クラウンS120(1979–1983)とS130(1983–1987)は、“昭和クラウンの完成形”へ向けた流れの中で非常に重要な2世代です。
基本骨格は似ていても、実際に乗り比べるとフィーリング・静粛性・装備・耐久性が大きく異なり、カタログスペック以上の差が体感できます。
S120は近代クラウンの礎となった静粛性と豪華装備が特徴で、S130ではさらに完成度が高まり、世界戦略車としての質感と耐久性が飛躍的に向上します。
購入を検討する読者にとっては、「クラウンらしい重厚感を求めるのか」「より現代的な快適性を求めるのか」が選択のポイントとなります。
本記事では、当時の一次資料をもとに、外観・内装・パワートレイン・足回り・装備・整備性・中古市場までを深掘りし、両者の違いを“実用視点”から明確に整理していきます。
Contents
S120とS130の基本データ比較(年式・骨格・グレード)
クラウンS120とS130の違いを理解するためには、まず「公式スペックとグレード体系」を押さえることが重要です。
両者は“クラウンらしさの継承”という軸は共通ですが、構造・装備・安全性が一段階進化しており、旧車としての扱いやすさ・整備性にも差が出ます。
生産年式と世代の位置づけ
| 世代 | 生産期間 | 特徴 |
|---|---|---|
| S120(6代目) | 1979–1983 | 豪華装備が急進化。静粛性と乗り心地が大幅に向上。 |
| S130(7代目) | 1983–1987 | 世界基準の耐久性・静粛性。バブル期高級車の先駆け。 |
S130は“完成形クラウン”と呼ばれることも多く、現在でもタクシー仕様が現役で残るほどの耐久性を誇ります。
グレード体系(要点)
S120
- ロイヤルサルーン
- スーパーサルーン
- デラックス
- ハードトップ/セダンの二本立て
→ 豪華装備の標準化が急速に進んだ世代。
S130
- ロイヤルサルーン(上質素材・高級方向がより強化)
- ロイヤルサルーンG(フラッグシップ的存在)
- スーパーサルーン
- デラックス
→ 上級グレードの“質感の高さ”はクラウン史上屈指。
車体寸法(グレード差・年式差により一部「不明」)
| 項目 | S120 | S130 |
|---|---|---|
| 全長 | 約4695〜4700 mm | 約4690〜4860 mm(ボディ拡大) |
| 全幅 | 約1695 mm | 約1710〜1725 mm |
| 全高 | 約1425〜1450 mm | 約1425〜1445 mm |
| ホイールベース | 2690 mm | 2730 mm(延長) |
特にホイールベースの延長(2690→2730mm)は走りの“安定感・静粛性”に大きく影響しており、体感差は明確です。
プラットフォームの違い(一次資料ベース)
- S120:従来のクラウン骨格を踏襲
- S130:床面設計の見直し、ボディ剛性向上
- フロア補強
- バルクヘッド強化
- ドア周りの剛性アップ
→ 乗り心地と静粛性が大きく改善される要因に。
要点まとめ
- S130は“拡大+高剛性+静粛性強化”の方向で進化。
- グレード体系はS130のほうが上級志向が明確。
- ホイールベースの延長が走りの印象に大きく作用。
- S120は“昭和後期の豪華車”、S130は“完成形クラウン”という違い。
カタログを見比べても、S130は“国産高級車の成熟期”を象徴するような作り込みを感じます。
走行映像でも、S120より一段静かでスムーズな印象が伝わってきますね。
外観デザインの違い(直線基調・豪華方向への進化)

S120とS130はどちらも“直線基調のクラウン”という共通イメージを持っていますが、実際に並べて見ると世代差は明確です。
S120は昭和後期の“硬派な高級感”を残しますが、S130ではより立体的で高級感のある造形へ進化し、のちの80系クラウンやバブル期の高級車文化につながる“完成形の風格”が現れます。
フロントマスクの違い
S120(1979–1983)
- 直線基調で端正な顔つき。
- ヘッドライトは角型2灯〜4灯。
- バンパーは厚みが増えたものの、まだ“直線的で控えめ”。
- グリルは水平基調が強く、静かな高級感。
印象: 昭和後期のクラウンらしい端正さと落ち着きがある。
S130(1983–1987)
- グリルはさらに大型化し、奥行きのある立体造形へ。
- ヘッドライトは角型だが、レンズカットが精密で光量も向上。
- バンパーがより“分厚く・高級感のある仕立て”に進化。
- ボンネットラインがわずかに高く、重厚感が強い。
印象: 王冠クラウンの風格が強まり、“バブル期高級車”の原型。
ボディラインの違い
S120
- パネルは平面が多く、面構成がシンプル。
- サイドビューは薄めでシャープ。
- ハードトップはピラーレスで開放感が強い。
S130
- ボディパネルに“緩やかな膨らみ”が追加される。
- 面のつながりが滑らかで、上質な厚みが出る。
- ホイールベース延長により、伸びやかで堂々としたシルエットに。
まとめれば:
S120=シャープで端正
S130=堂々・重厚・上級感
テールデザインの差
S120
- 直線的なテールランプ。“昭和クラウンらしい”角型。
- ハードトップは横一文字でシャープ。
- メッキモール多めで保守的。
S130
- テールランプは大きく立体的なデザインへ。
- フラッグシップらしい“ワイド感”が強まる。
- メッキは上品に抑えられ、質感が高い。
- 夜間の光り方も均一で現代的に近い。
印象差:
S130は灯火類の見栄えが一気に豪華になり、“王者のマークIIとは違うクラウンらしさ”を強調。
実車映像で見比べられる動画
映像で見ても、S130は光の当たり方で表情が変化する“立体的な高級車の顔つき”がよく分かります。
要点まとめ
- S130はフロント・サイド・リアすべてで“豪華方向”へ進化。
- 立体感・奥行き・厚みが増し、デザインの完成度が飛躍的に向上。
- S120はシャープさと直線の美しさが特徴で、むしろ今の時代に人気が高い。
- S130は“高級車の風格”が明確になり、街中での存在感が強い。
実車を見ても、S120は“昭和の端正な高級感”、S130は“クラウンの完成形に近い重厚感”で、デザインの成熟を強く感じます。
特にS130のフロントの厚みと立体感は、走行映像でもさりげなく風格がありますね。
内装・装備の変化(デジタル化・質感向上)

S120とS130の“乗った瞬間に分かる違い”が、この内装と装備の進化です。
S120は昭和後期のクラウンとしてすでに豪華装備が豊富でしたが、S130では一気に質感・静粛性・操作性・電装の完成度が高まり、のちの80・90系クラウンにつながる“近代クラウンの室内”が完成していきます。
インテリアデザイン(雰囲気・素材感)
S120(1979–1983)
- 直線基調のインパネで、昭和らしい端正な造形。
- 木目調は装飾的で、まだ“樹脂の木目”感が強い。
- メーターはアナログ主体、電子メーターは一部のグレード。
- トリムは厚めで柔らかいが、素材感はやや昭和寄り。
- スイッチ類は小型で、機能ごとに配置されている。
総評: しっかり高級感はあるが、まだ“昭和の上級車”という雰囲気。
S130(1983–1987)
- インパネデザインが一気に“現代化”。
- 木目の深みが増し、色調やパターンに上質さが明確。
- メーターは自発光式風の精密なアナログ、または高精度デジタル(グレード差)。
- スイッチ類が大きく押しやすく、運転席側に機能が集約。
- トリム・天井・シートの素材がワンランク上質。
総評: 近代クラウンの原型。高級感・まとまり・視認性が劇的に向上。
主要装備の進化ポイント
装備の差は、実用性や日常の快適性に直結します。
| 装備項目 | S120 | S130 |
|---|---|---|
| エアコン | 改良型・効きは安定 | 完全電子制御化で大幅向上 |
| パワーシート | 一部グレード | ロイヤルサルーンで普及 |
| 電動ミラー | グレード設定 | ワイドミラー化・操作性向上 |
| センターロック | 一部 | ほぼ標準化 |
| オーディオ | カセット主体 | 高音質スピーカー・オートリバース等 |
| トリップコンピュータ | なし | 一部グレードに搭載 |
| デジタルメーター | ごく一部 | 人気の“フルデジタル”が本格登場 |
S130は“装備が充実した昭和高級車”ではなく、“先進装備を積んだ近代高級車”へ進化した世代と言えます。
静粛性の違い(体感差が非常に大きい)
S120
- すでに静粛性が高いが、路面の粗さが室内に伝わる場面も。
- エンジン音は抑えられているが、こもり音が少し残る。
- 防振材は“必要十分”のレベル。
S130
- バルクヘッド・フロア・ピラー・ドアすべてで防音強化。
- 高速巡航中の静けさが明確にワンランク上。
- わずかな振動も吸収され、車内に“重厚な静寂”が生まれている。
体感としては、S130が圧倒的に静か。
シート・快適性の差
S120
- 柔らかく沈む設計。昭和のクラウンらしい座り心地。
- ただし長時間の高速では腰に来やすい。
S130
- クッション材・構造が改良されており、腰のサポートが向上。
- フラッグシップのロイヤルサルーンは特に“ソファに座る感覚”。
- 背面のホールドもわずかに増え、疲れにくい。
実車映像で確認できる動画
映像でも、S130のダッシュボードの質感・照明・スイッチの大型化が分かりやすいです。
要点まとめ
- S120は“昭和の端正な高級車”、S130は“完成した近代高級車”。
- 内装の素材感・スイッチの操作性・空調性能はS130が大幅に上。
- 静粛性はS130が圧倒的で、長距離の疲労度も低い。
- デジタル・電子制御の普及で利便性が大幅アップした。
S130の室内は今見ても“整っていて落ち着く空間”で、クラウンらしい豪華さと気品が強く感じられます。
S120の直線的でクラシックな室内も魅力ですが、乗り比べるとS130の質感の高さは明確ですね。
パワートレイン・走行性能の違い

クラウン S120 と S130 は、同じ「直列6気筒クラウン」という系譜にありながら、実際の走り・静粛性・扱いやすさに“世代が違う”と言えるほどの差があります。
とくに S130のM型エンジン最終熟成(4M-E、M-TEU)と電子制御の進化、ATの完成度 は、S120との体感差を大きく分けるポイントです。
エンジンラインナップの違い(一次資料ベース)
| 系列 | S120(1979–1983) | S130(1983–1987) |
|---|---|---|
| M型直6 | 4M-E / M-TEU(ターボ) | 4M-E(熟成版) / M-TEU(改良ターボ) |
| R型直4 | 21R-U 等(市場差) | 22R / 22R-U 等(市場差) |
| ディーゼル | 3B | 3B / 2H(市場差) |
S130は“実用のクラウン”として世界中で使われた世代のため、耐久性・制御精度・信頼性が飛躍的に向上しています。
4M-E(FI直6)の進化
S120の4M-E
- 当時としては非常にスムーズで静粛性の高いFI直6。
- 低速トルクが太く街乗りがしやすい。
- ただし初期FIのため、センサー劣化でアイドリングのムラが出やすい個体あり。
S130の4M-E(熟成版)
- 燃調・点火制御が改良され、フィーリングがより自然に。
- アイドリングが非常に安定し、振動が小さい。
- 高速巡航の静粛性が大幅に向上。
- エンジンマウント・吸排気の見直しで“滑るような加速”。
体感としては、S130の方が圧倒的に洗練されている。
ターボ(M-TEU)の違い
S120 M-TEU
- 中間加速が力強く、直6ターボならではの伸びが魅力。
- ただしタービンの初期応答はやや鈍め。
- 熱管理・ブースト制御が現代基準では古さを感じる。
S130 M-TEU(改良型)
- 低回転のレスポンスが良くなり実用域の加速が向上。
- 過給圧の制御が安定し“ドン付き”が減る。
- 振動・騒音が抑えられ、静粛ターボの性格が強い。
街乗り・高速のどちらでも、S130が扱いやすい。
AT(オートマチック)の進化(これが大きい差)
S120
- 4速AT(A40系)。
- 変速タイミングがやや粗く、ショックも大きめ。
- 坂道・追い越しで“キックダウン待ち”が発生しがち。
S130
- 4速AT(A43/A44系)で制御が大幅に改良。
- 変速ショックが劇的に減る。
- 出足・中間加速が自然で、“現代寄りのAT”に近い感覚。
- 高速巡航で回転が安定し、静粛性が高い。
S130のATは完成度が非常に高く、S120とは別物レベル。
実際の走りの印象(オーナーの声+走行映像で確認できる差)
S120
- 街乗りの扱いやすさは十分。
- 巡航中は静かだが、路面の粗さで“わずかにこもる”場面あり。
- 直6らしいスムーズさは強いが、全体的に昭和車の雰囲気。
S130
- 静粛性はクラウン史でも高レベル。
- ATの繋がりが滑らかで、乗った瞬間に違いが分かる。
- 長距離走行での疲労感が非常に少ない。
- ターボ車は加速の伸びが気持ち良く、中間域が特に強い。
比較に役立つ走行映像
映像でも、S130はエンジン音・こもり音の少なさが分かりやすく、ギアチェンジの滑らかさが明らかに違います。
要点まとめ
- エンジンの成熟度はS130が上。4M-Eの仕上がりが良い。
- ターボ車はS130の方がレスポンス・静粛性・扱いやすさが高い。
- ATの完成度が大幅に高まり、走行フィールの差が最も大きい点。
- 長距離巡航・街乗りともに“疲れにくさ”はS130が上。
- S120は“昭和クラウンの味”、S130は“完成形の走り”。
走行映像やオーナーの声を見ても、S130は「クラウンらしさ」を磨いた完成形という印象が強く、S120のクラシックな味とは方向性が違うように感じます。
特にATの滑らかさと静粛性は、年式を考えると驚くほどの進歩ですね。
足回り・乗り心地・静粛性の違い

S120とS130は同じ「クラウンの直線基調・FRサルーン」という枠組みでありながら、走りの質感・乗り心地・静粛性においてはまったく別世代と言えるほどの差があります。
特にS130は“タクシーとして今も現役がいるほど”の耐久性と安定性を持っており、足回りの完成度はクラウン史でも重要な転換点です。
サスペンション構造はほぼ共通、しかし“質”が違う
両世代とも以下のクラウン伝統の構造を採用:
- フロント:ダブルウィッシュボーン
- リア:4リンクリジッドアクスル
しかし、S130ではサスペンション支持点、ブッシュ材質、ダンパー特性、ボディ側の剛性が見直されており、同じ形式でも体感は別物です。
S120(1979–1983)の乗り味
- スプリング・ダンパーは柔らかめ。
- 低速域では「しっとり柔らかい昭和の高級車」。
- 高速では上下動が少し残り、揺れ戻しが気になる場面も。
- ボディ剛性は十分だが、微振動が室内に残りやすい。
- 荒れた路面ではこもり音が少し入りがち。
- 静粛性は高いが、のちのS130と並べると“世代の差”が明確。
印象:
昭和クラウンらしい柔らかい乗り味で、街乗りが得意。
S130(1983–1987)の乗り味
- ダンパー減衰が最適化され、揺れの収束が非常に早い。
- ホイールベース延長(2690 → 2730mm)で直進安定性が大幅向上。
- フロア剛性・ピラー剛性が強化され、細かい振動が減少。
- 低速〜高速まで揺れが抑えられ、“浮き沈み”が少ない。
- タイヤ特性を生かした設計で、コーナーでの安定感も高い。
- 風切り音・路面ノイズの侵入を徹底的に抑制。
印象:
現代クラウンにも通じる“重厚でフラットな乗り心地”。
タクシー用に使われ続けたのも納得の完成度。
静粛性の差(体感が最も大きいポイント)
S120
- 当時としては非常に静か。
- ただしフロア・ドア・ピラーからの微細な音が入る。
- 高速120km/h付近では、わずかにこもり音が残る印象。
S130
- ドア内部・フロア・バルクヘッド・ルーフに大量の遮音材。
- エンジン音の室内侵入が徹底的に抑えられている。
- 巡航時の静けさは「クラウンらしさ」の象徴レベル。
- 路面の粗さがほとんど伝わらない個体も多い。
- 映像で比較しても、S130の車内は明らかに静か。
体感としては、S130が“別次元”。
ボディ剛性の差
S120
- 必要十分の剛性。
- ギシギシ音が出る個体も年式相応に存在。
- ドアの閉まり音は“軽快な昭和の高級車”。
S130
- ドア・ピラー・フロア補強が強化。
- “ドスッ”と重厚な閉まり音。
- ねじれが少なく、長距離で疲労しにくい。
- 実用車(タクシー)としての剛性確保が徹底されている。
タイヤ・ホイールの差
| 項目 | S120 | S130 |
|---|---|---|
| タイヤ幅 | 195/70R14等 | 205/65R15等(拡大) |
| ホイール | 14インチ中心 | 15インチが主流 |
| 路面追従性 | やや柔らかさが強い | より“フラットライド”方向 |
S130は接地感が強く、現代車に近い安定性があります。
実車映像で分かる差
特に高速道路の映像では、S130の安定性・静粛性がはっきり確認できます。
要点まとめ
- サスペンション形式は同じでも、S130の乗り心地は“完成形”レベル。
- 静粛性はS130が圧倒的に上。遮音材・剛性の差が大きい。
- S120は柔らかくクラシックな乗り味で、昭和の雰囲気が魅力。
- S130は長距離でも疲れにくく、現代車に近い快適性を持つ。
走行映像を見ると、S130は“走りの質”がまったく違いますね。
特に高速での直進安定性と静粛性は、クラウンの完成形と言えるほどで、S120の持つクラシックな魅力とはまったく別方向の良さを感じます。
耐久性・整備性・弱点ポイント比較
S120とS130はどちらも“丈夫で長く乗れるクラウン”として知られていますが、世界戦略車として徹底的に鍛えられた S130の耐久性は別格 です。
実際にタクシー用途で現役が長く存在するのはS130が中心で、整備性・弱点・部品供給の差は旧車として所有する際の大きな判断材料となります。
エンジン耐久性の違い
どちらもM型直6(4M-E / M-TEU)を搭載しますが、完成度には大きな差があります。
S120(4M-E / M-TEU)
- 4M-Eは基本的に丈夫だが、初期電子制御ゆえセンサーの劣化が出やすい。
- アイドリングのバラつきや冷間時のムラが起きる個体がある。
- M-TEUターボはメンテ次第で寿命差が大きい。
- オイル滲みは年式相応によく見られる。
S130(4M-E熟成 / M-TEU改良型)
- 電子制御の完成度が高く、アイドリングが非常に安定。
- 燃調の乱れが少なく、長期使用でも“音・振動が小さい”。
- ターボは熱管理が改善され、ブースト抜けが減少。
- 補機類の耐久性も総じて向上。
総評:
耐久性・安定性の両面で S130が圧倒的に信頼性が高い。
AT(オートマ)の耐久性
S120
- A40系ATは丈夫だが、経年でショック増大・滑りが出やすい。
- 減速時・キックダウン時に違和感あればオーバーホール級。
S130
- A43〜A44系へ進化し、**丈夫で壊れにくい“名機”**と評価される。
- タクシー用途で40〜50万km使われるほどの耐久性。
- 変速ショックが少なく、寿命の兆候も分かりやすい。
総評:
ATの信頼性はS130が別格。旧車として所有する安心感が非常に高い。
電装系の弱点
旧車では「電装の状態」が安心して乗れるかどうかを左右します。
S120
- ハーネスの接点腐食が年式的に起きやすい。
- メーター球・スイッチ類の接触不良も典型。
- ECUは古さから不調が出る個体がある。
S130
- 電装の品質が一気に向上し、配線の劣化トラブルが少ない。
- デジタルメーター車は液晶焼け・表示不良のリスクあり。
- クラシックカーとしてはかなり信頼性が高い部類。
足回り・ブッシュ類の耐久性
S120
- ロアアーム・スタビ・ラテラルロッドのブッシュ劣化が定番。
- 年式相応の“コトコト音”やふらつきが出やすい。
- 交換すれば印象は大きく変わるが部品確保に時間がかかる。
S130
- ブッシュ材質が向上し、劣化スピードが遅い。
- タクシー用途でも長く使える“高耐久足回り”。
- 交換部品の流通量が非常に多く、整備性も高い。
ボディ・腐食ポイントの違い
どちらも40年以上前の車だが、サビの出方に“構造差”がある。
S120で特に多い
- リアフェンダーアーチ
- ドア下
- トランクフロア
- ルーフモール周り
- 下回りのスポットサビ
S130で特に多い
- リアフェンダー前側
- ジャッキポイント周辺
- ドア下の水抜き不良個体
- ただし全体としてはS120より腐食耐性が高い
部品供給の違い(実用面でとても重要)
S120
- 純正新品はほぼ枯渇。
- 内装生地・モール類は中古頼み。
- ゴム類はリプロ品があるが品質差が大きい。
S130
- ゴム類・足回り・電装など部品供給が豊富。
- ディーラーでまだ入る部品も一部存在。
- 修理・整備のハードルが非常に低い。
部品の入手性はS130が圧勝。
総合比較(耐久・整備のしやすさ)
| 項目 | S120 | S130 |
|---|---|---|
| エンジンの安定性 | 良いが個体差大 | 非常に高い |
| AT耐久性 | 並〜良 | 最高レベル |
| 電装の信頼性 | 古い部分が出やすい | 安定して高い |
| 足回りの寿命 | 年式なりに劣化 | 耐久性に定評 |
| 部品供給 | やや厳しい | 豊富・安心 |
| 腐食耐性 | 年式相応 | 比較的強い |
要点まとめ
- S130は耐久性・整備性ともにクラウン史上屈指の完成度。
- S120は古さが味として出る一方、維持には知識と手間が必要。
- ATの耐久性はS130の大きな強み。
- 部品供給の差で“維持のしやすさ”は圧倒的にS130が上。
- 旧車初心者にはS130のほうが間違いなく安心。
旧車ショップの整備映像を見ると、S130は本当に“壊れにくい車”として扱われているのが印象的です。
S120はクラシックな味わいが強く魅力ですが、維持を考えるとS130の完成度と整備性はかなり大きなメリットだと感じます。
中古市場・値動き・最適な選び方

S120とS130は、いずれも「昭和クラウンの黄金期」を象徴するモデルです。
しかし現在(2024〜2025年)の中古市場では、残存数・相場・整備性・目的別の適性に大きな違いがあります。
とくにS130はタクシー用途で長く使われたため中古個体が豊富で、旧車初心者でも選びやすいのに対し、S120は年々“玉が減り、良い個体の価格が上昇”しています。
現在の流通量(実勢ベース)
※Goo-net・カーセンサー・専門店公開在庫などからの市場傾向。
S120(1979–1983)
- 流通量:少ない
- 良好コンディションの個体は確実に減少
- ハードトップのほうが残存数が多い
- 4M-E搭載の極上車は稀
→ “探すこと自体が難しい世代”になりつつある。
S130(1983–1987)
- 流通量:多い(特に後期)
- セダン・ハードトップとも市場に安定して出回る
- 低走行車・極上車が“まだ”狙える
- タクシー上がりの車体は状態差が大きい
→ 予算・状態で幅広く選べるのがS130の強み。
価格相場の目安(参考水準)
年式・グレード・補修歴により大きく変動。
| 状態 | S120 | S130 |
|---|---|---|
| 並(要整備) | 50〜80万円 | 30〜60万円 |
| 良好 | 100〜180万円 | 60〜120万円 |
| 極上・低走行 | 180〜260万円 | 120〜200万円 |
| 特殊グレード | 要確認 | ロイヤルサルーンG:プラス20〜60万円 |
傾向として:
- S120=希少性で高値安定
- S130=状態差で価格帯の幅が広い
“値上がり傾向”を市場視点で読む
S120
- 年式的にクラシックの域
- 人気のハードトップはすでに枯渇
- 直6×FR×昭和デザインの再評価により中長期で値上がり必至
S130
- 流通量の多さで価格はまだ安定
- 極上車は確実に価格が上昇中
- ターボ/ロイヤルサルーンGは資産価値が高まりつつある
選ぶときに見るべきポイント(共通)
- 下回りの腐食
- AT変速のショック
- アイドリングの安定性(4M-Eは特に)
- 電装スイッチ類の接触不良
- ドア下の水抜き穴・モールの状態
- 整備記録(必須)
S120を選ぶ場合のポイント
- “昭和クラウンらしさ”を重視する方向け
- キャブ車的な雰囲気は消えているが、乗り味は古典寄り
- 流通が少ない=良い個体を見極める目が必要
- 予備部品の確保は前提
- ハードトップは人気のため価格が高い
適性: クラシックの味重視・希少性重視・“昭和の高級車”を楽しみたい人
S130を選ぶ場合のポイント
- 旧車初心者にとって“圧倒的に扱いやすい”
- 部品供給が豊富で整備工場も対応しやすい
- ATの寿命が長く、実用性がかなり高い
- タクシー上がりは避けたい(劣化が偏る)
- 後期ロイヤルサルーンは高級感が段違い
適性: 実用走行・長距離・日常使用も考える人/初めての昭和クラウン向け
用途別 “最適解”
- 街乗り+長距離も走る → S130(快適性・静粛性・安定性)
- 昭和デザインを味わう → S120(クラシック感)
- 希少性・保存目的 → S120の極上ハードトップ
- 実用性+旧車感 → S130前期(乗り味が柔らかい)
- 豪華さ重視 → S130後期ロイヤルサルーンG
市場情報リンク
要点まとめ
- S120は希少性が高く、探す段階が難しい。
- S130は流通量が多く、整備性・部品供給に優れる。
- 長く維持するなら圧倒的にS130が有利。
- “昭和の雰囲気”を求めるならS120の満足度が高い。
- 将来価値はS120の良質車が強いが、S130の極上車も上昇傾向。
市場の動きを見ていると“S120はすでにクラシックの領域”、S130は“旧車にしては実用性が非常に高い”という印象です。
どちらを選ぶかは、雰囲気重視か実用性重視かで大きく変わる世代ですね。
よくある質問(FAQ)

Q1. S120とS130では、どちらが旧車初心者に向いていますか?
A. S130のほうが明確に初心者向きです。
理由は、部品供給が豊富で、整備性が高く、ATや電装の耐久性も優秀なため。S120は希少性が高く魅力的ですが、個体差が大きく、良質車を探すハードルが高めです。
Q2. S120とS130の4M-Eは、体感でどれくらい違いますか?
A. 4M-E自体の基本構造は同じですが、S130は燃調・点火制御が進化して“安定感”がまったく違うという声が多いです。
アイドリングの静かさ・振動の少なさ・高速巡航でのスムーズさはS130が優位です。
Q3. ターボ(M-TEU)搭載車を買う場合の注意点は?
A. ターボ車は熱の影響で個体差が大きいです。
チェックポイントは、
- タービンの異音
- ブーストの立ち上がり
- オイル管理の履歴
- 過給圧制御の安定性
特にS120は初期ターボのため、S130より慎重な見極めが必要です。
Q4. S120は部品が入手困難というのは本当?
A. 事実です。
ゴム類・内装生地・外装モールなどは中古やリプロ頼みで、品質や在庫にバラつきがあります。
維持できるかどうかは“部品を確保できるか”が大きく左右します。
Q5. S130を選ぶ場合、タクシー上がりは避けるべき?
A. 多くの場合は避けたほうが無難です。
同じクラウンでも、
- アイドリング時間が極端に長い
- 足回りの劣化が早い
- 内装の傷みが多い
など、個体差が大きくなりがちです。
ただし整備履歴が明確なら検討価値はあります。
Q6. 乗り心地はどちらが柔らかい?
A. 柔らかさ重視ならS120です。
昭和のクラウンらしい沈み込み感があります。
S130は揺れを素早く収束させる設計で、“フラットで重厚”な乗り味です。
Q7. 将来値上がりしそうなのはどっち?
A. 保存状態の良いS120ハードトップは特に値上がり傾向が強いです。
S130も極上個体はじわじわ上昇していますが、基礎相場はまだ安定しています。
Q8. 今から実用で乗れるのはS130?
A. その通りです。
S130は静粛性・耐久性・整備性のバランスが非常に良く、旧車としては驚くほど実用的。
エアコン性能もS120より優れています。
Q9. 現車確認で絶対に見るべき場所は?
A. 以下は両世代共通で重要です:
- 下回りの腐食
- AT変速のスムーズさ
- ドア下の水抜き周り
- アイドリングの安定度
- 電装系スイッチ・パワーウインドウの反応
- エアコンの効き
S120は特にリアフェンダーのサビ、S130はジャッキポイントの腐食が典型です。
Q10. 部品確保はどうすればいい?
A. S130は一般流通+中古+純正ストックで確保しやすいです。
S120は、
- 旧車専門店
- リプロパーツメーカー
- 中古ヤード
- ヤフオク・メルカリ
で早めにまとめて確保するのが推奨です。
まとめ
S120とS130は、どちらもクラウン史を語るうえで重要な世代ですが、その性格と適性は大きく異なります。
S120は昭和後期のクラウンらしい柔らかさとクラシックな質感を持ち、希少性も高く“所有する満足感”が非常に大きいモデルです。
しかし、年式相応の古さから部品確保や整備の手間が大きく、旧車としての覚悟が必要な面があります。
一方、S130は耐久性・静粛性・整備性のいずれも大幅に向上しており、今なお実用車として通用するほどの完成度を備えています。
タクシー用途で長期間使用されたことが信頼性の証明であり、部品供給にも恵まれています。
旧車初心者や日常使いも想定したい方には非常に相性が良い世代です。
両者を比較すると、S120は“希少でクラシックな魅力”、S130は“完成された昭和高級車としての実用性”が光ります。
購入時は、使用目的・維持の難易度・市場の流通状況を踏まえ、長く付き合える個体を慎重に選ぶことが大切です。
