フェアレディZ S30(初代、1969年〜)と S130(2代目、1978年〜)は、日本を代表するスポーツカー“Z”の方向性を大きく変えた二つの世代です。
S30は軽量でシンプルな構造を持ち、ドライバーと機械が直接つながるようなピュアスポーツの性格が強く、一方のS130は快適性・装備・高速巡航性能を重視した“グランドツアラー”寄りの進化を遂げました。
外観デザイン、シャシー構造、エンジン仕様、走りのフィーリングまで、両者の違いは明確で、それぞれが異なるファン層に支持されています。
本記事では、S30とS130の主要な違いを体系的に整理し、現代での評価や購入時に確認すべきポイントを深掘りします。
どちらが優れているという単純な比較ではなく、時代背景と設計思想から“Zがどう進化したのか”を理解するためのガイドとして役立つ内容をまとめています。
Contents
フェアレディZ S30とS130の基本的な違い

S30(1969〜)とS130(1978〜)は、同じ“Z”を名乗りながらも設計思想が大きく異なる世代です。
S30 は軽量スポーツカーとして開発され、シンプルな構造と鋭いレスポンスが魅力でした。
一方、S130 は高速巡航性能や快適性を重視した“GT志向”のモデルであり、同じZでも方向性がまったく違います。
設計思想の違い
S30:ピュアスポーツカー思想
- 軽量ボディ、最小限の装備
- 直6エンジンの力強さとFRレイアウトで“人車一体”の感覚
- 操縦性を重視したシャープなハンドリング
S130:グランドツアラー思想
- 車体剛性と快適性を高め、長距離移動を意識
- 装備の充実(パワステ・エアコンなどが普及)
- 走りは安定志向で、S30ほどのキレより“余裕”が特徴
スポーツカーからGTカーへ進んだのがS130という理解が適切です。
サイズと車重の違い(代表値)
| 項目 | S30 | S130 |
|---|---|---|
| 全長 | 約4,140mm | 約4,405mm |
| 全幅 | 約1,630mm | 約1,690mm |
| 車重 | 約1,020kg前後 | 約1,200kg前後 |
S130 は安全・快適装備が増えたぶん重量が増し、性格が変化しています。
基本構造の違い
両者ともFRレイアウトですが、足回りや安全構造が進化しています。
- S30:シンプルで軽快、路面情報がダイレクト
- S130:シャシー補強や快適装備により安定性重視
この差が走りのキャラクターに大きく影響します。
市場での位置付け
- S30:日本スポーツカーの象徴として世界的に評価
- S130:北米市場での販売を強く意識し、ラグジュアリー方向へ拡大
北米での成功がS130の方向性を決めたとも言えます。
要点まとめ
- S30=軽量スポーツ/S130=快適GTという明確な設計の違い
- ボディサイズ・重量が増し、S130は安定性や快適性が向上
- 市場ターゲットも異なり、S30は純スポーツ、S130はラグジュアリー志向
- 走りのキャラクターは大きく違い、比較すると“別物のZ”である印象
資料を見比べるだけでも、S30とS130が同じZでありながら全く違う魅力を持っているのが分かり、その変化が時代の流れを感じさせます。
デザイン・外観の違い

フェアレディZ S30 と S130 の外観デザインは、同じ「Z」の名を持ちながらまったく異なる方向性を示しています。
S30 は軽量スポーツカーらしい緊張感のあるシルエットで、機能性と走りを優先した造形。
一方 S130 は、北米市場を強く意識した“上級GT”としてまとめられ、ボディサイズ・造形・装飾すべてがより堂々とした印象になりました。
この違いは、Zが「ライトウェイトスポーツ」から「ラグジュアリーGT」へと変化した象徴ともいえます。
シルエットの方向性の違い
S30:細身で軽快なスポーツライン
- ロングノーズ・ショートデッキ
- 車高が低く、全体が薄く見えるプロポーション
- ボディサイドは筋肉質すぎず、軽快さを重視
- 後方へ絞られた“流れるようなライン”が特徴
S130:幅広く重厚、GT志向のスタイル
- S30より全長・全幅が拡大
- ルーフラインが厚く、居住性を意識
- フェンダー形状が張り出し、安定感を強調
- 全体のボリューム感が増し、上級感が漂うデザイン
同じZでも「軽さのS30」「落ち着きと余裕のS130」と対照的です。
フロントマスクの違い
- S30:丸目ヘッドライト+細いバンパー
- S130:角ばったライト配置(年式による)+太めのバンパー
S130は安全基準(特に北米)への対応もあり、フロントまわりが大型化しています。
S30はライトウェイトスポーツの象徴ともいえる“精悍な顔つき”が特徴です。
ボディパネルの造形
S30
- ボンネットはスリムで低く構えた造形
- フェンダーの段差が小さく、スムーズな面構成
- 装飾は少なく、走り重視の実用的デザイン
S130
- ボンネット面積が拡大し、厚みのある造形
- フェンダーの張りが強く、視覚的に力強い
- クローム部やモール類が増え、上級志向が明確
リアビューの違い
S30
- 小ぶりなテールランプ
- 後端の絞り込みが強く、スポーティな印象
- バンパーも小型でスッキリと軽快
S130
- 幅広のテールと大型バンパーで落ち着いた雰囲気
- リアの厚みが増し、GTカーらしい重厚感
- ハッチバック形状(2by2含む)で実用性にも配慮
カラーリングの傾向
S30はシンプルなソリッドカラーが中心でしたが、S130はメタリックカラーが増え、当時のラグジュアリートレンドを反映しています。
要点まとめ
- S30は「軽快・低く構えたスポーツデザイン」
- S130は「堂々とした上級GTスタイル」でボディが大型化
- フロント・リアともに、北米基準対応によりS130は厚みとボリューム感が増加
- 装飾もS30は最小限、S130は上質さを意識した仕立て
- デザインの方向性が“別物のZ”と言えるほど明確に異なる
2台を並べた写真を見ると、S30の繊細なスポーツラインと、S130の余裕あるGTラインが対照的で、年代による価値観の変化がよく伝わってきます。
シャシー・ボディ構造と走行特性の違い
フェアレディZ S30 と S130 は、同じFRスポーツという基本骨格を持ちながら、“走りの方向性”が明確に異なります。
S30 は軽量・シンプル構造で機敏さを重視した設計、S130 は剛性向上や快適性を目的とした改良が施され、安定した高速巡航を得意とするGT的性格が強くなっています。
ここでは両者のシャシー構造と走行特性を比較していきます。
基本構造の違い
S30:軽量・スリムなスポーツシャシー
- シンプルなモノコック構造
- 軽さを優先し、補強は最小限
- スポーツ走行で鋭いレスポンスを発揮
S130:剛性向上・快適性向上を意識した構造
- ボディ剛性の強化
- 補強箇所の増加
- 車重増により安定性が高く、挙動が穏やか
構造そのものの目的が違うため、走らせたときの性格も大きく変化します。
サスペンション形式の違い
両車とも前ストラット/後ダブルウィッシュボーンが基本ですが、セッティング思想が異なります。
S30
- 軽い車体と相まってダイレクトで鋭い応答
- 路面の凹凸を拾いやすい
- “スポーツカーらしい生身の感覚”が魅力
S130
- 車重アップと剛性向上に合わせ、安定志向
- 振動吸収を意識したしなやかな動き
- 高速巡航時の落ち着きが大幅に向上
同じ構造でも、走行フィールは全く異なる印象になります。
走行特性の違い
S30:キレのあるハンドリングと軽快感
- ノーズが軽く、素早く向きを変える
- 低速〜中速のワインディングが得意
- 操作量に対して反応が大きく、楽しいが緊張感もある
S130:直進安定性と“余裕”のある走り
- 高速域での落ち着きが高く、長距離向き
- 車重により挙動が穏やかで扱いやすい
- S30のような鋭さより安心感が強い
スポーツのS30、グランドツーリングのS130という性格差がはっきり現れています。
ブレーキ性能の違い
- S30:前ディスク+後ドラムが基本
- S130:改良が進み前後の制動力バランスが向上
ただし現代基準で見ると両者とも制動力は控えめで、状態の良い整備が必須です。
車体重量による差
S130 の重量増はデメリットだけでなく、以下のようなメリットももたらしました。
- 高速巡航での安定性向上
- 路面入力がマイルドになり乗り心地が改善
- 挙動が穏やかになり扱いやすさが増す
一方で、S30 の最大の魅力である“軽快な走り”はS130では感じられにくくなります。
要点まとめ
- S30は軽量・シンプル構造で鋭く軽快なスポーツ走行が魅力
- S130は剛性向上・重量増により安定志向のGT的性格が強い
- サスペンションは同形式だがセッティング思想が異なり、フィーリングが別物
- S30はキレ、S130は落ち着きと余裕が強調される
- ブレーキや乗り心地も、S130は実用性の向上が見られる
資料を見比べながら特徴を整理すると、同じZでも時代のニーズに合わせて大きく変化していった様子が感じられて、非常に興味深いモデルチェンジですね。
エンジン仕様と走りのキャラクターの違い

S30 と S130 はどちらも名機とされるL型直列6気筒エンジンを搭載していますが、排気量・仕様・チューニング思想が時代とともに変化し、それが走りのキャラクターを大きく左右しています。
S30 は軽快でレスポンスの鋭さを重視したスポーツ性が強く、S130 はトルクの厚みと滑らかさを優先する“余裕ある走り”へと進化しました。
搭載エンジンの主要違い(代表的仕様)
| モデル | 主な排気量 | 備考 |
|---|---|---|
| S30 | 2.0L(L20)、2.4L(L24)など | 高回転寄りのスポーツ性が強い |
| S130 | 2.0L、2.8L(L28)など | トルク重視、滑らかさと余裕を重視 |
S30 の走りの特徴:鋭いレスポンスと軽快感
S30 は車重が軽いこともあり、エンジンの反応がダイレクトで、操作に対して素直に反応するスポーツカー的性格が際立っています。
- 回転上昇が軽快
- 吸排気音が鋭くスポーティ
- 中高回転の伸びが気持ちよい
- 軽量ボディとの組み合わせで“機敏な走り”を実現
ドライバーの操作が走りに直結するため、まさに“操る楽しさ”が味わえるモデルです。
S130 の走りの特徴:厚みのあるトルクと滑らかな余裕
S130 は排気量アップによるトルク向上や、車体剛性・重量の増加に合わせたチューニングが施され、走りのキャラクターが大きく変化しています。
- 低〜中回転域に厚みのあるトルク
- 加速がスムーズで余裕がある
- 高速巡航での安定性が高い
- S30 ほどの鋭さはないが“しっとりとした大人の走り”が特徴
スポーツカーというより「ラグジュアリーGT」に近い味付けになっているのがS130の個性です。
吸排気・音のキャラクターの違い
S30
- 直6らしい金属的なサウンド
- 軽さが音にも現れ、軽快な印象
- スポーティな吸気音が魅力
S130
- 音が太く落ち着き、トルク感を支える重厚なサウンド
- 室内静粛性が向上しており、長距離で疲れにくい
この音の違いも、車の性格差を象徴する部分です。
トランスミッションと走行フィールの違い
- S30:ギア比がスポーティで、エンジンの美味しい領域を積極的に使える
- S130:巡航性能を意識した設定で、トルクを活かして滑らかに走る設計
強い個性を楽しむのがS30、落ち着きと余裕を味わうのがS130といえます。
要点まとめ
- S30は高回転寄りのスポーティな味付け、軽量ボディと相まって機敏な走り
- S130はトルク重視で滑らか、長距離向けの余裕を持つGT的キャラクター
- 同じL型エンジンでもチューニングと排気量で性格が大きく変わる
- 吸排気サウンドも軽快なS30、落ち着きあるS130と違いが明確
- 走行フィールは“スポーツのS30、グランドツアラーのS130”と整理できる
エンジン音や加速フィールの違いは非常に印象的で、同じZでもまったく別の世界観を持つ二台だと感じます。
装備・インテリアの違い

フェアレディZ S30 と S130 は、車内装備やインテリアの設計思想にも大きな差があります。
S30 は“軽量スポーツカー”として必要最低限の装備に留め、運転そのものを楽しむためのシンプルな構成が特徴です。
一方 S130 は、ラグジュアリー志向・高速巡航向けのGT思想が色濃く反映され、装備の充実や室内空間の質感向上が進んでいます。
この違いは、Zのキャラクターが「純スポーツ」から「大人のGTカー」へ移行したことを象徴しています。
インテリアデザインの方向性
S30:機能一点主義のスポーツインテリア
- ダッシュボードは水平基調でシンプル
- 装飾を抑え、スポーツ走行に必要な情報だけを集約
- 三連メーター(油温・電圧・時計など)が象徴的
- 室内の“軽さ”が視覚的にも体感的にも伝わる
S130:上級GTを意識した上質インテリア
- ダッシュ形状は曲線的で包まれ感のあるデザイン
- ウッド調パネルや加飾が増え、質感を向上
- 2by2モデルが普及し、実用性重視の設計へ
- シートサイズも一回り大きく、長距離で疲れにくい
S130 は明確に“快適性優先”へとシフトしています。
装備面の違い
S30 の特徴
- 装備は最小限
- エアコン装備は限定的
- パワステなし(基本)
- 走行に直接関わらない装備は極力排除
軽量化を優先するため、快適装備は控えめでした。
S130 の特徴
- エアコン・パワステの装備率が向上
- 電装系の信頼性アップ
- 快適性と静粛性の改善
- 高速巡航を前提とした装備体系
時代の要求に合わせ、普段使いしやすいスポーツGTに進化しています。
メーターパネルと操作系の違い
S30
- アナログ中心の視認性重視配置
- 運転席を中心に機械としてのシンプルさが際立つ
- メーター径が大きく、スポーツらしい雰囲気
S130
- 視認性を保ちながら操作性を向上
- 運転席周りが包まれ感の強い造形に
- 快適装備スイッチ類が増加
操作系にも“時代の進化”が反映されています。
室内スペース・実用性の違い
S30
- 2シーター中心でスポーツ性最優先
- 室内はタイトで運転に集中できる環境
S130
- 2by2モデルが登場し後席スペースが増加
- 荷室容量も拡大し、日常用途にも対応
- ハッチバック形状により実用性が向上
S130は“所有しやすいスポーツカー”としての側面が強くなっています。
要点まとめ
- S30 は軽量志向で装備が最小限、純スポーツのためのインテリア
- S130 は快適性と質感を重視し、GT志向の装備へ大きく進化
- エアコン・パワステなど普段使い向け装備はS130で充実
- 室内スペースもS130が広く実用性が高い
- 操作系・メーターまわりも、S30は“機械的”、S130は“上質な包まれ感”が特徴
両者の車内に座ってみると、設計年次よりも“車の性格そのものが違う”ことがはっきり感じられ、Zの進化がそのまま内装にも現れていると感じるそうです。
維持費・部品入手性の違い
フェアレディZ S30 と S130 は、旧車として現在も根強い人気がありますが、維持費や部品の入手性には明確な差があります。
モデルごとに“弱点”や“入手しやすい部品の傾向”が異なり、購入後の維持計画を立てるうえで重要な比較ポイントです。
ここでは、両者の維持コストや部品確保のしやすさを整理します。
維持費の全体傾向
S30:年式が古く、整備項目が多い傾向
- ボディの腐食対策に費用がかかりやすい
- 部品は高騰しているものが多く、再生産品も限定的
- “旧車としての維持費”が色濃く出るモデル
S130:比較的入手しやすい部品も多く、維持費は安定しやすい
- 電装系や駆動系に互換部品が多い
- サスペンションやブッシュ類なども比較的確保しやすい
- 年式的にS30ほどの重整備が必要になりにくい
ただし、S130は車体が大型のため、タイヤ・ブレーキなどのランニングコストはS30より増える場合があります。
消耗品の入手性
S30 の特徴
- 純正新品は希少
- リプロ品(再生産品)は存在するが量が限られる
- 金属部品のサビ・劣化が進んでいるケースが多い
S130 の特徴
- 消耗品の互換性が高く、汎用パーツで対応可能なものが多い
- ゴムブッシュ類の在庫も比較的多い
- 電装部品の入手性も良好
入手しやすさでは S130 > S30 の傾向があります。
外装部品の状況
外装部品は年式に関わらず希少ですが、とくにS30は入手が難しい部類です。
S30 外装の課題
- メッキバンパー、ライト枠、モール類は特に希少
- 良質中古は高騰している
- レストアには時間と費用がかかる
S130 外装の状況
- 樹脂パーツが増え、割れ・劣化のリスクがある
- 流通量はS30より多め
- 価格も比較的現実的
中古パーツの例:
ヤフオク(中古パーツ)
https://auctions.yahoo.co.jp/
エンジン・駆動系の部品
L型エンジンは人気があり、両世代とも一定の部品が流通しています。
共通ポイント
- ガスケット・水回り・点火系は入手しやすい
- キャブ車の調整や補修パーツは専門店の在庫による
- L28系(S130)は流通量が比較的安定
車検・整備費用の傾向
| 項目 | S30 | S130 |
|---|---|---|
| 車検整備 | 腐食・劣化により作業量が多い傾向 | 部品確保が容易で作業が進めやすい |
| ランニングコスト | 軽量のため若干安い場合も | 車重増によりタイヤ・ブレーキ費用が上がりやすい |
| 長期維持の難度 | 高い | 中程度 |
S30は“クラシックカーとしての覚悟”が必要、S130は“旧車経験が少なくても維持しやすい”という違いになります。
要点まとめ
- S30は年式の古さから整備項目が多く、外装部品は特に希少
- S130は互換パーツが多く、消耗品・電装系の入手が比較的容易
- ランニングコストはS130が高くなる場合もあるが、整備性で優位
- L型エンジンの補修部品は両者とも一定の流通がある
- 長期維持の難度は「S30が高め、S130は落ち着いて維持できる」
両者とも魅力的な旧車ですが、維持のしやすさという観点ではS130が現実的で、S30は愛情をもってじっくり向き合う楽しさがあると感じます。
現代で選ぶならどちらか:用途別の適性

フェアレディZ S30 と S130 は、同じZという系譜にありながら、現代での“向いている用途”が明確に異なります。
デザイン・走行特性・維持性・実用性の違いから、「どちらが自分の使い方に合っているか」を判断することが、購入前の大切なポイントになります。
ここでは用途に応じて最適なモデルを整理します。
1. 休日のスポーツドライブ重視なら S30
S30 は軽量でレスポンスが鋭く、ワインディングを走る楽しさが際立つモデルです。
S30 が向いている用途
- ワインディング中心のスポーツ走行
- 旧車ならではのダイレクトな操縦感を味わいたい
- 操る楽しさを最優先したい
- Zの“原点”を体験したい
特性
- 軽快で機敏なハンドリング
- 操作に対する反応が大きく、運転そのものが魅力
- 反面、快適性や日常性は高くない
こんな人に最適
- “軽さこそスポーツカー”と考える人
- 昭和スポーツの雰囲気をしっかり味わいたい人
2. 長距離・高速巡航を楽しみたいなら S130
S130 はGT志向が強く、安定性・快適性でS30を上回ります。
S130 が向いている用途
- 高速道路での快適な巡航
- 中距離〜長距離ドライブ
- 日常使いとの両立
- 乗員を乗せて移動する機会が多い場合
特性
- 直進安定性が高く、落ち着いたハンドリング
- 快適装備が充実
- 後席(2by2)がある個体は実用性が高い
こんな人に最適
- “大人のスポーツGT”を求める人
- 旧車でも快適に乗りたい人
3. 維持しやすさ・現実性を優先するなら S130
維持費と部品入手性の面では、S130が優位にあります。
理由
- 消耗品の互換性が高い
- 外装部品の入手難度もS30より低い
- 電装系が比較的新しいため整備性が良い
旧車初心者の場合はS130の方が扱いやすく、長期的な維持が現実的です。
4. コレクション目的・価値重視なら S30
初代フェアレディZとしての歴史的価値は、S30が圧倒的に高い立ち位置にあります。
評価ポイント
- 世界的に高い人気と知名度
- 初代Zとしての象徴性
- 旧車市場でも価格が安定しやすい
ただし、良質な個体は希少で高価なことが多く、維持には覚悟が必要です。
5. 普段乗りと趣味を両立したいなら S130
S130 は実用性と趣味性のバランスが良く、“旧車を持つ生活”が無理なく成立しやすいモデルです。
理由
- 快適装備があり普段乗りにも対応
- 走りは落ち着いていて扱いやすい
- 維持費が読みやすい
現代の道路環境に合わせるなら、S130の優位性は大きいと言えます。
要点まとめ
- スポーツ性重視 → S30
- 高速・長距離・快適性重視 → S130
- 維持のしやすさ → S130
- コレクション・歴史的価値 → S30
- 普段使いとの両立 → S130
どちらも魅力的なZですが、“Zに求める楽しさ”がどこにあるかで最適解が変わります。
それぞれの持つ世界観を知ると、選ぶプロセスそのものがとても楽しく感じられます。
よくある質問
Q1. S30 と S130 の維持の難しさはどれくらい違いますか?
S30は年式が古く腐食や部品劣化が進んでいることが多く、維持の難度は高めです。
S130は互換部品が多く、整備性も向上しているため比較的維持しやすいモデルです。
Q2. 走りの軽快さを求めるならどちらが適していますか?
軽快さと鋭い反応を重視するならS30が適しています。
車重が軽く、ハンドリングもダイレクトでスポーツ色が強いモデルです。
Q3. 長距離旅行に向いているのはどちらですか?
高速巡航の安定性や快適装備が充実しているS130の方が長距離向きです。
乗り心地も穏やかで疲労が少ない傾向があります。
Q4. 部品はどちらが手に入りやすいですか?
消耗品や電装系はS130の方が入手性が良いです。
S30は外装パーツを中心に希少な部品が多く、状態の良い中古品は価格が上がっています。
中古パーツ例:
ヤフオク(中古パーツ)
https://auctions.yahoo.co.jp/
Q5. 初心者が旧車として選ぶならどちらがおすすめですか?
旧車経験が少ない場合はS130が現実的です。
扱いやすく、維持計画を立てやすい点がメリットです。
Q6. S30 の価値は今後も上がりますか?
確実な予測はできませんが、初代Zとしての歴史的価値と希少性が高く、良質な個体は長期的に評価が維持される傾向があります。
Q7. 普段使いはできますか?
S130は普段使いと趣味を両立しやすい構造ですが、S30は快適装備が限られ、日常利用には向かない部分があります。
用途を限定すればどちらも可能です。
Q8. エンジンメンテナンスで注意する点はありますか?
L型エンジンは丈夫ですが、冷却系・燃料系・点火系の整備が重要です。
古いホース類の交換は両モデル共通で必要です。
Q9. ハンドリングの違いはどの程度感じられますか?
S30は軽快で反応が大きく、スポーツ感が強いです。
S130は落ち着いていて穏やか、長距離向けの性格です。
運転すれば明確に違いが分かるレベルです。
Q10. 出物はどちらが多いですか?
市場ではS130の流通量が多い傾向があります。
S30は良質な個体が限られており、購入には時間をかけて探す必要があります。
まとめ
フェアレディZ S30 と S130 は、同じZの名を受け継ぎながらも、性格と価値が大きく異なる二つのモデルです。
S30は軽快なスポーツ性と象徴的デザインを備え、Zの原点として特別な存在感があります。
一方のS130は、快適性と安定性を高めたGT志向のモデルで、現代の交通環境にも合わせやすく、旧車として扱いやすい点が魅力です。
どちらを選ぶかは「何を楽しみたいか」によって変わりますが、両者とも当時の技術と価値観が詰まった1台であり、時間を超えて愛される理由がしっかりと感じられます。
参考リンク
日産自動車 1970年代 フェアレディZ カタログ
https://www.nissan.co.jp/
国立国会図書館デジタルコレクション:フェアレディZ 資料
https://dl.ndl.go.jp/