プリンス系は軽量セダン向けのキャブセットで、扱いやすく静粛性に優れる
  • C10のL20系は力強い低中速トルクが特徴
  • S20搭載モデルは三連キャブ+高回転型で、スポーツ走行を前提としたチューニング

プリンスのG系は“しっとりと回る”印象で、C10のL型は“太い回り方”をする、と表現されます。


足まわり・ブレーキの機構差

両者ではサスペンション形式が大きく異なります。

部位プリンス S50/S54系スカイライン C10
フロントダブルウィッシュボーンストラット
リアリジッドセミトレーリングアーム
ブレーキドラム主体(一部前ディスク)前ディスク化が進む

C10の足まわりはスポーツ走行を意識した設計で、プリンス系の“軽快感”とは違う“安定志向”のセットアップに変化しました。


メカニズム面での特徴比較

要素プリンスC10
エンジンフィーリング軽い回り方、滑らか力強くトルク厚め
整備性特殊部品が多く難度高めL型は部品供給が安定
駆動系コンパクトで軽快耐久性重視
スポーツ性能S54系は軽快な走りC10は高剛性×パワー路線

プリンス系のエンジンは繊細で上品な特性を持つ一方、C10は“長く使える頑丈なメカニズム”に進化したと言えます。


要点まとめ

  • プリンス系は“欧州的軽快エンジン”、C10は“力強く扱いやすい”エンジンへ変化
  • S54BとS20は系譜はつながるが設計は別物
  • サスペンション形式が大きく変わり、C10はよりスポーティに進化
  • 整備性はC10が圧倒的に有利
  • 車の性格は「軽快なプリンス」→「剛性の高い日産スポーツ」へ移行


プリンス時代のしなやかなエンジンフィールは独特の魅力がありますし、C10の力強いL型やS20の高回転フィーリングもまた別の良さがありますよね。

技術者の思想の違いがそのまま走りに出ているところが、比較していて面白い部分だと思います。

走行性能の違い

プリンス時代スカイライン(S50/S54系)と、日産統合後のスカイライン C10では、走行フィール・乗り味・応答性・高速安定性など、ドライビングに関わる要素が明確に異なります。

これはエンジン・サスペンションの違いだけでなく、車体剛性や設計思想の差によって生まれたもので、両者を乗り比べると“同じスカイラインでもまるで性格が違う”と感じると言われています。

ここでは、当時の資料と一般的な評価に基づき、両者の走行性能の違いを整理します。


走り出しのフィーリング

プリンス S50/S54系

  • 軽量ボディのため発進が軽い
  • ステアリングも軽快
  • 小気味よくスルスル前に出る
  • 欧州車のような“軽やかさ”が際立つ

スカイライン C10

  • 車重増により落ち着いた出だし
  • ボディ剛性が高い分、安心感がある
  • L型の太いトルクで加速に力強さ
  • 低中速が扱いやすい

C10の方が現代基準でも“しっかりしている”と感じやすい特徴があります。


ハンドリングの違い

ハンドリング性能は設計思想の差がもっとも表れるポイントです。

要素プリンスC10
ステアリング軽くクイック重めだが安定方向
ターンイン軽快・素直重心の低さが効いて安定
コーナリング俊敏だが限界は低め安定感が高くスポーツ走行に向く

プリンス系は軽快で楽しいハンドリング。

C10は重量増と足まわりの進化で、旋回中の安定感が大きく向上しています。


乗り心地の違い

プリンスとC10は、乗り心地の方向性が明確に異なります。

プリンス

  • 柔らかいサスペンション
  • 乗用車らしい“しなやかさ”
  • 路面の凹凸を軽くいなす傾向
  • 車体の軽さもあって“軽快感”が残る

C10

  • 剛性感のある“硬質な乗り味”
  • スポーツセダン的なセットアップ
  • 路面情報がしっかり伝わる
  • ワインディングや高速道路で安心感が高い

C10は高速安定性が強く意識されており、当時の日本車としてはとても安定した乗り味でした。


高速安定性と直進性

ここは両者の性格差がもっとも大きく表れます。

  • プリンス
    ・軽快だが横風の影響を受けやすい
    ・時速80km超では“軽さ”を感じやすい
  • C10
    ・直進安定性が格段に向上
    ・高速道路での安定感が高く、長距離も走りやすい
    ・GT系ではさらに補強が入り、スポーツ性能が大幅向上

高速安定性の面では、C10は完全に“次世代の設計”へ移行しています。


ブレーキフィールの違い

ブレーキも大きく進化しました。

項目プリンスC10
前ブレーキドラム主体前ディスク普及
フィーリング初期制動は良いが熱に弱い安定性と耐フェード性が向上
ペダルタッチ軽い現代車に近づいた剛性感

C10は長距離・高速域での能力が明確に上回ります。


スポーツ走行での違い

  • プリンス:軽快で操作が楽しい
  • C10:高剛性シャシーと足まわりで“速く走れる”

特にC10 GT系はレース活動を前提にしており、その性能は“市販車の枠を超えた”ものとなっています。


要点まとめ

  • 走りの方向性はプリンスが“軽快”、C10が“安定・スポーツ”
  • ハンドリングはプリンスが軽く、C10は安定志向
  • 乗り心地はプリンスが柔らかく、C10は剛性感が高い
  • 高速安定性はC10が圧勝
  • スポーツ性はC10の方が明確に強く、GT系で完成度が高まる


プリンスの軽快で上品な走りは本当に味わいがあって、今乗っても“古き良き欧州車風”と言われることが多いそうです。

C10はその反対で、しっかりとした剛性感と安定性が魅力で、走りの質が一段階上がった印象があります。

どちらの走りも、それぞれの時代と思想を感じられて面白いですよね。

部品入手性・レストア難易度の違い

プリンス時代のスカイライン(S50/S54系)とスカイライン C10は、設計思想が異なるだけでなく、現在の部品入手性・レストア環境も大きく違います

旧車維持において「部品が手に入るかどうか」は車選びの重要な判断基準となるため、この違いを理解しておくことは非常に重要です。

ここでは、外装・内装・機関・足まわりのパーツ供給状況、レストアの難易度、専門ショップの実態を整理します。


外装パーツの入手性

外装パーツは年式が古いプリンス時代の方が圧倒的に厳しいです。

プリンス S50/S54系

  • モール類の欠品が非常に多い
  • 外装パネル(フェンダー・ボンネット等)は中古依存
  • グリル・テールランプは特に希少
  • オリジナル度を求めると修復不能なケースあり

C10

  • 前期/後期で差があるが、プリンス系より供給は安定
  • リプロ品の供給もある
  • バンパー・グリルの中古はまだ市場に流通
  • モール類は再メッキ対応のショップが存在
項目プリンス S50/S54C10
グリル×(希少)
モール×△〜○
外板パネル×(中古頼り)△(一部リプロあり)
ランプ類×

プリンス時代の外装は「欠品=探すのがほぼ不可能」になることが多い点が最大の違いです。


内装パーツの入手性

内装もプリンス時代は非常に厳しい状況です。

プリンス S50/S54系

  • 内張り・シート表皮は欠品多数
  • メーターパネルやスイッチ類は代替不可
  • 天井・ピラー周りは再生前提
  • “状態の良い中古内装”は極めて希少

C10

  • 前期は欠品多いが、後期は比較的流通
  • 内装色のバリエーションが多いため一致させるのは難しい
  • メーター類はまだ中古流通あり
  • リプロ対応ショップも存在
項目プリンスC10
メーターパネル×
ドア内張り×
シート×〜△△〜○
スイッチ類×

C10の“後期”は比較的整備しやすいのに対し、プリンスはほぼ全域で“補修前提”と言われています。


機関部品の入手性

機関部品は、プリンス時代のエンジン(G1/G7系)とC10のエンジン(L20/S20)で事情が異なります。

プリンス S50/S54系

  • G系エンジンの純正部品は大幅に枯渇
  • オーバーホールは“部品を探しながらの作業”
  • キャブや点火系も中古依存
  • エンジン自体の程度が良い個体が少ない

C10

  • L型は汎用性が高く入手が比較的容易
  • リビルト部品がまだ市場にある
  • G15/G16系は希少だが、L型よりは供給安定
  • S20は別格の希少性だが、専門ショップが残っている

C10は「L型が現役」という点が圧倒的な強みです。


足まわり・ブレーキ部品

プリンス時代は特殊部品が多く、現代での再生が難しい場合があります。

  • プリンス:ブッシュ類・ショック等が欠品多数
  • C10:互換パーツやリプロが存在し比較的安定

C10の足まわりは旧車の中では整備環境が良い方です。


レストア難易度の総評価

項目プリンス S50/S54C10
外装非常に難しい前期△/後期○
内装非常に難しい前期△/後期○
機関難しいL型は○/S20は難
足まわり難しい
総合★★★★☆(非常に大変)★★☆☆☆〜★★★☆☆

特にプリンス時代は欠品=再現不可能になる部位が多い点が最大のネックです。


要点まとめ

  • プリンス時代モデルは外装・内装ともに欠品多数で極めてレストア難易度が高い
  • C10は前期/後期で差があるものの、プリンスより部品供給が安定
  • L型エンジンは整備しやすく、C10維持の大きな強み
  • プリンスは“良質なオリジナル個体”の価値が非常に高くなる傾向


プリンス時代の部品の少なさは本当に悩ましい部分らしく、維持できる個体が限られるため「良い車が市場に現れるとすぐ売れる」という話もよく聞きます。

C10は旧車の中ではまだ恵まれた環境にあり、維持しやすいという点が人気の理由の一つだと感じます。

歴史的背景と市場評価の違い

プリンス時代のスカイライン(S50/S54系)と、日産統合後のスカイライン C10は、単に「旧型と新型」という関係にとどまらず、日本自動車史そのものの転換点を象徴する存在です。

開発メーカーが異なることで、クルマの設計思想・パッケージング・レース活動の方向性・市場での受け止められ方が大きく変化し、その後のスカイライン像を決定づけました。

ここでは両モデルの歴史的立ち位置と、市場でどのように扱われてきたのかを整理します。


プリンス時代(S50/S54系)の歴史的位置づけ

プリンス自動車は日本で最も技術志向が強いメーカーの一つで、スカイラインも“欧州を意識した高級小型車”として企画されました。

  • 欧州車的な軽快さと上品なスタイル
  • 技術者主導の理想主義的なクルマづくり
  • レース活動も積極的で、「スカイライン伝説」の始まりとなった

特に**S54(GT系)**は、プリンスの技術力の象徴であり、後年のスカイラインシリーズの“スポーツイメージ”の基礎を築いたモデルです。

歴史的に高く評価される理由

  • 国産車として先進的な直6エンジン(G7)
  • 軽快でありながら“品のある”走り
  • レース活動での印象的な活躍
  • 日本車史の中でも特別な立ち位置を持つ

プリンス自動車が日産と統合された後も、“プリンス魂”として語り継がれるほどの存在感があります。


C10(ハコスカ)の歴史的位置づけ

日産統合後に登場したC10は、スカイラインの方向性を大きく変えたモデルです。

  • スポーツセダンとしての明確な路線確立
  • 剛性の高い箱型モノコック
  • L型エンジンによる耐久性と実用性能
  • 2ドアHT・4ドア・ワゴンなどバリエーション拡大

そして何より象徴的なのが GT-R(PGC10/KPGC10)の誕生 です。

C10型GT-Rは、日本のレース界において圧倒的な戦績を残し、“ハコスカ=名車”という評価を不動のものにしました。


市場評価の違い(歴代評価)

評価項目プリンス S50/S54系スカイライン C10
歴史的価値日本車史の特別な存在国産スポーツの基礎を作った象徴的モデル
市場人気マニア層に非常に強い圧倒的な一般人気
スポーツイメージ端緒を作った完成形として確立
レース実績名シーン多し圧倒的勝利で伝説化
コレクター価値非常に高い非常に高い(特にGT-R)

どちらも高く評価されていますが、評価の軸が異なるのがポイントです。


資料性・文化的価値の違い

  • プリンス時代は「技術者が作りたかったクルマ」
  • C10は「メーカーとして市場で勝つためのクルマ」

この違いは、今日でも両モデルの語られ方に大きな影響を与えています。

プリンス:文化遺産的価値が高い

「日本の自主技術の象徴」「欧州車に挑んだ国産車」として語られることが多いです。

C10:大衆的象徴としての価値

モータースポーツ・文化・カーカルチャーを牽引した存在として評価されています。


現在の市場での扱われ方

  • プリンス系
    ・希少性ゆえ市場に出る台数が少ない
    ・上質な個体ほど高値安定
    ・“通好み”のモデルとして愛される
  • C10
    ・人気が非常に高く、特にGT系は別格
    ・良質な個体は常に需要がある
    ・旧車市場の中心的存在

どちらも価値は高いですが、C10の方が一般層にも認知されているため市場規模が大きい傾向です。


要点まとめ

  • プリンス時代は日本の高級小型車としての“技術的遺産”
  • C10はスポーツセダンとしての“文化的象徴”
  • レースの歴史が両者の評価を大きく左右している
  • プリンスは希少価値、C10は人気の広さで評価される
  • 市場規模はC10の方が大きいが、プリンスの歴史価値も非常に高い


プリンス時代のスカイラインには、独立メーカーならではの職人気質が感じられて、今見ても特別な雰囲気がありますよね。

一方C10は、日産の技術や量産力が加わって“スカイラインというブランドが一気に開花した瞬間の象徴”という印象です。

それぞれの時代に違う魅力があって、比較していくほど奥が深いモデルだと感じます。

まとめ

プリンス時代のスカイライン(S50/S54系)と、日産統合後に登場したスカイライン C10は、同じ「スカイライン」という名を持ちながら、その性格・設計思想・走りの感覚・市場での評価まで、大きく異なる進化を遂げてきました。

プリンス時代のモデルは、軽快で上品、欧州車のような空気感を持つ“高級小型車”として生まれ、技術者主導の繊細な設計思想が色濃く残っています。

対してC10は、日産の量産設計とスポーツ志向が融合し、より剛性感のある“力強いスポーツセダン”へと変貌しました。

設計面では、プリンスの軽量で細身の骨格から、C10の箱型で高剛性なモノコックへと完全に方向転換が行われ、足まわりもリジッド中心からセミトレーリングアームへと進化しています。

エンジンでは、プリンスが欧州志向の軽快なG系エンジンを特徴としていたのに対し、C10は耐久性とパワーを重視したL型、さらにS20という高性能ユニットの登場により、スポーツイメージを決定づける存在となりました。

走行性能も、プリンスは軽快さとしなやかさ、C10は高速安定性とスポーツフィールというように、クルマの性格そのものが大きく変わっています。

レストア・維持の観点でも両者は大きく異なります。

プリンス時代のモデルは部品供給が非常に厳しく、外装・内装ともに欠品が多く、レストア難度は極めて高いのが現状です。

これに対しC10は前期/後期で差はあるものの、L型エンジンを中心に整備環境が比較的整っており、旧車の中では維持しやすい部類といえます。

そのため市場規模もC10の方が大きく、GT系を中心に高い人気を保っています。

一方でプリンス時代は少数派ながらもコアな愛好家に支持され、文化遺産的価値を持つ希少車として特別な立ち位置にあります。

まとめると、プリンス時代のスカイラインは“技術者の理想を形にした上品なスポーツセダン”、C10は“日産が実用性とスポーツ性を両立させた完成度の高いスポーツセダン”といえるでしょう。

どちらが優れているという話ではなく、それぞれが持つ魅力がまったく違うベクトルに存在しています。

歴史を踏まえて比較すると、スカイラインという車がどのように育ち、どのように現在の地位を築いたのかがはっきりと見えてきます。

プリンスの意思を継ぎつつ、日産が新しいスカイライン像を作り上げたC10は、まさに“世代交代の象徴”と言える存在です。


参考リンク

プリンス自動車 S50/S54 カタログ(国立国会図書館デジタルコレクション)
https://dl.ndl.go.jp/

日産自動車 1968年 スカイライン C10 カタログ
https://www.nissan.co.jp/

日産自動車 歴代スカイライン資料
https://www.nissan-global.com/

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