1980年代半ばのクラウンS120系は、いわば「純ガソリン車クラウンの完成形」とも言える存在です。
その後のクラウンは90系→100系→120系→130系…と進化し、2000年代に入ってからHV(ハイブリッド)技術を取り込み、静粛性・燃費・制御系が大きく変化していきました。
本記事では、S120登場(1983年)からハイブリッド採用前までの流れを整理し、
「どこがどう変わったのか?」
「S120はどんな位置づけなのか?」
を歴史軸でわかりやすく整理します。
これから購入や保管を検討する読者が、各世代の特徴を把握し、自分に合う年式を選べるように構成しました。
特に購入検討者が知っておくべきポイントは以下の3つです。
- 走行フィールの変化(機械式→電子制御強化)
- 静粛性・燃費・整備性の変化
- レストア難易度の違い
S120は「キャブ車の最終段階と電子制御黎明期の混在」、100系以降は「完全EFI化と電子制御拡大」、180系以降で「HV化と制御技術の成熟」という流れになります。
この記事では、この歴史的なラインを体系的に整理し、S120がどの世代と比較してどう違うのかを丁寧に解説していきます。
Contents
S120とハイブリッド以前のガソリン車の違い(歴史的な流れ)
クラウンS120(1983〜1987年)は、「クラウンらしさ」が最も濃く残る世代として知られています。
直列6気筒(M型)を主軸に、静粛性と重厚な走りを追求した設計で、当時の高級車らしい“余裕ある巡航”を重視した構造でした。
ここでは「技術の流れ」を軸に、S120以降—ハイブリッド登場前まで(主に150系まで)の変化を整理します。
● 技術進化の大まかな流れ
| 世代 | 主な技術的特徴 | パワートレイン | 走行フィール | 電子制御 |
|---|---|---|---|---|
| S120(1983–87) | 機械式+初期電子制御の混成期 | M型直6(SOHC)、初期EFI | 重厚・静か・滑らか | 最小限 |
| S130(1987–91) | 完全EFI化・排ガス規制強化 | 7M-GEなどDOHCが本格化 | 高速安定性向上 | 電子制御増加 |
| S140(1991–95) | 高級車路線の強化 | 2JZ系登場 | シルキーで力強い | AT制御が精密化 |
| S150(1995–99) | 剛性向上・安全基準強化 | 2JZ継続 | 従来のクラウンらしさ維持 | 電子化さらに進行 |
| S170(1999–2003) | 近代クラウンへの橋渡し | 1JZ・2JZ最終期 | 乗り心地改善 | 電子制御が主役へ |
| S180(2003–2008) | ※この後にハイブリッド本格導入 | 初代HVは2008年頃〜 | 走行性能の質が転換 | 電子制御の最終段階 |
S120は機械的な味わいが強く、100系以降は電子制御の介入が増え、静粛性・燃費・制御の正確性が劇的に向上します。
● S120が“異質”と言われる理由
- M型直6最後の時代
走りの質感は動画でも「滑らかで鼓動が少ない」と語られており、現代の感覚でもクラシックな高級感があると聞きます。 - ナチュラルなステアフィール
油圧パワステの感覚が現代車と大きく異なり、路面の情報量が多いという声が多いです。 - 機械部品の多さ
リンク類、補機類、配線規模が少なく、整備性は現代車よりシンプルです。 - 電子制御の比率が低い
EFIは搭載されているものの、AT制御は今日ほど高度ではなく、ダイレクトな加減速感があります。
● ハイブリッド以前のガソリン車との比較ポイント
① 静粛性・振動
100系以降のJZ系はNVH対策が進み、S120より明確に静かになります。
一方でS120は「少しざらつきのある静粛性」が特徴で、これは当時の走行映像でも感じ取れるほどです。
② 燃費・熱効率
- S120:SOHC・ロングストローク特性で中低速重視(燃費は現代基準では不利)
- 100系以降:EFI制御の精度向上で安定的に改善
- HV以前の最終世代:燃費対策はされつつも、ハイブリッドの効率には及ばない
③ 整備性
S120は「部品交換で直る」感が強く、機械部品の単純さが魅力。
100系以降はユニットごとの交換が増え、診断機必須の領域が広がります。
④ 乗り味
S120は柔らかめのサスペンションと厚みのあるシートで、ゆったりとした上質感を持ちます。
100系以降は高速安定性が高くなり、現代的なハンドリングへ徐々に移行。
動画でS120の走行シーンを見ると、アイドリングから走り出す瞬間の静かさに驚かされます。
現代のハイブリッド的な静粛性とは違い、「機械が丁寧に回っている」印象の静かさで、その質感は独特ですね。
100系以降のガソリン車は、洗練された直6の音と振動の少なさが際立ち、これはこれで魅力だと感じます。
● 要点まとめ
- S120は機械式の味わいが濃く、電子制御は最小限。
- 100系以降はEFI・AT制御が成熟し、静粛性・燃費が向上。
- ハイブリッド前でも世代ごとに大きな進化があり、S120は歴史の“境目”に位置する。
S120が位置づけられる歴史的背景(1980年代前半の高級車像)

クラウンS120(1983〜1987年)は、「昭和型高級車の完成形」とされることが多く、その背景には当時の日本自動車市場の状況や、トヨタが目指した“高級車の基準づくり”があります。
この章では、S120がどのような時代背景の中で誕生し、なぜ“クラウンらしさの集大成”と捉えられるのかを歴史軸で整理します。
● 1980年代前半:日本の高級車市場が成熟し始めた時代
1980年代は日本の乗用車市場が急速に拡大し、特に高級セダン市場が大きな転換期を迎えた時期です。
- 所得水準の上昇
- ビジネス用途の高級セダン需要拡大
- 長距離移動の増加
- 自動車メーカー間の競争激化
この時代のクラウンは「国内で最も格式のある高級車」として確固たる地位を築いていました。
S120はその中で、“贅沢すぎず、質で勝負する高級車”として開発され、実用性と上質感の両立を徹底した設計が目指されていました。
● S120が誕生した背景:伝統と革新の交差点
① M型直6の円熟期(機械式高級車の象徴)
1950〜60年代から続くM型エンジンは、クラウンの歴史そのものと言える存在です。
S120に搭載された直列6気筒は最終世代の成熟期で、振動の少なさや静粛性の高さが当時の試乗記事でも評価されていました。
動画などでも、アイドリングから“スーッ”と走り出す滑らかさが語られています。
② 安全基準の転換点
1980年代前半は安全性の基準が大きく変わり始めた時期で、ボディ剛性の強化やブレーキ性能の改善が求められていました。
S120ではその方向性を受けて、以下の改良が実装されます。
- ボディ構造の見直し
- 前後サスペンションの改良
- ブレーキ制動力の向上
この“安全基準への対応”は後の130系、140系で大きく進化していきます。
③ 電子制御の黎明期
S120は「完全機械式」から「電子制御混在」への移行期にあたります。
- 初期EFI(電子燃料噴射)の採用
- 一部グレードで電子制御AT導入
- 助手席側の電子制御系統強化
ただし電子制御はまだ限定的で、100系以降に見られるような緻密な制御ではありません。
④ 走行フィールへのこだわり
S120は“静かでゆとりのある移動”を目指して開発され、走りの味付けが非常にクラシックです。
- 柔らかめの足回り
- 厚みのあるシート
- ハンドル操作のしっとり感
後世代のクラウンが「高速安定性重視」へ振れていくのに対し、S120は「日本の道路事情に合わせた上質な乗り味」を重視していたと言われています。
当時の映像を見ても、S120は“落ち着き”を感じる車だと印象づけられます。
豪華すぎず、実直で、静かに走る雰囲気がどこか品のある高級車という感じですね。
100系・140系のように走りの質感が近代化する前の“最後の昭和のクラウンらしさ”が残っていると話す人も多いです。
● 要点まとめ
- S120は昭和型高級車の完成形で、機械式直6の成熟期。
- 1980年代前半の安全基準強化と電子制御の導入が背景にある。
- 「重厚・静粛・穏やか」というクラウン伝統の乗り味が色濃い世代。
S120以降の各世代ガソリン車(ハイブリッド登場前)の進化と特徴

クラウンS120の後、クラウンは電子制御の高度化・安全基準の強化・剛性向上などを段階的に進めながら「近代的な高級車」へと進化していきました。
ここではS120(1983–87)から、ハイブリッドが本格登場する前のS170(1999–2003)頃までの“ガソリン車進化の流れ”を整理します。
技術的な流れだけでなく、実際の乗り味や整備性の違いにも触れ、購入検討時に知っておきたいポイントをまとめました。
● 世代ごとの技術進化(S130〜S170)
以下は「クラウンのガソリン車における技術進化」を年式ごとにまとめた表です。
諸元値は当時の公式発表をもとにしたものです。
| 世代 | 発売時期 | 主なエンジン | 技術的特徴 | 乗り味の傾向 | 電子制御 |
|---|---|---|---|---|---|
| S130 | 1987–1991 | 7M-GE / 1G-GZE等 | 完全EFI化、DOHC化の本格化 | 高速安定性が大幅向上 | 電子制御ATが普及 |
| S140 | 1991–1995 | 2JZ-GE等 | 剛性向上、JZ系登場 | シルキーで力強い直6、静粛性向上 | AT制御の精密化 |
| S150 | 1995–1999 | 2JZ-GE継続 | 安全基準対応、ボディ大型化 | 近代的で落ち着いた乗り味 | 電子制御の領域拡大 |
| S170 | 1999–2003 | 1JZ・2JZ最終期 | 衝突安全性向上、装備の近代化 | 総合的な品質が大きく向上 | 電子制御が車の中心へ |
S120は“昭和の高級車らしさ”が残り、130系以降は「洗練・剛性・静粛性」の方向へ一気に進化していきます。
● S120と各世代ガソリン車の決定的違い
① エンジンフィールの質
- S120:M型直6(SOHC)
中低速重視で、柔らかい回り方が特徴。
「静かに滑らかに回る」と当時のカタログでも強調されていました。 - 130系以降:7M / JZ系 DOHC直6
高回転域までスムーズで、パワーと静粛性が両立。
動画でも「まるでシルクのよう」と言われるほど評判が良いです。
② サスペンションと剛性
- S120:柔らかく、低速主体の乗り味
- 140系以降:高速安定性を重視し、ボディ剛性も大幅改善
③ 安全装備の差
- 130系:ABS普及
- 140系:衝突安定性の強化
- 170系:エアバッグや電動制御が標準化
S120は安全基準の転換点に位置し、後期のクラウンほどの安全性は持ちません。
購入検討時はこの点を考慮する必要があります。
④ 制御技術の成熟度
- S120 → 電子制御は最小限
- 130–150系 → EFI・AT制御の完成度が向上
- 170系 → “制御系中心の自動車”へ移行
⑤ 整備性
- S120:機械部品中心で整備性が高い
補機類の構造がシンプルで、部品交換で対応しやすい。 - 130系以降:電子制御の増加で専門性が必要
診断機の使用が必須になる場面が増える。
⑥ 部品入手性の違い
- S120:一部でリプロ品(再販パーツ)が増えており、モール類などが入手可能(例:S120用外装モール - 旧車パーツ専門サイト )
- 100系以降:供給状況は比較的良いが、年を追うごとに電装品の入手難が増える傾向
- 170系:まだ多くの部品が供給されているが、今後は電装品の保守が課題になり得る
S120と130系以降を比べたとき、“走りの方向性が違う”という声が多いです。
動画を見ると、S120はゆったりとした減速・加速が自然で、乗り心地も柔らかい印象です。
一方130・140系は直6の完成度が高く、まるで滑るように加速する上品なフィーリングが伝わってきます。
それぞれ違った魅力があり、どちらを好むかは「旧車の味をどこまで求めるか」で変わると感じます。
● 要点まとめ
- S120後のガソリン車は、剛性・電子制御・安全性が段階的に進化。
- 130〜170系は直6が洗練され、S120とは乗り味が大きく異なる。
- 部品の入手性はS120が“リプロ品の恩恵”、130〜170系は“電装品の課題”という構図。
S120とハイブリッド以前の最終世代(S170)の比較:何がどこまで進化したのか

クラウンS170(1999〜2003年)は、ハイブリッド登場直前の「純ガソリン車クラウンの到達点」と言える世代です。
S120(1983〜87年)からおよそ16年の間にクラウンは大きく変化し、設計思想や走行フィールも別物になりました。
ここでは、S120とS170を直接比較しながら、「昭和のクラウン」と「近代クラウン」の違いを明確にしていきます。
● 総合比較表:S120 vs S170
| 項目 | S120(1983–87) | S170(1999–2003) |
|---|---|---|
| 主なエンジン | M-TEU / 5M-E(SOHC) | 1JZ-FSE / 2JZ-GE(DOHC) |
| 制御技術 | 初期EFI+限定的電子制御 | 電子制御AT・燃料噴射が高度化 |
| 乗り味 | 柔らかく重厚、昭和型の静粛性 | 高速安定性が高く、現代的に洗練 |
| 安全装備 | 基本構造中心、電子装備は少ない | ABS・エアバッグ標準化、衝突安全ボディ |
| ボディ剛性 | 当時基準で充分 | 大幅に向上し耐衝撃性も改善 |
| 燃費性能 | 現代基準では厳しい | 直噴化などで効率向上 |
| 整備性 | 機械式部品中心で良好 | 電子制御の複雑化で専門性が必要 |
| 部品入手性 | リプロ品が増加中 | 電装品の入手性が今後の課題 |
| 購入難易度 | 状態差が大きい | 比較的状態の良い個体が多い |
● ① 走行フィールの違い:重厚 vs 洗練
■ S120
当時の走行映像でもわかるように、アクセルの踏み込みに対する反応はゆったりしており、静かに、滑らかに立ち上がる加速が特徴です。
油圧パワステの感覚も独特で、しっとりした昭和らしいフィーリングが印象的です。
■ S170
JZ系直6は高回転までシルクのように回り、アクセル操作への応答性も良好です。
高速道路での安定性も高く、風切り音の抑制やサスペンションの制御も現代基準に近づいています。
● ② 静粛性の差:時代の進化が最も出るポイント
- S120:静かながら、わずかに機械的なざらつきが残る
- S170:遮音材・制振材の大幅追加で高速巡航でも静か
S120は「機械が静かに回っている感じ」、S170は「車室全体で静粛性を作り込む感じ」。
静粛性の質そのものが異なるため、比較すると違いが非常に明確です。
● ③ 安全装備の差:世代の違いが最も大きい部分
■ S120
- 衝突安全基準が現在とは大きく異なる
- エアバッグは原則なし
- ブレーキ・剛性は当時の基準レベル
■ S170
- 運転席・助手席エアバッグ標準
- ABS標準
- 衝突安全ボディ「GOA」採用
- 剛性向上で衝突時の生存空間確保が改善
購入時の「安全性の差」は非常に大きな要素になります。
● ④ 燃費・環境性能の差:直噴化と電子制御の進化
- S120:SOHC直6(キャブ車感覚に近い燃費特性)
- S170:直噴(D-4)や高効率EFIにより燃費改善
街乗り燃費では、S170はS120より数km/Lほど良い傾向があります。
● ⑤ 整備性の違い:維持スタイルが大きく分かれる
■ S120
- 構造がシンプルで手が入りやすい
- 部品交換で直るシーンが多い
- 電子制御が少ないため不具合原因の切り分けが容易
リプロ品が出ているパーツもあり、外装類は比較的補修しやすい傾向があります。
■ S170
- 電子制御の複雑化で診断機が必須になる場面が多い
- 電装系の寿命が今後の課題
- 部品供給は多いが、電気部品の供給終了リスクがある
維持コストの見通しを立てて購入する必要があります。
走行動画を見比べると、S120は「街に溶け込む静かな高級車」、S170は「現代車に近い完成度の高級セダン」という印象の違いがはっきり出ています。
どちらも魅力的ですが、味わいを求めるならS120、安心感と実用性ならS170といった住み分けが自然だと感じます。
● 要点まとめ
- S170はハイブリッド前のガソリン車として完成度が非常に高い。
- S120とは安全性・静粛性・制御技術・整備性で大きく違う。
- 「味」重視ならS120、「実用性」重視ならS170が候補に。
S120からハイブリッド時代へ向かう技術的転換点(S180以降の流れ)

ハイブリッドが本格導入された世代(S180系以降)は、クラウンの歴史の中でも“最も大きな転換点”とされています。
本章では、S120→S170と続いた「純ガソリン直6クラウン」の系譜がどのように変化し、ハイブリッド技術へつながっていったのかを、歴史の流れと技術構造の観点で整理します。
S120が「昭和の完成形」だとすれば、S180以降は「制御技術を中心とした新しいクラウン像」へ踏み出した時期と言えるでしょう。
● ハイブリッド導入の背景:環境基準と市場ニーズの転換
1990年代後半〜2000年代前半、日本では環境規制の強化や排ガス削減の圧力が急速に高まりました。
- 排ガス規制の段階的強化
- 低燃費車の需要増加
- 技術競争の激化
この流れを受け、トヨタはクラウンにもハイブリッド技術を本格的に導入する方向へ舵を切ります。
● S180以降のハイブリッド技術(概要)
※ハイブリッド構造は本記事の主題ではないため、技術的な深掘りは最小限に留め、S120との違いを軸に説明します。
| 世代 | 主な動力機構 | 特徴 | S120との主な違い |
|---|---|---|---|
| S180(2003–2008) | HVモデル登場(3.5L+モーター) | 静粛性と加速が大幅改善 | 機械式から電動補助主体へ |
| S200(2008–2012) | HVライン拡大 | 制御系の完成度が向上 | AT→電気的制御主体 |
| S210(2012–2018) | 2.5L HVが主軸に | 低燃費性の飛躍 | 「高級車=低燃費」路線の確立 |
● 技術的転換点:S120からの連続性・断絶
① 駆動方式(走行感覚)の転換
- S120:機械式の反応(油圧・ワイヤー・リンク)
- HV:電子制御による駆動配分(モーター・エンジン協調制御)
アクセルを踏んだときの“質感”が根本的に異なります。
② 静粛性の質
- S120:エンジン自体が静かに回る
- HV:モーター主体でエンジンの存在が希薄
動画でも、HV車は“無音で動く感覚”が大きな特徴となっています。
③ メンテナンスの方向性
- S120:機械部品中心で長期保守が可能(リプロも増加)
- HV:電装制御が主体で、モジュール交換の比率が高い
保守方針は全く異なるアプローチになります。
④ 車両重量と剛性の違い
S180以降はバッテリー搭載などにより車重が増加。
それに合わせて剛性強化も進み、乗り味も大きく変わっていきます。
● “クラウンらしさ”の変化
S120〜S170までのクラウンは「静かで重厚な直6」が基準でした。
一方、ハイブリッド化後は重厚感よりも“静かさ・燃費・制御性”に軸が移ります。
- S120のクラウン像:味わい・重厚・機械的上質感
- HVクラウンの像:静粛・効率・スムーズさ
どちらを「クラウンらしい」と感じるかは、世代によって大きく意見が分かれています。
● 購入検討者向け:S120〜HV時代の選び方
| 観点 | S120 | S170 | HV(S180以降) |
|---|---|---|---|
| 味わい | 最も濃い | 薄れるが直6らしさは残る | ほぼ別ジャンル |
| 静粛性 | 昭和的静かさ | 近代的静粛 | 無音レベル |
| 維持費/整備性 | 自分で整備しやすい | 専門性が必要 | 電装系の保守が中心 |
| 安全性 | 基本的 | 改善 | 最も高い |
| 実用性 | 趣味向け | 普段使い可能 | 普段使いに最適 |
今後長く所有する場合、どの世代を選ぶかは「何を重視するか」で大きく方向が決まります。
S120とHVクラウンを見比べると「同じ車名でも別物」という印象を受けます。
動画でも、S120の走行は“機械が優雅に動いている感じ”が魅力で、HVは“移動の質をとことん高めた上質な乗用車”として成熟しています。
どちらもクラウンの歴史を象徴する魅力があると感じます。
● 要点まとめ
- S180以降は「静粛・効率・制御性」を軸にした新しいクラウン像へ移行。
- S120は直6+機械式の完成形で、HVとは設計思想が大きく異なる。
- 購入検討時は「味わい」「実用性」「整備性」の三軸で選ぶのがおすすめ。
よくある質問(FAQ)

S120は現在でも日常使用できますか?
S120は機械式部品が多く、基本構造がシンプルなため日常使用も可能です。
ただし年式が40年前後となるため、ゴム類・燃料系・冷却系などの劣化が進んでいる可能性が高く、購入時にしっかり整備されている個体を選ぶことが重要です。
聞いた話では、普段使いにしているオーナーもいますが、長距離では電装系や冷却系の点検を欠かさない方が安心だそうです。
S120とS170、維持費はどちらが安い?
維持費はS120のほうが「部品代は安くつきやすい」ものの、消耗品の交換頻度が高くなりがちです。
S170は電子制御が多いため故障時の修理費が高くなる傾向があります。
総額で見ると「状態次第」で逆転することもあり、どちらが安いと断定はできません。
S120の部品はどれくらい入手できますか?
外装モール類や一部のゴム類はリプロ品(再販パーツ)が増えており入手しやすくなっています。
機械部品も在庫があることが多いですが、内装系は入手困難なことがあると聞きます。
入手性は“外装・機械系は比較的安心、内装は要確認”という傾向です。

S170はまだ部品供給がありますか?
S170は比較的新しい世代のため、現時点では多くの純正部品が入手可能です。
ただし電子制御系や電装系は今後供給終了が増える可能性があり、診断機を使う整備が前提になる点は注意が必要です。
直6エンジンの耐久性はどの世代が強い?
M型(S120)は堅牢で、適切にオイル管理されていれば長寿命と言われています。
JZ系(S140〜S170)はさらに精度が高く、耐久性でも非常に評判が良いです。
どの世代も“メンテ歴次第”が本質で、個体差が大きい点は理解しておく必要があります。
高速道路の安定性はどの世代が優れていますか?
高速安定性はS130→S140→S150→S170と世代を追うごとに向上します。
S120は低速〜中速の上質感が魅力で、高速巡航に関しては後期世代のほうが有利です。
S120を初めて買う場合、どこをチェックすべき?
- 冷却系(ホース・ラジエター・ウォーターポンプ)
- 燃料系(ホース、タンク内錆)
- 足回りブッシュ類
- ATの変速ショック
聞いた話では、これらを重点的に整備すると長く乗れる個体が多いようです。
旧車初心者ならS120よりS170のほうが良い?
“旧車の味”を求めるならS120、普段使いと安心感を重視するならS170が向いています。
特にS170は装備・安全性・部品供給の面で扱いやすいと言われています。
ハイブリッド(S180以降)とS120の魅力はどう違う?
S120は「機械式の味と重厚感」、HVは「静粛・効率・制御性」が魅力。
同じクラウンでも性格がまったく違うため、比較というより“別ジャンル”と捉えるほうが自然です。
レストア難易度はどの世代が低い?
レストア難易度は部品の入手性+構造の単純さで決まります。
この観点ではS120は比較的進めやすく、S170は電装品の扱いに慣れた整備環境が必要です。
まとめ
クラウンS120は、昭和の高級車文化を象徴する「直6+機械式」の完成形であり、重厚で柔らかな乗り味が強い魅力になっています。
機械部品中心の構造ゆえに整備性も高く、リプロ品の登場によって外装の補修なども進めやすくなり、今後も長く乗れる旧車としての価値があります。
一方で、高速安定性や安全装備は後期世代と比べると差があるため、用途に応じた選択が必要になります。
その後のクラウン(S130〜S170)は、直6の進化・電子制御の成熟・ボディ剛性の強化によって、一気に“近代高級車”へ進化します。
特にJZ系直6は高い完成度を誇り、静粛性や高速安定性はS120とは明確に違います。
さらにハイブリッド(S180以降)が登場することで、クラウンは「重厚感」から「静粛性と効率性」へと軸足を移し、現代的な高級車像へ変わっていきました。
どの世代にも独自の魅力がありますが、どれを選ぶかは「味わい」「整備性」「実用性」のどこに重心を置くかで決まります。
動画を見たり、実車の個体を比較したりしながら、自分の理想のクラウン像に合った世代を選ぶのが最も満足度の高い方法だと感じます。
