クラウン

【クラウン S120】と S110の違い!外装・内装・走行性能・歴史的背景まで徹底比較ガイド

クラウンS110(1974–1979)とS120(1979–1983)は、「クラウンが昭和から平成の高級車文化へ移行する直前」に位置する重要な2世代です。

外観デザイン・内装の質感・メカニズム・安全装備・静粛性のすべてが段階的に進化しており、カタログ上の数値以上に“乗り味の性格”が大きく違います。

とくにS110は「角張った和風高級路線+保守的設計」が濃く残るのに対し、S120は「乗り心地・静粛性・豪華装備の近代化」が一気に加速しています。

現在の旧車市場では、どちらも人気が高い一方、時代背景や設計思想が異なるため、購入検討では「何を重視するか」で最適なモデルが変わってきます。

本記事では、外装・内装・足回り・パワートレイン・装備・耐久性・中古市場の傾向まで、一次資料をもとに両者を丁寧に比較し、“選ぶ基準”を明確に整理します。

Contents

S120とS110の基本データ比較(年式・グレード構成)

クラウン S110・S120 の比較を始めるにあたり、まずは当時のカタログデータをもとに“公式の基本構成”を整理します。

ここが明確になると、後の走り・装備・デザインの違いが理解しやすくなります。


● 生産年式・世代的位置づけ

世代通称生産期間特徴
S110(5代目)1974–1979保守的デザイン・直線基調の和風高級車/排ガス規制対応期
S120(6代目)1979–1983“王冠のクラウン”として豪華装備が急進化/静粛性・乗り心地の大幅改善

※年式は公式資料にも地域差があるため、細部は「不明」年が存在します。


● グレード体系の傾向

  • S110
    • スーパーサルーン
    • デラックス
    • スタンダード
    • ハードトップ
      → グレード差が大きく、装備内容のばらつきが大きい。
  • S120
    • ロイヤルサルーン
    • スーパーサルーン
    • デラックス
    • ハードトップ/セダンの二本立て
      → 高級装備の標準化が進み、全体的に“豪華方向へシフト”。

● 車体寸法(カタログ値)

項目S110S120
全長約 4695 mm 前後約 4695–4700 mm
全幅約 1690 mm約 1695 mm
全高約 1440–1465 mm約 1425–1450 mm
ホイールベース2690 mm2690 mm(共通)

ホイールベースは同じですが、S120はサスペンション設計の見直しにより、実際の乗り味は大きく違うことが後のセクションで分かります。


● 当時の位置づけ

  • S110:高級車市場の“保守本流”、装備・走りともに落ち着いた路線。
  • S120:レクサス文化の前段階ともいえる“豪華装備+静粛性の強化”が始まるモデル。

要点まとめ

  • S110は昭和中期の保守的高級車、S120は“豪華路線へ転換した最初のクラウン”。
  • グレード体系から車体寸法まで概ね近いが、装備・品質の成熟度が大きく違う。
  • 乗り味の違いは後述するサスペンション・静粛性で顕著。

カタログを見比べても、S110とS120は“世代の壁”がはっきり存在しますね。

特にS120は装備内容が一気に現代化しており、実車映像でもその進化が体感レベルで分かる印象です。

外観デザインの違い(角型から直線基調への進化)

S110とS120の違いがもっとも“ひと目で分かる”のが外観です。

同じクラウンでも、設計思想・流行・法規の変化がデザインに大きく反映されており、実車を見ると2世代の“空気感の差”がはっきり伝わります。


フロントマスクの違い

S110(5代目・1974–1979)

  • 明確な角型ヘッドライト(丸目時代の終わり)。
  • グリルは縦基調のメッキが強く、「和の高級車」らしい保守デザイン。
  • ボンネット形状は平面的で、直線を多用。
  • バンパーは細身でシンプル。

印象:落ち着き・重厚感・昭和の“重役車”の雰囲気。

S120(6代目・1979–1983)

  • 直線的ながら、より立体的で厚みのあるグリルデザインへ変化。
  • ヘッドライトは角型2灯〜4灯(グレード差あり)。
  • ボンネット先端の絞り込みが強まり、空力を意識した面構成。
  • バンパーにも厚みが追加され、存在感が増した。

印象:モダン・近代高級車への移行期・都会的。


ボディライン・プロポーション

共通点

  • 全長・ホイールベースはほぼ同等(2690mm)。
  • セダン/ハードトップの設定も共通。

S110の特徴

  • サイドは厚みと直線が強調され、重厚な“箱形”デザイン。
  • ウエストラインが高く、ガラス面積はやや小さめ。
  • トランク形状も角張っている。

S120の特徴

  • ボディパネルにわずかな面の流れ・傾斜が入り、モダン化。
  • ガラス面積が増え、視界の広さが改善。
  • ハードトップは特にスリムでシャープな印象。

まとめると:
S110=骨太な昭和車
S120=直線を基調としながらも、現代風の“薄さ”と“洗練”が加わったデザイン。


テール周りの違い

S110

  • 角型テールランプだが比較的コンパクト。
  • メッキガーニッシュが幅広く、旧来の日本高級車らしい仕上げ。
  • 全体的に「装飾強め」の昭和感。

S120

  • テールランプが一気に大型化し、視認性が向上。
  • ハードトップは横一文字のランプ構成で近代的。
  • メッキ量は抑えめで、上品さが強い。

印象差:
S110=重厚・伝統的
S120=視認性・都会性を意識したモダンな構成


実車映像リンク

(当時の外観を確認できる動画)


要点まとめ

  • デザイン方向は、S110の“保守ベース”からS120の“近代高級車”へ進化。
  • S120は面構成が複雑化し、立体感・空力・視認性が向上。
  • フロント・サイド・リアすべてで“現代化の兆し”がはっきり確認できる。

映像で見比べると、S110には“昭和中期の重厚感”、S120には“昭和後期の都会的な軽さ”が出ていて、クラウンが一気に近代化する境界線がこの2世代だと感じます。

内装・装備の進化(豪華装備・静粛性)

S110とS120を実際に比較すると、もっとも“乗る人が体感しやすい差”が出るのが内装と装備です。

トヨタが1970年代後半〜1980年代に掲げた「静粛・豪華・安全」の思想が、S120で一気に具現化しており、装備の質・作り込み・使い勝手のすべてで世代差が明確です。


室内デザインの方向性

S110(1974–1979)

  • 内装は和の重厚感が強く、クラシックで落ち着いた雰囲気。
  • 木目調パネルは“飾り”の印象があり、装飾的。
  • メーターはシンプルな角型1眼〜2眼構成。
  • トリム・座面は厚みがあり、座り心地は“柔らかく沈む昭和感”。
  • セダンは“役員車風”の重厚方向。

S120(1979–1983)

  • デザインは一気に“近代高級車”へ。
  • 木目調が厚み・質感ともに向上し、上下階調のメリハリが大きい。
  • メーターは精緻なフォントになり、**電子メーター(グレード差あり)**が登場。
  • スイッチ類が整理され、使い勝手が改善。
  • ハードトップは特に豪華で、天井・ドアトリムの質感が高い。

印象差:
S110=伝統的
S120=近代的・ラグジュアリー


主要装備の世代差

※装備内容は年式・グレード差があるため、詳細は一部「不明」。

装備項目S110S120
パワーステアリング一部グレードほぼ標準化
パワーウインドウ上級のみ普及が進む
エアコン一部設定/性能控えめ改良され効きが向上
電動ミラー不明(後付例多い)グレードにより標準
センターロック設定不明一部グレードで採用
オーディオAM/FM、カセットなど年式差デッキ性能が改善、スピーカー増加

S120では“高級装備の標準化”が一気に加速したことがわかります。


静粛性の改善ポイント

S120はトヨタがカタログで「静粛性の徹底」を強くアピールしていた時期でもあり、
以下の構造改善が施されています。

  • フロア・バルクヘッドの遮音材追加
  • ドア内側の遮音構造改良
  • 防振ゴムの配置最適化
  • エンジンマウントの改良(詳細不明)
  • 排気・吸気の静粛チューニング

結果として、アイドリングの揺れ・走行中のこもり音が大幅に減少

実際の走行動画でも、明らかにS120のほうが静かです。


シート・快適性の差

S110

  • 座面厚めでフワフワとした座り心地。
  • クッションが柔らかく、反力が小さい。
  • 長距離では腰が疲れやすいとの声もある。

S120

  • クッション形状が見直され、沈み込みすぎない設計へ。
  • 横方向のホールドがわずかに追加。
  • ドアトリムも柔らかさが増し、質感が高い。

内装カラーの違い

  • S110:グレー/ブラウン系/濃色中心の“昭和高級車色”
  • S120:ベージュ/グレー/ワイン系など“明るめの高級色”が登場

雰囲気確認に便利な動画


要点まとめ

  • S110は“昭和の重厚感”、S120は“近代高級車の豪華さ”が特徴。
  • 装備の標準化・静粛性・オーディオ・空調の進化が特に大きい。
  • シート・内装の質感はS120が明らかに向上し、長距離での疲労度が低い。

S110を乗ると“いい意味での昭和感”が魅力ですが、S120に乗り換えると「室内の静かさと装備の便利さが段違い」という声が多いです。

動画でも、ドアの閉まり音・アイドリング音の差が明確に分かれています。

パワートレイン・走行性能の違い

S110とS120は、見た目以上に“走りの性格”が異なります。

どちらもクラウンらしい静かで落ち着いた走行フィールを備えていますが、S120はエンジン・ミッション・吸排気・マウント類まで広範囲で改良され、走り出した瞬間から「世代が違う」と分かるレベルの差があります。


エンジンラインナップの違い(一次資料ベース)

※年式・市場差があるため、一部数値は「不明」。

系列S110S120
M型(直6 SOHC)4M / 4M-EM-TEU(ターボ)/4M-E など
R型(直4)18R / 18R-U21R系(市場差あり)※詳細不明
ディーゼルB / 2B3B(改良型)

S120で大きいのは、
・電子制御(E)化が進んだこと
・M-TEUターボの登場
・排ガス規制適合で燃焼効率向上

この3点です。


走行性能の体感差(実際のオーナー評価+当時資料)

S110(1974–1979)

  • 直6 4M系は低回転トルクが厚く、ゆったりとした加速。
  • 反面、規制前後の時期で息継ぎや非力感が出ることがある(個体差も大きい)。
  • キャブ車は燃調の“クセ”を感じる場面も多い。
  • エンジンマウントが柔らかめで、アイドリング振動が室内に伝わりやすい。

S120(1979–1983)

  • 4M-Eは燃調制御が安定し、街乗りのスムーズさが段違い
  • 低速トルクが扱いやすく、重さを感じにくい。
  • M-TEUターボ搭載車は中間加速が非常に強く、
     映像でも“クラウンとは思えない伸び”が確認できる。
  • マウント改良と遮音材の追加で、エンジン音の室内侵入が激減。

動画でも性格がよく分かる


トランスミッションの差

S110

  • 3速AT(A30系)
  • 4速MT
  • ATの変速ショックが大きく、速度に応じた制御が荒い。

S120

  • 4速AT(A40系)に進化
  • 変速ロジックが改善され、滑らかで静粛性が高い。
  • MT車も改良され、ギア比が実用寄りに。

※ATの進化は走りの印象を大きく左右する重要ポイント。


走りの静粛性(これが“別次元”)

S120で大きく進化した要素。

  • 排気・吸気の共鳴対策
  • エンジンルーム遮音
  • マウント類の見直し
  • デフ周りの防振材増量
  • 風切り音の低減(ピラー形状変更)

結果として、
S110=エンジン音が常に聞こえる昭和高級車
S120=“静かに滑る”近代クラウン

というくらい印象が異なります。


実際の加速フィーリング(映像で確認できる差)

  • S110:
     引っ張られながら加速する感覚。息継ぎを感じる車もある。
  • S120:
     アクセル開度に対して素直に加速。ATの繋がりが自然。
     4M-Eは“とにかく扱いやすい”という評価が多い。

要点まとめ

  • S120は燃調の精度・静粛性・ATの進化によって体感性能が大幅改善。
  • S110は“クラシックな乗り味”が魅力だが、キャブ車は調整が走りに直結。
  • ターボの有無で走りのキャラクターが大きく変わる(S120の独自要素)。
  • 総合的な扱いやすさはS120が圧倒的に上

走行動画を見ても、S110は“昭和らしい重厚感”、S120は現代クラウンの原型と言える“静かで滑らかな走り”が出ていて、同じ直6でも印象が全く違うと感じます。

特に4M-Eのスムーズさは年代を考えると驚くレベルですね。

足回り・乗り心地・静粛性の違い

クラウンを比較するうえで外せないのが“乗り心地”と“静粛性”です。

S110とS120はホイールベースこそ同じですが、足回り・ボディ構造・遮音設計の改良により、実際に走ったときの印象はまったく別物です。

とくにS120では「静粛性・しなやかさ・直進性」が大きく向上しており、現代クラウンのフィーリングにかなり近づきます。


サスペンション構造の基本は共通だが“質”が違う

両者とも以下の構造を採用しています:

  • フロント:ダブルウィッシュボーン
  • リア:4リンクリジッドアクスル

これはクラウンの伝統的な構造ですが、細部のセッティングと防振構造が大きく異なります。


S110の足回りの特徴(1974–1979)

  • ばね定数(スプリング)が柔らかめで、乗り心地は“フワッとした昭和感”。
  • ロール量が大きく、高速域では揺すられる印象がある。
  • ダンパーの減衰設定も柔らかく、アスファルトの継ぎ目で上下動が出やすい。
  • 路面入力は角が取れていて優しいが、“浮き沈み”が大きい。
  • 直進安定性は十分だが、タイヤ性能に左右されやすい。

印象
いわゆる“和製ハイヤー感”。ゆったり快適だが、現代基準ではやや揺さぶりが多い。


S120の足回りの特徴(1979–1983)

  • ばね定数が最適化され、余計な上下動が大きく抑えられる
  • ダンパー性能が改善され、収束の早いしなやかな動きに。
  • ボディ剛性の向上で“ねじれ”が減り、直進性が一気に向上。
  • 走行音・こもり音が大幅に減少し、車内は明らかに静か。
  • 高速道路での安定感は世代が1つ以上進んだような印象。

印象
柔らかいけれど不安定ではなく、“高級車らしいしっとり感”が強い。


ボディ剛性・防振構造の差

S120は以下のポイントが改善されています(一次資料+当時カタログ記述):

  • フロアパネル補強
  • バルクヘッド遮音材の追加
  • 前後サブフレーム取り付け剛性の最適化(詳細不明)
  • ドア内部の防音材増量
  • デフマウントの改良で低周波振動が減少

結果として、
アイドリング時・60〜80km/h巡航時の車内騒音が明確に低下

実際に走行映像を確認すると、S120は外部マイク越しでもこもり音が少なく、車内の声がクリアに聞こえる場面が多いです。


タイヤ・ホイールの世代差

項目S110S120
標準タイヤ185SR14 等195/70R14 等(グレード差)
ホイールスチール中心スチール+アルミ設定

タイヤ幅の拡大とコンパウンドの進化により、S120はグリップ・ブレーキ安定性が向上しています。


実際の乗り心地動画(比較用)

映像でも、路面の継ぎ目を越える際の揺れ方がまったく違うことが分かります。


全体の違いをまとめると

  • S110
     柔らかくフワッとした昭和の乗り心地。上下動が大きめ。
  • S120
     しなやかで落ち着きがあり、静か。高速も安定。

要点まとめ

  • 足回りの構造は同じだが、セッティング・防振材・ボディ剛性がS120で大幅進化。
  • 乗り心地はS110がクラシック、S120がモダン。
  • 静粛性はS120が圧倒的に優秀で、長距離でも疲労が少ない。
  • 高速巡航の安定感はS120が明確に上。

実車動画を見ると、S110は「昭和の箱型サルーン」、S120は「現代クラウンの始まり」という印象が強く、乗り心地・静粛性の差が思った以上に大きいことに気付かされます。

とくにS120の高速安定性は、年代を考えると驚くほど洗練されていると感じます。

耐久性・整備性・弱点ポイント比較

S110とS120は同じ直6系エンジンや基本構造を共有する部分が多いものの、年式差・素材差・設計思想によって故障ポイント・整備性・長期耐久性に明確な違いがあります。

旧車として購入する際は、この“世代ごとの弱点”を知っておくことが最重要になります。


エンジン耐久性の差

クラウンの象徴であるM型エンジン(4M / 4M-E系列)は、どちらの世代も耐久性が高いですが、制御方式の違いが“維持のしやすさ”に影響します。

S110(4M / 18Rなど・キャブが主流)

  • キャブレターの経年変化が走行性能に直結。
  • 夏場の“熱ダレ”、冬場のチョーク不調が典型的。
  • 4Mは丈夫だが、オイル滲みは年式相応に出やすい。
  • 点火系(ポイント/デスビのガタ)でアイドリングが不安定になる車が多い。

→ “機械的に味がある”が、コンディション維持には調整スキルが必要。

S120(4M-E / M-TEUなど・電子制御化)

  • 4M-Eの燃調安定性が高く、コンディション維持が容易
  • M-TEUターボは丈夫だが、タービンの劣化個体は増加傾向。
  • センサー劣化(詳細な年式別は不明)は現代では注意点。
  • オイル滲みはあるが、症状の進行は比較的穏やか。

→ “扱いやすい・維持コストを読みやすい”のがS120の利点。


足回り・ブッシュ類の劣化傾向

S110

  • ロアアームブッシュ、スタビブッシュ、ラテラルロッドブッシュの経年劣化が顕著。
  • グリス切れによる**異音(コトコト音)**が典型症状。
  • ダンパーは当時ものが多く、抜けている個体も少なくない。

S120

  • 改良品とはいえ、40年以上経過し、ブッシュ類の交換時期が必ず来る。
  • デフマウントの劣化で低周波振動が出ることがある。
  • S110よりは構造が改善されているぶん、異音の原因特定がしやすい。

電装系の弱点

古いクラウンでは、“電装が弱る時期”が確実に訪れます。

S110

  • ヒューズボックス・ハーネスの接点腐食が出やすい。
  • メーター球、スイッチ接点の接触不良が典型。
  • オルタネーターは容量が小さく、夜間+エアコンで発電不足になる個体も。

S120

  • 電子制御化によりECU・センサー劣化の可能性が加わる。
  • ただし配線の品質は向上しており、S110より安定している印象。
  • オルタネーターも改良され、電圧が安定しやすい。

→ トラブルの種類は違うが、S120のほうが原因究明は容易。


ボディ・腐食ポイント

両世代とも「年式なりのサビ」は避けられませんが、構造差で“腐り方”に違いがあります。

S110で特に多い

  • フロントフェンダー下部
  • サイドシル
  • トランク開口部
  • フロア前側
  • ルーフモール周辺

S120で特に多い

  • リアフェンダーアーチ
  • ドア下の水抜き穴
  • トランクフロア(排水処理の変化による個体差)

S120は構造改善のおかげで前方の腐食は少なめな傾向がありますが、後部の錆が比較的多い印象です。


部品供給の傾向

S110(旧車部品扱い)

  • モール類・内装生地はほぼ中古 or リプロ頼み
  • ゴム類の再生品は増えてきたが、個体差大。
  • メッキパーツは良品が出にくい。

S120(比較的入手しやすい)

  • ゴム類・灯火類はS110より出回っている。
  • 4M系エンジンの補機類は中古市場に多い。
  • ハードトップ専用部品は希少。

整備性の総評

項目S110S120
整備性構造は単純だが調整が必要電装が増えたがメンテ性は良好
部品流通少ない・中古頼りS110より良好
トラブル傾向キャブ・電装・下回り錆センサー・ターボ(M-TEU)・後部錆

要点まとめ

  • S110は“機械式の味”が強いが、調整スキルが必要。
  • S120は電子制御の安定感があり、日常使用しやすい。
  • 塗装・防錆の進化でS120は前側の腐食が減った。
  • 部品確保のしやすさではS120が優勢。
  • どちらも40年以上経過しているため“予防整備が絶対”。

旧車ショップの映像を見ていると、S110はキャブ調整や下回り補強の作業が多い印象で、味わい深い一方で手がかかる存在、と感じます。

S120は電子制御化の恩恵が大きく、日常で乗るならこちらが安心という声が多いですね。

中古市場・値動き・選び方のポイント

クラウンS110・S120はいずれも40年以上が経過した旧車ですが、市場での評価や価格帯、流通量には明確な違いがあります。

とくに近年は“昭和高級車ブーム”の追い風で相場が上昇傾向にあり、購入の際は「どちらが目的に合うか」を慎重に判断する必要があります。


現在の流通量(2024〜2025年時点の傾向)

※Goo-net、オークション相場、旧車専門店の公開在庫などの実勢ベース。

S110(1974–1979)

  • 流通量:非常に少ない
  • 極上車:年に数台レベル
  • ハードトップのほうが残存数多め
  • 4M搭載車は希少価値が高く、売り切れが早い

→「探す」段階で苦戦しやすい。

S120(1979–1983)

  • 流通量:比較的多い
  • 各グレードで状態の振れ幅が大きい
  • 走行5万km台の“奇跡の個体”が稀に出る
  • ターボのM-TEU搭載車は常に上位価格帯

→ 理想の条件で選べる確率はS120が圧倒的に高い。


価格相場の目安(最新傾向ベース)

※年式・走行距離・補修歴で大きく変動。数値は参考水準。

状態S110(セダン/HT)S120(セダン/HT)
普通〜並(要整備)70〜120万円50〜90万円
良好コンディション140〜250万円100〜180万円
極上・低走行250〜350万円180〜280万円
特殊グレード不明(市場に少なすぎる)M-TEUターボ:+30〜80万円上乗せ

傾向として:

  • S110=玉の少なさで価格が強含み
  • S120=比較的安定し、状態差で価格帯が広い

値上がり傾向の分析

S110

  • 昭和50年代前半デザインの希少性
  • 直6搭載ハードトップの人気上昇
  • “クラシックVIP”としての再評価

中長期的には値上がりしやすい領域

S120

  • 台数の多さで価格が抑えられる傾向
  • ただし、極上ターボ車は上昇傾向
  • 「乗れる昭和車」として実用人気が高い

良い個体は今後じわじわ上がる可能性


良い個体を見極めるチェックポイント

共通で見るべき点

  • 腐食(トランク・フェンダー・サイドシル・フロア)
  • 冷間時のアイドリング(揺れ・息継ぎ)
  • オルタネーター電圧
  • 足回りブッシュの亀裂
  • 助手席側フロアの湿気(雨漏り)

S110固有の注意点

  • キャブレターの状態(チョーク作動・燃調)
  • 電装接点の腐食
  • パワステのオイル滲み
  • ミッション/デフのうなり

機械的な熟成状態の差が大きいため、現車確認が必須。

S120固有の注意点

  • 4M-Eのセンサー類(年式で劣化)
  • M-TEUターボのブースト抜け
  • ハードトップのドア下腐食
  • ATの変速ショック(滑り)

実用域での走行性能を必ず確認したい。


用途別の“おすすめ”

● 旧車初心者向け

S120の4M-E搭載車
理由:燃調安定、部品供給が比較的良好、扱いやすい。

● 機械式キャブを触りたい/昭和の味を求める

S110
理由:素の乗り味・直6キャブの味わいが濃い。

● コレクション性・希少性重視

S110ハードトップの極上個体
理由:すでに市場に希少、良個体は確実に減少。

● 実用域の快適性+昭和車の雰囲気

S120後期ロイヤルサルーン/スーパーサルーン
理由:古さと快適性のバランスがちょうど良い。


実勢市場を知るリンク


要点まとめ

  • S110は玉数が少なく希少性が高いため、値動きも強含み。
  • S120は流通量が多く、良い個体を選びやすい。
  • 初心者はS120、希少性重視ならS110。
  • 状態差が大きいので、現車確認と整備履歴のチェックが最重要

市場の動きを見ていると、S110は本当に“探すのが大変”で、良い車はすぐ売れてしまう印象です。

S120は個体数が多く、そのぶん選ぶ楽しさがあるように感じます。

どちらも時代の空気をまとった良いモデルで、選ぶ基準は“使い方”と“好み”がとても大事ですね。

よくある質問(FAQ)

S110とS120、長距離ドライブに向いているのはどっち?

長距離の快適性を重視するなら S120 です。

遮音材の追加、ボディ剛性の向上、ATの進化などにより、巡航中の疲労感が少なく、エアコンの効きも比較的安定しています。

S110は柔らかい乗り心地が魅力ですが、上下動が大きく疲れやすい傾向があります。

キャブ車(S110)とインジェクション(S120)、維持が難しいのは?

維持の難しさは キャブ車(S110) の方が上です。

キャブの燃調やチョーク作動はコンディション維持に技術が必要で、季節や走り方によって調整の必要が出ることがあります。

S120の4M-Eは燃調が安定しており、日常使用の手間が明確に少ないです。

S110のキャブ車は現代のガソリンでも問題ない?

基本的には走りますが、現在のガソリンは揮発性が高いため夏場の熱ダレが起きやすいのが注意点です。

ヒートインシュレーターの追加や燃料ライン点検などの予防整備が効果的です。

S120ターボ(M-TEU)を選ぶ際の注意点は?

タービンの軸ガタやブースト抜けは必ず確認したいポイントです。

過給開始のフィーリングや加速音に違和感がないか、暖機後のブーストの立ち上がり方を確認すると状態が分かりやすいです。

部品供給はどちらが有利?

全体的には S120が有利。S110は特に外装モールや内装生地が中古頼りで、良品はほとんど枯渇しています。

S120は比較的新しい世代のため、ゴム類や電装系の入手性が高めです。

腐食しやすいポイントは?

  • S110:フロントフェンダー下、ルーフモール、サイドシル前部
  • S120:リアフェンダーアーチ、ドア下、トランクフロア
    どちらも年式相応のサビは避けられないため、現車確認は必須です。

どちらが燃費が良い?

燃費では S120の4M-E が優位です。

電子制御インジェクションにより、街乗りでの燃料消費が安定しています。

S110はキャブの調整状態で大きく変動します。

ハードトップとセダン、強度や乗り心地の差は?

ハードトップはピラーレス構造のため、開口の大きさからボディ剛性がわずかに低い傾向があります。

そのぶん開放感は強いです。セダンは剛性が高く、乗り心地は落ち着いた傾向があります。

初めての旧車としてはどっちが向いている?

総合的に見ると S120 が向いています。

燃調の安定、ATの性能、パーツ供給の良さが理由です。

S110は旧車らしい味を楽しみたい方向け。

将来の値上がりを期待するなら?

希少性・残存数の少なさから、S110の極上車は確実に資産価値が上がる領域。

S120も上質なターボや低走行車は評価が高まっています。


まとめ

クラウンS110とS120は、数字だけでは読み取れない“設計思想の違い”が随所に現れており、乗り味・装備・静粛性・整備性・市場価値に至るまで明確な差があります。

S110は和風高級車の重厚感とキャブ車らしい味わいが強く、昭和の雰囲気を色濃く楽しめる一方、キャブ調整や電装の経年劣化など、旧車ならではの手間が確実に必要です。

対してS120は電子制御化と防振構造の改善により、走りの扱いやすさと静粛性が大幅に向上し、現代的な快適性を持ちながら昭和クラウンの魅力を残す絶妙な世代に仕上がっています。

中古市場では、S110は台数が極端に少なく希少性が高まっているため、探す段階から難易度が高いのが特徴です。

一方、S120は流通量が多く、部品供給も比較的安定しているため、初めての旧車としても検討しやすい存在となっています。

どちらを選ぶにしても、腐食・冷間時のアイドリング・電装系の健全性などチェックポイントをしっかり押さえることが、安心して長く乗るための重要なステップです。

S110は希少性、S120は実用性と快適性、この違いを理解することで、自分に最適なクラウン像がよりクリアに見えてくるはずです。


参考リンク

-クラウン