CR-X EF8を検討する際、現存車の状態や改造履歴ばかりに目が向きがちですが、そもそも「新車当時、どのような装備と位置付けで販売されていたのか」を正確に理解しておくことは非常に重要です。
1989年に登場したCR-X SiR(EF8)は、ホンダのスポーツモデル戦略の中でも特別な役割を担っており、価格設定や標準装備には明確な意図が読み取れます。
装備内容を知ることで、現存車が本来の姿を保っているのか、それとも大きく性格が変わっているのかを判断しやすくなりますし、レストア時の方向性を決める材料にもなります。
この記事では、当時の公式カタログを軸に、CR-X EF8の装備構成、新車価格、グレードとしての立ち位置を整理し、現在の視点でどこを見るべきかを冷静に解説していきます。
感覚的な評価ではなく、資料ベースでCR-X EF8を理解したい人向けの内容です。
Contents
【CR-X EF8】登場時のモデル位置付けと販売背景

CR-X EF8は、1989年にCR-Xシリーズの最上位スポーツグレードとして登場しました。
先代CR-Xから続く「軽量・高性能」というコンセプトを継承しつつ、EF8ではホンダの最新技術を集中的に投入することで、明確にキャラクターを進化させています。
CR-Xシリーズ内での立ち位置
EF8が属する2代目CR-Xは、実用性よりも走行性能を重視した3ドアクーペとして展開されていました。
その中でEF8(SiR)は、
- シリーズ唯一のDOHC VTEC搭載
- 最高出力160PSという突出したスペック
- 価格帯も上位に設定
という点から、明確に「走りを最優先する層」を狙ったモデルだったことが分かります。
| 項目 | EF8(SiR) | 他グレード |
|---|---|---|
| エンジン | B16A DOHC VTEC | SOHC / DOHC |
| 性格 | スポーツ志向 | 実用寄り |
| 価格帯 | 高め | 比較的抑えめ |
※他グレードの詳細数値は仕様差があるためここでは省略。
当時のホンダ車ラインナップとの関係
1989年前後のホンダは、シビック・インテグラ・プレリュードなど、複数のスポーツモデルを同時展開していました。
その中でCR-X EF8は、
- 最も軽量な車体
- 最も高回転型のエンジン
- 2シーターに近い割り切り
という特徴を持ち、日常性よりも運転体験を優先した立ち位置にあります。
この点は、後年のタイプR系モデルとは異なり、より純粋なスポーツ志向として設計されていたことを示しています。
販売時に想定されていたユーザー像
当時のカタログ表現や装備構成から読み取れるのは、
- 若年層でも手が届く範囲の価格
- 競技ベース車としての素性
- 改造を前提としない完成度
といった要素です。
CR-X EF8は「快適なGT」ではなく、「操る楽しさを知っている層」に向けた車として企画されていたと考えられます。
要点まとめ
- EF8はCR-Xシリーズの最上位スポーツグレード
- DOHC VTEC搭載により明確に別格の位置付け
- 実用性より走行性能を優先したモデル
- 当時のホンダスポーツ戦略を象徴する存在
この時代のホンダ車を資料で見ていくと、モデルごとの役割分担が非常に分かりやすいですね。
CR-X EF8は、その中でもかなり割り切ったスポーツモデルとして設計されていたように感じます。
【CR-X EF8】当時カタログに記載された標準装備一覧
CR-X EF8(SiR)の装備内容を正確に把握するには、当時の公式カタログに記載された「標準装備」を一つずつ整理する必要があります。
現存車の多くは何らかの改変が施されていますが、何が最初から備わっていたのかを理解しておくことで、現状評価やレストア方針の判断精度が大きく変わります。
パワートレーン・走行関連装備
EF8はエンジン性能だけでなく、それを活かすための足回りや駆動系も含めて一体で設計されています。
| 分類 | 標準装備内容 |
|---|---|
| エンジン | B16A DOHC VTEC |
| トランスミッション | 5速マニュアル |
| 駆動方式 | FF |
| サスペンション | 前後ダブルウィッシュボーン |
| ブレーキ | 前輪ディスク / 後輪ディスク |
後輪ディスクブレーキが標準である点は、同時代のコンパクトクラスとしては比較的珍しく、走行性能を重視していたことが分かります。
操縦性を意識した基本装備
運転に直接関わる部分は、装備の豪華さよりも「操作感」が優先されています。
- マニュアルステアリング(パワーステアリング非標準)
- 機械式メーター構成
- タコメーター標準装備
パワーステアリングが標準でない点は、現代の感覚では割り切りが強く感じられますが、軽量化とダイレクト感を重視した選択と読み取れます。
快適装備の考え方
EF8はスポーツモデルでありながら、最低限の快適装備は用意されています。
ただし、その内容は明確に「必要最小限」です。
| 装備項目 | 標準 / 非標準 |
|---|---|
| エアコン | 標準 |
| パワーウインドウ | 標準 |
| 集中ドアロック | 標準 |
| 電動ミラー | 標準 |
| オーディオ | ラジオ付(仕様詳細不明) |
オーディオの詳細仕様(スピーカー構成や出力)は、カタログ上で明確な記載が確認できないため不明とします。
安全装備について
1980年代後半の車両であるため、現代的な安全装備は想定されていません。
- エアバッグ:非装備
- ABS:非標準(設定有無は資料未確認)
この点は、現代で所有・運転する際に必ず認識しておくべき重要事項です。
標準装備から読み取れる設計意図
装備構成全体を見ると、EF8は
- 走行性能に直結しない装備は最小限
- 重量増につながる装備は極力排除
- ドライバー主体の操作感を優先
という思想でまとめられています。
豪華さや利便性を求める層ではなく、「運転そのもの」を楽しむユーザーを明確に想定していたことが分かります。
要点まとめ
- EF8は走行性能重視の標準装備構成
- 後輪ディスクブレーキなど足回りが充実
- 快適装備は最低限に抑えられている
- 安全装備は現代基準では簡素
カタログ装備を見ていると、今の基準では驚くほど割り切った内容ですね。
ですが、その分だけ車の性格が非常に分かりやすく、CR-X EF8が何を目指したモデルだったのかが伝わってくる気がします。
【CR-X EF8】内装・外装装備の特徴

CR-X EF8の内装・外装は、カタログを見る限り「華美さ」よりも「機能性」と「軽量性」を優先した構成になっています。
スポーツモデルとしての性格は、エンジンや足回りだけでなく、デザインや装備の選択にもはっきり表れています。
外装デザインと装備構成
EF8の外装は、空力と軽量化を意識したシンプルな構成です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ボディ形状 | 3ドアハッチバック |
| フロント | 固定式ヘッドライト |
| リア | 大型ハッチゲート |
| エアロ | 専用スポイラー(仕様詳細不明) |
派手なエアロパーツは装備されておらず、直線基調のボディラインと低い全高が強調されています。
この控えめな外観は、当時の「走り重視モデル」らしい選択と言えるでしょう。
ホイール・足回り外観
EF8は純正状態でアルミホイールを装着していましたが、サイズやデザインの詳細についてはカタログ上で明確な寸法記載が確認できていません。
- アルミホイール標準
- タイヤサイズ詳細:不明
現存車では社外ホイールへの交換が多く、純正状態を保っている個体は少数派です。
そのため、レストア時には「見た目の再現性」をどこまで求めるかが判断ポイントになります。
内装の基本構成
内装はドライバー中心のレイアウトが採用され、操作系は非常にシンプルです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| シート | 専用スポーツシート |
| メーター | アナログ式 |
| ステアリング | 3本スポーク |
| 内装色 | ダーク系基調 |
派手な装飾はなく、メーターやスイッチ類も視認性を重視した配置です。
後席については、あくまで補助的な位置付けで、実用性は限定的と考えるべきでしょう。
快適性と割り切り
EF8の内装装備は、
- 乗員の快適性より運転感覚を優先
- 遮音・静粛性は控えめ
- 内装材質は軽量重視
という思想でまとめられています。
そのため、現代車と比べると騒音や振動は大きく感じられる可能性がありますが、それは設計上の欠点ではなく、性格の違いと言えます。
現存車で確認すべきポイント
内外装に関しては、経年劣化による影響が非常に出やすい部分でもあります。
- シート表皮の擦れ・破れ
- ダッシュボードの割れ
- 外装樹脂部品の退色
これらは走行性能には直接影響しませんが、当時の雰囲気を保っているかどうかを判断する重要な材料になります。
要点まとめ
- 外装はシンプルで軽量重視
- 内装は操作性優先の割り切り構成
- 快適性や静粛性は最低限
- 経年劣化の影響が出やすい部位が多い
資料を見ていると、EF8の内装・外装は「余計なものを足さない」思想が徹底されていますね。
豪華さはありませんが、走りに集中するための環境づくりとしては、非常に分かりやすい作りだと感じます。
【CR-X EF8】新車価格と他グレードとの比較
CR-X EF8(SiR)の価値を正しく理解するには、新車当時の価格設定と、それがシリーズ内・同時代車と比べてどの位置にあったのかを確認する必要があります。
価格は装備や性能だけでなく、メーカーが想定した役割を最も端的に示す要素だからです。
CR-X EF8の新車価格
CR-X EF8(SiR)の新車価格は、当時のメーカー公表資料において約160万円台とされています。
正確な税込・税抜の区分やオプション込み価格については、資料によって表記が異なるため、ここでは断定を避けます。
重要なのは、この価格が同時代のコンパクトクラスとしては明確に高めであった点です。
| モデル | 新車価格帯(当時) | 位置付け |
|---|---|---|
| CR-X EF8(SiR) | 約160万円台 | 最上位 |
| CR-X 他グレード | 約120〜140万円台 | 実用寄り |
※他グレードの詳細価格は仕様差が多く、正確な数値はここでは扱わない。
価格に反映された要素
EF8の価格が高めに設定された理由は、単に「スポーツモデルだから」ではありません。
- B16A DOHC VTECエンジン
- 四輪ディスクブレーキ
- 専用足回り構成
- アルミホイール標準
これらは当時としてはコストのかかる装備であり、価格に反映されるのは自然な流れです。
特にエンジンは、量産エンジンとしては非常に贅沢な内容で、価格差の大きな要因になっています。
同時代ホンダ車との価格感覚
1989年前後のホンダ車と比較すると、EF8の価格帯は次のような位置にありました。
| 車種 | 価格帯 | 性格 |
|---|---|---|
| シビック | 100万円台前半 | 実用 |
| CR-X EF8 | 160万円台 | 純スポーツ |
| プレリュード | 170〜200万円台 | 上級GT |
EF8は、ボディサイズや実用性ではシビックに近いにもかかわらず、価格はプレリュードに迫る設定です。
これは、車格より中身を重視したモデルであることを示しています。
コストパフォーマンスという視点
当時の視点で見ると、EF8は決して「安い車」ではありませんでした。
ただし、
- 排気量以上の性能
- 軽量ボディとの組み合わせ
- 競技ベースとしての素性
を考慮すれば、価格に見合った内容だったと評価する声が多かったのも事実です。
一方で、快適装備や安全装備を重視する層にとっては、割高に映った可能性もあります。
要点まとめ
- EF8の新車価格は約160万円台
- CR-Xシリーズ内では明確に最上位
- 高価格の理由はエンジンと足回り
- 車格より性能重視の価格設定
価格表を見ていると、EF8が「誰にでも勧める車」ではなかったことがよく分かりますね。
必要な人にだけ刺さる、その分だけ割り切った値付けだったように感じます。
【CR-X EF8】装備内容から見えるSiRの性格

CR-X EF8(SiR)の装備構成を総合的に見ると、この車がどのような価値観で作られ、どの層に向けられていたのかがはっきりと浮かび上がってきます。
豪華さや利便性ではなく、「走るために必要なもの」を厳選した結果が、そのまま装備内容に反映されています。
「全部入り」をあえて選ばなかった理由
EF8の装備を眺めると、当時すでに他車で一般化していた装備が、あえて採用されていない点が目立ちます。
- パワーステアリング非標準
- 過剰な電動装備を排除
- 内装加飾は最小限
これはコスト削減というよりも、重量増と操作感の変化を避けるための選択と考えるのが自然です。
特にステアリングフィールやペダル操作といった部分は、ドライバーの感覚を最優先した設計になっています。
エンジンを中心に組み立てられた装備構成
EF8は、B16Aエンジンを核として、
- 足回り
- ブレーキ
- 車体剛性
がバランス良くまとめられています。
一部の装備だけが突出しているのではなく、「走行性能を破綻させないための最低限かつ十分な構成」である点が特徴です。
このため、装備表だけを見ると地味に感じる部分もありますが、実際には性能を引き出すための裏方がしっかり用意されているモデルと言えます。
現代視点で見た割り切りの意味
現在の基準でEF8を見ると、
- 快適性は明確に低い
- 安全装備は簡素
- 日常用途には不便
と感じる部分が多いのも事実です。
しかし、それは欠点というより、最初からそこを目的にしていないという話になります。
EF8は、
- 走ることを楽しみたい
- 車に操作を委ねたい
- 運転そのものを体験したい
という人向けに作られた車であり、その思想は装備内容からも一貫しています。
装備を知ることが購入判断につながる
当時の装備内容を理解しておくことで、
- 現存車の状態評価
- レストア時の方向性
- 不要な期待をしない判断
がしやすくなります。
EF8は「何でもできる車」ではありませんが、「何を求める車か」が非常に分かりやすいモデルです。
要点まとめ
- EF8は快適装備を意図的に抑えた構成
- エンジン性能を中心に装備が組まれている
- 現代基準では不便だが思想は明確
- 装備理解が購入・維持判断に直結する
装備表を見返すほど、EF8は本当に目的がはっきりした車だと感じます。
必要なものだけを残し、余計なものを足さない。
その潔さが、今でも評価され続けている理由なのかもしれませんね。
まとめ
CR-X EF8は、新車当時から「走り」を最優先に据えた明確な思想のもとで販売されたモデルです。
カタログに記載された装備内容や価格設定を見ても、実用性や豪華さではなく、エンジン性能と操作感に価値を置いていたことがよく分かります。
B16A DOHC VTECという当時最先端のエンジンを中心に、足回りやブレーキまで含めて一体で設計されており、単なるグレード違いではない特別な位置付けでした。
一方で、その割り切りは現代では不便さとして感じられる場面も少なくありません。
安全装備や快適性は最低限で、日常の足として万能とは言えないのも事実です。
しかし、当時の装備構成を理解したうえで向き合えば、「なぜこうなっているのか」が腑に落ち、評価の軸も自然と定まります。
CR-X EF8は、背景や思想まで含めて理解することで初めて魅力が見えてくる一台だと言えるでしょう。
