クラウンS120(1983〜1987)とクラウン・エステート(ワゴン系/主にS130型以降)は、同じ「クラウン」ブランドでありながら、設計思想・用途・走行特性・維持性が大きく異なるモデルです。
S120は昭和の正統派上級セダンとして公用・法人需要にも応える“静粛・重厚・快適”を徹底した一台。
一方のクラウン・エステートは、ステーションワゴンとしての実用性を重視しつつ、クラウンらしい快適性も兼ね備えた“積載できる上級車”として長く人気を集めました。
両者は系譜としてつながっていますが、**セダンとワゴンでは車体構造も乗り味も“別物”**です。
また、エステートは130系・150系など長く続いたシリーズで、タクシー/商用車としての耐久性の高さでも知られています。
この記事では、外観・内装・走り・積載性・維持費・部品の入手性など、実際に旧車として所有する際に重要なポイントを一次情報中心に分かりやすく整理し、用途別に最適な選び方を丁寧に解説します。
クラウンS120は“移動の質と静けさを楽しむセダン”、クラウン・エステートは“積載と実用性を備えたワゴン”。
似ているようでまったく違う2つのクラウンの魅力と差異を、深く掘り下げていきます。
Contents
基本スペック・ボディ構造の違い
クラウンS120とクラウン・エステート(主に130系ワゴンを対象)は、同じクラウンを名乗りながら、セダンとワゴンで構造が大きく異なります。
まずは“何がどう違うのか”の前提となる基本スペックと車体構造を比較します。
✅ 車体サイズの方向性(セダン=上級・ワゴン=実用)
| 項目 | クラウン S120(セダン) | クラウン エステート(ワゴン/130系例) |
|---|---|---|
| 全長 | 約4,690mm | 約4,695mm(ほぼ同等) |
| 全幅 | 約1,695mm | 約1,720mm前後(やや広い) |
| 全高 | 約1,435mm | 約1,525mm前後(高い) |
| 車重 | 約1,420〜1,560kg | 約1,540〜1,660kg(やや重い) |
ワゴンは車高が高く、荷室構造の強化で重量も増します。
✅ ボディ構造が根本から違う
| 観点 | S120 セダン | エステート(ワゴン) |
|---|---|---|
| 車体剛性 | セダン用に最適化 | 荷室強化のため横梁が多く“頑丈” |
| リアサスペンション | セダンらしい快適性重視 | 商用バンに連なる“耐久系”構造 |
| 積載対応 | 後席重視 | 荷物・積載を最優先 |
エステートは、商用ワゴンの耐久構造をベースにした“タフなクラウン”として設計されており、セダンとは出発点から別物です。
✅ エンジン系の違い
S120は直列6気筒(1G系・M系)が主力ですが、エステート130系は 1JZ系・2JZ系(後期) など、代を追うごとに進化したエンジンを搭載。
| 項目 | S120(1983–87) | エステート130系〜 |
|---|---|---|
| 主力エンジン | 直6 1G系・M型 | 直6 1G→1JZ→2JZへ変遷 |
| 性格 | 静か・重厚 | パワフルで耐久性高い |
エステートの後期は“JZ系の信頼性”で人気が高く、整備性と耐久性が飛躍的に向上しています。
✅ 位置づけの違い(ここが重要)
| 視点 | S120 セダン | エステート(ワゴン) |
|---|---|---|
| 主用途 | 上級セダン・公用・法人 | 実用ワゴン・業務車・個人用途 |
| 価値観 | 静粛・快適・威厳 | 積載・耐久・実用性 |
| 目的 | 最上級の“乗り心地” | “積めるクラウン”という独自路線 |
S120は「人を乗せるためのクラウン」。
エステートは「荷物も積めるクラウン」「仕事もこなせるクラウン」。
まったく性格が違うのが特徴です。
✅ 要点まとめ
- S120は“昭和の上級セダン”、エステートは“実用と耐久のワゴン”。
- ワゴンは車高が高く、構造が頑丈で重量がある。
- エンジン系はS120が旧世代、エステートはJZ系へ進化。
- 用途・位置づけが明確に異なるため、好みが完全に分かれる。
映像で比べると、S120はやはり“静粛で堂々としたセダン”という佇まい。
一方エステートは荷室の広さと独特のプロポーションが魅力で、用途が完全に違う車だと改めて感じます。
どちらもクラウンの名を冠していますが、実際は使い方と価値観で選ぶべき別カテゴリになります。
外観デザインとプロポーション

クラウンS120(セダン)とクラウン・エステート(ワゴン)は、同じ「クラウン」ブランドでも、外観デザインの方向性が大きく異なります。
特に、車高・荷室延長・リア構造・ウインドウ形状など、ワゴンならではの特徴がプロポーション全体を変えています。
✅ 基本デザインの世界観の違い
| 観点 | クラウン S120(セダン) | クラウン エステート(ワゴン) |
|---|---|---|
| 全体の雰囲気 | 重厚で威厳のあるセダン | 実用性とタフさを感じるワゴン |
| 車高 | 低い | 高い |
| ボディ形状 | 直線基調+しっかりした厚み | 長いルーフライン+直線的で四角い |
| タイヤハウス | セダンらしいプロポーション | 荷室強化でフェンダー形状が異なる |
セダンは“威厳・静粛性”を意識した設計で、エステートは“荷室の広さ・耐久性”を基準としたデザインです。
✅ サイドシルエット(最も分かりやすい違い)
● S120 セダン
- 低重心
- Cピラーが太く、後席のプライバシー感も高い
- トランク部分が短く、セダンらしい均整の取れたスタイル
→ 端正で落ち着いた高級セダンシルエット
● エステート(130系基準)
- ルーフが長く、水平に伸びる
- Dピラーが太く、荷室の存在感が大きい
- ボディ側面がフラットで“商用的な雰囲気”も残る
→ タフで実用的なワゴンシルエット
セダンは“後席のためのキャビン感”、ワゴンは“荷室のためのルーフ延長”という、目的の差がそのまま形になっています。
✅ フロントマスクの違い(意外と個性が出る)
ワゴンは世代によって外観が異なりますが、共通して“セダンより簡素な顔”に設定されることが多いです。
| 観点 | S120 セダン | エステート(ワゴン) |
|---|---|---|
| グリル | 重厚で横基調 | セダンに準じるが簡素寄り |
| ヘッドライト | 角型2灯 or 4灯 | 年式・グレードで異なる |
| 全体の印象 | 高級感強い | 実用性重視で控えめ |
セダンの方が明らかに“高級感の演出”が強いです。
✅ リアまわりの造形差(用途が最も反映される)
● S120 セダン
- 大型テールランプ
- バンパーに厚みがあり重厚
- トランクの独立した形状
● エステート
- ハッチバック方式で荷室開口が大きい
- ルーフが長く“荷物を積むための形”
- テールゲートは上下開きや横開きの設定あり(年式による)
セダンは“後席優先”。
ワゴンは“荷室優先”。
用途の違いがリアのデザインで最も顕著に現れます。
✅ プロポーションの違いを整理
| 項目 | S120 セダン | エステート(ワゴン) |
|---|---|---|
| 全高 | 低い(威厳) | 高い(積載) |
| ルーフ | 短め | 長い |
| リア形状 | 独立トランク | 大型荷室 |
| デザイン性 | 高級志向 | 実用志向 |
| 見た目の印象 | 落ち着いた役員車 | タフで頼れるワゴン |
✅ 要点まとめ
- S120は“威厳”を、エステートは“実用性”を優先したデザイン。
- ワゴンはルーフ延長と荷室構造で見た目が大きく変わる。
- セダンは上級車らしい端正な姿、ワゴンは実用的でタフな姿。
映像で見比べると、S120は低く安定したシルエットが“昭和の上級車”という雰囲気を強く感じさせます。
一方エステートは荷室の大きさが圧倒的で、どこか業務用の耐久性を備えた独自の存在感があります。
同じクラウンでも、並べると完全に別ジャンルの車だと実感します。
内装の違い(質感・空間・装備)

クラウン S120(セダン)とクラウン エステート(ワゴン)は、同じクラウン系とはいえ、室内の作り・素材・目的が大きく異なります。
特に、後席・荷室構造・シートアレンジの違いは、使い勝手だけでなく乗り心地にも直結する重要ポイントです。
✅ 内装コンセプトの大きな違い
| 観点 | S120 セダン | エステート(130系ワゴン) |
|---|---|---|
| 世界観 | 落ち着いた重厚な上級感 | 実用性+クラウンらしい上質感 |
| シート | 厚く柔らかい“座る高級感” | 実用寄りでしっかりした座り味 |
| 内装素材 | モケット・ウッド調多い | モケット中心・ウッド控えめ |
| 静粛性 | とても高い | セダンより劣る(荷室構造のため) |
セダンは“後席を快適にする”方向性。
ワゴンは“積載前提で耐久性優先”の構成です。
✅ 前席の違い(運転感覚の差)
● S120 セダン
- ふかふかで柔らかいクッション
- 着座位置はやや高めで視界が広い
- ロングドライブ向きの作り
→ “高級車の椅子”という座り心地
● エステート
- 座面がしっかりしており沈み込みが少ない
- 長時間運転でも疲れにくい実用志向
- 視界は広いが、セダンの包まれ感とは違う
→ “働く車寄り”の座り味
✅ 後席の快適性(最も差が開く部分)
| 観点 | S120 セダン | エステート(ワゴン) |
|---|---|---|
| 足元の広さ | とても広い | セダンほどではない |
| 背もたれ | 程よく寝ていて快適 | 立ち気味で実用志向 |
| 座面の長さ | 長く太ももを支える | しっかりめで短め |
| 静粛性 | 上級車らしい静けさ | 荷室に音が抜けやすい |
クラウンの“後席の快適さ”は、S120セダンの大きな魅力です。
✅ 荷室(ラゲッジ)の違い(ワゴン圧勝)
● S120 セダン
- 独立トランクで容量は標準的
- 形状は四角く実用的
- 長尺物は積みづらい
● エステート
- 圧倒的な荷室容量
- 開口部が大きく積み下ろしが楽
- シートアレンジで“商用レベル”の空間に
→ “積載のためのクラウン”という真価
ワゴンは“荷室のために存在している”といっても過言ではない構造です。
✅ シートアレンジ(使い勝手の根本差)
| 機能 | S120 セダン | エステート |
|---|---|---|
| 後席倒し | 基本的に不可(固定式) | 倒せる(グレードによりフラット化) |
| 荷室長の可変 | なし | 大幅に拡張可能 |
| 積載対応 | 乗員優先 | 荷物優先 |
S120は“人のための後席”。
エステートは“荷物のための後席”。
役割が明確に分かれています。
✅ 内装の耐久性(ここも完全に違う)
- S120セダン
→ 高級素材多く劣化すると修復費は高額
→ 取り外し・張り替えも手間 - エステートワゴン
→ シンプルな素材で“頑丈さ”優先
→ 荷物を積んでも傷がつきにくい
エステートは仕事にも使われた背景があり、内装は極めてタフです。
✅ 内装の違いまとめ
- セダンは“上級車の快適空間”。
- ワゴンは“仕事にも使える耐久内装”。
- 後席の快適性はS120が圧倒的。
- 荷室の広さ・実用性はエステートが圧勝。
S120セダンは座った瞬間に“高級車の椅子だ…”と分かる柔らかいシートと静粛性が魅力で、どの席に座っても落ち着いた雰囲気があります。
対してエステートは、荷室の広さとタフな内装が本当に魅力的で、趣味や仕事に使う人からの評価が高い理由もよく分かります。
用途が違うだけで、どちらもクラウンらしさがしっかり残っているのが面白いポイントだと感じます。
走行性能・静粛性・乗り心地の比較

クラウン S120(セダン)とクラウン エステート(ワゴン)は、同じクラウン系でも「走り」「静けさ」「乗り味」の方向性が大きく異なります。
特にワゴンは車体構造そのものが違うため、走行フィーリングはセダンとは別物のキャラクターになります。
✅ エンジン系の違い(世代差が大きい)
| 観点 | クラウン S120(1983–87) | クラウン エステート(130系以降) |
|---|---|---|
| 主力エンジン | 直6:1G系 / M型 | 直6:1G → 1JZ / 2JZ へ進化 |
| 特性 | 静か・滑らか・重厚 | 力強い・耐久性高い・現代的 |
| フィーリング | 穏やかでしっとり | トルクが太く扱いやすい |
S120は“昭和の直6の滑らかさ”、エステートは“JZ系の耐久性とパワー”が持ち味です。
✅ 走りの方向性(セダン=上級/ワゴン=実用タフ系)
● クラウン S120(セダン)
- 重厚で落ち着いた加速
- 直6の滑らかさが際立つ
- 操舵はやや重めで安定志向
- 足回りは柔らかく、ギャップを吸収
→ “ゆったり流す高級車の乗り味”
● クラウン エステート(ワゴン)
- 車重があり、発進時はやや重さを感じる
- JZ系エンジンの力強さで中速〜高速は余裕
- 荷室補強の影響で足が硬め
- ステアリングもやや重く、“商用のタフさ”を持つ
→ “積載に強いしっかり足の走り”
セダンは“静かでしなやか”。
ワゴンは“タフで実用的”。
走りの世界観がはっきり分かれます。
✅ 高速巡航での違い
| 観点 | S120 セダン | エステート(ワゴン) |
|---|---|---|
| 静粛性 | 非常に高い | 風切り音はやや入る |
| 安定性 | とても良い | 足が硬く直進性は高い |
| 疲れにくさ | 上級セダンらしく優秀 | 振動は少ないがセダンほど柔らかくない |
エステートも高速は安定しますが、静粛性はセダンに軍配が上がります。
✅ 乗り心地の差(ここが最も特徴的)
● S120 セダン
- しっとり柔らかい
- 後席の快適性が非常に高い
- 上級車の“ふわり”とした乗り味
● エステート
- 荷室補強で足回りは硬め
- リアの突き上げが出やすい(空荷時)
- 積載すると安定する“商用系サス”の性格
空荷のエステートはセダンと違い“硬さ”が目立ちます。
これはワゴンの構造上の性質で、デメリットというより“役割の違い”です。
✅ 操縦性(ハンドリング)
| 観点 | S120 セダン | エステート(ワゴン) |
|---|---|---|
| 操舵感 | 重厚で落ち着く | やや重いが安定寄り |
| 取り回し | セダンらしい自然な旋回 | 全長は同等でも後ろが重い |
| 足の動き | 柔らかくロール大きめ | 荷重を支えるため抑え気味 |
セダンは“自然でしなやか”。
ワゴンは“タフで安定”。
✅ 走行性能・静粛性まとめ
- S120は“静けさ・柔らかさ・滑らかさ”が特徴
- エステートは“タフで積載も想定した硬めの走り”
- 高速の疲れにくさはS120
- 積載してこそ真価を発揮するのがエステート
映像などを見ても、S120は走り出しから非常に滑らかで、静けさと重厚感が印象的です。
エステートは“道具としてのクラウン”という感じでタフな走りを見せ、荷物がある状況ではむしろ安定感が増している様子もよくあります。
同じブランドでも走りの方向性がここまで違うのは非常に面白いと感じました。
積載性・実用性・用途の差
クラウン S120(セダン)とクラウン エステート(ワゴン)の最大の違いは、「人を快適に運ぶ車」か「荷物をしっかり積める車」かという設計目的の差にあります。
このセクションでは、荷室容量・使い勝手・実用性・用途における明確な違いを整理します。
✅ 積載性の方向性(セダン=後席重視/ワゴン=荷室重視)
| 観点 | S120 セダン | エステート(ワゴン) |
|---|---|---|
| 荷室容量 | 独立トランクで標準的 | 圧倒的に広い |
| 荷物の入れやすさ | 開口部が小さめ | 大型ハッチで積み下ろしが楽 |
| 長尺物 | 積みづらい | 余裕で積める |
| 使い勝手 | 乗員優先 | 積載優先 |
セダンは“快適に座るための後席構造”。
ワゴンは“荷物を積むための後席とリア構造”。
用途が本質的に異なります。
✅ 荷室(ラゲッジ)構造の違い
● S120 セダン
- 荷室は四角く使いやすい
- ただし高さ・長さは限られる
- トランクスルーは基本的にない
→ 用途はあくまで“上級セダンのトランク”
● エステート(130系ワゴン)
- 荷室フロアが広く、フラット
- 開口部が大きく荷物の出し入れが容易
- シートを倒すとほぼフラット化
- 容量は商用車に近いレベル
→ “積載のためのクラウン”という独自路線
✅ シートアレンジの違い(ここで大差がつく)
| 機能 | S120 セダン | エステート(ワゴン) |
|---|---|---|
| 後席倒し | できない(固定式) | 倒せる(フラット化) |
| 荷室長の変化 | なし | 大幅に拡張可能 |
| 多用途性 | 低い | 非常に高い |
セダンは人のため、ワゴンは荷物のため。
とても分かりやすい差です。
✅ 実用性(普段使い〜趣味まで)
● S120 セダン
- 家族乗車・長距離ドライブが快適
- 後席の快適性が圧倒的
- 釣り・DIYなど大きな荷物は苦手
→ “移動の質を楽しむ車”
● エステート
- 自転車・キャンプ用品・長尺物などを積載可能
- 仕事車として使える構造
- 荷物満載でも走行安定性が高い
→ “実用と趣味の幅が広い車”
✅ 用途の違いを一目で整理
| 用途 | S120 セダン | エステート(ワゴン) |
|---|---|---|
| 家族での移動 | ◎ | ◯(ただし乗り心地硬め) |
| 大人4人の長距離 | ◎ | △ |
| キャンプ・アウトドア | △ | ◎ |
| 車中泊 | × | ◎(フラット化やすい) |
| 大きな荷物の運搬 | × | ◎ |
| デイリーの便利さ | ◯ | ◎ |
| 上質な高級車として乗る | ◎ | ◯ |
ワゴンは旧車の中でも「趣味に使いやすい」車種として評価されており、特にキャンプ用途で人気が高いです。
✅ エステートの実用性を引き上げる特徴(現代でも強み)
- テールゲートの開閉が広い
- 積載時の姿勢が安定
- 荷室がフラットで家具も積める
- トヨタ製ワゴン特有の頑丈なフロア
実用性という観点では、クラウンエステートは国産ワゴンの中でも非常に優秀で、**「クラウンの快適性を保ちながら実用性を足した車」**という独自の魅力を持っています。
✅ 要点まとめ
- 積載の差は“別車級”。
- セダン=人を快適に運ぶ車。
- ワゴン=荷物を大量に運べる車。
- 普段使い・アウトドア・車中泊はワゴンの大きな強み。
クラウンS120は“人を乗せる上級車”らしく後席も非常に快適で、長距離移動が中心の人には理想的です。
対してエステートは、荷室の広さと耐久性が圧倒的で、趣味や仕事に使う人にとっての満足度は非常に高く、ワゴンならではの世界があります。
どちらも魅力的ですが、用途があまりにも違うため、どちらを選ぶかはライフスタイルで決まると感じました。
維持費・整備性・部品入手性

クラウン S120(セダン)とクラウン エステート(ワゴン)は、どちらもクラウンとしての耐久性・信頼性を備えていますが、維持費・整備性・部品入手性には明確な差があります。
特に、ワゴンは130系以降で進化したJZ系エンジンの搭載や、商用車的な構造の影響もあり、維持ポイントがセダンとは別方向にあります。
✅ 維持費の傾向(セダン=標準/ワゴン=やや高め)
| 観点 | S120 セダン | エステート(130系ワゴン) |
|---|---|---|
| 自動車税 | 排気量依存で標準 | 1JZ/2JZ搭載は排気量大きめ |
| 重量税 | 普通 | 車重増でやや高い |
| 燃費 | 1G系は良い方 | 車重とJZ系で不利(街乗り) |
| タイヤ代 | 標準 | ワゴンはサイズによって高くなる |
ワゴンは車重が重く、搭載エンジンもパワフルなので、燃費や消耗品コストはセダンより増えがちです。
✅ 整備性(どちらも良いが方向性が異なる)
● S120 セダン
- 直6(1G/M型)は整備性がとても良い
- エンジンルームに余裕があり作業しやすい
- 電装もシンプルでトラブル箇所が読みやすい
→ “旧車として直せる安心感”がある
● エステート
- 130系以降のJZ系は丈夫で扱いやすい
- ただしエンジンルームはやや狭め
- ワゴンのサスペンションは“頑丈な商用系”で整備性は普通
→ “耐久性の高さ”が強み
S120は“構造が単純で整備しやすい旧車”。
エステートは“丈夫さでカバーする耐久系クラウン”。
✅ 壊れやすいポイント比較
| 方向性 | S120 セダン | エステート(130系ワゴン) |
|---|---|---|
| 電装系 | 年式相応の劣化程度 | 電装は比較的強い |
| 足回り | 重量でブッシュ劣化早い | 荷重用で丈夫だが硬い |
| エアコン | コントロール系の劣化 | 基本的に丈夫 |
| AT | 旧世代4ATのコントロール系 | A340系で信頼性が高い |
特にJZ系+A340系ATを搭載するエステートは、耐久性が現代でも評価されている組み合わせです。
✅ 部品入手性(ここは世代差が大きい)
| 部品カテゴリ | S120 セダン | エステート(130系ワゴン) |
|---|---|---|
| エンジン系 | 1G系は豊富、M型は減少中 | JZ系は非常に豊富 |
| 外装部品 | 年々入手難 | 130系の方がまだ残る |
| 内装部品 | 上級系はやや希少 | ワゴンは商用ベースで入手性良い |
| 電装品 | 年式相応に不足 | 130系以降は比較的豊富 |
エステートは“JZ系のおかげで部品に困りにくい”のが大きな強みです。
✅ 維持性のまとめ
| 方向性 | S120 セダン | エステート(ワゴン) |
|---|---|---|
| 維持費 | 標準 | やや高い |
| 整備性 | 非常に良い | 良いが狭い場所もある |
| 耐久性 | 普通(年式並) | とても高い |
| 部品入手性 | エンジン以外はやや厳しい | 全体的に良好 |
✅ 旧車としての“維持のしやすさ”は?
- S120 → 整備難易度が低く安心して所有できる
- エステート → 頑丈で壊れにくいが消耗品は高め
どちらが良いというより、方向性が違うというのが正確です。
S120セダンは、どことなく“旧車らしい作りの良さ”を感じる部分が多く、直6の構造のシンプルさもあって維持は比較的しやすい印象です。
一方エステートは、JZ系エンジンの耐久性とワゴンのタフな足回りが大きな強みで、長距離・積載・日常利用に強く、古さを感じにくいモデルです。
どちらも維持しやすいクラウンですが、性格はまったく異なります。
用途別の結論(どちらを選ぶべきか)
クラウン S120(セダン)とクラウン エステート(ワゴン)は、同じクラウン系とはいえ“求められている役割”がまったく異なるため、どちらが優れているかではなく用途によって最適解が変わるというのがもっとも正しい答えです。
このセクションでは、家族用途・趣味用途・通勤・長距離など、実際の生活シーンに照らし合わせて最適な選び方をまとめます。
✅ 用途別の適性一覧(最も分かりやすい比較)
| 用途 | S120 セダン | エステート(ワゴン) |
|---|---|---|
| 家族の移動 | ◎(後席快適) | ◯(荷物多い家庭は◎) |
| 長距離ドライブ | ◎(静粛&柔らかい) | ◯(高速安定だが硬め) |
| アウトドア | △ | ◎(積載力とタフさ) |
| 車中泊 | × | ◎(フラット荷室) |
| 通勤・普段使い | ◯ | ◎(実用性高い) |
| 街乗りの取り回し | ◯ | △(後ろが重い) |
| 維持費重視 | ◎ | △(車重・燃費) |
| 部品入手性 | ◯(内装は希少気味) | ◎(JZ系が豊富) |
| 旧車としての味 | ◎ | ◯(ワゴンは実用寄り) |
総評としては…
- “移動の質”を求める → S120
- “積載・趣味・実用”を求める → エステート
という結論になります。
✅ S120 セダンに向いている人
● ①「クラシック上級車の静けさ」を味わいたい
S120は昭和クラウンらしい“しっとり滑らかで静かな走り”が最大の魅力。
同年代の国産車の中でもトップクラスの快適性があります。
● ② 後席をよく使う(家族用途・送迎など)
後席の背もたれ角度・座面の長さ・静粛性はエステートより上。
● ③ “旧車らしさ”を強く感じたい
直6の音、重厚な操作系、ウッド調内装などはセダンならでは。
● ④ 維持のしやすさを重視
1G系の整備性は非常に良く、S120は旧車入門としても優秀です。
→ 結論:ストレスなく乗れる“昭和の上級車”が欲しいならS120が最適
✅ エステート(ワゴン)に向いている人
● ① 荷物を積む機会が多い(趣味・仕事・家族イベント)
自転車・キャンプ用品・長尺の家具など、ワゴンなら全部積める。
フラット荷室は車中泊にも強い。
● ② JZ系エンジンの“耐久性・安心感”を重視
1JZ/2JZは現代でも信頼性が高く、部品供給も豊富。
● ③ ライフスタイル優先で“相棒として使う旧車”が欲しい
移動手段というより、趣味の基地としての魅力が強いタイプ。
● ④ 普段使いとの両立
広い荷室と丈夫な構造は、日常的な使い勝手が非常に良い。
→ 結論:実用・趣味・多用途を両立した“使える旧車”が欲しい人はエステート
✅ 最終判断のポイント(失敗しない選び方)
- 車に“静けさ・重厚感”を求めるなら絶対S120
- 趣味や荷物で“使い倒す”ならエステートの方が幸せ
- 維持費はS120の方がやや有利
- 部品入手性はエステート(JZ系)の方が長期的に安心
- 乗り心地の良さで選ぶとS120が圧倒的
- 実用性で選ぶとワゴンが圧倒的
どちらもクラウンらしい魅力は残しつつ、方向性があまりに違うため、“用途で選ぶのが唯一の正解”と言える比較です。
動画やオーナーの話を見ても、S120セダンは“昭和のクラウンを味わうための車”という色が強く、乗り心地や静けさに魅了される人が多い印象です。
一方でエステートは、積載や実用面で便利すぎるほど便利で、“道具としてのクラウンを楽しむ”という独自の価値があります。
趣味や家族構成によって選ぶべきモデルが大きく変わるのがこの2台の面白いところだと感じました。
よくある質問

クラウンエステートは車中泊に本当に使えるの?
エステートは後席を倒すと“ほぼ完全なフルフラット”になり、荷室長も非常に長いため車中泊はしやすい部類です。
ただし、断熱材や床材は商用寄りのため、冬場は底冷え対策が必要です。
窓の形状が大きく、目隠しシェードを自作・購入するケースも多いようです。
S120 セダンの純正内装はどれくらい残っている?
モケットシートやウッド調パネルは“程度の良い純正品”があれば高額で流通しています。リプロ品は限定的で、特に後席の純正状態を保った個体は希少です。内装の破れ・色褪せがある場合は修理業者での張り替えが一般的です。
エステートのJZ系エンジンは現代の交通にも対応できる?
1JZ/2JZは現代でも十分通用する性能があり、高速道路での余裕はS120より上です。
ATもA340系のため耐久性に優れており、オーバーヒートやATショックの報告は少なめです。
S120のブレーキ性能は現代基準から見て問題ない?
問題はありませんが、現代車と比較すると制動力・コントロール性は明確に劣ります。
速度を出さない乗り方が前提になります。
ブレーキホース・パッド・ローター交換は必須項目です。
エステートの足回りは硬いと言われるが、改善できる?
空荷時に硬さを感じることがあります。改善するには、
- 荷室に常備荷物を少し積む
- 社外ショックに交換する
などが有効ですが、根本的な構造は変わらないため“柔らかい乗り味”にはなりません。
部品の入手性は今後どうなりそう?
S120は外装・内装の新品部品は減少傾向。
エステートはJZ系の機械部品が豊富なため機関系は心配なし。
ただしエステートも内装や外装は徐々に入手困難になる可能性があります。
旧車初心者にはどちらが向いている?
総合的にはS120セダンが向いています。
構造が単純で整備しやすく、壊れても原因追及がしやすいからです。
エステートはタフですが、車重・燃費・足回りなどで初心者には負担が大きいことがあります。
家族で使うならどちらが快適?
大人4人での長距離移動はS120が快適です。
後席の座り心地・静粛性・姿勢の自然さはワゴンより上です。
荷物が多い家庭ならエステートが便利です。
荷物を積む機会が少ない人にエステートは必要?
目的が“積載”でなければ、S120の方が満足度は高いです。
エステートは荷室の広さが価値の中心なので、荷物を積まない人が選ぶメリットは薄れます。
10年後まで乗るとしたら部品で困るのは?
S120は内装・外装。エステートは外装の一部。
機関系はエステートの方が長く安心と言えます。
まとめ
クラウン S120(セダン)とクラウン エステート(ワゴン)は、同じクラウン系でありながら設計思想が大きく異なるため、比較すればするほど“どちらも別方向の魅力を持つ車”だと分かります。
S120は昭和のクラウンらしい静粛性・柔らかな乗り心地・直6の滑らかなフィーリングが際立ち、後席の快適性も非常に高く、まさに“乗る人をもてなす上級セダン”です。
一方、エステートは圧倒的な荷室、タフな足回り、JZ系エンジンの耐久性が魅力で、趣味や仕事にも使える“実用性の塊”のようなワゴンに仕上がっています。
維持面でも性格は異なり、S120は整備性の良さや構造のシンプルさで旧車初心者でも扱いやすい一方、エステートは消耗品コストがやや高いものの、機関系の耐久性は現代車に匹敵する安心感があります。
用途別に見れば、移動の質や静けさを重視する人にはS120が向き、荷物を積む趣味がある人や実用性を求める人にはエステートが最適です。
結局のところ、どちらが良いというより、自分の生活スタイルにどちらが合うかという選び方がもっとも失敗しない方法だといえます。
