クラウンS120のブレーキは、車重1.4〜1.5t級のセダンを確実に止めるために十分な制動力を持っていますが、製造から40年近く経つ現在では、ブレーキマスターシリンダー/ブレーキブースター/キャリパー といった主要部品が劣化のピークを迎えています。
特にマスターシリンダーは内部ゴムカップの劣化が避けられず、
「踏んだ感触が変わる」「ペダルが戻らない」「にじみが出る」
といった症状が出た場合は “最優先で修理すべき安全系統” になります。
この記事では、S120オーナーが特に困りやすい
- マスターシリンダーの故障症状
- ブレーキブースターの劣化ポイント
- キャリパー固着の対策
- 部品供給状況(新品/リビルト/中古)
- 交換費用の目安
- 長期所有する人が“今のうちに確保すべき部品”
を一次データと現場整備士の声をまじえて詳しく解説します。
ブレーキは「壊れてから修理」では遅く、早期発見と計画整備が安全の鍵です。
これから修理する人、またはS120を購入したばかりの人にも役立つように、実践的な内容を徹底的に深掘りしていきます。
Contents
- 1 ブレーキマスターシリンダーの故障症状と診断ポイント
- 2 ブレーキブースターの劣化と交換時期
- 3 前後キャリパー固着とオーバーホールの実際
- 4 部品供給状況(新品/リビルト/中古)のリアル
- 5 修理費用の目安と工場選びのコツ
- 6 よくある質問(FAQ)
- 7 まとめ
- 8 参考リンク
ブレーキマスターシリンダーの故障症状と診断ポイント
S120のマスターシリンダーは鋳鉄ボディに内部ピストン+ゴムカップ(カップキット)という非常にシンプルな構造ですが、40年という年月は確実にゴムを硬化させます。
これが劣化すると、ブレーキオイルの圧力を維持できなくなり、最悪は制動不能になるため、最も注意が必要です。
● よくある故障症状(重要度順)
■ 1. ペダルが“じわっと”沈む
停止中にブレーキを踏み続けると、ゆっくり沈んでいく症状。
内部カップの摩耗により油圧が保持できていない状態で、即修理レベルです。
■ 2. ブレーキフルードの減少・キャップ周辺の湿り
リザーバータンク周辺やマスターシリンダー内部のにじみは、劣化の典型症状。
■ 3. 踏み始めのストロークが長い
エア噛み・フルード劣化でも似た症状が出ますが、長年交換していない個体はマスター側の摩耗が疑わしいです。
■ 4. ペダルの戻りが遅い
内部スプリングの弱り、またはカップの変形が原因。
● 点検方法(誰でもできるもの)
■ ペダル保持テスト
- エンジンOFF
- 強めにペダルを踏む
- 30秒保持
→ 沈む場合は内部漏れの疑い大。
■ フルード量と色
- 茶色〜黒 → 水分吸収・劣化
- 量が減っている → どこかで漏れあり
● マスターシリンダーの修理方法
■ 1. 交換(最も確実)
・新品 → ほぼ絶版
・リビルト → 現実的な選択肢
リビルト品は内部を新品カップで再生しているため、安心度は高いです。
■ 2. オーバーホール
カップキットが入手できればOHは可能。
ただし、シリンダー内壁に深い傷があると再使用不可。
■ 部品(例)
- カップキット(入手難度:やや高い)
- リビルトマスター(入手難度:中)
いずれも専門の旧車パーツ店で扱いあり(URLは参考リンクにて記載)。
要点まとめ
- ペダル沈みはマスターシリンダー内部漏れの典型症状
- カップ劣化は年式的に“避けられない”ため早期整備が必要
- 新品がほぼ消滅しており、リビルトが現実解
- OHは可能だが、内壁が荒れている個体は交換一択
ブレーキブースターの劣化と交換時期

(負圧漏れ・膜劣化・逆止弁不良 ― 40年経過車で必ず向き合う領域)
ブレーキブースター(倍力装置)は、運転者が踏んだ力を負圧の力で増幅し、軽い踏力で車を止められるようにする非常に重要な装置です。
クラウンS120のブースターは負圧式ダイヤフラムタイプで、内部ゴムと逆止弁が経年劣化していくため、40年経過した現在では “ほぼ全車が劣化している” と言っても過言ではありません。
ブースターが不調になると、制動力が落ちるだけでなく、アイドリングやエンジン始動性まで悪化します。
この章では、S120で特に多いブースター不調の症状、診断方法、交換時期、部品供給事情を深く解説します。
● ブースター劣化で出る症状(重要度順)
■ 1. ペダルが異常に重い(倍力不足)
最も代表的な症状。
負圧がリークしているか、ダイヤフラムが破れている可能性が高いです。
■ 2. ブレーキ踏込時に「シューッ」という空気音
負圧漏れの兆候。
ブースター内部の膜(ダイヤフラム)が傷んでいる場合によく出ます。
■ 3. アイドリング不安定・吸気リーク
ブースターは直接負圧ラインにつながっているため、
ブースターの小さな穴=吸気漏れ
となり、アイドルハンチングの原因になります。
■ 4. エンジン始動が悪い
逆止弁が弱ると、負圧保持ができず、始動直後の倍力不足が起きます。
● 診断方法(整備工場でも使われる基本チェック)
■ 【テスト1】エンジンOFF → ペダルを数回踏む
踏むたびにペダルが“固く”なれば正常。
硬さが変わらない場合は倍力不足の疑い。
■ 【テスト2】踏み込んだ状態でエンジンON
正常 → ペダルがスッと下がる
異常 → 変化なし(倍力が効いていない)
■ 【テスト3】踏んだ瞬間に空気の漏れる音
「シューッ」という音が明確な場合、内部膜の損傷が濃厚。
● ブースターの交換時期
S120オーナーの間でも、以下が“交換の目安”として共有されています。
- 走行に関係なく、経年30年以上で交換推奨
- 40年超えの個体は、いつ不調が出てもおかしくない
- アイドル不安定がある場合は、実はブースターが原因のケース多数
実際、S120の整備では
「ブレーキが重い」よりも「アイドルが変」からブースター不良に辿り着く
パターンが少なくありません。
● 部品供給状況(S120の“難所”)
ここが最重要ポイントです。
■ 新品ブースター
→ 完全廃盤(入手不可)
■ リビルトブースター
→ 最も現実的
内部ダイヤフラムの交換やシート研磨を施した再生品。
品質は業者によって差が大きいため、信頼性の高いリビルダーを選ぶ必要があります。
■ 中古ブースター
→ 「動くが寿命は不明」
内部ゴムの劣化が進んでいるため、長期維持には不向き。
● 修理方法・交換ポイント
■ 1. ブースター丸ごと交換(推奨)
内部OHは専門工具とパーツが必要なため、一般ユーザーでは現実的ではありません。
■ 2. 逆止弁(チェックバルブ)交換
負圧保持に大きく影響するため、単体交換が有効。
これはまだ入手可能な場合があります。
■ 3. 配管・負圧ホースも同時交換
ブースター不良と同時にホースも硬化しているため、セット交換が効果的です。
● 整備後によくある改善例
- ブレーキが軽くなる
- アイドリングが安定する
- 始動直後のフィーリングが良くなる
- エンジン回転の落ち着きが戻る
ブースターは“ブレーキ装置”でありながら、実質的には“吸気系の一部”でもあるため、整備効果が広範囲に及ぶのが特徴です。
要点まとめ
- ブースター不良は40年超え個体では非常に多い
- 新品は廃盤で、リビルトが唯一の現実的選択肢
- 逆止弁(チェックバルブ)の劣化も症状を悪化させる
- ブースター不良はブレーキだけでなくエンジン不調の原因にもなる
前後キャリパー固着とオーバーホールの実際

(40年経過したS120最大の“走行不能リスク”に向き合う)
クラウンS120のブレーキキャリパーはフロントが片押し式、リヤがディスク仕様のグレードでは同じく片押し式を採用しており、構造自体はシンプルです。
しかし、製造から40年近く経つ今、キャリパーピストンの錆・シール劣化・スライドピン固着 は非常に高い頻度で発生し、適切な整備がされていない個体では“走行不能クラス”のトラブルに発展することもあります。
特にS120は「ブレーキ引きずり」「片効き」「リヤが先に効く」「高速でジャダーが出る」といった不調が出やすく、キャリパーの内部状態に深く関係しています。
この章では、キャリパー固着の原因・診断方法・オーバーホールの内容・部品供給の現状を、実際の整備に基づいて解説します。
● キャリパー固着で起こる症状
■ 1. ブレーキ引きずり(最も多い)
ピストンが戻らず、パッドが常にローターに軽く当たる状態。
症状:
- 走行後に片側ホイールだけ異常に熱い
- 燃費悪化
- 発進が重い
- 焦げたような匂い
■ 2. 片効き(左右差がある)
片側だけ制動力が落ちる/強い状態。
車検では制動力差として顕著に現れる項目です。
■ 3. ブレーキ鳴き
シール劣化でピストン動きが悪くなると、鳴きの原因に。
■ 4. 高速時のジャダー(振動)
引きずりによるディスクの歪みが原因となるケースがあります。
● 固着の原因(S120特有のポイント)
■ 1. ピストンの錆
古いDOT3フルードは吸湿性が高いため、内部で水分が発生しピストンが錆びます。
■ 2. ダストブーツ破れ
内部への水・砂の侵入は“固着の入口”。
■ 3. スライドピンのグリス切れ
左右の動きが悪くなり、片効きの原因に。
■ 4. 車両の長期放置
1〜2年動かさなかった車両は、ほぼ確実に固着が始まっています。
● 診断方法(セルフチェックと工場チェック)
■ 【セルフ】ホイールの温度差
走行後に左右の温度差がある → 固着の可能性濃厚。
■ 【セルフ】ジャッキアップしてタイヤを回す
重く回る/途中で引っかかる → 引きずり。
■ 【工場】制動力試験(ブレーキテスター)
前後左右の制動力を計測し、固着を正確に判断。
● オーバーホール(OH)の内容と必要部品
キャリパーOHでは、以下の作業を行います:
■ 1. ピストン取り外し・洗浄・研磨
深い錆は交換が必要。軽い錆なら研磨で再生可。
■ 2. シールキット交換
- ピストンシール
- ダストブーツ
- Oリング類
S120用のシールキットは現在も入手可能なケースが多く、OHのハードルは低め。
■ 3. スライドピン清掃・グリスアップ
片効きの原因を根本から改善できます。
■ 4. ディスクローターの研磨 or 交換
引きずりが長期間続いた車両はローターが歪んでいることが多いです。
● 部品供給状況(比較的良好だが油断は禁物)
■ シールキット
→ 入手可能だが、いつ廃盤になってもおかしくない領域。
1セット予備確保するオーナーも増えています。
■ ピストン
→ 亜鉛メッキ新品は入手できない場合もあり。
中古再生や社外新品に頼るケースが増加傾向。
■ スライドピン
→ 汎用品で代替可能な場合あり。
■ ディスクローター
→ 社外品も存在し、供給は比較的安定。
● キャリパーOHにかかる費用(目安)
- フロント1輪:10,000〜20,000円
- リヤ1輪:10,000〜20,000円
- 全輪セット:40,000〜60,000円
(※部品代・ローター研磨別)
固着が重度の場合はピストン交換で+1〜2万円/輪になることもあります。
● OH後の改善例(非常によく聞く実際の声)
- ブレーキタッチが明確に良くなる
- 片効きが解消され、車検の制動力が安定
- 発進の軽さが戻る
- 高速道路での安心感が別物になる
S120の整備士に聞いても、「ブレーキOHは費用に対して効果が最も大きい整備」 と言われる理由がここにあります。
要点まとめ
- S120はキャリパー固着が非常に多い
- ピストン錆・ダストブーツ破れ・スライドピン固着が主因
- シールキットは今も入手できるが、今後の確保が安心
- OHは4輪実施すると走りの質が劇的に改善する
部品供給状況(新品/リビルト/中古)のリアル

(S120のブレーキ周りは“まだ買える領域”と“完全に危険な領域”が明確に分かれる)
クラウンS120は1983〜1987年製造の車種で、2025年時点で約40年が経過しています。
そのためブレーキ系部品は大きく 「まだ買える部品」/「供給が怪しい部品」/「ほぼ絶版で中古頼りの部品」 に三分化されており、今後の長期維持では“どれを今のうちに確保するべきか”の判断が非常に重要になります。
ここでは、一次資料・整備士の現場意見・旧車パーツ店の供給状況をもとに、S120ブレーキ系の供給リアルを徹底的に深掘りしていきます。
● 今も新品で買える領域(2025年時点では比較的安心)
■ ブレーキパッド(前後)
純正・社外とも複数メーカーから供給あり。
制動力は社外のほうが安定している場合も多い。
■ ブレーキローター
フロント/リヤともに社外新品の供給が安定。
価格も比較的安価(1枚8,000〜15,000円程度)。
■ キャリパーシールキット
現時点では入手可能。
しかし「在庫限り」の案内を出すパーツ店も増えており、長期所有者は予備を確保する動きが強まっている。
● 供給が不安定な領域(“今のうちに確保”すべきゾーン)
■ キャリパーピストン
新品供給が縮小中。
S120専用品のため、社外新品が出なくなれば再利用か中古頼りに。
■ スライドピン
汎用品流用可の場合もありますが、完全互換ではないケースがあるため注意。
打痕・錆のある中古は長持ちしないため、極力新品を確保したい部品。
■ ブレーキブースター用チェックバルブ
新品が出たり欠品したりを繰り返す“よく変動する部品”。
負圧保持に直結するため、予備を持つ価値が高い。
■ ブレーキホース(フロント/リヤ)
トヨタの純正ホースは欠品が増えており、ステンメッシュ製の社外ホースが主流。
ただし旧車のため長期供給が読みにくい。
● すでに危険な領域(ほぼ絶版で中古頼り)
■ ブレーキブースター
新品:完全廃盤
中古:内部ダイヤフラムが劣化している可能性が高い
リビルト:最も現実的。とはいえ在庫数は不安定。
■ マスターシリンダーAssy
新品:ほぼ絶版
リビルト:入手できるが数量は限られる
カップキット:在庫限り
■ リヤキャリパーAssy
ABSの有無・グレードで品番が違ううえ、リヤは中古市場の在庫が枯渇気味。
OHキットはまだ手に入るため、早期OHが最適。
● 長期所有者が“今のうちに確保”している代表部品
- フロント/リヤキャリパーOHキット(シール・ブーツ)
- キャリパーピストン(新品があるうちに確保)
- ブレーキブースター(良品リビルト)
- マスターシリンダー(リビルト or 内部カップ)
- ブレーキホース一式
- ブースター用チェックバルブ
- DOT4フルード(熱に強く、旧車との相性良)
このあたりを押さえているオーナーは、トラブル時の修理がスムーズで、長期の安心感が段違いです。
● 部品供給の“これから”を考える
S120は旧車人気が高まり、部品需要が増えたことで中古価格も上昇。
それに伴い、各部品の供給が急速に減っています。
特に:
- リヤキャリパー
- ブースター
- マスター
- ピストン
これらは5年後には「状態の良い中古がほぼ消える」可能性が高く、今のタイミングで確保しておくことが強く推奨されます。
要点まとめ
- S120のブレーキパッド・ローターは新品がまだ安定供給
- キャリパーシールキットは今のうちに確保推奨
- ブースター・マスターはすでに中古/リビルト頼り
- ピストンは供給が細り始めており長期維持では要ストック
- リヤキャリパーAssyは中古も枯渇気味で早期OHが最も安全
修理費用の目安と工場選びのコツ

(安全系統は“安さ優先”より“確実な施工”が圧倒的に重要)
ブレーキは旧車の中でも最優先で整備すべき領域ですが、クラウンS120は ブースター・マスター・キャリパー のすべてが経年劣化しているケースが多いため、修理費用は車両状態で大きく変動します。
ここでは、実際の整備見積もり、旧車専門工場の料金傾向、作業時間、注意すべきポイントを深掘りします。
● 部品別の修理費用(2025年時点・実例に基づいた目安)
■ ブレーキマスターシリンダー
- リビルト品交換:25,000〜40,000円
- カップキットOH:15,000〜25,000円
(※シリンダー内壁に傷がある場合は交換一択)
■ ブレーキブースター
- リビルト品交換:40,000〜70,000円
- 中古流用:20,000〜40,000円(※おすすめしない)
(※工賃が高めで、負圧ラインの同時交換が多い)
■ キャリパーOH(前後)
- フロント:10,000〜20,000円/片側
- リヤ:10,000〜20,000円/片側
- 4輪OH 合計:40,000〜60,000円
(※重度錆び → ピストン交換で+1〜2万円)
■ ディスクローター研磨 or 交換
- 研磨:3,000〜6,000円/枚
- 交換:8,000〜15,000円/枚
■ ブレーキホース(新品 or ステンメッシュ)
- 前後セット:12,000〜25,000円
- 工賃:5,000〜12,000円
■ ブレーキフルード交換
- DOT4フルード:1,500〜3,000円
- 工賃:3,000〜6,000円
● “一式で整備した場合”の総額イメージ
以下は車検と同時に整備した人の一般的な例です:
| 内容 | 費用目安 |
|---|---|
| マスター交換(リビルト) | 3〜4万円 |
| ブースター交換 | 5〜7万円 |
| 4輪キャリパーOH | 4〜6万円 |
| ブレーキホース全交換 | 1.5〜2.5万円 |
| ローター研磨 or 交換 | 1〜3万円 |
| フルード交換 | 0.5万円 |
| 総額(平均) | 15〜25万円 |
状態次第では 30万円超え のケースもあり得ますが、これは“旧車を安全に乗るための初期投資”として妥当な範囲です。
● 工場選びのコツ(最重要セクション)
ブレーキ修理は 「どこでやるか」で完成度が180度変わる」 と言われるほど、店選びが重要です。
■ 1. 旧車のブレーキOH実績がある工場を選ぶ
S120はブースター負圧ライン、キャリパー固着、マスター内部漏れなど、旧車特有の“同時多発トラブル”が多い。
旧車経験の少ない工場だと原因特定に時間がかかります。
■ 2. リビルト品の仕入れルートが安定している店
マスター・ブースターは絶版のため、信頼できる仕入れルートを持つ工場は大きな強み。
■ 3. “安すぎる見積もり”の工場は避ける
安全部品は工賃を削るほど質が落ちます。
とくにブースター交換は作業手間が大きいため、相場より大幅に安い=雑な作業の可能性 が高いです。
■ 4. 相談の段階で「同時交換」を提案できる工場は信頼性高い
例:
- マスター交換時 → フルード全交換
- キャリパーOH時 → スライドピン清掃
- ブースター交換時 → 負圧ホースも確認
旧車を知っていれば、これらを当たり前に提案してきます。
■ 5. 仕上がり後に“制動力テスト”を実施してくれる店
ブレーキテスターで数値を出してくれる工場は信頼性が高いです。
● バラつく見積もりの理由
S120のブレーキは状態差が非常に大きいため、費用にばらつきが出ます:
- ピストンが再生できるか
- ローターが使えるか
- ブースターが中古かリビルトか
- ホースが純正か社外か
悪い個体は“全部同時に壊れる”ため、その分費用も増えます。
要点まとめ
- S120のブレーキ系整備は一式で15〜25万円が一般的
- マスター・ブースターはリビルトが現実解
- キャリパーOHは費用対効果が非常に高い整備
- 旧車実績のある工場を選ぶことでトラブルが激減する
- 見積もりは“安さ”より“確実さ”を基準に判断すべき
よくある質問(FAQ)

Q1. ブレーキマスターとブースターは同時交換した方が良い?
A. はい。
S120の多くはマスターもブースターも同年代に劣化しています。
どちらか片方だけ新品・リビルトにすると、残った古い方に負荷が集中し、不具合が再発することもあります。
費用面の余裕があれば同時交換が最も安心です。
Q2. キャリパーOHは自分でできる?
A. 片押し式で構造がシンプルなため理論上は可能ですが、40年経過した車両はピストン固着・錆・ブーツ破れが多く、専用工具が必要になる場面もあります。
安全装置であることを踏まえると、専門工場での作業を推奨します。
Q3. ブレーキフルードはDOT3とDOT4どちらがいい?
A. S120はDOT3指定ですが、現代ではDOT4のほうが耐熱性が高く旧車との相性が良いため、整備士もDOT4を選ぶケースが多いです。
混ぜても問題ありませんが、完全交換が理想です。
Q4. ブースターが劣化するとエンジンが不調になるのはなぜ?
A. ブースターは負圧ラインで吸気系と直結しているため、内部に穴があくと“吸気漏れ”になります。
結果としてアイドリング不安定・回転落ちなど、エンジン側の症状として現れます。
Q5. ブレーキホースは純正とステンメッシュどちらがいい?
A. 長期供給の観点では**ステンメッシュ(社外)**が有利ですが、車検適合の確認が必要です。
純正ホースは欠品が増えているため、選択肢としてはステンメッシュが今後の主流になる可能性があります。
Q6. キャリパーの固着は放置するとどうなる?
A. 最終的にはブレーキ引きずり → 異常加熱 → ディスク歪み → 走行不能に至る危険があります。
さらに燃費悪化やタイヤの偏摩耗など、さまざまな悪影響が出ます。
Q7. 中古のマスターやブースターは使える?
A. 動作する場合もありますが、内部のゴム部品はほぼ寿命のため長期維持には不向きです。
特にブースターは内部ダイヤフラムが40年経過しているため、中古の当たり外れが非常に大きい部品です。
Q8. 車検でブレーキ不良と言われたら、まず何を見るべき?
A. 一般的には以下の順番で確認します:
- フルード量・フルード漏れ
- キャリパー固着の有無
- マスター内部漏れ
- ブースター負圧保持
車検合格だけを狙うのではなく、原因を根本的に解決する整備が重要です。
Q9. ローターは研磨と交換どちらが良い?
A. 歪みが軽度なら研磨でOK。
しかし、S120のローターは長年の引きずりで歪んでいるケースが多いため、新品交換の方が仕上がりが良いことが多いです。
Q10. ブレーキ周りを一気に整備した方がいい?
A. 個体差はありますが、S120は同時期にすべての部品が劣化しているため、一式整備が最も費用対効果が高い領域です。
単品修理を繰り返すと結果的に高額になることも珍しくありません。
まとめ
クラウンS120のブレーキ・マスター系修理は、旧車整備の中でも「安全性に直結する最重要領域」です。
見た目や走りの調子がよくても、内部ではゴム部品・シール・ピストン・負圧部が確実に劣化しており、40年という時間はブレーキ系統にとって“避けられない寿命ライン” であることを理解しておく必要があります。
マスターシリンダーは内部カップの摩耗による“じわっと沈む”症状が典型で、これは放置が最も危険なトラブルです。
ブレーキブースターも同様に、負圧保持ができなくなることで倍力不足・アイドリング不調・始動性悪化など、多方面に影響を与えます。
これらは新品がほぼ絶版であり、リビルト品をいかに確保できるかが長期維持の分岐点です。
キャリパー固着も非常に多く、ピストン錆やダストブーツ破れによって引きずりや片効きが起きます。
これはディスクローターの歪みを招き、最終的には走行不能に至るケースもあるため、**4輪OH(オーバーホール)**は費用対効果が高く、実施するとブレーキタッチや安定性が劇的に向上します。
部品供給に関しては、ローター・パッド・シールキットはまだ入手できますが、
- マスターシリンダー
- ブレーキブースター
- キャリパーピストン
- リヤキャリパーAssy
などは絶版・枯渇が進んでいます。
長期所有を考えるなら、「予備部品の確保」は今後の安心感に直結する現実的な戦略といえます。
修理費用は一式整備で15〜25万円が目安で、旧車としては妥当な範囲です。
最も重要なのは工場選びで、旧車のブレーキ整備に習熟している工場かどうかが仕上がりを大きく左右します。
安さを優先すると精度が損なわれ安全性に直結するため、確実な施工を行う工場を選ぶことが必須です。
クラウンS120は、正しく整備されたブレーキを持つ個体は驚くほど扱いやすく、高速道路の巡航から街乗りまで安心して楽しめます。
古い車こそ「止まる」性能の確保が最優先であり、今回のガイドが安全で快適なS120ライフの一助になれば幸いです。