日産プレジデント PGF50は、国産最高級セダンとして1990年代後半から2000年代初頭にかけて生産されたモデルです。
中古市場では「PGF50」という型式で一括りにされがちですが、実際には前期・後期で装備や外観、制御系に細かな違いがあり、さらにグレード構成の理解が浅いまま購入すると、維持や修理の段階で想定外の差が出ることもあります。
本記事では、購入・保管・維持を真剣に検討している方向けに、PGF50の前期と後期の違いを一次情報ベースで整理し、現車確認時に使える見分け方、そしてグレードごとの性格の違いまでを体系的に解説します。
V8エンジン特有の維持費、電子制御部品の経年リスク、車検時の注意点、錆が出やすい部位などにも軽く触れながら、「今どう判断すべきか」が分かる構成にしています。
PGF50を長く所有したい方ほど、事前に押さえておきたい内容です。
Contents
プレジデント PGF50とはどんな車か(基本構造と立ち位置)

PGF50型プレジデントは、日産が1997年に発売した3代目プレジデントにあたります。
先代までの角張ったショーファーカー的な性格から一転し、グローバル市場も意識した丸みのあるボディデザインと最新電子制御を採用した点が大きな特徴です。
プラットフォームは当時のインフィニティQ45(G50系)の流れを汲むFR構成で、搭載エンジンはVH45DE型4.5L V8自然吸気エンジンのみ。
駆動方式は後輪駆動、トランスミッションは電子制御5速ATが組み合わされます。
基本諸元の整理(PGF50)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型式 | GF-PGF50 |
| エンジン | VH45DE型 V8 DOHC |
| 排気量 | 4,494cc |
| 駆動方式 | FR |
| トランスミッション | 5速AT |
| 定員 | 5名 |
| 生産期間 | 1997年〜2003年 |
※数値や呼称は当時のカタログ記載を基準としています。
国産最高級セダンとしての位置付け
PGF50プレジデントは、単なる「大きな高級車」ではなく、法人需要・要人送迎・公用車用途を強く意識して設計されています。
そのため、派手な装飾よりも静粛性・乗り心地・後席の快適性が最優先されています。
一方で、一般ユーザー向けのセルシオやシーマと比べると販売台数は非常に少なく、市場に流通する個体数も限られています。
この点が、現在の部品供給や維持費に直接影響してくる重要な要素です。
PGF50の特徴的な設計思想
- V8エンジンによる余裕重視の走行性能
- 電子制御サスペンション・電動装備の多用
- 内装は本革・本木目を多用した保守的な高級感
- 法人利用を想定した落ち着いた外観
このような設計思想から、PGF50は「走りを楽しむ旧車」というより、「静かに長距離を移動するための道具」としての完成度を重視したモデルと言えます。
要点まとめ
- PGF50は1997年登場の3代目プレジデント
- VH45DE型4.5L V8のみの単一パワートレーン
- 法人・公用用途を強く意識した高級FRセダン
- 流通台数が少なく、維持面では事前理解が重要
資料を見ていると、PGF50は当時の「最高級車とは何か」をかなり真面目に突き詰めた車だと感じます。
派手さはありませんが、静かさや落ち着きといった価値観を重視する層には、今見ても独特の存在感があるようです。
プレジデント PGF50 前期と後期の違い
PGF50型プレジデントは、生産期間中に大きなフルモデルチェンジこそ行われていませんが、途中でいわゆる「前期」「後期」と呼ばれる仕様差が存在します。
中古車情報では年式だけで判断されがちですが、実際には装備・外観・制御系の細かな更新が積み重ねられており、維持や部品選定の面では無視できない違いがあります。
前期・後期の区分について
PGF50の場合、一般的には
- 1997年〜2000年頃:前期
- 2001年以降:後期
と区分されることが多いですが、公式に「前期・後期」と明確に呼称されているわけではありません。これは当時の日産のカタログ改訂や装備追加のタイミングを基準に、後年の中古車業界で便宜的に使われている区分です。
そのため、登録年だけで断定するのは危険で、個体ごとの装備確認が必須となります。
外観上の主な違い
外観は一見すると大きな変化はありませんが、細部を見ると差が確認できます。
| 項目 | 前期 | 後期 |
|---|---|---|
| フロントグリル | メッキ表現が控えめ | メッキ感がやや強調 |
| ヘッドライト | 基本形状は共通 | 内部意匠が微調整 |
| テールランプ | デザイン共通 | 発光部の仕様変更あり |
| ホイール | 初期デザイン | 後期専用意匠あり |
※外観差は非常に小さく、単体では判別しにくい場合があります。
内装・装備面の違い
前期・後期で最も差が出やすいのが、内装装備と電子制御系です。
| 項目 | 前期 | 後期 |
|---|---|---|
| ナビゲーション | 初期世代ナビ | 改良型ナビ |
| オーディオ | CD中心 | MD対応世代あり |
| シート制御 | 基本電動 | 制御ロジック改良 |
| 快適装備 | 必要十分 | 標準装備の拡充 |
後期になるにつれ、当時のトレンドに合わせた装備追加が行われており、「後期=豪華」「前期=質素」というより、使い勝手の差と捉えた方が現実的です。
機械・制御系の違い
エンジン自体(VH45DE)は前期・後期で基本構造は同一です。ただし、
- AT制御の熟成
- エンジン制御プログラムの細かな更新
- 電装系部品の品番変更
といった改良は段階的に行われています。
これにより、後期型のほうが変速フィールが滑らかだと感じられる個体が多いとされていますが、体感差には個体差も大きく、一概には言えません。
維持・部品面での違い
維持という観点では、後期型のほうが流通部品の互換性が若干高い傾向があります。
ただし、PGF50全体として部品供給は年々厳しくなっており、前期・後期で決定的な有利不利があるとは言い切れません。
重要なのは「前期か後期か」よりも、
- 実際に装着されている装備
- 電装系の作動状況
- 過去の修理・交換履歴
を個体単位で確認することです。
要点まとめ
- 前期・後期は公式区分ではなく便宜的な呼称
- 外観差は小さく、内装・装備に違いが出やすい
- エンジンは共通だが制御系は段階的に改良
- 維持面では個体差の影響が非常に大きい
年式だけを見ると単純に「後期が良さそう」に思えますが、資料を追っていくと、実際には仕様変更の積み重ねで性格が少しずつ変わっている印象です。
このクラスの車になると、前期・後期以上に「どんな使われ方をしてきたか」が重要になってくるのだろうと感じます。
プレジデント PGF50 前期・後期の見分け方

PGF50の前期・後期は、年式表記だけでは正確に判別できないケースが多く、現車確認時には複数の要素を組み合わせて判断する必要があります。
ここでは「実際に見て確認できるポイント」を中心に、信頼性の高い見分け方を整理します。
年式・初度登録だけで判断してはいけない理由
PGF50は、生産途中で装備改訂や部品更新が段階的に行われています。
そのため、
- 登録年が後期でも前期仕様に近い個体
- 登録年が前期でも後期装備を含む個体
が存在します。これは法人用途での長期在庫登録や、メーカー在庫車の登録時期ズレなどが影響していると考えられます。
よって、初度登録年はあくまで参考情報に留めるべきです。
外観からの見分け方(実車確認向け)
外観は決定打になりにくいものの、複数要素を組み合わせることで判断材料になります。
| チェック項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| フロントグリル | メッキの厚み・反射の仕方 |
| ヘッドライト | 内部リフレクターの意匠 |
| ホイール | 専用意匠の有無 |
| エンブレム | 仕上げの違い |
ただし、これらは後年交換されている可能性もあるため、単独判断は避ける必要があります。
内装・装備による見分け方(最重要)
前期・後期の判別で、最も信頼性が高いのが内装と装備内容です。
| 項目 | 前期に多い仕様 | 後期に多い仕様 |
|---|---|---|
| ナビ | 初期世代・画面小 | 改良型・表示拡張 |
| オーディオ | CD中心 | MD併用世代 |
| 操作パネル | 物理スイッチ多め | 操作系整理 |
| 快適装備 | オプション扱い | 標準化傾向 |
特にナビゲーションとオーディオ世代は、前期・後期を見分ける際の有力な手掛かりになります。
車体番号・型式情報による判断
書類や車体プレートに記載される型式はすべて「GF-PGF50」で共通ですが、製造時期によって内部コードや部品品番が異なる場合があります。
ただし、これらは一般ユーザーが即座に判別するのは難しく、販売店や整備履歴の確認が前提となります。
現実的には、
- 装備内容
- 内装世代
- 製造年情報
を総合して判断するのが最も確実です。
中古車情報で注意すべき表記
中古車サイトでは、
- 「後期仕様」
- 「後期モデル風」
といった表現が使われることがありますが、公式な定義ではありません。
必ず装備写真や現車での確認が必要です。
要点まとめ
- 初度登録年だけで前期・後期は判断できない
- 外観差は小さく、内装・装備確認が重要
- ナビ・オーディオ世代は有力な判断材料
- 中古車表記は参考程度に留める
資料を見比べていると、PGF50は「分かりやすく変えない」ことを重視した車だと感じます。
その分、見分ける側には少し知識が求められますが、落ち着いた佇まいを保つための設計だったのだろうと思えてきます。
プレジデント PGF50 グレード構成と違い
PGF50型プレジデントは、外観上の違いが控えめな一方で、グレード構成によって装備内容と性格が明確に分かれるモデルです。
購入検討時にこの違いを把握していないと、「思っていた仕様と違う」「維持コストの想定がズレる」といった事態につながりやすくなります。
PGF50の基本グレード構成
PGF50では、主に以下の系統でグレードが設定されていました。
| 系統 | 性格 |
|---|---|
| 標準系グレード | 公用・法人用途を意識 |
| 上級グレード | 後席快適性・装備重視 |
| 特別仕様系 | 装備を集約した仕様 |
※正式名称や細かな呼称は年式・改訂時期により異なり、資料によって表記揺れがあります。
標準系グレードの特徴
標準系は「プレジデント」という車名から想像されるほど豪華ではなく、実用性と信頼性を重視した構成です。
- 本革仕様だが装飾は控えめ
- 後席装備は必要十分
- 電動装備は厳選されている
このため、現在の中古市場では「意外と質素」に感じられることもありますが、電装系トラブルのリスクが比較的低いという側面もあります。
上級グレードの特徴
上級グレードでは、プレジデント本来の性格がより強く表れます。
| 装備項目 | 内容 |
|---|---|
| 後席装備 | 電動リクライニング・調整機構 |
| 内装素材 | 本革・本木目の使用範囲拡大 |
| 快適装備 | 専用操作系・装備追加 |
後席の居住性を重視する設計のため、ショーファードリブン的な使われ方を前提とした仕様です。
一方で、電動機構が増える分、経年による作動不良の確認は必須となります。
特別仕様系の立ち位置
特別仕様系は、一定期間のみ設定された装備集約型のグレードです。
内容としては、
- 上級装備を標準化
- 内外装の統一感を強化
- 価格と装備のバランス調整
といった特徴が見られます。
ただし、台数が少なく、中古市場では情報が断片的になりがちです。
装備内容は必ず現車ベースで確認する必要があります。
グレード差が維持に与える影響
グレードの違いは、維持費に直接影響します。
| 項目 | 標準系 | 上級系 |
|---|---|---|
| 電装部品 | 少なめ | 多い |
| 修理リスク | 比較的低 | やや高 |
| 部品流用 | しやすい | 限定的な場合あり |
「高級=上級グレード一択」と考えがちですが、長期保有を前提にするなら標準系の安定感を評価する考え方も現実的です。
要点まとめ
- PGF50はグレードによる性格差が大きい
- 標準系は実用性と安定性重視
- 上級系は後席快適性と装備重視
- 維持重視なら装備量の見極めが重要
資料を追っていると、PGF50のグレード構成は「誰のための車か」をかなり明確に分けている印象です。
見た目が似ているからこそ、中身の違いを理解して選ぶことが、この車と長く付き合うための第一歩になりそうですね。
プレジデント PGF50を選ぶ際の注意点(購入・維持の視点)

PGF50は年式だけを見ると「比較的新しい旧車」に分類されますが、設計思想や部品構成は明確に1990年代の高級車です。
そのため、購入時には一般的な中古車とは異なる視点が求められます。
ここでは、前期・後期やグレード差を踏まえたうえで、実際に注意すべきポイントを整理します。
購入時に最優先で確認すべき点
PGF50で最も重要なのは、機関よりも電装系と使用履歴です。
| チェック項目 | 注意点 |
|---|---|
| 電動シート | 全方向の動作確認 |
| エアコン | 温度制御・風量切替 |
| メーター類 | 警告灯の有無 |
| ナビ・操作系 | 画面表示・反応 |
V8エンジン自体は耐久性が高いとされていますが、周辺制御部品やセンサー類は経年劣化の影響を受けやすく、不具合が出ると原因特定に時間がかかる傾向があります。
前期・後期選びでの考え方
前期・後期の選択は、単純な「新しい・古い」では判断できません。
- 後期
装備が充実している反面、電装部品点数が多い - 前期
仕様が比較的シンプルで、管理状態が良ければ安定
長期所有を前提とする場合、「後期の豪華さ」よりも「前期の状態の良さ」を優先する考え方も十分に合理的です。
グレード選びと維持費の関係
グレードが上がるほど、快適装備は増えますが、その分、
- 修理対象部品が増える
- 専用部品が多くなる
- 流用が難しくなる
といった傾向があります。
維持費を抑えたい場合は、装備を使い切れるかどうかを冷静に考える必要があります。
保管環境と錆の問題
PGF50はボディサイズが大きく、重量もあるため、保管環境の影響を強く受けます。
| 部位 | 錆の出やすさ |
|---|---|
| フロア下 | 要注意 |
| ドア下部 | 比較的出やすい |
| トランク周辺 | 状態差あり |
屋外保管車と屋内保管車では、同年式でも状態に大きな差が出るケースがあります。
現実的な維持スタンス
PGF50は「日常の足」として使うよりも、
- 月に数回の使用
- 定期的な点検
- 予防整備前提
といった付き合い方が現実的です。
燃費や税金面も含め、余裕を持った維持計画が求められます。
要点まとめ
- 購入時は電装系と使用履歴を最優先
- 前期・後期より個体状態が重要
- グレードが上がるほど維持リスクも増える
- 保管環境が車両状態を大きく左右する
資料を見ていくと、PGF50は「分かっている人が丁寧に扱う」ことを前提にした車だと感じます。
派手さよりも静かな威厳を重視した設計だけに、所有する側の姿勢がそのまま車の状態に表れやすいのかもしれません。
まとめ
プレジデント PGF50は、国産最高級セダンとしての立ち位置を強く意識して設計された一台であり、前期・後期、そしてグレードの違いを正しく理解することが購入後の満足度を大きく左右します。
前期と後期の差は劇的ではないものの、装備世代や制御系の熟成度に違いがあり、見分ける際には年式だけに頼らず、内装や装備内容を丁寧に確認する姿勢が欠かせません。
また、グレード構成によって後席重視か実用重視かという性格がはっきり分かれるため、「豪華さ」よりも「自分がどの装備を本当に使うのか」を基準に選ぶことが重要です。
PGF50は機関系よりも電装系や保管環境の影響が大きく、状態の良し悪しがそのまま維持の難易度に直結します。
資料を読み解いていくと、この車は短期間で乗り換える対象ではなく、理解したうえで静かに付き合うことを前提とした存在だと感じます。
派手さよりも落ち着いた佇まいに価値を見出せる方であれば、今でも十分に選ぶ意味のある一台と言えるでしょう。