ホンダ アコード CB3は、当時は「実用性重視のFFミドルセダン」という評価が強く、スポーツモデルの影に隠れがちな存在でした。
しかし近年、旧車市場や実用旧車の文脈で、CB3があらためて注目されつつあります。
理由は単なる懐古ではなく、設計思想の堅実さ、ボディサイズと室内空間のバランス、そして現代交通環境でも無理なく使える性能にあります。
一方で、年式相応の経年劣化、錆の出やすい部位、電子部品や補修パーツの供給状況、現行の保安基準との関係など、冷静に確認すべき点も少なくありません。
購入を検討するなら「人気だから」ではなく、「今の生活環境で維持できるか」「手を入れながら長く付き合えるか」を見極める必要があります。
この記事では、アコードCB3がなぜ再評価されているのかを一次情報ベースで整理しつつ、現代で実際に乗る価値があるのかを多角的に検証していきます。
感情論ではなく、購入・保管・維持の現実を踏まえた判断材料を提示することを目的としています。
Contents
アコードCB3が「今になって」人気と再評価を受けている理由
アコードCB3が近年あらためて注目されている背景には、「旧車としての分かりやすい派手さ」ではなく、当時の設計思想が現代視点で評価し直されている点があります。
1980年代後半〜1990年代初頭の国産ミドルセダンは、コスト・耐久性・日常使用を高い次元でまとめることが求められており、CB3はまさにその代表例といえます。
まず評価されているのが、ボディサイズと使い勝手のバランスです。
全長・全幅ともに現代のミドルセダンより一回り小さく、最小回転半径も比較的抑えられています。
都市部や地方問わず、現在の道路事情でも取り回しに大きなストレスが出にくい点は、再評価の大きな要因です。
当時の基本的な立ち位置とキャラクター
CB3はスポーツ路線でも高級路線でもなく、「実直なファミリーセダン」として開発されました。
この中庸な立ち位置が、当時は地味と見られがちでしたが、現在では過度な装備や複雑な電子制御を持たないシンプルさとして評価されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 駆動方式 | FF |
| ボディタイプ | 4ドアセダン |
| 設計思想 | 実用性・快適性・信頼性重視 |
| 当時の競合 | 同クラス国産ミドルセダン |
※細かな諸元数値やグレード差については、年式・仕様により異なるため一律の断定はできません。
「古さ」ではなく「扱いやすさ」が評価されている
再評価の中心にあるのは、「速さ」や「希少性」ではありません。
・視界の良さ
・自然なドライビングポジション
・扱いやすい車両感覚
といった、日常的に使ったときのストレスの少なさが評価されています。
これはカタログスペックだけでは見えにくい部分ですが、資料や当時の設計背景を追うと、意図的に重視されていた点であることが分かります。
デザイン面での再評価
デザインについても、直線基調で過度な装飾のない外観が「時代を感じさせにくい」と捉えられるようになっています。
いわゆるネオクラシック的な見方ではなく、実用車としての完成度の高さが結果的に古さを和らげているという評価です。
要点まとめ
- 当時は地味とされた「実用重視設計」が、現代では長所として再評価されている
- ボディサイズと取り回しの良さが、現在の道路環境に合っている
- 複雑な電子装備が少なく、構造が比較的シンプル
- デザインも過度な時代性が出にくい
この年代のセダンを資料で見ていると、「派手さはないけれど、長く使う前提で丁寧にまとめられている車」という印象を受けます。
今あらためて注目されるのも、そうした誠実さが伝わってくるからかもしれませんね。
当時の評価と現在の評価は何がどう変わったのか

アコードCB3の評価が変化した最大の理由は、車に求められる価値基準そのものが変わった点にあります。
登場当時は「無難」「堅実」「欠点が少ない」という評価が中心で、強い個性や話題性を求める層には刺さりにくい存在でした。
しかし現代では、その“無難さ”がむしろ長所として捉えられています。
新車当時の評価軸と限界
当時の国産車市場では、
・高性能エンジン
・スポーティな足回り
・豪華装備や新技術
といった要素が注目されやすく、CB3のような実用本位のセダンは「優等生だが面白みに欠ける」と見られる傾向がありました。
販売面では一定の支持はあったものの、強烈なイメージを残す車種ではなかったのが実情です。
| 観点 | 当時の評価 |
|---|---|
| キャラクター | 地味・実用的 |
| 走行性能 | 不満はないが突出しない |
| 装備 | 必要十分 |
| 話題性 | 低め |
現在の評価軸へのシフト
現在は状況が大きく異なります。
・電子制御の複雑化
・部品高騰
・車両価格の上昇
こうした背景の中で、構造が比較的シンプルで、素性の良い車が再評価される流れが生まれています。
CB3はこの条件に合致し、「過剰でないこと」が安心材料として受け取られています。
経年を経て見えてきた設計の良さ
時間が経ったことで、当時は見えにくかった設計の意図も浮き彫りになっています。
・長距離移動を想定した安定志向
・室内空間の余裕
・日常使用での耐久性
これらは短期的な試乗やカタログ比較では評価されにくい部分ですが、長期使用という視点では重要な要素です。
「目立たなかった車」が残っている理由
派手な性能や尖った個性を持つ車は記憶に残りやすい一方で、維持が難しく淘汰されていくケースも少なくありません。
その点、CB3は極端な設計を避けた結果、現存率という形で評価が裏付けられているとも言えます。
要点まとめ
- 当時は「無難」「地味」という評価が中心だった
- 現代ではシンプルさ・堅実さが強みとして再評価
- 長期使用を前提とした設計が時間を経て評価されている
- 派手さはないが、残っている理由が明確な車種
資料を見比べていると、流行を追わずに基本を丁寧に作った車ほど、評価が後から追いついてくるように感じます。
CB3もまさにそのタイプの一台だと言えそうですね。
現代の交通環境でアコードCB3に乗る価値はあるのか

現代でアコードCB3に乗る価値を考える際、重要なのは「当時の基準で優れていたか」ではなく、今の道路事情・使用環境に適応できるかという視点です。
結論から言えば、条件を理解したうえで選ぶのであれば、CB3は現在でも実用に耐えうる要素を多く持っています。
現代の道路事情との相性
CB3は全体的にコンパクト寄りのミドルセダンで、
・狭い住宅街
・地方の細い生活道路
・古い駐車場規格
といった環境でも扱いやすいサイズ感です。
現行車のような全幅拡大や低視界設計ではないため、車両感覚が掴みやすい点は大きな利点です。
| 観点 | 現代視点での評価 |
|---|---|
| 車幅感覚 | 掴みやすい |
| 視界 | 良好 |
| 取り回し | 比較的容易 |
| 駐車 | 制約が少ない |
動力性能と流れへの適応
加速性能や最高速といった数値面では、現代の車と比較して見劣りする部分は否定できません。
ただし、法定速度内で流れに乗る用途であれば、不足を感じる場面は限定的です。
急加速や高負荷走行を前提にしなければ、実用面で致命的な欠点とは言えません。
快適性と静粛性の現実
遮音材やボディ剛性は年式相応であり、最新車のような静粛性は期待できません。とはいえ、過度な演出がない分、
・エンジン音
・路面状況
・車速感
が素直に伝わり、運転そのものに集中しやすいという評価もあります。
この点を快適と感じるかどうかは、使用者の価値観に大きく左右されます。
安全装備と割り切り
現代車に標準装備されている運転支援機能は備えていません。この点は明確な割り切りが必要です。
・自分で操作する前提
・予測運転を徹底する
といった姿勢が求められ、「便利さ」を重視する人には向きません。
要点まとめ
- 現代の道路事情でも扱いやすいサイズと視界
- 動力性能は十分だが過度な期待は禁物
- 快適性は年式相応、価値観次第
- 安全支援装備はなく、運転主体の車
資料を眺めていると、CB3は「使う人が車を理解すること」を前提に作られているように感じます。
便利さよりも、素直な操作感を楽しめる人にとっては、今でも意味のある一台なのかもしれません。
購入前に必ず確認すべき現実的な注意点(維持・保管・法規)
アコードCB3を現代で選ぶ場合、評価や雰囲気だけで判断するのは危険です。
ここでは「購入後に困りやすい現実的なポイント」を中心に整理します。
いずれも個体差が大きく、一律の断定はできないため、確認すべき観点として読むことが重要です。
錆とボディコンディションの現実
CB3は特別に錆びやすい設計というわけではありませんが、年式を考えると錆の有無は最重要チェック項目です。
特に以下の部位は個体差が出やすいとされています。
| 部位 | 注意点 |
|---|---|
| フロア下面 | 防錆処理の有無で差が出る |
| サイドシル | 見た目以上に内部が進行している場合あり |
| トランク周辺 | 雨水侵入歴がある個体は要注意 |
| 足回り取付部 | 構造上、錆が進むと修理が大掛かり |
進行度合いや修復歴については、外観だけでは判断できないケースも多く、必ず実車確認が前提となります。
部品供給と今後の見通し
機関系の消耗部品については、汎用品や互換対応が可能なケースもあります。ただし、
・内装部品
・樹脂部品
・一部専用パーツ
については、新品供給が不明または困難なものも存在します。
今後の供給見通しについて、公式な継続保証があるわけではないため、「不明」と認識しておく必要があります。
維持費とランニングコスト
車両価格が比較的落ち着いている一方で、維持費は「安い」とは言い切れません。
| 項目 | 現実的な考え方 |
|---|---|
| 車検 | 年式相応の整備前提 |
| 税金 | 排気量区分に応じて発生 |
| 保険 | 条件により割高になる場合あり |
| 突発修理 | 年により発生頻度が変動 |
毎月一定額で済む車ではないことは、事前に理解しておく必要があります。
現行保安基準との関係
基本的な保安基準は満たしていますが、
・灯火類
・排ガス関連
・経年劣化による数値逸脱
などは、個体によって指摘を受ける可能性があります。
基準適合の可否は年式・仕様・状態に左右されるため、ここも一概には言えません。
要点まとめ
- 錆の有無と進行度は最重要チェック項目
- 部品供給は分野によって不透明な部分がある
- 維持費は「安定しない」前提で考える
- 保安基準は個体差により注意が必要
旧車全般に言えることですが、CB3も「買って終わり」の車ではなさそうです。
状態を見極めながら付き合っていく前提で考えると、安心感のある選択になる気がします。
アコードCB3はどんな人に向いている旧車なのか
ここまで整理してきた要素を踏まえると、アコードCB3は「万人向けの旧車」ではありません。
一方で、条件や価値観が合う人にとっては、非常に納得感の高い選択肢になり得ます。
重要なのは、何を期待し、何を割り切れるかを明確にすることです。
向いている人の傾向
CB3に向いているのは、以下のような考え方を持つ人です。
| 観点 | 向いているタイプ |
|---|---|
| 走りの期待 | 速さより扱いやすさ重視 |
| デザイン | 控えめ・実直な造形が好み |
| 維持姿勢 | 手をかけながら乗る前提 |
| 使用頻度 | 毎日ではなく余裕のある使い方 |
| 価値観 | 派手さより完成度を評価 |
いわゆる「憧れのスポーツカー」を求める層や、最新装備・快適性を重視する人には、ミスマッチが起きやすい車種です。
サブカー・趣味車としての立ち位置
CB3は、
・セカンドカー
・週末中心の使用
・保管環境に余裕がある
といった条件下では、現実的な旧車として成立しやすい傾向があります。
毎日の足として酷使するよりも、状態を維持しながら乗るスタイルの方が、この車の良さを活かしやすいと言えます。
「分かる人向け」の魅力
CB3の魅力は、外から見て分かりやすいものではありません。
・ドアを開けたときの視界
・着座位置の自然さ
・運転中の落ち着き
こうした要素は、実際に触れて初めて理解できる部分です。
そのため、所有満足度は人を選ぶ傾向がありますが、合った人には長く手放しにくい存在になるようです。
選ぶ際の最終判断ポイント
最後は「理屈」と「感覚」の両立が重要です。
・状態に無理がないか
・維持できる環境があるか
・この車と長く付き合いたいと思えるか
これらを冷静に整理したうえで選ぶなら、CB3は決して時代遅れの選択ではありません。
要点まとめ
- 派手さや最新性を求める人には不向き
- 落ち着いた実用旧車を求める人向け
- サブカーや余裕のある使い方と相性が良い
- 理解して選べば満足度は高い
資料を眺めながら考えていると、CB3は「静かに評価されるタイプの車」だと感じます。
流行とは距離を置きつつ、自分のペースで楽しめる人にこそ合う一台なのかもしれませんね。
よくある質問

Q1. アコードCB3は初心者が最初に選ぶ旧車として向いていますか?
完全な初心者にはやや注意が必要です。
構造は比較的シンプルですが、年式相応の整備判断や不具合の見極めが求められます。
旧車経験者、もしくは相談できる整備環境がある人向けと言えます。
Q2. 部品が手に入らなくて動かせなくなる心配はありますか?
消耗品や汎用部品は対応可能な場合がありますが、専用部品や内装部品は入手が不透明なものもあります。
将来の供給について公式な保証はなく、この点は「不明」と考える必要があります。
Q3. 毎日の通勤に使うのは現実的でしょうか?
可能ではありますがおすすめはしにくいです。
突発的なトラブルや整備のための時間を確保できない場合、ストレスになる可能性があります。
余裕のある使用が前提です。
Q4. 燃費はどの程度期待できますか?
個体差や使用状況によって大きく変わります。
カタログ数値と実燃費には差が出るため、具体的な数値の断定はできません。
Q5. 錆が少ない個体なら安心して購入できますか?
錆が少ないことは大きなプラス要素ですが、それだけで安心とは言えません。
過去の修復歴や内部の状態も重要で、総合的な判断が必要です。
Q6. 現代の車検制度で問題になる点はありますか?
基本的には対応可能ですが、灯火類や排ガス、経年劣化による数値逸脱など、個体によって指摘を受ける可能性があります。
Q7. オートマ車は将来的に維持が難しくなりますか?
可能性はあります。
制御部品や内部部品については供給状況が不明な点があり、今後の維持については断定できません。
Q8. 購入時に最も重視すべきポイントは何ですか?
走行距離よりも「状態」です。
錆、異音、整備履歴、保管環境など、総合的なコンディションを優先すべきです。
Q9. 価格が安い個体は狙い目ですか?
安さだけで判断するのは危険です。
初期整備費用が高額になるケースもあり、結果的に割高になることがあります。
Q10. 長く乗るための心構えは?
完璧を求めすぎないことです。
多少の手間や不便さを受け入れつつ、状態を維持していく姿勢が求められます。
まとめ
アコードCB3は、派手さや分かりやすい価値を前面に出した旧車ではありません。
しかし、実用性を重視して設計された背景や、現代の道路環境でも扱いやすいサイズ感、素直な操作性といった要素は、時間を経た今だからこそ評価できるポイントです。
一方で、錆や部品供給、維持費の変動など、年式相応のリスクがあることも事実で、安易な選択はおすすめできません。
この車に向いているのは、旧車を「完成品」としてではなく、「付き合いながら維持していく存在」として受け止められる人です。
流行や希少性ではなく、設計の誠実さや落ち着いた佇まいに価値を見いだせるのであれば、CB3は今でも十分に選ぶ理由のある一台だと言えるでしょう。