クラウンS120(1983〜1987)とマークII X70系(1984〜1988)は、同じトヨタのセダンながら“上級セダン”と“中級セダン”として明確に役割が分かれています。
外観サイズは近い部分もありますが、走りの味付け、室内の作り、静粛性、価格帯、想定ユーザーはまったく異なり、両者の違いを理解することは旧車選びで非常に重要です。
クラウンは「落ち着き・静けさ・威厳」を重視した高級セダンとして設計され、法人車としての採用も多かったモデル。
一方のマークII X70は「軽快・俊敏・スポーティ」を特徴とする中級セダンで、当時“ハイソカー”として若いユーザーから高い支持を得ていました。
似ているようで実際には方向性が完全に異なり、乗り味も生活感も違います。
この記事では、サイズ・装備・走り・維持性・中古相場・ユーザー層など、クラウンS120とマークII X70の違いを一次情報にもとづいて徹底比較します。
どちらを選ぶべきか悩む方に向け、それぞれの強みと弱点を整理し、旧車として所有するうえでのリアルなポイントを解説していきます。
Contents
基本スペックとサイズの違い(上級/中級セダンとしての設計差)
クラウンS120とマークII X70は、見た目の大きさは近く見えますが、設計思想がまったく異なるセダンです。
ここでは両者の“骨格となる違い”を整理します。
全長・全幅・全高の違い(数値比較)
| 項目 | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| 全長 | 約4,690mm | 約4,690mm(グレード差あり) |
| 全幅 | 約1,695mm | 約1,690mm |
| 全高 | 約1,435mm | 約1,385mm前後(低い) |
| ホイールベース | 2,690mm | 2,660mm |
| 車重 | 1,420〜1,560kg | 1,270〜1,400kg |
全長は驚くほど近いですが、全高・ホイールベース・車重に大きな違いがあります。
- クラウン → 高く・重く・ゆったり
- マークII → 低く・軽く・スポーティ
設計思想の違いがそのまま数字に表れています。
車格(上級/中級)の違い
| 視点 | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| 車格 | 上級セダン | 中級セダン |
| 想定ターゲット | 法人・公用・富裕層 | 個人ユーザー・若年層 |
| 価格帯(当時) | 高い | クラウンより低い |
| 立ち位置 | “トヨタの顔” | “大衆向けハイソカー” |
クラウンはトヨタのフラッグシップとして、威厳・静けさ・重厚感を重視。
マークII X70は若者にも人気が高く、スポーティさ・軽快さが評価されました。
室内空間の違い(体感の差)
数値上は近いものの、実際の室内空間には明確な差があります。
- クラウン S120:シートが厚く、天井が高く、包まれるような広さ
- マークII X70:着座位置が低く、視界もスポーティ、軽快感が強い
クラウンは“座らせてもらう車”、
マークIIは“運転して楽しい車”という方向性です。
要点まとめ
- 数値上のサイズは近いが、室内のゆったり感はクラウンが上。
- マークIIは低く軽く、スポーティ志向の設計。
- 車格・価格帯・ターゲットが明確に異なる。
当時の映像を見ても、クラウンS120の存在感は圧倒的で、どっしり落ち着いた高級車という雰囲気が伝わります。
一方でマークII X70は軽快で、街中をスッと流す姿がよく似合っています。
数字だけでは分からない“車格の差”がはっきりあると感じます。
外観・内装の作りの違い

クラウンS120とマークII X70は、同じトヨタの80年代セダンながら、外観デザインの方向性・内装の作り込み・高級感が大きく異なります。
両車とも角ばった時代のデザインを持ちつつ、クラウンは「威厳と豪華さ」、マークIIは「スポーティで若々しい雰囲気」を前面に出しています。
外観デザインの違い(雰囲気・造形)
| デザイン項目 | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| 全体の雰囲気 | 威厳・重厚感・落ち着き | 若々しい・軽快・スポーティ |
| ボディ形状 | 直線基調で背が高い | 低くワイド感のあるプロポーション |
| グリル | メッキ多めで豪華 | 薄型・角ばり・スポーティ |
| フェンダー | ふくらみのある重厚ライン | フラットでシャープ |
| バンパー | 厚みがあり高級 | スリムで軽快 |
クラウンの方が“高級車らしい見た目”を強く持ち、街中で存在感があります。
マークIIは同じ角型でも“シュッとした”印象で、当時の若いユーザーに刺さるデザインです。
内装の違い(質感・素材・空間)
| 項目 | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| 内装素材 | 厚いベロア・加飾多め | シンプルでスポーティ |
| シート | クッション厚め・ふんわり | 低めでホールド感あり |
| 天井 | 明るめで広く見える | やや低くスポーティな閉鎖感 |
| インパネ | ゆったり大型 | 角ばって機能的 |
| 色合い | 上品で落ち着き | グレー基調が多く軽快 |
クラウンは“室内が高級ラウンジのよう”な落ち着きがあります。
マークIIはドライバーを包む“スポーツセダンの空気”が強いです。
メーター・操作パネルの違い
- クラウン S120
- デジタルメーター設定あり
- 操作スイッチは大きく上質
- 空調パネルも豪華
- 全体的に落ち着いた操作感
- マークII X70
- デジタルメーター設定あり(ハイソカー路線)
- メーターはスポーティで視認性高い
- 操作系は軽く“若々しい”感触
どちらもデジタル装備が時代を象徴しますが、クラウンは豪華方向、マークIIはスポーティ方向に寄っています。
室内空間の余裕(天井高・足元)
クラウンは天井が高く、シートも厚いため、室内が広く感じられます。
マークIIは着座位置が低く、天井も低めなので“運転席がコックピット的”です。
| 視点 | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| 天井高 | 広く余裕あり | 低めでスポーティ |
| 足元 | ゆったり | 普通〜やや狭め |
| 全体感 | 余裕の高級車 | タイトなスポーツセダン |
外観・内装の違いまとめ
| 方向性 | クラウン | マークII |
|---|---|---|
| 外観 | 威厳・豪華 | 若々しい・軽快 |
| 内装 | 分厚く上質 | シンプルで機能的 |
| 空間 | ゆったり広い | タイトでスポーティ |
要点まとめ
- クラウンは外装・内装ともに“豪華で重厚”。
- マークIIは“スポーティで軽快”な方向性を徹底している。
- 室内空間の広さはクラウンが大きく優る。
動画で比較すると、クラウンはアイドリング中のゆったりとした雰囲気が際立ち、乗員が落ち着く空間づくりが強く感じられました。
マークIIは運転席周りがコンパクトで、ステアリング操作に対する反応が想像しやすい“運転したくなる内装”が印象的でした。
どちらも当時のトヨタらしい丁寧な作りがあり、方向性の違いがはっきりと伝わってきます。
走り・静粛性の違い

クラウンS120とマークII X70は、同じ直6エンジンを搭載するグレードもありますが、走りの性格はまったく異なります。
これは車格・車重・サスペンション設定・遮音材の量など“設計思想”の違いによるもので、実際に乗ると明確に差が出るポイントです。
サスペンションと乗り味の違い
| 視点 | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| 乗り味 | しっとり・重厚・柔らかい | 軽快・引き締まり・スポーティ |
| サスペンション | 快適性優先のチューニング | 応答性優先のチューニング |
| 路面のいなし | 滑らかで角が取れる | ダイレクト感が強い |
| 長距離適性 | とても高い | 十分高いがクラウンほどでない |
クラウンは「疲れにくい乗り味」、マークIIは「運転を楽しめる乗り味」という性格です。
加速フィール・軽快感の違い
エンジンは共通のM型系や1G系を搭載したグレードもありますが、体感は大きく変わります。
- クラウン S120
- 車重があるため加速は穏やか
- 直6の静けさと滑らかさが際立つ
- “ゆったり優雅に走る”印象
- マークII X70
- 車重が軽く、踏み出しが軽快
- 加速がスッと伸びる
- “走りの楽しさ”が前に出るフィール
同じエンジンでも、まるで違うキャラクターに感じられるのが特徴です。
ハンドリングの違い(操作感)
| 観点 | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| ハンドリング | 穏やか・ゆったり | クイック・軽快 |
| 操舵フィール | しっとり重め | 軽く反応が良い |
| コーナリング | 安定・ロール大 | 引き締まり・ロール小 |
マークIIは“自分で操っている感”が強いのが特徴で、クラウンは“大らかに動く高級車"という性格。
静粛性の違い(遮音材・エンジン音)
静粛性はクラウンの完全勝利と言えるほど、差が大きい部分です。
- クラウン S120
- 遮音材が多い
- ドアの厚みもあり風切り音が少ない
- 高速走行でも静かで落ち着く
- マークII X70
- クラウンほど静かではない
- スポーティな音が入る
- 軽快だが“上級車の静けさ”とは異なる
高速道路での印象差
| 視点 | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| 直進安定性 | 高く、疲れにくい | 十分高いが軽快寄り |
| 室内の静けさ | とても静か | クラウンより賑やか |
| 長距離適性 | 圧倒的に高い | 軽快で走りやすい |
クラウンは“高速巡航が得意”、マークIIは“街中〜高速まで軽快”という位置づけになります。
走り・静粛性の違いまとめ表
| 方向性 | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| 性格 | 落ち着き・重厚 | 軽快・スポーティ |
| 走りの印象 | ゆったり・静か | 反応が良い・楽しい |
| 長距離向きか | かなり向く | 向くがクラウンほどではない |
| 運転の楽しさ | 操られる感覚が強い | 自分で操る感覚が強い |
要点まとめ
- クラウンは静かで重厚、長距離で疲れにくい。
- マークIIは軽快で反応が良く、運転の楽しさが強い。
- 同じ直6でも、車重と遮音材の違いでキャラクターがまったく違う。
走行動画でも、クラウンはアイドリングから“静けさの質”が明らかに違っていて、車内が落ち着いた雰囲気です。
一方でX70はステアリング操作に対する反応が軽く、当時の若者が惹かれた理由がよく分かる軽快さが感じられました。
どちらも魅力的ですが、やっぱり方向性は完全に別物だと感じますね!
維持費・整備性・部品入手性の違い

クラウンS120とマークII X70は、どちらも80年代トヨタらしく整備性が高いモデルですが、車格(上級/中級)と装備内容の違いによって、維持のしやすさ・故障リスク・部品の入手状況に明確な差があります。
旧車として長く付き合ううえで非常に重要な比較ポイントです。
維持費(税金・燃費・消耗品)の傾向
| 項目 | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| 重量税 | やや高い(重量が重い) | クラウンより軽い分低め |
| 自動車税 | 排気量依存で差は小 | 排気量次第でクラウンと同等 |
| 燃費 | 直6+重量でやや不利 | 軽量で比較的良い |
| タイヤ | 大径で高め | 少し安価で入手容易 |
クラウンは“重厚な上級車”ゆえに維持費は全体的に高め。
マークIIは軽くシンプルで、維持費を抑えやすい構造です。
整備性の違い(扱いやすさ・作業性)
どちらも整備性の良さで知られますが、性格が違います。
クラウン S120
- ボディが大きく作業スペースは広い
- 電装品が多く、後期型は作業工数がやや増える
- 上級仕様ゆえ、内装を外す際に気を使う箇所が多い
- 法人車採用が多く、整備手順は確立されている
→ 整備性は良いが、部品点数が多いため手間も多い
マークII X70
- コンパクトで整備しやすい
- 電装構造が比較的シンプル
- 直6モデルもメカが扱いやすく、DIYでも人気
- 部品の互換性が広く、同年代トヨタ車と共通部品も多い
→ 軽快に作業できる“メカとして扱いやすい車”
壊れやすいポイントの違い
| 方向性 | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| 弱点の傾向 | 電装・デジタル系 | 機械系は頑丈、電装も比較的強い |
| 典型的な症状 | エアコン基板・パワーシート・デジタルメーター | ATの経年劣化(走行多い車のみ) |
| 足回り | 重量があるためブッシュ劣化が早め | 軽量で負担が少ない |
クラウンは豪華装備ゆえに“装備の多さが弱点になり得る”のに対し、マークIIは全体的にシンプルで故障リスクは小さいです。
部品入手性(リプロ品・中古市場)
| 部品カテゴリ | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| エンジン系 | 豊富(M型・1G系は流通多い) | 非常に豊富 |
| 外装部品 | やや少ない(上級車ゆえ) | X70はまだ比較的多い |
| 内装部品 | 上級仕様は入手難 | 標準仕様は比較的多い |
| 電装品 | 後期用は入手難 | X70は流通量が多い |
| 社外品 | 少なめ | 足回り・マフラー等が豊富 |
特にマークII X70は人気車種で流通量が多く、部品取り車も多いため入手性が非常に良いのが特徴です。
維持費・整備性まとめ
| 視点 | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| 維持費 | 高め | 低め |
| 整備性 | 良いが部品点多い | 抜群に作業しやすい |
| 故障リスク | 電装系がやや多い | 全体的に低い |
| 部品入手性 | 上級仕様は難 | かなり良い |
要点まとめ
- クラウンはランニングコスト・電装整備の手間がやや大きいが、上級車の満足度は高い。
- マークIIは維持しやすく、旧車初心者でも扱いやすい。
- 部品入手性はX70が有利、豪華装備はS120が不利。
オーナー映像を見ると、クラウンは“維持する手間も楽しみ”という雰囲気があり、上級車らしい満足感が伝わってきます。
マークII X70はトラブルが少なく素直で、長く気軽に乗れる印象が強いです。
どちらも魅力的です!
どちらを選ぶべきか(用途別の結論)

クラウンS120とマークII X70は、同じトヨタの直6セダンでありながら、用途・価値観・維持方針によって最適解が大きく変わる“まったく別キャラクターの旧車”です。
ここでは、実際の使用シーンを想定しながら、どちらがどんなユーザーに向くのかを整理します。
✅ 静粛性・乗り心地・威厳を重視するなら → クラウン S120
クラウンは“ゆったり走るための上級セダン”として設計されており、次のポイントを重視したい人に最適です。
- 長距離で疲れにくい
- 室内の静けさが欲しい
- 高級車らしい重厚感を味わいたい
- 落ち着いた雰囲気の内装が好み
- 上級トヨタの造りを楽しみたい
高速巡航性能・静粛性はX70と比較しても明確に上で、まさに“移動の質”にこだわるユーザー向けです。
✅ 軽快さ・操る楽しさ・維持性を重視するなら → マークII X70
マークII X70は“走りの軽さと扱いやすさ”が魅力で、次のような人に向きます。
- 運転して楽しい車が欲しい
- 街乗り〜高速までバランス良く走りたい
- 維持費を抑えたい
- 電装トラブルを避けたい
- 軽快なハイソカーの雰囲気が好き
車重が軽く、直6エンジンの気持ち良さをストレートに楽しめるのがX70の強みです。
✅ 旧車初心者にはどっち?
→ マークII X70が断然おすすめ
理由は3つ:
- 部品の入手性が良い
- 整備がしやすい
- 電装装備がクラウンよりシンプル
“旧車入門機として理想的”と評価される理由が、このメンテのしやすさにあります。
✅ 旧車として所有する満足感なら?
→ どちらも高いが方向性が違う
| 満足感の種類 | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| 所有満足(威厳) | とても高い | 普通 |
| 操作満足(走り) | 穏やか・上品 | 高い・軽快 |
| 維持する楽しみ | 上級車らしい手間の楽しみ | 気軽に楽しめる |
クラウンは“手間を含めて楽しむ上級車”。
マークIIは“日常でも気軽に楽しめるスポーティセダン”。
✅ 用途別の結論まとめ
| 用途・価値観 | 選ぶべきモデル |
|---|---|
| 高速・長距離中心 | クラウン S120 |
| 街乗り・軽快さ | マークII X70 |
| 維持費を抑えたい | マークII X70 |
| 上質な内外装が欲しい | クラウン S120 |
| 整備しやすい車が良い | マークII X70 |
| 昭和の高級車を味わいたい | クラウン S120 |
要点まとめ
- クラウンは「静かで威厳ある上級車」。
- マークIIは「軽快で扱いやすい中級車」。
- 維持のしやすさはX70、存在感と高級感はS120が有利。
映像で見比べても、クラウンは動き出しから“上級車らしいゆったり感”があり、室内の静けさは今見ても魅力的に映ります。
一方でX70はステアリング操作が軽く、街中でもスイスイ走る気持ちよさがあります。
どちらも80年代トヨタを代表する魅力を持ち、それぞれの性格がハッキリ分かれていると強く感じました。
歴史的背景と市場での位置づけ(S120=上級/X70=中級を生んだ時代性)
クラウン S120 とマークII X70が明確にキャラクターの異なるセダンとして成立した背景には、1980年代中期という日本の自動車市場の“特殊な時代性”があります。
ここでは、両車がどのような役割で市場に登場し、どう支持されたのかを深掘りします。
1980年代前半〜中盤:自動車“階級”が最も明確だった時代
当時のトヨタ車は、現在よりも車格の階層がはっきり分かれたラインナップを持っていました。
- クラウン=「上級セダン」
- マークII=「中級セダン」
- コロナ/カリーナ=「大衆セダン」
という構成が社会に浸透しており、購入者の層・使われ方・価格帯がかなりはっきりしていました。
クラウン S120(1983〜1987)
- “社用車・公用車の王者”としての絶対的地位
- 富裕層・会社役員・公的機関の公用車として高い需要
- 走りの軽快さより静粛性・威厳・耐久性を重視
- 「いつかはクラウン」というコピーが象徴する憧れの存在
クラウンは“買う側のステータス”と密接に紐づいたクルマでした。
マークII X70(1984〜1988)
- 若年層の「ハイソカー」ブームの中心
- スポーティで、個人ユーザーの購入が多い
- ドレスアップ文化や街道レーサー文化の影響も受ける
- クラウンより手が届きやすく、憧れの“次のステップ”
X70は若い世代を中心に人気を集め、“走りの良いセダン”の代表格となりました。
セダン市場の価値観の違いが、設計の違いを生んだ
当時のセダン市場では、ユーザーが求めるものは明確に分かれていました。
クラウンに求められたもの
- 高級感
- 静粛性
- 後席の快適さ
- 運転手付きでの利用
マークIIに求められたもの
- 若々しさ
- 軽快な走り
- 自分で運転して楽しむ
- 手が届く価格帯
この“根本的な価値観の違い”が、現在の旧車としてのキャラクター差にも直結しています。
法人需要/個人需要という構造的違い
クラウンS120は法人・官公庁の利用が多く、売れ方が安定していた一方で、マークII X70は個人ユーザー中心で、スポーツ志向の需要も多かったため、販売戦略も大きく異なりました。
| 要素 | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| 主な購入層 | 法人・富裕層 | 個人・若年層 |
| 販売の中心 | 法人需要 | 個人向け需要 |
| 人気用途 | 公用車・社用車 | プライベート・ドレスアップ |
| デザイン思想 | 威厳/重厚/静粛 | 軽快/スポーティ/若々しい |
この“売れ方の違い”は、現在の中古車市場における残存台数や状態の差にもつながります。
旧車になった今の市場評価(2020年代〜)
2020年代以降、両車の評価は再び変化しています。
- クラウン S120
→ 80年代クラウンの威厳と存在感が再評価
→ 外観が上質で、静粛性も旧車として破格
→ 残存台数が減りつつあり価値が上昇傾向 - マークII X70
→ “最後の角ばったハイソカー”として人気が継続
→ 部品入手性の高さから、旧車として扱いやすい
→ 若者だけでなく大人の愛好家にも人気が広がる
クラウンは“価値の上昇”。
マークIIは“ニーズの広さ”。
という方向性で市場価値が伸びています。
歴史背景を踏まえた“本質的な違い”まとめ
| 本質の違い | クラウン S120 | マークII X70 |
|---|---|---|
| 歴史的役割 | トヨタの最上級セダン | 中級スポーティセダン |
| 価値観 | 威厳・静粛・豪華 | 軽快・若々しさ |
| 購入層 | 富裕層・法人 | 個人・若年層 |
| 今の評価 | 上質な旧車として再評価 | 旧車入門機として高人気 |
これらの背景を理解すると、両車がなぜここまで性格が違うのかがよく分かります。
当時のCMやカタログ映像を見ても、クラウンは重厚でゆったりした音楽が流れ、威厳ある走行シーンが多いのに対し、マークII X70は軽快で都会的な雰囲気の演出が目立ちます。
こうした“宣伝の方向性”だけでも、どれだけ用途が異なるモデルだったかが伝わってきます。
今の旧車市場で見ても、両者の性格はそのまま残っており、それぞれに強い個性と魅力が感じられます。
よくある質問(FAQ)

クラウンS120とマークII X70、どちらが普段乗りに向きますか?
普段乗りなら マークII X70 の方が向いています。
軽くて扱いやすく、街中での取り回しが楽です。
クラウンS120は静かで快適ですが、サイズ感と重厚さから普段使いではやや大きく感じる場面があります。
長距離ドライブに強いのはどちら?
クラウン S120 です。
静粛性・乗り心地・直進安定性のすべてで上回り、疲れにくさはクラウンの大きな強みです。
維持費が安いのはどちら?
マークII X70 が安いです。軽量で消耗部品が安く、共通部品が多く、故障リスクも少なめです。
クラウンは重量税・タイヤ代・電装修理費などが増えやすい傾向があります。
初めて旧車に乗る場合はどっちが向く?
マークII X70 が最適です。
構造がシンプルで整備性も高く、部品入手性もトップクラス。
旧車初心者でも扱いやすいモデルとして人気があります。
静粛性の差は大きい?
大きいです。
クラウンS120は遮音材が多く、車内が非常に静か。
対してマークII X70は軽快さ優先のため、ロードノイズやエンジン音がやや入ります。
直6エンジンの違いはある?
搭載エンジン(1G系、M型系)は共通の部分がありますが、車重と遮音の違いで体感が非常に異なります。
- クラウンは“静かで滑らか”
- マークIIは“軽快で反応が良い”
同じエンジンでもキャラが別物です。
走りの楽しさはどちら?
運転の楽しさは マークII X70。
軽快に走れ、ステアリング操作にも素直に反応します。
高級感はどちらが上?
クラウン S120 です。
内装素材・広さ・静けさ・重厚感など、高級車らしい雰囲気は圧倒的にクラウンが上。
部品の入手性は?
X70の方が圧倒的に良いです。
流通量が多く、社外品・中古部品も豊富。
クラウンは上級グレードの内外装が入手しにくい場面があります。
結局、どちらを選ぶべき?
- ゆったり静かに走りたい → クラウン S120
- 軽快で扱いやすい旧車が欲しい → マークII X70
- 維持費を抑えたい → マークII X70
- 昭和の高級車を楽しみたい → クラウン S120
方向性がまったく違うため、自分の用途を基準に選ぶのがベストです。
まとめ
クラウンS120とマークII X70は、同じ時代に登場したトヨタの直6セダンでありながら、車格・設計思想・走りのキャラクターが根本から異なるモデルです。
クラウンS120は上級セダンとして「静けさ」「重厚感」「快適性」を徹底追求した一台で、直6の滑らかさとしっとりした乗り心地、そして広い室内空間が最大の魅力です。
高速道路での安定感や疲れにくさは今見ても秀逸で、落ち着いた移動の質を求めるユーザーには非常に向いています。
一方、マークII X70は中級セダンとして「軽快さ」「操る楽しさ」「扱いやすさ」を前面に出した設計で、街中でも高速でもメリハリのある走りが楽しめます。
軽量ボディと素直なハンドリングは運転の気持ちよさにつながり、維持費が抑えられ、整備しやすく、部品入手性が高いというメリットも大きな強みです。
旧車初心者でも扱いやすく、日常使いできる旧車としての完成度が極めて高いモデルといえます。
どちらも80年代トヨタを象徴する優れたセダンですが、求める体験によって最適解が変わります。
ゆったりとした高級車体験を味わいたいならクラウンS120、軽快でスポーティな旧車を楽しみたいならマークII X70という選び方がもっとも後悔がありません。
どちらを選んでも当時のトヨタの丁寧な造りと直6の魅力を存分に味わえることでしょう。
