カローラ

【カローラ E10 vs E20】初代と2代目の違いを徹底比較 ─ ボディ構造・エンジン性能・実用性まで旧車選びに必要なポイントを詳しく解説

1966年に誕生したE10型カローラは、日本のモータリゼーション黎明期における“合理的な大衆車”として広く受け入れられました。

一方、1970年に登場したE20型はボディ拡大、エンジン強化、ボディバリエーション拡充などの改良が加えられ、ユーザーの“実用性”にさらに踏み込んだモデルと言えます。

しかし、旧車としての購入・維持を考えるなら、単なる違い以上に「部品の入手」「保安基準適合」「維持費」「実用性/実用快適性」などを冷静に比較する必要があります。

本記事では、E10/E20それぞれの設計思想、仕様、実用性の差を整理し、どのような人にどちらが向いているかを考えます。

もしこれから旧車としてカローラを検討するなら、この記事で“どちらを選ぶかの判断材料”の整理にお役立てください。

Contents

基本設計とボディ構造の違い

E10の設計概要

  • E10は1966年に登場したカローラ初代モデル。FR(後輪駆動)方式を採用。エンジンは水冷直列4気筒、排気量は 1.1 L(K型/1077cc)または 1.2 L(3K型/1166cc)が中心。
  • 足まわりはフロントがマクファーソンストラット+エンジン下に横置きリーフスプリング、リアはリジッドアクスルとリーフスプリング。
  • トランスミッションは4速マニュアル(フロア or コラム)または 2速オートマチック。これは当時の国産大衆車としては先進的だったようです。

E20での基本設計の見直し

  • E20でも基本的に FR 方式を継承。
  • ただしフロントのサスペンションが改良され、リーフスプリングを使わず、より標準的なマクファーソンストラット+スタビライザー(スウェイバー)を採用。これにより乗り心地と操安性が向上したようです。
  • シャーシ設計や車体構造の基本骨格は共通性がありますが、ボディ設計・寸法・安全・快適装備が時代のニーズに合わせて進化しています。

要点まとめ

  • E10は“最初のカローラ”としてシンプル設計。エンジン・駆動方式ともに大衆向けの王道仕様。
  • E20は基本骨格を継承しつつ、フロント足回りを改良し快適性・走行安定性を向上。
  • 世代間で設計思想の継続性がありつつ、“より実用的で快適な大衆車”へと進化した。

この年代の構造を見ると、当時の実用車としては必要十分で、過剰な凝り方をしていないあたりも、普段使いの安心感がありますね。

ボディサイズ・車内空間・ボディバリエーションの拡大

E10からE20へのモデルチェンジで、最も分かりやすく進化したのが「ボディサイズ」と「室内空間」、そして「選べるボディバリエーションの幅」です。

どちらを旧車として選ぶかを考える際、実用性に直結する重要ポイントなので丁寧に整理します。


ボディサイズの違い(主要寸法比較)

当時のカタログ値に基づく、おおまかなサイズ比較は以下のとおり。

型式全長全幅全高ホイールベース備考
E10(初代)約3,845mm約1,485mm約1,380〜1,400mm約2,285mmコンパクトさが際立つ設計
E20(2代目)約3,895mm約1,485mm約1,380〜1,405mm約2,335mmホイールベース延長で乗り心地向上

※値はグレード・仕様差で若干の変動あり。不明な細部は公的資料等で要確認。

ポイント:

  • 全長+50mm前後、ホイールベース+50mmの延長で、直進安定性・乗り心地が改善。
  • 全幅はほぼ同じだが、室内効率の改善でE20は後席の余裕が増す。

室内空間の印象的な変化

E10は「最小限のスペースで最大効率」を志向した実用小型車で、前席は十分でも後席は“必要最小限”といえるレベル。

一方で、E20は後席レッグスペース、シート形状、乗降性が見直され、日常利用がしやすくなっています。

項目E10E20
前席スペース必要十分ほぼ同等
後席スペースタイトやや改善され余裕あり
乗り降り開口が小さめ開口がやや大きく扱いやすい
トランク容量小型若干拡大

特に後席を使用する機会がある人にはE20のほうが実用的。


ボディバリエーションの違い

E10も複数ボディを持つが、E20ではより多彩な構成が展開されました。

旧車市場でもE20の方が“好みで選べる幅”が広いです。

ボディタイプE10E20
2ドアセダン
4ドアセダン
クーペ△(台数少なめ)○(TE27など人気高)
バン
商用系ワゴン
ハードトップ×○(スポーティ志向)

E20は「趣味性の高いスポーツ系ボディ」が明確に存在するのが特徴。


実用観点から見た総括

  • E10:最軽量・最コンパクトで「初代らしい素朴さ」が魅力。街乗り特化の感覚。
  • E20:日常利用における快適性を底上げし、用途に合わせてボディを選べる。

旧車として所有する場合、「普段どれくらい使うのか」「家族も乗るのか」で向き不向きが大きく分かれる部分。


要点まとめ

  • E20はE10より全長・ホイールベースが延長され、乗り心地と直進安定性が向上。
  • 後席スペース・乗降性・荷室でE20が優位。
  • ボディバリエーションの幅がE20で大きく拡張され、スポーツモデルも選択可能。
  • 実用性を求めるならE20、初代らしい小ささと軽快感を重視するならE10。

やっぱりこの時代のボディラインは直線基調で、見ているだけで時代の雰囲気が伝わってきて魅力がありますね。

エンジンと走行性能の変化

E10からE20へのフルモデルチェンジでは、エンジンの改良とラインナップの拡大が進み、実用域のトルクと巡航性能が底上げされています。

旧車としての“走れる度合い”を考えるうえでも非常に重要なポイントなので、一次資料に基づく範囲で整理します。


エンジン比較(主要スペック一覧)

項目E10(初代)E20(2代目)
主力エンジンK型(1077cc) / 3K型(1166cc)3K型(1166cc) / T型(1407cc)ほか
最高出力(目安)約60PS前後(K型)約73PS前後(3K-B)〜86PS前後(T型SUツインキャブ)
トルク約8.5kgf·m前後約9.5〜11kgf·m前後
燃料供給キャブレターキャブレター(仕様により1〜2連)
最高速度不明(資料差異あり)不明(仕様により差が大きい)

※数値は当時発行の公的カタログ・技術資料の範囲で確認できる代表的なスペック。詳細はグレードにより異なる。

※不明な資料部分は無理に推定せず「不明」と表記。


E10の走行特性

  • 1.1〜1.2Lクラスの小排気量エンジンで軽快さが特徴。
  • 車重が軽いため発進や街乗りでは十分な動力性能。
  • 高速道路の長距離巡航では余裕は少なく、回転数は高めになりやすい。
  • 静粛性は現代基準では控えめ。

E10は「軽さ」を前提に設計されているため、市街地中心で乗る限りは扱いやすい印象になる。


E20の走行特性(特にT型エンジン系)

  • 3Kの改良版では中低速トルクが向上し、日常域での扱いやすさが増した。
  • T型1.4L系(約86PS)はスポーティさが強まり、当時の“走りのカローラ”としての性格を形作った存在。
  • ホイールベース延長との相性も良く、直進安定性が強化されている。
  • 当時の試験データを見ると、高速巡航時の余裕がE10より明確に上。

用途が広がるのはE20。
「日常的な足としても使いたい」「郊外・高速道路も走る」という人にはE20のメリットが大きい。


変速機の違い

種類E10E20
MT4速(フロア/コラム)4速中心(一部5速あり)
AT2速2速(改良型)

E20では細部の改良により、発進からのスムーズさや騒音の抑制が進んでいる。


実用・維持観点

  • キャブ調整はどちらも必要だが、E20の方が部品流通が比較的豊富。
  • 排気量が大きい分、E20の方が余裕を持って走れる。
  • E10は旧車らしい素朴な走行感が魅力。

要点まとめ

  • E20はエンジンラインナップが拡大し、出力・トルクともに底上げされている。
  • 高速安定性と巡航性能はE20が優位。
  • E10は軽く、街乗り主体なら十分実用的。
  • 部品面はE20のほうが入手しやすい場合が多い。

道路を流れるように走るT型エンジンの雰囲気は、資料を眺めているだけでも当時のスポーティさが伝わってきます。

足まわり・サスペンション/走行安定性の進化

E10とE20を比較すると、走行性能の“体感差”に直結するのが足まわりの構造変更です。

特にフロントサスペンションの見直しは大きく、E20の乗り心地と直進安定性が向上した背景が理解しやすくなります。


サスペンション構造の比較表

項目E10(初代)E20(2代目)
フロントマクファーソンストラット+横置きリーフスプリングマクファーソンストラット+コイルスプリング+スタビライザー
リアリジッドアクスル+リーフスプリングリジッドアクスル+リーフスプリング(改良)
車重軽量若干増加
走行安定性コンパクトで軽快だが、ロールは出やすいサスペンション剛性が最適化され安定感が増す
乗り心地シンプルでやや固めの印象路面追従性が向上し、角の取れた乗り味

E10は旧来の小型FRらしい素朴な構造で、軽さゆえの機敏さが好まれた一方、E20はより“普通に使える大衆車”として快適性と安定性を底上げしています。


フロントサスペンションの大きな進化

E10に使われていた横置きリーフスプリングはコンパクト設計に役立ちましたが、路面追従性や高速域での安定性には限界がありました。

E20ではこれをコイルスプリング化+スタビライザー追加することで、以下の改善が得られています。

  • ロール量の減少
  • 高速直進安定性の改善
  • 操舵フィールの安定化
  • 路面からの入力がマイルドに変化

特に高速道路を多く使う場合、この差は体感として分かりやすい部分になります。


ステアリング系の進化

要素E10E20
操舵感軽量ボディで軽快。反応は早いが落ち着きは少なめ中立付近の安定感が向上
メカ構造ラック&ピニオン系(系統により差あり)改良版で遊びや剛性が調整

E20のほうが「日常で気を使わないハンドリング」に近づいている。


制動時の安定性

サスペンション剛性の最適化やホイールベース延長の恩恵で、急制動時の姿勢変化はE20が穏やか。

特に荷物や同乗者がいる場合、安定性の違いは大きい。


旧車として扱う際のポイント

  • E10は軽快だが、サスペンションの構造上、現代車と比べると挙動は素朴。
  • E20は足まわりの近代化が進み、整備後の乗り味も安定しやすい。
  • 足まわりブッシュやリーフの状態で乗り味が大きく変わるため、購入時の確認が重要。

要点まとめ

  • E20ではフロント足まわりが大幅改良され、走行安定性と乗り心地が向上。
  • 高速や長距離での疲労感はE20が軽減されやすい。
  • 軽快さ・素朴な操作感を重視するならE10、実用性と安定感ならE20。

当時のカローラらしい小柄なFR構造は、図面を見るだけでも時代の設計思想が見えてきて、非常に興味深いです。

ブレーキ/安全装備の違い

E10とE20の違いの中でも、日常での安心感に関わるのが「ブレーキ性能」と「安全装備」です。

旧車として現代の交通環境を走る場合、この差は実質的な“扱いやすさ”に直結します。


ブレーキ構成の比較表

項目E10(初代)E20(2代目)
フロントブレーキドラム(標準)ドラム(一部上位でディスク装備)
リアブレーキドラムドラム
ブレーキブースターなし〜一部のみグレードにより装備率向上
制動力車重が軽く必要十分だが余裕は少なめ改良により安定した制動を実現
高速域での安心感現代基準では控えめホイールベース延長+足まわり改良で姿勢が安定

E10は当時の大衆車として標準的なドラムブレーキ構成で、軽量ボディと相性が良いものの、長い下り坂・連続制動ではフェードの可能性があるため注意が必要です。

一方、E20では一部グレードに前輪ディスクが設定され、制動初期のレスポンスが向上。高速道路利用や長距離運転の場合は、E20のほうが体感的な安心度が高くなります。


ブレーキブースターの有無

装備E10E20
ブレーキブースター無装備車が多い装備車が増加

ブースターの有無は踏力に大きく影響するため、街乗り中心であってもE20のほうが扱いやすいケースが多いです。


安全装備の違い

1960年代後半〜70年代初頭の小型車は、安全装備がまだ発展途上でしたが、E20では車体剛性や衝突時の保護性能が徐々に改善されました。

項目E10E20
車体剛性必要最小限強化方向へ改良
シートベルト2点式中心3点式が普及し始める
ヘッドレスト無し〜簡易型装備車が増加
衝突安全対策極めて簡易時代的に少し改善

もちろん現代基準とは比較できませんが、普段使い・遠乗り用途ではE20のほうが“疲れにくく安全に感じやすい”構造になっています。


実用上の注意点

  • 両車とも整備状態で制動力が大きく変わるため、購入前の点検は必須。
  • ブレーキシリンダーやホース類は経年劣化しやすく、交換前提で考えると安心。
  • ドラム中心の構成のため、メンテナンス性は良好な部類。

要点まとめ

  • E20は一部に前輪ディスクを採用し、制動安定性が改善。
  • ブースター装備車が増え、街乗りでも扱いやすくなった。
  • 車体剛性や安全装備もE20で段階的に進化。
  • 旧車として“気を使わないで乗れる度合い”はE20が高い。

当時の安全基準の移り変わりを見ると、E10の素朴さも魅力ですが、E20のほうが普段使いには安心できそうな印象があります。

保守・部品入手性の観点から見た違い

E10とE20を旧車として検討する際、実際の維持に最も直結するのが「部品がどれだけ手に入るか」「整備しやすいか」という点。

年代が近いとはいえ、入手性や難易度には明確な差があります。


機関部品の入手性の比較

項目E10(初代)E20(2代目)
エンジン部品K型・3K型は一部入手可。年式差で適合に注意3K・T型関係は比較的流通多め
電装品一部リビルトあり。年式により互換性が不明な場合もE10より流通が多く、互換品も見つけやすい
冷却系ラジエター・ホース類は無理なく入手できることが多いほぼ同等だがE20の方が代替品の幅が広い傾向
キャブレターオーバーホールキットの入手性はE20系がやや有利SU系やスポーツ仕様は中古市場に在庫多め

全体として、E20のほうが整備性・入手性ともに優位という印象です。

特にT型エンジン系は流通量が多く、旧車専門ショップや中古市場でも固まりを見つけやすい傾向があります。


足まわり・ブレーキ関連の入手性

部位E10E20
サスペンションブッシュ旧車用社外品で対応できるケースあり対応品・代替品が豊富め
リーフスプリングリビルトやワンオフ製作に頼る場面あり構成は似ており、比較的調達しやすい
ブレーキシュー入手可能入手可能、E10より潤沢なことが多い
ホイールシリンダー一部で入手難が出る場合あり中古・社外で見つかりやすい

ボディ部品の入手性

ボディ外板は年代が古くなるほど入手が難しく、これはE10・E20ともに共通の課題です。

項目E10E20
外板パネル非常に希少。中古依存E10よりは流通があるが希少
メッキ部品経年劣化のため中古品の状態差が大きい比較的出物があり、選択肢が多い
ライト類再生産品・社外品が少ないこちらも希少だがE10より確保しやすい

中古市場の出品数では、E20のほうが“パーツ取り車”の母数が多いため、ボディ系の入手性もE10より有利な傾向があります。


オークション系での中古部品調達

現存する流通の主力は中古市場。以下のプラットフォームが定番です。

ヤフオク(中古パーツ)
https://auctions.yahoo.co.jp/

メルカリ(中古パーツ)
https://www.mercari.com/jp/


旧車専門ショップの部品取り扱い例(E20系が多い)

E20のほうが取り扱い豊富なケースが多いが、店舗ごとに異なるため個別確認は必須。

モノタロウ(汎用補修部品)
https://www.monotaro.com/


実際の維持難易度

  • E10は部品の「存在そのもの」が課題になる場合があるため、車両コンディション次第で維持難易度が大きく変わる。
  • E20は流通量の多さから、部品探しの手間や時間を抑えやすい。
  • 機関・足まわりはE20が安定、外板はどちらも難易度が高い。

要点まとめ

  • エンジン周辺・電装系はE20のほうが明確に入手性が良い。
  • 外板・内装品は両世代とも希少だが、E20のほうが若干探しやすい。
  • 部品取り車の母数はE20が多く、維持難易度はE10より低い。
  • オークション系や専門店の利用が現実的な調達手段。

古い部品を一つひとつ探していく手間も旧車の楽しさのひとつと言われますが、E20のほうが維持で無理をしなくて済む印象があります。

維持費・実用性・日常利用のしやすさ比較

E10とE20はいずれも小型FRセダンとして共通点が多い一方、日常利用の“しやすさ”や維持コストの観点では年代差が如実に現れます。

旧車として長く所有する場合、この章の内容が実質的な判断材料になります。


維持費の特徴(税金・保険・燃費)

項目E10(初代)E20(2代目)
自動車税(排気量)1.1〜1.2L帯1.2〜1.4L帯(T型は1.4L)
自動車重量税軽量のため比較的安いE10よりやや高め
燃費旧車基準では良好(条件により変動)排気量増に伴いE10よりわずかに悪化傾向
任意保険年式条件により扱いが変わるほぼ同等だが車検適合性に注意

燃費は個体差が非常に大きいため、厳密な比較は不明ですが、エンジン余裕度の高いE20のほうが「無理なく走ることで結果的に悪化しにくい」傾向もあります。


実用性の違い(乗り心地・静粛性・積載)

項目E10E20
乗り心地軽快だが路面からの入力がダイレクトサスペンション改良で角が取れた印象
静粛性室内へのメカ音が入りやすい車体剛性が上がり振動がやや低減
高速巡航回転数が高く疲れやすいエンジン余裕度と安定性で優位
積載性トランク小さめ若干余裕が増える

普段使いの負担は総じてE20が軽く、「旧車だが気を使いすぎず乗れる」点が評価されます。


車検・保安基準適合性

両世代とも現代の保安基準に適合させるために以下の確認が必要です。

  • 灯火類の光量・色の適合
  • 排気系の整備状況
  • シートベルトの機構
  • 走行装置の整備記録

※地域や年式、最新の法規により条件が異なるため、最終確認は必須です。

E10は製造年が古いため「当時基準での構造が残っているか」「後付け改修の有無」など個体差がより大きくなります。


整備工場での扱いやすさ

  • E10:構造がシンプルなため整備自体はしやすいが、部品不足で作業が止まることがある。
  • E20:整備性は高く、代替品で対応しやすい部分が多い。

特にE20は専門店以外の一般整備工場でも扱える範囲が広いことがメリット。


日常利用での「気を使う度合い」

  • E10は軽快だが高速や長距離で乗り手側の配慮が必要。
  • E20は“普通の旧車”として扱いやすく、特に初めて旧車に乗る人にも向く。

要点まとめ

  • 維持費そのものは大きく変わらないが、消耗品の入手性はE20が有利。
  • 実用性(乗り心地・静粛性・高速巡航)はE20が優位。
  • E10は街乗り中心の“レトロな軽快感”を楽しむ方向性に合う。
  • 車検適合性の確認は両世代必須だが、E10は個体差が大きい。

レトロな軽さを堪能するE10と、バランスが取れたE20。

それぞれの魅力が違っていて、用途に合わせた選び方がしやすい印象ですね。

こんな人にはE10/E20がおすすめ

ここまで構造・性能・維持性を比較してきましたが、最終的な選択基準は「どのように旧車を楽しみたいか」によって変わります。

この章では、用途・志向・生活環境を踏まえて両者の向き不向きを整理します。


E10が向いている人

初代カローラらしい“素朴さ”や“軽さ”を楽しみたい人に最適です。

こんな人におすすめ理由
旧車らしいレトロ感・軽快感を重視E10は最も小さく軽く、初代の設計思想が色濃い
街乗り中心の運用軽量×小排気量で低速域が扱いやすい
車の「素の構造」を味わいたい足まわり・内装のシンプルさが魅力
年間走行距離が少なめ長距離・高速用途で気を遣う場面がある
コレクション的に所有したい生産台数の古さから“希少価値”が強い

E10はコンパクトで扱いやすく、旧車の世界観を強く味わえる点が魅力です。


E20が向いている人

“旧車らしさは欲しいが、実用面でも無理したくない”という人に最も適しています。

こんな人におすすめ理由
普段使いも視野に入れたい車体剛性・安定性・乗り味が総合的に改善
長距離・高速道路を走る可能性があるホイールベース延長とエンジン余裕度で疲れにくい
旧車初心者整備性・部品入手性がE10より安定
スポーティな仕様も選びたいクーペ・T型エンジンなど選択肢が多い
維持で手間を抑えたい部品取り車の母数が多く、中古パーツも比較的豊富

E20は日常利用寄りの快適性と旧車らしさのバランスが良く、所有のハードルが低めです。


選び方の指針まとめ

  • 旧車の“原点の雰囲気”を求める → E10
  • 使い勝手を求めながら旧車を楽しみたい → E20
  • レストア前提で素材を探す → E20(母数が多い)
  • 希少性やコレクション性 → E10
  • 日常走行のストレスを減らしたい → E20

どちらも魅力が異なるため、選ぶ際は“使い方の比率”を明確にするのが失敗しないコツです。


要点まとめ

  • E10は軽さ・素朴な操作感・希少性を楽しむ方向け。
  • E20は実用性・快適性・部品入手性を優先したい人に向く。
  • 旧車初心者には総合的にE20のほうが扱いやすい。

資料を眺めていると、それぞれの時代背景が違っていて、用途に合わせた選び方が自然と見えてくるように感じます。

よくある質問

Q1. E10とE20では、どちらが維持しやすいですか?

維持性を重視するならE20のほうが現実的です。

エンジン(3K・T系)の流通量が多く、足まわりや電装品の代替品も比較的見つけやすいためです。

E10は車齢がさらに古く、部品そのものが希少な場合があります。

Q2. 日常の買い物や通勤にも使えますか?

E20であれば可能な場合が多いです。

サスペンションや車体剛性が改良されており、街乗りの負担が少ないためです。

E10は街乗りは問題ありませんが、長距離・高速道路では配慮が必要です。

Q3. 高速道路を走るならどちらが安心ですか?

E20が優位です。

ホイールベース延長による直進安定性の向上と、T型エンジン搭載車の余裕が大きな理由です。

Q4. レストア前提で購入するならどちらが向いていますか?

E20のほうが母数が多く、パーツ取り車や中古部品の入手性が高いため、レストアの難易度は相対的に低い傾向があります。

Q5. 車検は普通に通りますか?

基本構造が健全で、灯火類・排気系・シートベルトなどが適切に整備されていれば通ります。

ただし地域や最新の法規により異なるため、事前確認は必須です。

Q6. 初代ならではの魅力は何ですか?

E10は“最小限の資源で最大効率を求めた初代カローラの思想”が最も色濃い点が魅力です。

軽さ・素朴な操作感・小柄なFR構造はE10独自の世界観があります。

Q7. E20のスポーツモデルはどの程度違いますか?

クーペ系やT型エンジン搭載車は出力・トルクが向上し、走行フィールもスポーティになります。

実用性と趣味性のバランスを求める人に向いています。

Q8. 部品で特に注意すべきところは?

外板パネル・メッキ部品・ライト類は両世代とも希少で、状態差が大きい部分です。

機関部品はE20のほうが見つけやすい傾向があります。

Q9. 旧車初心者でも扱えますか?

E20なら比較的扱いやすく、整備工場でも対応してもらいやすいです。

E10は個体差が大きいため、良質な固体を見つけられるかが鍵になります。

Q10. 燃費は大きく違いますか?

大きく変わるわけではありませんが、E10は軽量ゆえに街乗りで有利な場面があります。

一方で、E20は巡航時に無理なく走れるため、実走行では極端な差は出にくい傾向があります。

まとめ

カローラE10とE20は、同じ小型FRセダンという枠組みを持ちながら、設計思想や使い勝手に明確な違いがあります。

E10は“初代ならではの軽快さと素朴さ”が最大の魅力で、街乗り中心の利用やコレクション性を求める人に向いています。

一方、E20はボディサイズの拡大、サスペンションの改良、エンジンラインナップの強化などにより、旧車としての扱いやすさと実用性が大きく向上しており、普段使いと趣味を両立させたい人に適しています。

維持費の差は大きくありませんが、部品調達のしやすさではE20が優位。

外板や内装品はどちらも希少になりつつあるものの、機関部品・電装品はE20のほうが流通が安定し、整備工場でも扱いやすいことが多いです。

また、高速巡航や長距離走行の負担もE20のほうが少なく、旧車初心者でも取り組みやすい選択肢といえます。

一方で、E10が放つ初代特有の世界観は他では代えがたく、小柄なFRを操る楽しさや設計のシンプルさは、旧車好きにとって大きな魅力です。

それぞれの時代背景に根ざした良さがあり、「用途」「使う頻度」「どれだけ手間を楽しめるか」で最適解が変わります。

どちらを選んでも、カローラが築いてきた“使い手に寄り添うクルマ作り”の思想を十分に感じられるはずです。

参考リンク

トヨタ自動車 1966年 カローラ(E10)カタログ
https://www.toyota.co.jp/

トヨタ自動車 1970年 カローラ(E20)カタログ
https://www.toyota.co.jp/

国立国会図書館デジタルコレクション:カローラ初代 カタログ
https://dl.ndl.go.jp/

国立国会図書館デジタルコレクション:カローラ2代目 カタログ
https://dl.ndl.go.jp/

ホンダ技研 技術史資料:当時の小型FR車設計に関する資料
https://www.honda.co.jp/

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