ホンダの名車シリーズの中でも、S600とS800は特別な存在です。
F1直系の高回転エンジンを搭載したホンダ初の本格スポーツカーS600（1964年登場）、そしてその後継であり排気量拡大と性能向上を遂げたS800（1966年登場）。
僕はこの時代の車にはまったく詳しくなかったんですが、調べていくうちに
「こんなに機械として魅力的な車があったのか」
と感動しました。
一見そっくりな両者ですが、構造・走り・音・外装細部に至るまで明確な違いがあります。
この記事では、旧車マニアも納得の視点で、S600とS800を徹底比較していきます！
ホンダ S600とは？【ベースモデルであり革命児】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型式 | AS285型（1964年） |
| エンジン型式 | AS型：DOHC直列4気筒 606cc |
| 最高出力 | 57PS（8,500rpm） |
| 最大トルク | 5.2kgm（5,500rpm） |
| 最高速 | 約145km/h |
| 駆動方式 | FR＋チェーンドライブ（リア） |
| サスペンション | 前：独立懸架／後：トレーリングアーム＋ローラーチェーン |
| 重量 | 約715kg（クーペ） |
S600は、レッドゾーン9,500rpmという驚異の高回転エンジンと、リアがチェーン駆動という非常にユニークな構造が魅力。
僕は最初、
「車なのにチェーンドライブ！？」
とびっくりしましたが、調べるほどにバイクのようなレスポンスの虜になる人が多いというのも納得です。
ホンダ S800とは？【公道に適した進化型スポーツ】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型式 | AS800型（1966年） |
| エンジン型式 | AS800E：DOHC直列4気筒 791cc |
| 最高出力 | 70PS（8,000rpm） |
| 最大トルク | 6.7kgm（6,000rpm） |
| 最高速 | 約160〜170km/h |
| 駆動方式 | FR（前期：チェーン／後期：ドライブシャフト） |
| サスペンション | 前：独立懸架／後：リジッドアクスル（後期型） |
| 重量 | 約720〜750kg（モデルによる） |
S800は、S600のピーキーさを残しつつも扱いやすさと整備性を改善した進化版です。
後期型になるとドライブシャフト式＋リジッドアクスルになり、「旧車なのに意外と乗りやすい」という声もあるようです。
S600とS800の主な違い一覧（詳細比較表）
| 項目 | S600 | S800（前期） | S800（後期） |
|---|---|---|---|
| 排気量 | 606cc | 791cc | 同左 |
| 最高出力 | 57PS | 70PS | 同左 |
| 駆動方式 | チェーン | チェーン | ドライブシャフト |
| サス形式（後） | トレーリングアーム＋チェーン | 同左 | リジッドアクスル |
| キャブレター | ツインキャブ（Keihin） | 強化型Keihin | 同左（セッティング変更） |
| エンジン音 | キンキンと高音 | やや低音でトルク感あり | 同左 |
| レブリミット | 約9,500rpm | 約8,000rpm | 同左 |
| 外装エンブレム | S600刻印 | S800刻印 | 同左（GT追加あり） |
| 内装 | シンプル／アナログ | ウッド調・高級感あり | シート形状が上質に |
エンジンの違い：AS型とAS800型の本質的違い
エンジン見た目はそっくりですが、中身は別物。
僕のような素人でも、「レッドゾーンの違い」や「トルクの出方の違い」などは比較動画などを見るとかなり実感できます。
- S600： 超高回転型。7,000rpm以上で本領発揮
- S800： トルク重視で、低中速でも扱いやすい
感覚としては、「S600は官能的な乗り物」「S800は使えるスポーツカー」って感じですね。
駆動方式と乗り心地：チェーンvsドライブシャフト
S600／S800前期のチェーンドライブ
- ローラーチェーン2本で駆動
- 調整が大変（素人では難しい）
- 加速時に後輪が“引っ張られる”ような挙動
これ、乗った人の話を見てると「クセになる」と言ってる人が多いです。
S800後期のドライブシャフト＋リジッドアクスル
- 一般整備工場でも対応可能
- 部品流通も良好で、レストアのハードルが低い
- 乗り心地も柔らかくなり、日常使いも視野に入る
外装・内装の微細な違いと識別ポイント
フロントグリルの形状
- S600： 細かい水平ライン＋ライト周りに巻き込み
- S800： 太めの中央グリルライン＋HONDAバッジ
メーター構成
- S600： 左右独立＋赤針
- S800 GT： メーター照明が白。レイアウト変更あり
エンブレム・内装の質感
- S600： 簡素なビニールシート
- S800： パイピング付きスポーツシート、ウッド調パネル
こうした違いを見比べているだけでも「マニアの世界は奥深いな」と思います…。
まとめ：S600とS800はどちらを選ぶべき？
- ✅ S600は「官能的でピーキー」な趣味車として最高
- ✅ S800は「走りと整備性のバランス」がとれた進化版
- ✅ レストアや維持を考えるならS800後期型が現実的
- ✅ 機械的な美しさ・こだわりで選ぶなら断然S600！
僕のようにあまり知識がなくても、「旧車って面白いな」と思えるきっかけになるのがこの2台かもしれません。
「あなたが求めるのは、精密な機械美か？ 実用を兼ねた芸術か？」
ホンダのこの2台は、その問いに真剣に答えてくれる名車です。
