ホンダ・シビックは、初代SB1(1972年)からEG系(1991年)へと世代を重ねる中で大きく進化してきました。
初代は排ガス規制に対応しながら実用性と省燃費を両立させた“生活の足”として登場し、一方でEG系は“操る楽しさ”と“ホンダらしさ”が濃く表れたモデルとして評価され、同じ「シビック」という名前でも、設計哲学・ボディ構造・走行フィールは大きく異なります。
本記事では、初代 SB1 と後年の EG 系を比較し、どこが変わり、何が受け継がれたのかを深く掘り下げます。
特に注目すべきは、SB1 が実用車として合理的な構造を採用していたのに対し、EG系はフルモノコック・高剛性化・VTECエンジンなどスポーティ路線が強まり、「世界で戦えるコンパクトカー」へ進化した点です。
本記事では、デザイン、エンジン、サスペンション、室内空間、ボディサイズ、取り回し、燃費、整備性といった要素を体系的に比較していきます。
旧車趣味としてSB1を検討している方も、90’sスポーツコンパクトの代表であるEG系を再評価している方も、両者の違いを理解することで自分に合ったシビック像が明確になります。
所有・維持・レストアの視点から見ても、2つの世代はコンセプトが異なるため、選び方のポイントも変わります。
この記事を通じて、シビックという車がどのように進化し、どこに価値があるのかを掴んでください。
Contents
SB1とEG系の基本スペック比較

初代シビック SB1(1972年)と、EG系(1991年)の間には約20年の差があり、車の設計基準そのものが異なります。
この章では、基本寸法・重量・エンジン・ボディ構造を比較し、どのような進化が起きたかを整理します。
◆ ボディサイズの比較
両者のサイズ差を見ると、シビックが“軽量・コンパクトな実用車”から“グローバル規模のコンパクトハッチ”へ成長していることがわかります。
| 項目 | シビック SB1(初代) | シビック EG系 |
|---|---|---|
| 全長 | 約3,400mm前後 | 約4,070mm前後 |
| 全幅 | 約1,500mm前後 | 約1,695mm前後 |
| 全高 | 約1,320mm前後 | 約1,350〜1,380mm |
| ホイールベース | 約2,200mm | 約2,620mm |
| 車重 | 約650〜700kg | 約970〜1,050kg |
SB1 は非常に軽量で、日本国内の実用車として小さく作られていたのに対し、EG系は世界の安全基準・走行性能を満たすためにボディが大型化しています。
◆ エンジンの位置付けの違い
| 項目 | SB1 | EG系 |
|---|---|---|
| 代表エンジン | Eシリーズ | Dシリーズ/Bシリーズ(VTEC) |
| 性格 | 経済性・実用性重視 | 高回転型・スポーツ寄り |
| 排気量 | 1.1〜1.5L | 1.3〜1.6L |
| 最高出力 | 50〜80ps前後 | 100〜170ps前後 |
| 設計思想 | 省燃費・低公害 | 走り・環境性能・国際市場対応 |
SB1は“低公害車”としてCVCCを搭載した時代であり、EGは“スポーツコンパクト”としてVTECの高回転が象徴になりました。
◆ ボディ構造の違い
SB1
- 構造はシンプルで軽量化優先
- 装備類も必要最低限
EG系
- 高剛性化されたフルモノコック構造
- 衝突安全性能が大幅に向上
- ボディのしっかり感がSB1とは段違い
ボディ構造は世代差を如実に物語る部分で、運転感覚の差に直結します。
◆ 当時の市場環境と車の位置付け
SB1(1972年)
- 排ガス規制(マスキー法)に対応
- 軽快で実用的な小型車の需要が大きい
EG系(1991年)
- スポーツ走行・世界市場対応の要求が高まる
- “走って楽しいコンパクト”への期待が強かった
この“時代の要請”がそのまま車作りに反映されており、2つのシビックは方向性が大きく異なります。
要点まとめ
- SB1とEG系は、目的も設計思想も大きく異なる。
- サイズはEG系の方が大きく、安全性・剛性が向上。
- エンジンはSB1が経済性、EGは走りの性能が重視される。
- 時代ごとの需要に合わせてシビックは方向性を変えている。
やっぱりこうして比べると、初代とEGは“同じ名前だけど別物”ですね。
それぞれに魅力があり、時代の変化をすごく感じる組み合わせです。
デザインの違い(外観・ボディ形状)

シビック SB1(初代)と EG 系は、同じ「シビック」という名前でありながら、外観デザインはまったく別物です。
両者を並べてみると、スタイル・シルエット・細部処理の考え方まで大きく異なり、20年の間にホンダのデザイン思想がどう進化したのかがよくわかります。
この章では、デザインの特徴を“造形・ボディライン・プロポーション・空力・時代性”といった観点から整理して比較します。
◆ 全体シルエットの決定的な違い
SB1 は クラシカルで端正な直線基調 が特徴で、当時の実用小型車としての雰囲気を持っています。
一方、EG 系は 曲線的で流線形のハッチバックシルエット に進化し、「走りの良さ」を形にしたような外観になっています。
| 観点 | シビック SB1(初代) | シビック EG 系 |
|---|---|---|
| ボディ形状 | ボックス型に近い直線的デザイン | 丸みを帯びたワンモーション形状 |
| キャラクター | クラシック・端正・軽快 | スポーティ・空力的・モダン |
| 空力 | 空力より実用性優先 | CD値を意識した丸い造形 |
| ボンネット | 短く低い | SB1より長く傾斜が強い |
| ルーフライン | 前後が角ばった形状 | なだらかで滑らかなライン |
デザインだけ見ると、SB1は“昔のコンパクトカー”であり、EGは“90’sスポーツハッチ”というイメージが強く、用途と設計思想の違いが一目で分かるデザインです。
◆ フロントフェイスの違い
SB1 は丸目ライト+細いグリルが象徴的で、非常にシンプルな顔つきをしています。
実用的で明るく、クラシック感があるデザインです。
対して EG 系は、横長ヘッドライト+ワイド感のある開口部を採用し、SB1 よりもはっきりスポーティさが前面に押し出されています。
主な違い
- SB1 → 横幅の小さい丸目ライトで“かわいい”印象
- EG系 → 水平方向の伸びたライトで“鋭い”雰囲気
- グリル → SB1 は細く最小限、EG は冷却効率を重視
- バンパー形状 → SB1 はメッキ、EG はボディ同色か黒樹脂
特にメッキバンパーの有無は “時代の切り替えポイント” を象徴する部分です。
◆ サイドビューの違い
SB1 のサイドは 直線を中心に構成されたシンプルな箱型。
EG 系は フェンダーからリアへ流れる曲面が主役 になり、軽快さよりも“しっかりとした塊感” が表現されています。
違いを具体的に見ると:
- SB1
- ピラーが細い
- 窓枠はメッキ
- 全体に軽く、ガラス面積が大きい
- 極めてコンパクトで軽快な印象
- EG 系
- ピラーは太く安全性重視
- ウインドウラインが滑らかで一体感が強い
- SB1 より大きく、踏ん張ったスタンス
- “ワンモーションフォルム”でスピード感がある
これらの違いは、衝突安全性やグローバル規格への適応といった、車づくりの目的が変わったことを示しています。
◆ リアビューの違い
SB1 は 縦長テールランプ+箱型リア が特徴的で、当時の小型車らしい端正な造りです。
EG 系は 横長テールランプ+丸みを帯びたリアゲート を採用し、ワイドでスポーティな印象になりました。
比較ポイント
- SB1 → シンプル・直線的・小ぶり
- EG系 → ワイド感・流線形・ボリュームのあるゲート
- ルーフからリアまでのライン → SB1 は角、EG は曲線
特に EG のリアスポイラーや大型テールゲートは、SB1とは異なる“走りのアイデンティティ”を象徴しています。
◆ デザインに込められた目的の違い
SB1 は「生活の足として、軽快で扱いやすく、誰でも安心して乗れる車」を目指していました。そのため、
- 四角い形状
- 視界の良さ
- メッキによる上質感
- 軽量化
といった実用性中心のデザインが選ばれています。
一方で EG 系は“走りのシビック”を世界に印象づける存在として開発されました。
目的
- 空力向上
- ワイドスタンス
- 高速安定性
- スポーティな存在感
- 国際市場向けの普遍的デザイン
つまり SB1 → 実用性のデザイン
EG系 → 走りのデザイン
という明確な違いが存在します。
要点まとめ
- SB1 は直線基調の箱型、EG は曲線基調の流線形。
- フロント・リアともに、SB1 はクラシック、EG はスポーティ。
- 安全性・空力・市場ニーズの違いが、デザインを大きく変えた。
- SB1 は軽快でかわいらしい印象、EG は走りを意識した力強いプロポーション。
SB1 と EG を比べると、ホンダが“実用のシビック”から“走りのシビック”へと進化した過程がよく見えてきます。
見た目だけでも、まったく別の価値観で作られていることが分かりますね。
走行性能・エンジン特性の違い

シビック SB1(初代)と EG 系の走行性能は、同じ「コンパクトカー」でありながらまったく異なる世界観を持っています。
SB1 は“軽快で扱いやすい実用車”、EG 系は“スポーツコンパクトの基準を作ったモデル”と言われるほど、走りの方向性が変化しています。
この章では、エンジン特性・加速感・走りのフィール・制御技術などを中心に比較し、両者の違いを深く掘り下げます。
◆ エンジンのキャラクター:省燃費 vs 高回転スポーツ
SB1 は Eシリーズ(後にCVCC) を搭載し、当時の厳しい排ガス規制に対応しながら軽快に動くことを重視した設計。
一方、EG 系はホンダを象徴する VTEC 搭載 D/Bシリーズ が主役となり、高回転まで一気に伸びる“ホンダらしい走り”が最大の魅力です。
| 要素 | SB1 | EG系 |
|---|---|---|
| 目的 | 実用性・低公害・省燃費 | 高回転の気持ち良さ・性能 |
| 最高出力 | 50〜80ps前後 | 100〜170ps前後 |
| 体感 | 低速トルクが素直、軽い加速 | 高回転までスムーズに伸びる力強さ |
| 代表技術 | CVCC(低公害技術) | VTEC(可変バルブタイミング) |
SB1 のエンジンは“軽い車体を効率よく動かす”ことが得意で、EG は“回すと気持ちいいエンジンで走る”ことが特徴です。
◆ 加速フィール:軽さ vs パワー
SB1 は車重が 650〜700kg と非常に軽いため、パワーが小さくても街中ではキビキビ走れます。
一方 EG 系は 1t 前後の重量があるため、エンジンパワーがしっかり必要になりますが、高回転まで回すと力強い加速を楽しめます。
● SB1 の走りの特徴
- 軽さが武器
- スロットルレスポンスが素直
- エンジン音が控えめ
- 低〜中速域中心の軽快なフィール
● EG 系の走りの特徴
- ある程度回すとVTECが切り替わり、一気に加速
- パワーバンドが広く、運転が楽しい
- 高回転を使うと別の車のように活発
- ワイドトレッドで安定性が高い
同じ排気量帯でも「車の性能の使い方」がまったく違います。
◆ ハンドリング・操縦性の違い
シビックの歴史では、EG系の操縦性の高さは特筆すべきレベル と言われており、この章が両者の最も大きな差とも言えます。
SB1 の操縦性
- 軽量で反応が軽い
- サスペンションはシンプルでロールしやすい
- タイヤサイズが細く、グリップは控えめ
- 市街地での取り回しが非常に良い
まさに“軽快で扱いやすい実用車”の乗り味です。
EG 系の操縦性
- ダブルウィッシュボーン(F/R)の本格派サスペンション
- コーナリング時の安定性と接地感が非常に高い
- ステアリングの正確さが段違い
- ホンダの「走りの黄金期」を象徴する仕上がり
EGのサスペンション構造はスポーツカー顔負けで、当時のコンパクトカーとしては異例のこだわりと言われています。
◆ 制動性能・安定性
SB1 のブレーキは当時の基準では良好ですが、現代基準の制動力とは差があります。
- SB1 → フロントディスク・リアドラムが多く、軽量ゆえに十分
- EG → 4輪ディスク採用グレードも多く、制動力・耐フェードに優れる
高速道路での安定性も EG の方が圧倒的に高く、走りの質が“現代的”です。
◆ ドライビングフィールの根本的な違い
一言でまとめると:
- SB1 = 車と人の距離が近い、素朴で軽快な運転感覚
- EG = 高回転域が魅力で、スポーツカーに近い走り
SB1 は昔の小型車らしい“軽さと素直さ”が魅力で、EG はホンダの技術が成熟した“完成された走り”が味わえます。
要点まとめ
- SB1 は低〜中速が中心の実用車、EG は高回転スポーツ寄りの走り。
- 軽さの SB1、パワーと技術の EG という構図。
- ダブルウィッシュボーン採用の EG はコーナリング性能が大幅に上。
- 走りの世界観がまったく異なり、どちらも時代背景を反映している。
SB1 と EG を乗り比べると、シビックが“実用の足”から“走りのホンダ”へ進化したのがよくわかりますね。
足回り・操縦性の違い

シビック SB1(初代)と EG 系の“走りの質”を決める大きな要素が、サスペンション構造と足回りの考え方です。
両者の違いは非常に大きく、同じ「コンパクトカー」という枠では語れないほど性格が異なります。
この章では、サスペンション構造、ハンドリング特性、乗り心地、安定性という観点から比較し、なぜ EG 系が“操る楽しさの基準”となったのかを整理します。
◆ サスペンション構造の根本的な差
まず、最も重要な違いはココです。
| 項目 | シビック SB1 | シビック EG 系 |
|---|---|---|
| サスペンション | シンプル構造(ストラット系中心) | 前後ダブルウィッシュボーン |
| 剛性 | 軽量・素直だが限界は低い | 高剛性で限界性能が高い |
| 目的 | 実用走行中心 | コーナリング性能・走りの質向上 |
EG 系の「前後ダブルウィッシュボーン」は当時としては異例の本格装備で、スポーツカー並の接地性・追従性を実現していました。
◆ ハンドリング特性の違い
SB1 と EG の操縦性は、まったく別の車と言っていいほどフィールが異なります。
● SB1:軽快で素直、昔ながらの小型車の感覚
- 車体が軽いのでステアが軽く反応も分かりやすい
- サスペンションの動きは大きめでロール量も多い
- タイヤ幅が細く“すべる前兆が分かりやすい”
- 街中で小気味よく走れる
素朴で楽しい反面、攻めた走行は得意とは言えません。
● EG 系:しっかり感が強く、コーナーで安心して踏める
- ダブルウィッシュボーンによる高い接地力
- ロールが適度に抑えられ安定感が高い
- コーナー進入時の応答性が鋭い
- 高速道路や峠道での安定性がSB1とは別次元
EG は“スポーツ走行を前提にした足”と言える完成度です。
◆ 乗り心地の違い
乗り心地も目的の違いがはっきり出ています。
● SB1
- 軽量ボディゆえに振動を拾いやすい
- 段差でのショックが大きめ
- タイヤが細く、路面の情報がダイレクトに来る
当時基準としては普通ですが、現代車に慣れていると“硬くて揺れやすい”印象です。
● EG 系
- サスペンションのストロークがしっかり確保されている
- ボディ剛性が上がり、振動の収まりが早い
- 荒れた路面でも跳ねにくい
乗り心地のバランスが非常に良く、街乗り〜高速まで対応できる作りです。
◆ 高速安定性の違い
ここも決定的に異なります。
- SB1:軽快だが風や路面の影響を受けやすい
- EG:直進安定性が高く、長距離でも疲れにくい
特に100km/h前後では差が顕著で、EG の安定感は“現代車に近い”と言われるほどです。
◆ コーナリングの性格(実用車 vs スポーツ基準)
SB1 は「安全に曲がる」ための実用設定。
EG は「積極的に曲がる」ための動的性能を持っています。
ポイント
- SB1 → タイヤの限界が低い分、クルマの動きが分かりやすい
- EG → グリップと剛性が高く、スムーズにラインを描ける
EG が“操る楽しさ”で名車とされる理由は、このコーナリング性能の高さにあります。
要点まとめ
- SB1は軽快で素直、EGは剛性と接地性が高い本格派。
- ダブルウィッシュボーンのEGは走行性能が別次元。
- 高速安定性・コーナリング性能はEGが圧倒的に優れる。
- SB1は昔ながらの軽快な実用車のフィールが魅力。
SB1 と EG を乗り比べると、ホンダが「走りの質」をどれだけ追求してきたかがよく分かります。
SB1 の素朴さも味がありますが、EG の完成度の高さは90年代ホンダを象徴する内容ですね。
室内空間と実用性の違い

シビック SB1(初代)と EG 系は、外観や走行性能だけでなく、室内空間・使い勝手の面でも方向性が大きく異なります。
SB1 は当時の日本の暮らしに合わせた「実用車」としての性格が強く、EG は“世界基準のコンパクトハッチバック”として広さ・快適性・装備を大きく進化させています。
この章では、シート、室内寸法、荷室、操作性、視界などの観点から、両者の違いを具体的に比較します。
◆ 室内サイズと乗車スペースの違い
まず、室内空間の広さは世代差そのものを反映しています。
| 要素 | シビック SB1 | シビック EG 系 |
|---|---|---|
| 室内寸法 | 小さめで“必要最低限” | SB1より大幅に拡大 |
| 前席 | 細身シートで軽快 | ホールド性があり大柄 |
| 後席 | 大人は短距離向き | 大人が普通に座れるスペース |
| 室内高 | SB1は低め | 頭上空間が余裕あり |
SB1 は“当時の小型車規格内で最大限の工夫”をした作りですが、EG は世界の基準に合わせしっかり広い室内空間を確保しています。
◆ シートの性格の違い
シートの考え方も対照的です。
● SB1
- クッションが薄め
- 背もたれも小さめ
- ホールド性はほとんどない
- “軽い車に合う軽快な座り心地”
当時の技術・市場を反映した、あくまで実用的な作りです。
● EG 系
- 厚みのあるクッションと程よいホールド
- 体をしっかり支える構造
- スポーツ走行を想定したグレードも多い
- 長時間乗っても疲れにくい
内装における“質感・快適性の進化”はEGの大きな強みです。
◆ メーターパネル・操作系の違い
SB1 と EG は、運転席周りの設計思想も全く異なります。
● SB1
- 非常にシンプルなメーター配置
- 必要最小限の表示
- スイッチ類も少なく、操作は直感的
古き良き“必要なものだけがある”という実用車的な作り。
● EG 系
- メーターは視認性が高くスポーティ
- 回転計搭載グレードが多い
- スイッチ配置も現代車に近い
- 装備数が多く、操作系が充実
“走りの車”としてドライバー中心の設計がなされています。
◆ 荷室の広さ・使い勝手の違い
ハッチバックの扱いやすさは EG が圧倒的に優れています。
● SB1
- トランク容量は小さめ
- 開口も狭めで大きな荷物は不向き
- 日常の買い物程度なら問題なし
● EG 系
- ハッチバックの開口が大きく積みやすい
- 後席を倒すと広大な荷室に
- 趣味や旅行にも使える実用性
“使えるコンパクト”という現代的な価値がEGにはあります。
◆ 視界の違い:昔の車 vs 現代へ向かう車
視界の良さは大きなポイントです。
SB1
- ピラーが非常に細い
- ガラス面積が大きく視界が広い
- 取り回しがしやすい
EG 系
- ピラーが太く安全性重視
- SB1より視界はやや狭い
- ただし運転姿勢が安定して疲れにくい
視界は SB1 に軍配が上がるものの、総合的な運転環境は EG が“現代車に近い快適さ”を持っています。
◆ 室内の質感
SB1 は金属+ビニールが中心の質感。
EG 系は樹脂パネル・布シートで居住性が大幅に改善しています。
- SB1 → レトロで軽快、シンプル
- EG → 落ち着いていて長時間でも疲れにくい空間
この違いは“当時の小型車と90年代車の差”が如実に表れています。
要点まとめ
- SB1 は小さく軽い実用空間、EG は広く快適な現代的空間。
- シートの出来はEGが圧倒的に上。
- 視界の良さや軽快さはSB1の個性として魅力。
- 荷室や操作系の使い勝手はEGが優れる。
室内と実用性の比較では、EG が確実に“普段使いできる車”として優位ですが、SB1 のレトロな空気感や軽快さも、旧車趣味としては他に替えがたい魅力になっています。
維持・整備性と部品調達の違い

シビック SB1(初代)と EG 系は、維持のしやすさ・整備性・部品の入手性という実用的な側面でも、大きく差があります。
旧車として今から所有を検討する場合、この章は非常に重要です。両者を比較すると、「どの世代のシビックが自分に合っているか」がはっきり見えてきます。
◆ 整備性の違い:シンプルな SB1、合理的な EG
まず整備性については、両者に明確な性格の違いがあります。
● SB1(初代)
- エンジンルームが広く作業スペースが確保しやすい
- 装備がシンプルで故障箇所が少ない
- 機械的な構造が多く“直しやすい旧車”
- 電子制御がほぼ無いためトラブル時の原因特定が容易
特にポイントは「構造が簡単で触りやすい」こと。旧車入門としては悪くありません。
● EG 系
- 配線やECU(電子制御)が増えて作業は複雑
- 装備が多いため補機類の点数も増える
- 整備性自体は良いが、SB1ほど単純ではない
- 一方で、設計が合理的で“壊れにくい”
整備が難しいというより、「機能が増えたぶん点検項目が多い」というイメージです。
◆ 部品調達性:EG は比較的良好、SB1 は注意が必要
部品の入手性は旧車所有で最も重要なポイントの一つです。
● SB1 の部品事情
- 経年で純正部品は入手困難なものが増えている
- 内装パーツ・外装パーツは特に希少
- 機関部品はリプロ品がある場合もあるが、不明な部分も多い
- 海外に流通する量は少なく、国内市場が中心
SB1 は“探せば見つかるが安定供給ではない”という難しさがあります。
● EG 系の部品事情
- 依然として中古部品市場が比較的豊富
- 補機類・外装・足回りなど流通量が多い
- 社外品(特にスポーツ向け)が豊富
- 海外にもファンが多く、再生産パーツが見つかる場合もある
EG系は「まだ実用レベルで維持しやすい世代」に入ります。
◆ 消耗部品の交換頻度と注意点
SB1
- ゴム類(ホース・ブッシュ)の劣化が顕著
- 冷却系や燃料系のオーバーホールは必須
- キャブ車のため定期調整が必要
- ブレーキは旧式で部品状態を要チェック
EG 系
- 経年劣化する部分は同じだが、流通量が多く交換しやすい
- ECU・センサー類は年式相応に注意
- VTEC搭載エンジンはオイル管理が極めて重要
どちらも“古い車”である点は同じですが、対応しやすさはEGが優れています。
◆ 修理コストと維持費の目安
金額の具体値は個体により異なるため記載できませんが、傾向としては以下の通りです。
- SB1 → 部品が少ない分、整備項目はシンプル。ただし希少部品の価格が上がりやすい。
- EG系 → 整備項目は多いが、部品流通量が多く総合的に安定している。
“維持費の読みやすさ”で言えば EG に軍配が上がります。
◆ 故障しやすいポイント(傾向)
※確認できる範囲の一般的な傾向のみ記載します。
SB1
- 冷却系トラブル(ラジエーター・ホース)
- キャブレターの不調
- ブレーキ関連
- ゴム類の経年劣化
EG 系
- センサー類の経年劣化
- オルタネーター・スターターなど電装系
- 足回りブッシュ劣化
- エンジンマウントのヘタり
EG 系は“電装系の経年劣化”、SB1 は“機械部の消耗”が主なポイントとなります。
◆ 現代での整備環境
どちらも整備可能な工場は少なくありませんが、得意・不得意があります。
- SB1 → 旧車専門店の知識が重要
- EG系 → ホンダ系ショップ、スポーツ系ショップでも整備可能
整備環境の幅広さも EG の強みです。
要点まとめ
- SB1 は構造がシンプルで整備しやすいが、部品入手性は弱い。
- EGは電子制御が増えた分複雑だが、部品供給が比較的安定。
- 維持総合力ではEGに優位性がある。
- SB1は旧車らしい素朴な整備性、EGは合理的で安定した実用整備性。
SB1 と EG の“維持のしやすさ”は、旧車としての性格にも直結しています。どちらを選ぶかは、楽しみ方と整備環境で大きく変わりますね。
まとめ
シビック SB1 と EG 系は、同じ「シビック」という車名を持ちながら、設計思想から走行性能、デザイン、実用性に至るまでまったく異なる進化を遂げたモデルです。
SB1 は1970年代の日本における“軽量で扱いやすい実用小型車”として誕生し、排ガス規制と省燃費という課題に向き合いながら、誰もが運転できる素直な走りとコンパクトなサイズで高い実用性を提供しました。
その軽快さと視界の良さ、シンプルな構造は今見ても独自の魅力で、旧車としての存在感は大きく失われていません。
一方、EG 系はホンダの技術が成熟した1990年代の代表モデルであり、世界市場を見据えたグローバルコンパクトとして性能を大幅に進化させました。
高回転まで一気に伸びるVTEC、前後ダブルウィッシュボーンがもたらす操縦安定性、広く快適な室内空間、優れた実用性──
いずれも“走りのシビック”を確固たるものにした要素。
SB1 が持つ素朴で軽快な魅力とはまったく異なる方向性で、EG は今も評価され続けています。
デザイン面でも、SB1 は直線基調のクラシカルな姿で“昔ながらの小型車”の美しさを備え、EG は空力を意識した曲線的フォルムでスポーティな存在感を放ちます。
両者の外観は単に時代の違いというだけでなく、車としての役割と目指した価値の違いがそのまま造形に現れている点が興味深いところです。
維持・整備の観点では、SB1 は部品の入手性に注意が必要で、旧車としてのケアが求められます。
EG はまだ部品の入手性が比較的良く、整備環境も幅広いため実用車として維持しやすい部類。
趣味性を重視するなら SB1、走行性能と実用性のバランスを求めるなら EG 系という選び方が自然です。
こうして比較してみると、SB1 と EG 系は“同じ名前を冠した別の車”と言ってよいほど性格が異なります。
しかし、そのどちらにもシビックらしい魅力があり、時代に合わせて最適な形を追求してきたホンダの哲学が感じられます。
軽快で素朴な初代、走りを磨いた90’s。どちらを選んでも、シビックというモデルの奥深さを実感できるはず。
初代と後年モデルを並べて比較すると、シビックという車がどう育ち、どう愛され続けてきたのかがより明確に見えてきます。
参考リンク
Honda Global(英語版・自動車ヒストリー)
https://global.honda/heritage
Honda Global|Civic(国際モデル紹介)
https://global.honda/civic
AUTOMOBILE-CATALOG|Honda Civic
https://www.automobile-catalog.com/model/honda/civic.html
JapaneseClassics|Honda Vehicles
https://www.japaneseclassics.com/vehicles/
Wikipedia|Honda Civic
https://en.wikipedia.org/wiki/Honda_Civic